この世界の片隅に(漫画・アニメ・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『この世界の片隅に』は、こうの史代の漫画作品、及びそれを原作として制作されたドラマ、アニメ映画のことである。漫画作品は双葉社の『漫画アクション』にて2007年から2009年にわたり連載された。
ドラマは2011年に日本テレビ系列にて放送され、映画は2016年の11月より全国公開。
『この世界の片隅に』のあらすじ・ストーリー
1944年。太平洋戦争が開戦してから4年の年月が流れていた。
その年、絵を描くことが好きな少女、浦野すずは、呉市に住む北條周作と言う男性の元に嫁ぐことになる。
慣れない土地での生活、更に周作の姉であり、実家へと出戻ってきた黒村径子の小言に耐えながらも、すずは周作やその家族を愛しながら、日々の生活を懸命に生きていく。
おっちょこちょいで、おっとりとした性格のすずもまた、北條家の人や呉の人たちに愛されていく。
しかしそんなすずの日常にも、戦争の影響が色濃くにじみ始める。
滞り始める配給。
そしてすずたちが生活していた呉には、海軍工廠、海軍直営の軍需工場があった。
また数多くの軍艦が出港、帰港する港もあったことから、日本でも有数の海軍軍事都市であった。
そのため、空襲の回数も増していく。
そんなある日、すずは通常空襲に混ざって投下された時限爆弾によって径子の娘、つまりすずにとっては姪にあたる晴美の命と自らの右腕を失ってしまう。
径子に責められ身につまされるような思いを抱いたすずは、見舞いに来た妹の言葉に誘われるようにして実家に帰ることにする。
しかし里帰りする当日の朝、すずは径子と和解し、北條家に残る決心をする。
奇しくもその日は1945年の8月6日。広島に原子爆弾が投下された日であった。
爆心地から距離がある北條家から、すずは閃光と衝撃波、巨大な雲を確認する。
それから9日後の8月15日。すずはラジオで戦争の終了を知る。
年が明け1946年の1月。ようやく里帰りを果たしたすずは、祖母の家に身を寄せていた妹と再会する。
両親は既に亡くなっており、妹には原爆症の症状が出始めていた。
原爆の傷跡が生々しい広島市で、すずはひとりの少女と出会う。
少女は、原爆で母親を亡くしていた戦災孤児だった。
自分を慕ってくるその少女を連れ、すずは呉の家へと帰るのだった。
『この世界の片隅に』の登場人物・キャラクター
浦野 すず(うらの すず/CV:のん)
浦野すず(結婚後は北條すず)。今作の主人公。
広島市江波の海苔梳きの家で育った。
まじめで働き者なのだが、おっちょこちょいな性格であることから、たびたび小さなアクシデントを起こして周りを呆れさせることもある。
戦争の影響が色濃くなっていく中で、それでも北條家のためにアイディアを尽くしながら、懸命に、けれど明るく、楽しみながら生活を営んでいく。
北條 周作 (ほうじょう しゅうさく/CV:細谷 佳正)
北條周作…すずの夫。すずより4つ、年が上で、呉鎮守府の軍帽書記官を務めている。
突然、すずのもとを訪れ結婚を申し込む。すずは覚えていないが、実は幼い頃、すずと一度だけ会っていた。
非常にまじめな性格で、それゆえ親族から『暗い』と言われることを気にしている。
すずに対して愛情深く接しているが、一方ですずが幼馴染の水原哲に淡い思いを抱いていることに気がついている。
黒村 径子 (くろむら けいこ/CV:尾身 美詞)
黒村径子…周作の姉。結婚して家を出ていたが、時計屋を営んでいた夫が亡くなってしまう。
それが契機となり嫁ぎ先の家族との折り合いが悪くなってしまったため、娘の晴美と共に実家へと戻ってきた。
自分の意見をしっかりと持っているおり、はっきりと物事を言わなければ済まない性格。
そのため嫁にやって来たすずに対しても、何かときつくあたる。
だがその裏側には、自らの結婚生活がうまくいかなかったことに対する複雑な思いもある。
晴美の死に関してもすずを強く非難するが、じょじょにその態度を軟化させ、最終的には右手を失ってしまった彼女の身の回りの世話をするまでになる。
黒村 晴美 (くろむら はるみ/CV:稲葉 菜月)
黒村晴美…径子の娘。すずにとても懐いていたが、時限爆弾に巻き込まれ亡くなってしまう。
北條 円太郎 (ほうじょう えんたろう/CV:牛山 茂)
北條円太郎…周作の父親。技師として働いている。
化学を専攻としており、そちらに話が傾くと口が止まらなくなる。
非常に温厚で、すずに対してもやさしく接する。
北條 サン (ほうじょう さん/CV:新谷 真弓)
北條サン…周作の母親。足が不自由で、虚弱体質のため体を思うように動かすことが難しい。
ただそれでも、こまかな家事など、自分ができることは精一杯行っている。
すずに対しても親身に接している。
水原 哲 (みずはら てつ/CV:小野 大輔)
水原哲…すずの幼馴染。海難事故で兄を亡くしており、小学校卒業と同時に海軍に入隊する。
水兵として乗り込んでいた軍艦の停泊中、北條家を訪れる。
すずに淡い思いを寄せており、またすずの思いにも気が付いているのだが、互いに素直になれないため、その関係が進展することはなかった。
