有頂天家族2(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「有頂天家族2」とは、「森見登美彦」による小説作品「有頂天家族」シリーズ2作目をアニメ化した作品。2007年に小説「有頂天家族」が発売、2013年に第一期がアニメ化。2015年に小説「有頂天家族 二代目の帰朝」が発売、2017年に「有頂天家族2」としてアニメ化。主人公で狸の「下鴨矢三郎」は、天狗の息子「二代目」と出会う。二代目はヒロイン「弁天」と険悪な仲になり、矢三郎たち狸も巻き込まれていく。

『有頂天家族2』の概要

「有頂天家族2」とは、小説家「森見登美彦」の「有頂天家族」シリーズ2作目をアニメ化した作品。
2007年に幻冬舎から1作目「有頂天家族」が発売、2013年にアニメ化。
2015年に2作目(第2部)「有頂天家族 二代目の帰朝」が発売し、2017年に第2期「有頂天家族2」としてアニメ化。
有頂天家族はたぬきシリーズと呼ばれ、全三部構成予定。
「有頂天家族 二代目の帰朝」の巻末に、第三部が告知がされている。
アニメのキャラクター原案は、「絶望先生」などで有名な漫画家「久米田康治」が勤める。

古都・京都を舞台に、人間に化けて生きる狸と天狗たちを描いた作品。
「面白きことは良きことなり」というモットーを持つ主人公の狸「下鴨矢三郎」を中心に、それぞれのキャラ達が各々に考えて動き複雑に絡まりあい、一つの結末へ向かう群像劇。
矢三郎の周りには、下鴨家の狸たちや、下鴨家のライバルの夷川家、天狗の「如意ヶ嶽薬師坊(にょいがたけやくしぼう)」(通称:赤玉先生)、そして狸を食べる金曜倶楽部に属し天狗の力を操る「弁天」、赤玉先生の息子「二代目」などがおり、交流や衝突が描かれる。
狸たちの常識やルールは人間とは少し違い、特に下鴨家の狸たちは面白く生きることや笑っていること、そしてそれらは下鴨家の代々続く阿呆の血がそうさせるというのが特徴。

『有頂天家族2』のあらすじ・ストーリー

二代目の登場

主人公「下鴨矢三郎」の家である下鴨家は、下鴨神社・糺の森に住む狸の名門で、父「総一郎」、母「桃仙」、長男「矢一郎」、次男「矢二郎」、三男「矢三郎」、四男「矢四郎」の一家である。
総一郎は京都の狸を束ねる頭領「偽右衛門」に就任し名を馳せた狸であったが、狸鍋を食べるという習慣をもつ「金曜倶楽部」に捕まり、食べられてしまう。父亡き後、矢三郎は師匠である天狗の「赤玉先生」の世話をしながら、残った家族たちと「面白き事は良きことなり」を信条に気ままに暮らす。
赤玉先生は金曜倶楽部に属する人間の女性「弁天」を気に入り、天狗の技を教えていた。父を食べた人間の一人であると知りながらも、矢三郎は弁天に惹かれており、弁天も矢三郎を気に入っている。
ある日、矢三郎と矢四郎は山中で赤玉先生の息子「二代目」に出会う。二代目は赤玉先生との間の確執から、海外に移住していたが、赤玉先生を倒すために帰ってきたと言う。赤玉先生も二代目が帰ってきたことを知ると、二代目に果たし状を送る。
その夜、京都の街の上空で天狗同士(正確には二代目はまだ天狗では無い)の勝負が始まると思われたが、赤玉先生は屋根の上で足を踏み外し、矢三郎に助けられる。二代目は狸ごときに助けられるなど恥を知れと言い、その場を去って行った。

