攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX、S.A.C. 2nd GIG、Solid State Society（神山版攻殻機動隊）のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』とは

あらすじ・ストーリーと概要

「個別の11人事件」後、2年経った2034年。「個別の11人事件」後、少佐が失踪したことにより組織の変革を余儀なくされた9課は、課員を大幅に増やし、トグサをリーダーとした新体制の下で犯罪の抑止にあたっていた。バトーはこれになじまず、単独行動で「個人的推論に則った捜査」を行なっていた。

そんな中、梵字の刺青を入れた男たちが相次いで不審な自殺を遂げる事件が発生。彼らはシアク共和国のカ・ルマ元将軍に忠誠を誓い、マイクロマシンによるテロを画策していた工作員であった。カ・ルマの嫡子であるカ・ゲル大佐が取り調べに応じたが、突如として国外逃亡を図り、人質を取って新浜国際空港に立てこもる。トグサ率いる9課はカ・ゲルを追い詰めるも、彼は突然「傀儡廻（くぐつまわし）が来る！」と叫び、トグサの目の前で拳銃自殺してしまう――

2006年に放送された約105分の長編アニメ。
Production I.G制作。監督は神山健治。原作は士郎正宗の『攻殻機動隊』。「攻殻機動隊 S.A.C. SSS」と省略されることもある。
総製作費3億6000万円にも及ぶ大作で、制作当初は劇場公開用だったが、諸般の事情によりTV放送となった。

2011年、3D劇場版として『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』も全国公開されている。

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』の主要登場人物・キャラクター

草薙素子

CV：田中敦子
「個別の11人事件」後、失踪してしまった、元公安9課の実質的リーダー。
超ウィザード級のハッキング能力を持つ事と9課に先んじて重要施設に潜入している等の行動から、傀儡廻なのではないかと疑われている。

バトー

CV：大塚明夫
少佐が9課を離れ、9課の方針が変わっていったことから徐々に距離を置き始め、「個人的推論に則った捜査」を単独で行なっている。
今までのシリーズで長かった髪を短く切っている。

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』の用語解説

傀儡廻（くぐつまわし）

正体不明の超ウィザード級ハッカー。名前や能力、作中での役割や描写が、原作『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』での「人形使い」を連想させる。バトーは当初、そのハッカーとしての能力やある根拠から少佐が傀儡廻なのではないかと疑っていた。

貴腐老人（きふろうじん）

今作では、現実の日本社会と同じように、少子高齢化が進んでおり、家族を持たないで老年を迎える人口の増加によって介護の問題が大きくなっている。その解決の為、在宅で医療ネットにアクセス、全自動介護システムによる介護が保証されており、貧困・富裕層を問わず機械による介護が一般的になっている。
だが、このシステムは老人の寝たきりを助長する結果となり、「体のいい遺産回収システム」とも揶揄され、寝たきりで干乾びるように死んでいく老人をワインに使う貴腐葡萄になぞらえて、「貴腐老人」と呼んでいる。

SolidState（ソリッドステート）

病院でバトーと再会した少佐が「SolidStateには近づくな」と警告した謎の言葉。
その正体は、総務省の官僚コシキタテアキが作った、虐待を受けている子供達を電脳化した上で合法的に聖庶民救済センター（子供を、政治・経済・軍事の各分野で重要な政策決定を行うエリートにするための洗脳教育が行われている施設）に送り込むためのインフラ・「ソリッド・ステート・システム」であった。実に20,000人もの子供達がシステムに組み込まれていた。

本来の意味はダイオード、IC等の固体の半導体素子のことだが、このことでバトーは少佐が傀儡廻の正体ではないかと疑う根拠の一つとなった。

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』の魅力とは

少佐は果たして敵なのか？傀儡廻なのか？

これまでの『S.A.C.』シリーズとの最大の違いは、少佐が公安9課を離れて単独行動をしていることである。
物語の佳境まで、少佐が傀儡廻ではないか？という疑念が付きまとい、また9課にとって敵か味方かわからないまま話が進む展開となっている。

子供の虐待、少子高齢化など現代にも根深い問題が絡む