Related Articles関連記事
この世界の片隅にの料理・食事・食べ物・お菓子・飲み物まとめ
『この世界の片隅に』はこうの史代原作の漫画である。2007年から漫画雑誌『漫画アクション』で連載され、2008年には単行本も発売。テレビドラマやアニメ映画などメディアミックス作品も多数展開されている。広島から軍港の町・呉に嫁いだ浦野すず/北條すずが、第二次世界大戦のまっただ中でささやかな日常をしなやかに生きる姿を描く。すずの手料理には詳細なレシピが描かれているものもあり、当時の食生活をうかがい知ることができる。
Read Article
この世界の片隅にの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『この世界の片隅に』とは、こうの史代による日本の漫画、及びそれを原作としたドラマ・アニメ映画である。第二次世界大戦の広島・呉を舞台に、北條周作の元に嫁いだ主人公・浦野すずの日常生活を淡々と時にコミカルに、時に残酷に描く。戦争を題材に生活が苦しいながらも工夫をこらし、乗り切る姿や前向きなセリフには老若男女問わず多くの人の心を動かし、勇気づけられるものが多い。
Read Article
夕凪の街 桜の国(こうの史代)のネタバレ解説・考察まとめ
『夕凪の街 桜の国』とは、こうの史代により2004年に発表された漫画作品。「夕凪の街」「桜の国(一)」「桜の国(二)」の3部作である。 また、映画化、ノベライズ化、テレビドラマ化など、数々のメディアミックスが展開されている。 原爆によって苦しめられながらも、幸せを感じながらたくましく生きてきた戦後の人々の暮らしに焦点が当てられており「悲惨な戦争の物語」にとどまらない優しく温かい雰囲気が魅力である。
Read Article
『この世界の片隅に』のネタバレ・考察まとめ!物語で重要な役目を果たしていた座敷童の正体も解説
本記事ではこうの史代によって執筆された漫画、およびその漫画を基にして制作された片渕須直監督作品『この世界の片隅に』に関するネタバレ解説・考察をまとめて紹介している。作中には座敷童をはじめとして多くの妖怪が登場しており、妖怪たちが非常に大きな役割を果たしているのだ。記事中ではこの座敷童の正体や、原作と映画の相違点などについても詳しく掲載した。
Read Article
『この世界の片隅に』の監督・片渕須直とスタジオジブリの深い関係!実は『魔女の宅急便』を撮るはずだった!?
本記事では太平洋戦争を題材にして作られた映画『この世界の片隅に』の監督・片渕須直と、スタジオジブリとの間にある深い関係性についてまとめて紹介している。片渕は元々ジブリ映画『魔女の宅急便』で監督を務める予定だったが、スポンサーとの関係で宮崎駿監督の補佐役に回ったという過去があるのだ。記事中では『この世界の片隅に』の制作秘話やこだわった点、作品の評判なども併せて紹介している。
Read Article
【この世界の片隅に】涙腺崩壊必至!泣けていないあなたに贈る珠玉のアニメ特集【君の名は。】
最近泣いたことはありますか?泣くのは恥ずかしいことだと思っている方も多いですが、決してそんなことはありません。泣きたいときに思いっきり泣くほうが、むしろスッキリしますよ。この記事では、涙腺崩壊すること間違いなしな名作アニメをまとめました。人前で泣けないというあなたも、自宅でなら何を気にすることもないですから、たまには思いっきり声を上げて泣いてみませんか。
Read Article
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『この世界の片隅に』のあらすじ・ストーリー
- 『この世界の片隅に』の登場人物・キャラクター
- 浦野 すず(うらの すず/CV:のん)
- 北條 周作 (ほうじょう しゅうさく/CV:細谷 佳正)
- 黒村 径子 (くろむら けいこ/CV:尾身 美詞)
- 黒村 晴美 (くろむら はるみ/CV:稲葉 菜月)
- 北條 円太郎 (ほうじょう えんたろう/CV:牛山 茂)
- 北條 サン (ほうじょう さん/CV:新谷 真弓)
- 水原 哲 (みずはら てつ/CV:小野 大輔)
- 浦野 すみ (うらの すみ/CV:藩 めぐみ)
- 白木 リン (しろき りん/CV:岩井 七世)
- 時代背景
- 『この世界の片隅に』の用語解説
- 『青葉』
- 『呉』
- 『配給』
- 『楠公飯』
- 『入湯上陸』
- 『大和』
- 映画の名シーン・名場面
- すずの絵によって表現されるシーン
- 周作との関係が描かれるシーン
- すずたちの日常
- 映画の名言・名セリフ
- 「何でも使うて、暮らし続けにゃならんのですけぇ、うちらは。」
- 「警報もうあきたー」
- 「この世界にそうそう居場所は無くなりゃあせんよ」
- 「ずうっとこの世界で普通で……まともで居ってくれ」
- 制作までの流れ
- 声優に関して
- 封切に関して
- 評価に関して
- 著名人のコメント
- 原作漫画とアニメ映画の違い
- リンとのエピソード
- 周作とのエピソード
- エピソードに違いがうまれた理由
- 原作漫画とドラマ版の違い