天満屋の登場

矢三郎には、許婚「海星」がいた。海星は夷川家の娘であり、総一郎の兄弟で夷川の頭領「夷川早雲」が下鴨家を嫌っていることから縁談は破談になっていたが、現在早雲は行方不明になっている。海星はいつも何か物の中などに隠れて矢三郎の前に現れ、矢三郎には姿を見せなかった。
ある日、矢三郎は、迷惑な場所にラーメンの屋台を出している人がいると話を聞き、店主である「天満屋」の元へ行く。注意を受け入れない天満屋に対し、矢三郎はヒグマに化けて脅かそうとするが、天満屋は不思議な術を使い、逆に矢三郎の方が化かされてしまう。矢三郎はヒグマの姿のまま商店街に出て行ってしまい、危うくも銃殺されるところであったが、矢三郎を影で見守っていた海星が矢三郎を救出する。狸が化かし合いで人間に負けてしまい、矢三郎は悔しい思いをするのであった。
狸を食べる金曜倶楽部に対抗し、狸を食べる事に反対する「木曜倶楽部」がある。創立者はかつて金曜倶楽部に属していた「淀川長太郎」で、淀川は元々狸を愛するゆえに食べていたが、現在はその習慣に反対している。
ある日、矢三郎は淀川に木曜倶楽部の集まりに呼ばれ、そこで天満屋に再会する。天満屋には金曜倶楽部との繋がりもあると知り警戒した矢三郎は、木曜倶楽部で一緒に食事をした「菖蒲池画伯」から、天満屋について話を聞く。どうやら天満屋は地獄絵図の中で鬼から責苦を受ける服役者であり、画伯が加筆した地獄絵の中の仏の垂らした蜘蛛の糸を登り、こちらの世界に出てきたのであるという。
それならばと矢三郎は、今度は鬼に化けて天満屋を脅かそうとするが、作戦は失敗し、逆に天満屋に銃を突きつけられる。天満屋によると、天満屋が地獄に落ちた原因は、弁天が金曜倶楽部の最年長である「寿老人」にした告げ口がきっかけで、寿老人を怒らせ地獄へ落とされたと言う。天満屋は弁天の事を思い出して怒り暴れだすが、そこに弁天が現れると、弁天は天満屋を空の彼方へ投げ飛ばし、矢三郎を助けたのであった。

二代目と弁天の戦い

ある日、桃仙と矢三郎は、カエルに変身したまま戻れなくなってしまった次男・矢二郎を元の狸に戻す方法を聞きに、祖母の元を訪れる。
矢二郎がカエルになり井戸に引き篭もるようになってしまったのにはわけがあった。矢二郎は矢三郎の許婚である海星に恋をしていたのだ。その事を思い悩み、父・総一郎に告げ、家を去ろうとしていたが、総一郎は矢二郎を励まし、兄弟揃っていることが大事だと語った。そしてその晩、総一郎は金曜倶楽部に捕まり、鍋にされてしまったのである。
それ以来、矢二郎は井戸に引き篭もるようになり、カエル以外には電車にしか化けられず、狸には戻れなくなっていた。矢三郎は祖母からもらったよく効くという薬を矢二郎に渡しに行くと、二代目が泊まっていたホテルを引き払った事を知らされる。

