エリアの騎士(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

エリアの騎士(THE KNIGHT in THE AREA)は、伊賀大晃原作・月山可也作画で週刊少年マガジンで2006年21・22合併号から連載されたサッカー漫画です。
中学生編、高校サッカー編、五輪招致編を経て現在はJリーグ編と、主人公・逢沢駆の成長とともに物語は進んでゆきます。

作品概要

主人公・逢沢駆とサッカーを通じて彼を取り巻く仲間、ヒロイン・奈々、そして彼のサッカー人生に大きな影響を及ぼす亡くなった兄・傑とのかかわりを描く本作ですが、イントロダクションとしての中学生編(単行本1巻~3巻)、高校サッカー編(単行本3巻~34巻)、五輪招致編(単行本35巻~38巻)を経てJリーグ編(単行本38巻~)と物語が進むごとに舞台が大きくなり、世界の強豪リーグのユースに所属するライバルも登場してきてますます盛り上がりを見せています。

『エリアの騎士』のあらすじ・ストーリー

中学生編(単行本1巻~3巻)

鎌倉学館中学サッカー部に所属する主人公・逢沢駆は、過去の左足の負傷がトラウマとなってうまく足が使えずに部のマネージャーをしていました。
そんな駆を、同サッカー部主将でもある兄・傑(U-15日本代表MF)は紅白戦に抜擢します。

紅白戦後、兄・傑から「駆が左足をうまく使えないのは怪我のせいではなくハートの弱さからくるもの」と指摘を受けた駆。
共にサッカーを愛する者同士、兄弟間はギクシャクしたものになります。
翌朝、自転車に相乗りした二人。
駆は、兄に「サッカー部をやめる」ことをつたえますが、兄は本気で将来のサッカー選手としての兄弟の夢を語り、二人は再び心を通じ合わせます。
そんな二人の自転車へトラックが突っ込み…

兄・傑は頭部を強く打って脳死状態、駆は、鉄パイプが心臓を貫くという大怪我を負います。
兄からの心臓移植を受け九死に一生を得る駆。
事故の前に兄弟で語り合った夢。
天才MFだった兄の果たせない夢を知った駆は、再びサッカーを続けていこうと心に誓うのでした。

とはいったものの一度もベンチに入ることなく迎えてしまった中学最後の公式戦。
優勝候補を相手に試合は劣勢になります。
兄のライバルからも挑発を受けた駆は、監督に猛烈アピール。
ついに中学最後の試合のピッチに立つことに。

高校サッカー編(単行本3巻~34巻)

江ノ島高校に進学した駆。

【FCとSC】
奈々とともに江ノ島高校へ進学した駆は、傑の日記から荒木竜一に興味を持ちます。
駆と奈々は早々にサッカー部へ入部を決めますが、江ノ島高校では10年前から対立するフットボールクラブ(FC)とサッカークラブ(SC)の2つのサッカー部が存在し、両クラブ間で公式大会出場権利を争っていました。
さらに駆たちの目の前に現れた荒木竜一はサッカー選手の面影のない姿(デブ)なのでした。
困惑する駆は諦めずに荒木を説得し、ダイエットを成功させた荒木とともにSCとの対戦に臨みます。
試合を通してお互いのサッカーを認め合う部員たち。
その結果、両クラブ統合による新生江ノ島高校サッカー部が発足することとなります。

【高校総体 神奈川予選】
新たなスタートを切った江ノ高サッカー部は、2つのチームの融合と強気の変則フォーメーションによる効果で順調に神奈川予選を勝ち上がってゆきます。
1つとなった江ノ島高校サッカー部は、サッカー激戦区のひとつ、神奈川県予選で、辻堂学園、湘南大付属高校、葉蔭学院といった強豪へと挑んでいくことに。

【高校総体 決勝】
葉蔭学院に神奈川県予選で敗れた江ノ島高校サッカー部。
そんな中、”ブラジルの至宝”レオナルドからの誘いを受けて駆たちは高校総体の見学に。
一方、東京では新設高校の東京蹴球学園が、圧倒的なゲーム展開で日本の高校サッカーを席巻します。
東京蹴球学園が勢いそのままに高校総体(インターハイ)決勝まで勝ち上がると、そこには亡き逢沢傑を輩出し伝統校の誇りに燃える鎌倉学館高等部が立ちはだかるのでした。

【選手権 神奈川予選】
高校総体の予選敗退後も、練習や学業の他、駆や荒木、奈々らの代表招集、高校総体決勝戦の観戦など話題の尽きない江ノ島高校サッカー部。
季節は過ぎて秋が深まり始めると、再び全国大会出場に向けてスタートを切りはじめます。
代表招集によって、エースの荒木を欠きながらも勝ち抜いた江ノ島高校の前に、湘南大付属高校を破った相模ヶ浦高校、高校総体予選で激突した葉蔭学院、そして県内屈指の強豪・鎌倉学館が立ちはだかります。

【選手権 決勝】
高校選手権神奈川県予選を制し、10年ぶりに全国大会へと駒を進めた江ノ島高校サッカー部。
全国大会に向けて「φ(ファイ)トリック」の更なる発展を目指し奈々と自主練に励む駆。
そんな駆もとに、ブラジルから東京蹴球学園へ留学したレオナルドが現れます。
レオナルドは傑の墓参りに訪れた際に駆と出会い、気まぐれで彼のプレーを観戦することとなりましたが、そのプレーの中に傑をみたことで彼に興味を持ち、欧州のクラブなど多数のオファーを受けながらも、日本の東京蹴球学園への留学を決めたのです。

