四畳半神話大系(小説・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『四畳半神話大系』とは、森見登美彦による日本小説、及びそれを原作として制作、放送されたアニメ作品。
小説は単行本では2005年に太田出版から、文庫本では2008年に角川書店から刊行されている。
アニメは2010年に放送された。
そして森見登美彦原作の「夜は短し歩けよ乙女」の映画化を受け、2017年1月から特別放送が開始された。

CV:佐藤 せつじ

図書館警察の長官。
普段は城ケ崎先輩が所属している映画サークルに所属している。
城ケ崎先輩の太鼓持ちのような役割をしているが、その実、城ケ崎先輩に恋の恨みを抱いている。

香織さん(かおりさん)

CV:浅沼 晋太郎・檜山修之・パッケージ収録のテレビ未放送エピソード版は能登 麻美子

城ケ崎先輩が所有し、溺愛している高級ラブドール。
人形とは思えないほどの気品と美しさに溢れている。

『四畳半神話大系』の物語(アニメ版)

一話『テニスサークル・「キューピット」』

晴れて京都大学の学生になれた「私」。
数あるサークルの中からテニスサークルを選択するも、仲間たちとは会話をすることができず、居場所を見つけることができない。
そんなある日、同じような境遇に置かれている小津と出会う。
ふたりは意気投合し、サークル内外で人の恋路を邪魔して、恋を破綻に導く「黒いキューピット」の悪名を轟かせることになる。

そんな冴えない学生生活に身を置く「私」だが、様々な人物との出会いもある。
それが樋口先輩と明石さんである。

特に明石さんは、「私」にとっては憧れの存在だった。
大学2回生の時、下鴨神社で開かれていた古本市で彼女に出会ってから、その距離は少しずつではあるが、近づきつつあった。
そして明石さんと猫ラーメンを食べに行く約束まで交わす仲になっていた。

しかし、その約束は果たされない。
その直前に、「黒いキューピット」活動に対する罰として、「私」は小津と共に川へと落とされてしまったためだ。

川の流れに蹂躙されながら、「私」は猛烈に後悔するのだった。
もし、あの時、違うサークルを選んでいたら。
もし、あの時、小津に会いさえしなければ―自分はきっと、薔薇色の学生生活を送れていたはずだ、と。

二話『映画サークル・「みそぎ」』

数あるサークルの中から、映画サークル『みそぎ』を選択した「私」。
ところがそのサークルは、トップに君臨する城ケ崎先輩を褒め、讃えるためだけに存在しているようなサークルだった。
独裁政権にも似たその現状を変えようと、「私」はひとりで映画製作に乗り出す。
しかしあえなく失敗、しかもあろうことか、城ケ崎先輩のカリスマ性を高めてしまう結末まで招いてしまう。

そんなある時、「私」は小津と出会う。
妖怪のような見た目をしている小津に、言葉巧みに誘われた「私」は、小津と共に城ケ崎先輩の私生活を暴くドキュメンタリ映画を製作することになる。
しかし結局、城ケ崎先輩と通じていた小津の企みにより失敗。

その後、「私」は、ラブロマンスの純愛映画製作を試みますが、それも断念してしまう。
しかもその制作過程において、小津とのラブシーンまで演じておいたにもかかわらず、である。

かくして、結局、このサークルでも何かを得ることができなかった「私」。
もし、あの時、違うサークルを選んでいれば。
小津に出会いさえしなければ、とその胸は後悔に締めつけられるのだった。

三話『サイクリング同好会・「ソレイユ」』

数あるサークルの中からサイクリング同好会を選択するも、体力のない「私」は、すぐについていけなくなってしまう。
そこで同じような境遇に置かれている小津と出会うも、「私」は彼を無視する。

高性能スペックがある自転車に、「私」は、これであれば体力のなさもカバーできると思い込む。
そしてこの自転車を購入し、これに乗って大会に優勝すれば、その先には薔薇色のキャンパスライフが待ち受けているはずだ、と期待に胸を膨らませる。
そのため、まずは自転車購入資金を得るために、「私」はバイトに励む。

しかしレース直前、サイクリング同好会の宿敵、自転車整理軍が姿を見せ、「私」の自転車は撤去されてしまう。
そこには小津の策略が張り巡らされていた。

かくしてレースで優勝を果たしたのは、小津が崇拝している樋口師匠。
「私」の薔薇色の学生生活は、またも遠ざかるのであった。

四話『弟子求ム』

サークルに入るはずが、どう言うわけか樋口師匠の弟子になっていた「私」。
日々、修行と称して無意義な言いつけ押しつけられていた。

そこで「私」は、同様に樋口師匠の弟子である小津と出会う。
そして樋口師匠の宿敵である城ケ崎先輩との、代理戦争と言う名のくだらないいたずら合戦に明け暮れるハメになる。

そんなある日、「私」は、樋口師匠から、「伝説の亀の子たわし」を探すように命じられる。
だが足を棒にして、京都中を探し回っても、そのようなものは見つからない。
途方に暮れる「私」の前にあらわれたのは、明石さんだった。
明石さんは、自分は「私」の妹弟子にあたるため、「伝説の亀の子たわし」を一緒に探したいと申し出る。

無事、亀の子たわしは見つかる。
だがしかし、城ケ崎先輩のスパイでもあった小津の存在により、結局「私」は、樋口師匠と城ケ崎先輩の代理戦争を引き継ぐことになってしまう。

あぁ、あの時、樋口師匠の弟子になどならなければ、と後悔するが、後の祭りだった。

五話『ソフトボールサークル・「ほんわか」』

ソフトボールサークルに入部した「私」は、しかし、そのほんわかし過ぎる雰囲気に馴染めずにいた。
しかもサークル内では何やら、怪しい活動も行われている様子すらある。
これではいけない、と「私」が我慢の限界を迎えようとしていた、その時。
「私」の前に、小日向さんと言う黒髪の乙女があらわれる。

実は小日向さんはサークルの母体団体である健康食品会社の社長令嬢であり、かつ広告塔でもあった。
そのことを知らないまま、「私」は、小日向さんとの距離を詰めるべく、せっせと健康食品を大量購入し、サークル内での地位を高めていく。

だが、健康食品会社で行われたセミナーに参加した「私」は、その内容の胡散臭さにようやく、自分が騙されていたことに気が付く。
その場から逃げようとした「私」を助けに来たのが、サークル内で唯一、親しくしていた小津だった。

辛くも脱出を果たした「私」は、このサークルに入ったお陰で、貴重な大学生活を棒に振ってしまったと後悔するのだった。

六話『英会話サークル・「ジョイングリッシュ」』

数あるサークルの中から1つを選ぶと言う選択肢を捨て、「私」は3つのサークルに同時加入する選択肢をとる。
だがその内の1つ、英会話サークルでは、英会話についていけない日々を送っていた。

しかし「私」は、そこで羽貫さんと言う、とても美しい女性と知り合う。
彼女は小津の知り合いであったため、「私」と羽貫さんの距離も急速に近づいていく。

ようやく訪れた薔薇色の学生生活、と喜ぶべきところであるが、そうはいかなかった。
何故なら「私」は、この時、羽貫さんを含む3人の女性と親しくなっていたからだ。

3人の女性の中から1人を選ばなければならない。
迷った挙句「私」は、羽貫さんを選ぶ。

だが彼女は、その美貌も台無しになるほど、酒癖が悪い女性だった。
更に樋口師匠に惚れている様子でもあることを知った「私」は、猛烈に後悔するのだった。
選択肢を誤った、と。

七話『サークル・「ヒーローショー同好会」』

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