矢三郎は矢四郎と共に二代目の新しい住居を訪ねると、二代目はワイシャツを洗い綺麗にアイロンがけしていた。二代目は二人を家に招き、和やかな時間を過ごすが、赤玉先生の話になると声色が変わる。二代目はお気に入りの椅子で日課の昼寝をすると言い、矢三郎たちは帰宅する事にする。そこに弁天が現れ、二代目のお気に入りの椅子に腰をかけ傲慢な態度を取った。二代目は弁天が座っていた椅子を傾け弁天を床に転がり落とすと何事も無かったかのように昼寝を始める。怒った弁天は二代目のクローゼットをあけ、綺麗にアイロンがけされたワイシャツをピンヒールで踏みつけ出て行った。
狸の南禅寺家の娘「玉瀾」は、矢一郎とは将棋を介して幼い頃から付き合いがある。しかし矢一郎はあることから将棋を指さなくなっていた。
南禅寺家が開く「南禅寺将棋大会」の日、決勝戦は玉瀾と矢二郎の戦いとなる。夷川早雲の息子で何かと下鴨家に因縁をつけてくる「金閣」と「銀閣」は、この場でも矢三郎を挑発し喧嘩に発展する。さらに金閣と銀閣の悪ふざけは矢一郎に飛び火し、矢一郎と玉瀾の仲をからかい始める。激怒した玉瀾が虎に化けて二人をこらしめると、将棋大会はめちゃくちゃになってしまった。
矢一郎は矢三郎に対し金閣と銀閣の挑発に乗った事を怒るが、矢三郎は納得が行かず一人でブラブラしていると、矢一郎の大事な物を置いておく隠し穴を見つける。その中には総一郎の将棋盤があった。
将棋盤には大きな傷があり、それを見て矢三郎は矢一郎が将棋を指さなくなった理由を思い出す。矢一郎と玉瀾が小さい頃将棋で戦っていた際、矢一郎に気を使った玉瀾がわざと負けてしまう。それに気づいた矢一郎は、虎の姿になって暴れ、将棋盤に傷をつけた。その行動を恥じ、矢一郎は将棋を指さなくなったのだった。
桃仙は、玉瀾に好意を寄せる不器用な矢一郎のために、矢三郎に二人の恋のキューピッドをするように頼んだ。矢三郎の計らいで矢一郎と玉瀾は再び将棋を指すことになり、二人は良い雰囲気になる。しかし突如、玉瀾は将棋盤に吸い込まれ消えてしまう。慌てた矢一郎と矢三郎は将棋盤を調べると二人もまた吸い込まれ、三人は総一郎の使っていた何処にあるのか不明だった将棋部屋に辿り着く。さらにその将棋部屋は赤玉先生の部屋に繋がっているのであった。赤玉先生の部屋からの帰り道、矢三郎は五山の送り火に玉瀾を誘い、玉瀾は二つ返事でそれに応えた。

五山の送り火は、空飛ぶ納涼船で送り火を見るのが慣わしの行事であった。その年、納涼船を手に入れる事が出来なかった下鴨家は、電車に変身した矢二郎に、酒で空が飛べる「茶釜エンジン」を搭載し、納涼船の代わりにする。矢二郎(電車)の上には弁天も来ており、二代目のお気に入りの椅子を勝手に持ち出して座っていた。毎年の送り火でも夷川家と下鴨家の戦いはお決まりとなっていて、今年もドンチャン騒ぎとなる。戦いが一段落した時、弁天から椅子を取り返しに二代目が現れ、天狗の戦いになるかと思われたが、弁天は二代目に一瞬で負け、川へと落下してしまう。矢三郎は赤玉先生と共に川に行くと、全身ずぶ濡れの弁天が無気力に座っていた。悔しいという弁天に、赤玉先生は強くなるように言う。狸である矢三郎に入る隙は無く、遠目に二人を見つめていた。

金曜倶楽部の宴の悲劇

ある日、金曜倶楽部が有馬温泉へ行ったという話を聞いた矢三郎は、何か陰謀めいた物を感じ、自らも有馬温泉へ行く。温泉に入り休憩していた矢三郎は弁天を見かけ、金閣・銀閣たちと一緒に有馬温泉に来ていたという海星と共に弁天の後を付けていく。
弁天を追って、矢三郎は怪しい建物に入っていくと、亡き父・総一郎の姿を見つける。行方をくらましていた早雲が総一郎に化けて身を隠していたのだ。早雲は淀川が抜けて出来た金曜倶楽部の空きメンバー枠に自分が入るのだと言う。狸を食う金曜倶楽部に入るということは共食いするということだと矢三郎は言うが、早雲は聞く耳を持たない。それどころか早雲は矢三郎を地獄絵図の中に突き落とす。
地獄には無人となった天満屋のラーメン屋があった。矢三郎は鬼に化け、他の鬼とコミュニケーションを取っていると、鬼の相撲大会に連れて行かれる。相撲大会では天女が相撲を取っていると噂になっており、土俵の上には屈強な鬼たちを投げ飛ばして遊ぶ弁天の姿があった。矢三郎も土俵に上がり、自分は鬼に化けた矢三郎であることを告げる。すると、弁天は楽しそうにはしゃぎ、そのまま飛翔して狸の姿に戻った矢三郎を連れ元の世界へと帰った。
弁天と現世へ帰った矢三郎は、弁天に連れられ偽の叡山電車の中に入る。中には寿老人がいて、矢三郎は金曜倶楽部と木曜倶楽部の和解の宴に招待される。宴の支給係は天満屋で、宴の場では金曜倶楽部に入りたい早雲が寿老人に必死に取り入っていた。そして、和解などするつもりがなかった淀川が、狸を食べてはいけないと抗議をはじめたことで寿老人と揉め、寿老人は淀川を銃で撃とうとする。
矢三郎は淀川を庇うためにあえて淀川を糾弾し場を治めようとするが、あろうことか、その場の流れで矢三郎は早雲が狙っていた金曜倶楽部の飽きメンバー枠に入る事になる。早雲は我を忘れたように怒り、鬼に変身して暴れ出すと、天満屋に銃で撃たれてしまう。矢三郎は早雲を探しに行き、森の中で発見するが、早雲はもはや施しようのない程の重傷であった。矢三郎は早雲を「叔父さん」と呼び涙するが、早雲はそのまま息を引き取った。

