攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX、S.A.C. 2nd GIG、Solid State Society(神山版攻殻機動隊)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊S.A.C.』は2002年放送のTVアニメ及びそのシリーズ。AD2030年、内務省直轄独立攻性部隊・公安9課が「笑い男事件」を追うストーリー。
続編の『S.A.C. 2nd GIG』ではテロリスト「個別の11人」を追う事件、『Solid State Society』は主人公・草薙素子が失踪後に謎のハッカー「傀儡廻し」に関わる事件となっている。
神山健治監督版『攻殻機動隊』シリーズ。

セラノ・ゲノミクス

製薬会社。社長はアーネスト・瀬良野。電脳硬化症に効くと言われるマイクロマシン療法を確立したが、最初の「笑い男」事件と後のサイバーテロによって株価は急落。公的資金投入を受けることとなった。

電脳硬化症

脳を電脳化することによって、脳細胞が硬化する病気。結核、ガン、エイズなどと並び、21世紀の不治の病とされている。電脳化を施した者なら誰でも罹患の可能性がある原因不明の病で、発症すると電脳化を施した部分が徐々に硬化していき、最終的には脳死に至る。特効薬はないとされていたが、マイクロマシン療法が有効となった。

村井ワクチン

マイクロマシン療法よりも電脳硬化症に効果があるとされているが、何故か未認可となっている。村井ワクチンを世の中に広める活動をしているNGOひまわり会のマークは笑い男マークとよく似ており、村井ワクチンの接種者リストをトグサが確認している最中に、何故か麻薬取締委員会の強制介入班の襲撃を受け、トグサは瀕死の重傷を負う。

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』の魅力とは

現代社会にも通じる社会問題を描く刑事物ドラマ

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』は、2030年の電脳化された未来を描くSF作品であり電脳や義体などのSFらしいギミックが堪能できるのも大きな魅力だが、企業や政治の不正、ネット社会の弊害など現代にも通じる社会問題を絡めて描く刑事物らしい作風も持ち味だ。
例えばタイトルにも入っている「STAND ALONE COMPLEX」とは、電脳という著しく発達したネットの技術によって、独立した個人(スタンドアローン)であるにも関わらず結果的に集団的総意に基づく行動(コンプレックス)をしてしまう現象を表すが、また、特定の誰かが体験した情報をネットで共有することで無意識化での集団意識が形成され、それはその誰かが喪失した場合(今回の場合は笑い男)でも機能することからオリジナルなき模倣を指す言葉でもある。
この現象は、現代のメディア社会において模倣犯が次々と現れることや、ネットの発展によって個人の個性が失われていくのではないかと言われている状況をも連想させる。

チーム物としての側面も

他の攻殻機動隊シリーズに比べて公安9課というチーム物としての側面も強く出ている。
リーダーの草薙素子こと少佐からの指示のもと、電脳戦や聞き込み、戦闘などそれぞれが持てる実力を最大限発揮し事件解決に向かう。何か事件解決に伴って政治的な障害が発生すれば、課長の荒巻が巧みに交渉や対処に当たり、円滑に9課が動くように立ち回る、という構図だ。

また、公安9課がどういう組織かは、課長曰く「我々の間にはチームプレイなどという言い訳は存在せん。あるとすればスタンドプレーから生じるチームワークだけだ」という言葉からわかる。一見チームワークを否定するような言葉だがここには、“能力の高い課員それぞれが全力を尽くすことによって高いパフォーマンスを発揮でき、またそれが結果的にチームワークとしても機能する”という意味合いが込められている。

また、TVアニメで全26話という尺の長さから、メンバーの一人一人にスポットを当てて掘り下げる話も多く、キャラクターがより深くわかる様になっている。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』では特に、荒巻課長やトグサ、バトー、また9課の装備であり構成員とも言える、思考戦車「タチコマ」にスポットを当てた話が多く登場する。

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『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』とは

あらすじ・ストーリーと概要

前作『S.A.C.』から2年後の2032年。「個別の11人」を名乗るテロリスト9人が中国大使館を占拠する事件が発生。
特定のリーダーを持たない彼らの要求はアジア難民受け入れの即時撤廃及び招尉難民居住区の完全閉鎖。事件解決を条件に、前作で解散に追い込まれた公安9課は復活を果たす。
次々と現れる「個別の11人」を名乗るテロリスト達。
事件を追う内に、内閣情報庁の合田が9課に不気味に接触してくる。そして茅葺総理暗殺に「個別の11人」を名乗るクゼという男が現れた――

2004年放送のTVアニメ。全26話。
Production I.G制作。監督は神山健治。原作は士郎正宗の『攻殻機動隊』
スタッフは前作の『S.A.C.』とほぼ同じであるが、ストーリーコンセプトに押井守が参加している。

2006年には「個別の11人事件」を描いたエピソードを約160分にまとめた『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Individual Eleven』が制作された。

『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』の主要登場人物・キャラクター

茅葺総理

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@naoki0910l6

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