ついに全国高校サッカー選手権が開幕。
U-16日本代表合宿で切磋琢磨した仲間や大会に旋風を巻き起こす新たなライバル、そしてレオナルド率いる東京蹴球学園が江ノ島高校サッカー部に大きな壁として立ちはだかります。

五輪招致編(単行本35巻~38巻)

激闘の末、王者東京蹴球学園を降して、全国高校サッカー選手権を制した江ノ島高校サッカー部。
興奮冷めやらぬ間に、U-22日本代表合宿に参加する駆と荒木。
そこは、死闘を繰り広げたライバルたちや国内外で活躍するプロ選手が一堂に会し、日本代表の狭き門を争う場所でした。
五輪予選代表の座を勝ち取った駆と荒木。
迎えた親善試合では、韓国や王者・ブラジルが猛威を振るい「世界のサッカー」を目の当たりにすることになります。

Jリーグ編(単行本38巻~)

親善試合後に受けたインタビューがきっかけとなり、“特別指定選手”としてJ2の湘南ブルーインパルスに加入することになった駆。
しかし、加入したチームは主力が抜け、3部降格も噂される順位で、選手も練習後に酒盛りを始めるなど、どん底の状態でした。
駆はプロの厳しさに揉まれ、必死に食らいついていくので精一杯でしたが、駆の直向きなプレーに感化されたチームは徐々に改善の兆しを見せます。

迎えたリーグ開幕。結果が残せなければチームを去ることになる駆は、FWの「仕事」を果たすことに焦りを覚えます。
勝利に恵まれなかったインパルスでしたが、開幕してから暫くして駆が初ゴールを決めたのを皮切りに軌道に乗り始めます。
そんな最中、チームの司令塔ロペスが退団することになり、新戦力として四季遥が加入するのですが、それは、一癖も二癖もある「劇薬」でした。
新戦力の四季はデビュー戦でアシストを記録するなど、早くも実力の片鱗を見せつけます。
しかし、彼には左目がほとんど見えないというハンデを隠して守備をほとんどしない為、チームには次第に不満が高まり始めます。

駆と幕張が五輪2次予選の為戦列を離れていた間、インパルスは守備が乱れてしまい、絶不調に陥ります。
そんな最中、秘密にしていた左目のことがチーム全体にバレてしまった四季はチームからの脱退を申し出ます。
駆の説得もあり、サッカーへの情熱を取り戻した四季。
すべてを知り彼を再び迎え入れたチームメイトとの間には最早軋轢などなく、チーム全体が再び躍動し始めます。

チームが軌道に乗り始めた中、シュートが思うように決まらない駆。
その原因を把握している四季は駆に眠るストライカーとしての才能を引き出そうとします。

四季のアドバイスによって新たな武器【ホイップシュート】を身に着けた駆。
2部リーグでも下位争いをしていたチームが一丸となって試合に臨み苦しみながらも上位チームを打ち倒していく快進撃を見せます。
そして王者・東京キングダムを下しついに念願のリーグ優勝を果たすのでした。

主な登場人物・キャラクター

逢沢 駆(あいざわ かける)

鎌倉学館中等部2年でサッカー部のマネージャー。
精神面の弱さと、将来を嘱望されている兄逢沢傑へのコンプレックスから選手を離れていましたが、兄・傑は選手への復帰を願っていました。その矢先に二人は交通事故に遭い傑は死亡してしまいます。
同じく重体に陥った駆は傑の心臓を移植されて一命をとりとめ、彼の魂とともに選手に復帰することを決意するのです。

その後全国高校サッカー選手権での活躍が認められU-22日本代表(五輪代表)に召集され、Jリーグ2部の湘南ブルーインパルスに特別指定選手として入団。
ポジションはFW。
「純血種(サラブレッド)ストライカー」の異名をとります。
得意技は「ラン・ウィズ・ザ・ボール」で、時折兄が乗り移ったかのようなプレーを見せます。

とくにボールが消えるかのようなフェイントはφトリック(ファイトリック)と呼ばれます。
幼馴染の美島奈々は初恋の相手であり、将来ともに日本代表のユニフォームを着る約束をしています。

逢沢 傑(あいざわ すぐる)

主人公逢沢駆の兄。鎌倉学館中等部3年。
サッカーU-15日本代表で背番号10を背負うMF。
11歳にしてU-13日本代表に選出され、スペインで開かれた世界大会では得点王に輝きますが、不本意な警告により決勝のブラジル戦には出場できませんでした。
自らを王様タイプと称し、理想のパートナー像であるエリアの騎士となる選手を探し求めます。

サッカー部でマネージャーをしていた弟駆に選手に復帰することを勧めた矢先に交通事故に遭い死亡。
その心臓は弟・駆に移植されます。

美島 奈々(みしま なな)

主人公逢沢駆と、その兄逢沢傑の幼馴染。名前の「なな」からあだ名はセブン。
アメリカから帰国し鎌倉学館に転入。
サッカー部のマネージャーとなります。自らも優秀なプレイヤーであり、アメリカでは「リトル・ウィッチィ」(小さな魔女)の異名をとっていました。
ポジションはFW。
宇宙人のマスクをした謎のプレイヤーに扮し、駆とともに夜の公園で練習を続けます。

その後駆と同じ江ノ島高校に進学。
クラブチームには属さず、引き続きサッカー部のマネージャーを務めます。
卓越したサッカー理論の持ち主。
高校1年でなでしこジャパンに選出されますが、日本とアメリカの二重国籍でどちらの代表を選択するか迷う場面も。

得意技は「ウィッチィ・ターン」。

荒木 竜一(あらき りゅういち)

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