両家の和解

狸たちの間で早雲の葬儀が行われる。桃仙は、下鴨家と夷川家の仲を取り持つために、矢三郎たちの祖父が海星を矢三郎の許婚にしたと矢三郎に話す。元々は早雲が桃仙を好いていたことが、実の兄弟であった早雲と総一郎の間の深い溝の原因であった。早雲は対抗心から夷川家に婿入りし、両家の確執を強める事になったのだ。
後日、早雲の長男「呉一郎」が下鴨家に和解を申し入れにやってきて、両家は過去を水に流す事にした。そして、矢一郎は矢三郎に、もう一度海星と許婚にならないかと提案をする。この話は元々矢二郎の案で、矢二郎は祖母の薬で狸に戻り人間にも化けられるようになったので、自分探しの旅に出たいと思っているという。海星と再び許婚になれば、矢二郎は海星への思いを振り切り、両家の溝を解消したいという祖父の願いも成就できる。しかし矢三郎は海星と再び許婚になることも、矢二郎が家を出て行くことにも反対で、矢一郎と口論になる。
矢三郎が山に篭っていると、海星が現れるが、やはり木の陰に隠れ矢三郎に姿を見せない。海星は許婚の件は断ると言い、矢三郎もいつも姿を見せないお前と結婚するくらいなら漬物石と結婚した方がマシと言ってしまう。普段気の強い海星は泣き始め、それならばと矢三郎の前に姿を現す。すると矢三郎は海星の姿を見た途端、人間の姿を保てず狸の姿に戻ってしまう。自分では気づいていなかったが、矢三郎は海星の姿を見ると術が解けてしまうようである。海星がもし人里で矢三郎の前に出たら矢三郎の変身が解けてしまい大事になってしまう。海星が今まで矢三郎に頑なに姿を見せなかったのはこのためだった。

次の偽右衛門を決める会議には立会人を立てる事が慣わしであり、狸たちは赤玉先生を立会人に呼ぼうとする。しかし赤玉先生に頼めば、金曜倶楽部のメンバーでもある弁天が代理としてくるはずだと思う矢三郎は、立会人に二代目を推薦し、二代目もそれを引き受ける。

偽右衛門会議の日、皆の前で矢一郎と呉一郎は両家が和解したことを発表した。すると、その場に弁天がやってくる。弁天は行き違いで赤玉先生から代理の立会人として呼ばれており、二代目が立会人になった事は知らなかったのである。弁天は二代目が立会人であることを知ると怒ってしまい、その怒りは一向に収まらない。さらに二代目がその場に到着すると、弁天は矢三郎に、自分はいつでも優しかったのにと言い放ち、その場を去った。その後、矢三郎は赤玉先生が矢三郎を破門にしたと伝え聞くのであった。

別の日、偽右衛門就任が決まった矢一郎は、亡き父の言葉を心に刻み、就任の時を待っていた。
同じ頃、矢二郎は矢一郎の偽右衛門就任を金長一門の狸に知らせるため、徳島にある神社を尋ねる。知らせを受けた金長一門の長は、矢一郎の就任に肯定的なものの、一人では大変だろうと心配をする。矢二郎は早雲の長男である呉一郎が協力してくれるはずだと答えると、奥の座敷から一人の男が矢二郎の前に姿を現した。

京都では矢三郎の元に海星が訪ねてきて、呉一郎の様子がおかしいと矢三郎に話す。昔と別人のような性格に加え、下鴨と夷川の和解を望むと口にしながら、呉一郎は海星と矢三郎の結婚に反対しているようだ。すると、二人が話しをしていると突如銃声が響き、何者かに撃たれてしまう。二人を撃ったのは天満屋であった。

それぞれの運命

矢三郎と海星は天満屋に麻酔銃で撃たれて捕まり、狸鍋の材料として金曜倶楽部へ連れて行かれていた。
その頃、偽右衛門就任式が行われ、立会人である二代目の家に矢一郎たち狸が集まっていた。そんな中、桃仙の元に矢四郎から電話が掛かってきて、桃仙は矢四郎の元へ急ぐ。科学好きの矢四郎が、工場の一角を借りて研究をしていた際、爆発事故が起こったのである。金閣は矢四郎が爆発事故を起こしたと決めつけ、さらに工場から銃が出てきたと言う。矢四郎は自分は関係ないと弁解するが、金閣は聞く耳を持たない。それどころか、金閣は偽右衛門就任式に行くと、矢一郎を偽右衛門にするために、下鴨家が早雲を暗殺し、矢四郎がその銃を隠していたとデタラメを言いまわる。
するとそこに矢三郎が金曜倶楽部に捕まったという情報が齎される。矢一郎は呉一郎の妙に冷静な様子を見て、呉一郎こそが全ての黒幕だったのだと気づく。矢一郎は呉一郎に対して偽右衛門なんてくれてやると啖呵を切り、弟を助けるため玉蘭と共にその場を去る。

麻酔銃の眠りから矢三郎が目を覚ますと、淀川が助けに来ていた。淀川は金曜倶楽部のメンバーと揉み合いになりながら、矢三郎と海星を助けようとする。そこへ銃を持った天満屋、そして矢一郎と玉蘭が化けた2匹の虎が乱入する。

一方、偽右衛門就任式の場では呉一郎が偽右衛門の代理になるのはどうかという話になっていた。工場から出てきた銃は元々二代目のもので、何者かに盗まれたものであった。金閣が銃を二代目に返すと、二代目はこの銃は偽物で殺すことなど不可能だと言う。本物の銃は天満屋が所持しており、裏で天満屋と呉一郎が手を組み、天満屋が早雲を殺した後に本物の銃を呉一郎に渡す予定であったが、天満屋が裏切ったのである。
そこへ急遽四国から帰ってきた矢二郎が一人の男を連れて現れた。その男は呉一郎と名乗った。皆が今まで呉一郎だと思っていたのは、実は生きていた早雲だったのだ。

金曜倶楽部の宴の会場となる偽叡山電車では、矢三郎と海星が矢一郎たちに助け出されたものの、海星は麻酔銃で意識が戻らないでいた。矢三郎は偽叡山電車を止めるために運転席へ行くと、そこに弁天が現れ、矢三郎に往生際が悪いと詰め寄る。矢三郎は「偽叡山電車をあの場へ突っ込ませないか?」と提案する。矢三郎が指差した場所は二代目の家で、現在偽右衛門の就任式が行われている場である。弁天は矢三郎の提案に大喜びし、偽叡山電車は豪快に二代目の家に突っ込んだ。
偽叡山電車に乗っていた矢三郎達と金曜俱楽部の面々、そして二代目の家に居た狸たちと二代目が一同に会した。寿老人は天満屋にこの場に居る全狸を鍋にするように言い、天満屋は狸たちに銃を向ける。淀川は身を挺して狸たちを庇おうとし、早雲は天満屋にお前のせいで計画が無茶苦茶だと掴みかかった。すると偽叡山電車にあった地獄絵図から大きな鬼の手が伸びてきて、早雲を巻き添えに天満屋を捕まえると、二人を地獄へ連れ去った。
二代目は家がめちゃくちゃにされ、酷く落ち込んでいた。二代目は昔、父である赤玉先生と一人の女性を取り合い敗北し、その事で確執が生まれていた。その女性は弁天にそっくりな女性であったため、またもや同じ顔をした女性に振り回され、自暴自棄になっていた。二代目は自分を取り巻く全てに怒り出し、体から炎を出すと、二代目と弁天の戦いが再び始まる。二人の戦いは、最後には上空で取っ組み合いとなる。そして二代目は弁天の髪の毛に火をつけ、弁天は燃えながら落下した。

二代目は傷だらけの姿で家に戻ってくるが、自分の体から出た火で家は炎上しており、呆然と立ち尽くす。そこに赤玉先生が現れ、雨を降らして鎮火させる。手で顔を覆い辛そうにする二代目に、赤玉先生は「悔しかったら強うなれ」と言葉をかけた。

後日、矢三郎は弁天の元を尋ねる。弁天は寝込んでおり、燃えてしまった髪の毛は短く切られていた。弁天に励ましの言葉をかける矢三郎であったが、弁天に必要なものは狸である自分では無いのだと矢三郎は感じていた。

年が明け、正月を迎える。金閣と銀閣は呉一郎によって根性を叩き直されており、呉一郎は父の非礼を矢三郎に詫びた。二代目はどこか吹っ切れたように狸は面白いと矢三郎に言い、矢三郎は二代目に立派な天狗になれると言うが、二代目は「私は天狗にはならないよ」と答えた。矢一郎と玉蘭の結婚式が行われ、赤玉先生は祝福し、矢三郎の破門は解いたと言った。
別の日、矢三郎が森で過ごしていると、海星が後から付いてきた。矢三郎が海星を見ると狸に戻ってしまうのは、海星に惚れているからなのである。二人の元に、ふいに祖母が現れ、二人に夫婦なのかと尋ねる。矢三郎はいずれ夫婦になると答えた。

『有頂天家族2』の登場人物・キャラクター

下鴨家

下鴨神社の糺の森に暮らす狸の名門。
父・総一郎と母・桃仙の間に、矢一郎、矢二郎、矢三郎、矢四郎が生まれた。
総一郎は狸の中でも化け力が強く、京都の狸たちを統括する「偽右衛門」に就任。
総一郎亡き後は、矢一郎が偽右衛門を目指し、めでたく偽右衛門となった。

下鴨 矢三郎(しもがも やさぶろう)

CV:櫻井孝宏

主人公。下鴨家三男。
「面白きことは良きことなり」を信条に、面白おかしく生きている。
話術に長け気が利く世渡り上手であるが、兄など近しい者達には頑固な態度を取る事もある。
父譲りの化け上手で、普段は男子大学生の姿をしているが達磨から女子高生まで色々な物に化ける。
普段変身が解けてしまう事はないが、海星の前に出ると化けの皮が剥がれ変身が解けてしまう。
本人は海星から教えられるまでずっとこのことを知らずにいて、海星は矢三郎を思い頑なに矢三郎の前に現れないようにしていた。
海星とは許婚の関係であったが解消され、また許婚となる。
赤玉先生を弟子という名目でお世話しており、弁天とは同じ師を持つ兄弟弟子。
弁天は初恋の相手で、弁天からも狸として気に入られており、ほかの狸よりも弁天との関わりが深い。
弁天は父を食べた金曜倶楽部のメンバーでもあるが、狸として生きていれば鍋にされることもあるだろうと恨んでは居ない。

二代目や天満屋に出会い、金曜倶楽部で早雲にも出会う。
偽右衛門就任の立会人に二代目を呼び、弁天から怒りを買ってしまう。
その後、海星と共に金曜倶楽部に捕まるが、淀川や矢一郎たちに助けられる。
海星と許婚として結婚する決意をした。

下鴨 矢一郎(しもがも やいちろう)

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