花子とアン(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『花子とアン』とは、2014年放送のNHK連続テレビ小説第90作。村岡恵理『アンのゆりかご』を原案に、児童文学の名作『赤毛のアン』の日本語訳を手掛けた翻訳家・村岡花子の波乱万丈な半生を描く伝記作品である。山梨の貧しい農家に生まれた少女・はなが、東京の女学校で英語を学び、持ち前の想像力を武器に『赤毛のアン』を翻訳する道へと進む姿を綴る。吉高由里子が主演を務め、仲間由紀恵や鈴木亮平ら豪華俳優陣が共演した。全放送回で視聴率20%超えを記録する大ヒットとなった。

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最愛の息子・歩との別れ

仕事と家事、育児に多忙ながらも平穏な日々を送っていた花子だったが、大きな悲劇が襲う。長男・歩が疫痢に罹患し、5歳の誕生日を目前にして急逝したのである。
「仕事さえしていなければ助かったかもしれない」と自らを責め、一時は歩の後を追うことさえ考えた花子だったが、英治や蓮子の支え、そして生前の歩が遺した言葉に救われる。「日本中の子供たちのために、素敵な物語を届ける」という新たな使命を胸に、花子は悲しみを乗り越えて再び翻訳の机に向かう決意を固めるのだった。

昭和期

ラジオのおばさん誕生と新しい家族

数年後、花子と英治は雑誌『家庭』を創刊する。同じ年、蓮子の勧めで花子はNHKのラジオ番組『コドモの新聞』の語り手の仕事を引き受けた。全国の子供たちに「ごきげんよう」と語りかける花子の声は、親しみやすいと大きな評判を呼ぶ。
私生活では、妹・ももが北海道から失意のうちに帰京。北海道で幸せに暮らしているとばかり思われていたももは、すっかりやつれていた。夫を亡くし、北海道での生活に耐え切れずに逃げ出してきたことを聞いた花子は、何も気づいてやれなかったことを悔いる。ももはのちに売れない絵描きの益田旭(ますだ あきら)と再婚するが、旭は突如結核を患う。二人は授かった娘・美里(みさと)を村岡家に託し、転地療養することに。益田夫妻の希望もあり、美里は花子と英治の養女として迎えられ、深い愛情を注がれるのだった。

戦火の足音と「腹心の友」との決別

しかし、時代は急速に戦争へと突き進んでいく。戦局が悪化するにつれ、ラジオの原稿は軍事色が強まり、花子は子供たちに夢を伝えようと葛藤する。宮本家では、龍一が反戦行為で逮捕され、蓮子たちは非難の的にさらされた。蓮子は軍事国家と戦う決意を固めるが、平和を願いラジオの役目を全うしようとする花子と激しく対立し、ついに二人は絶交を宣言する。
そんな中、恩師のスコット先生が帰国することになり、友情の証として一冊の洋書 『Anne of Green Gables』 を花子に託した。1941年、太平洋戦争が開戦。ラジオ局が戦意高揚の道具と化していく中、花子は「子供たちへの役目を果たせなくなった」と自ら番組を降板した。

命がけの翻訳と失われた命

空襲が激しさを増す中、敵性語とされる英語の本を持つことは禁じられた。しかし花子は、スコット先生から贈られた本を隠し持ち、「いつ死んでも、この物語だけは日本語にして残したい」という一念で、防空壕の中でも翻訳を続けた。
昭和20年、終戦を迎える。しかし、蓮子の息子・純平が戦死したという悲報が届く。蓮子は「花子がラジオで戦意を煽ったから息子は死んだ」と花子を責め、二人の絆は修復不可能かと思われた。
しかし、互いの悲しみを乗り越え、数年の時を経て二人は再び「腹心の友」として手を取り合うことになるのだった。

『赤毛のアン』の誕生

戦後、花子は書き溜めた原稿を出版社に持ち込むが、無名の作者の作品は見向きもされない日々が続く。それでも諦めず、自宅で「村岡家庭図書館」を営みながら翻訳を続けて6年。ついに小鳩書房の門倉幸之介(かどくら こうのすけ)社長がこの物語に目を留める。
若者向けに 『赤毛のアン』 と題されたその本は、1952年の出版と同時に空前のベストセラーとなった。想像力を武器に困難を乗り越えるアンの姿は、戦後の日本人の心に希望の灯をともしたのである。
出版記念式典の当日、花子は英治が取り寄せてくれた続編の原書を手にし、興奮を隠せないまま自宅へ駆け戻る。式典の余韻も冷めやらぬ中、彼女は再び「想像の翼」を広げ、新たな翻訳の世界へと没頭していくのだった。

『花子とアン』の登場人物・キャラクター

主人公

安東はな(あんどう はな) → 村岡花子(むらおか はなこ)(演:吉高由里子)

幼少期:山田望叶

本作の主人公。明治26年、山梨・甲府の、富士山がよく見える貧しい小作農家に生まれる。高い想像力を持つ。
10歳のとき、父の尽力で東京のミッション系の女学校修和女学校へ給費生として編入し、当初は英語に苦戦するも、卒業時には通訳をこなすまで成長。卒業後、故郷・山梨に帰郷して教師を務める傍らペンネーム「安東花子」で童話を執筆する。
再上京して出版社・聡文堂に勤務中、印刷所の村岡英治と出会い、紆余曲折を経て結婚。
村岡花子として、大森で育児と翻訳に励む中、関東大震災や最愛の息子・歩の病死という悲劇に見舞われる。失意の底から子供たちのために生きる決意をし、昭和7年にラジオ番組『コドモの新聞』の語り手として「ラジオのおばさん」の愛称で親しまれる。戦時下の軍事宣伝に苦悩して番組を降板するが、恩師スコット先生から託された『Anne of Green Gables』を戦火から守り抜き翻訳を続けた。戦後、ついに『赤毛のアン』を出版し、多くの人々に「想像の翼」を届けた。

安東家の人々

安東吉平(あんどう きっぺい/演:伊原剛志)

はなたちの父。静岡出身の行商人。新しい物好きの理想家で、家庭に安住しない夢追い人。そのため、ふじや子どもたちを困らせている。しかしはなの文才を見抜き女学校へ進学させた最大の理解者である。理想家で、自由すぎる精神のため周囲からは浮いてしまうことも多いが、花子の人生に大きな影響を与えていく。
行商のかたわら社会主義運動に共感して失踪するなどの危うさもあるが、後に帰郷。周造の死後は百姓に専念し、ぶどう酒造りに夢を馳せた。戦時中も信念を貫き、戦後に花子のラジオ放送を聴きながら大往生を遂げた。

安東ふじ(あんどう ふじ/演:室井滋)

画像奥がふじ

はなたちの母。山梨・甲府の小作農家の長女として生まれる。自由すぎる夫に振り回されながらも、生来の明るさで家庭を切り盛りし、子どもたちを育てる。
花子を東京の女学校に編入させるという吉平の提案には驚くばかりだったが、花子の気持ちを知り、頑固に反対を続ける花子の祖父・周造を必死で説得する。本人は読み書きはできないが、はなの学びたい気持ちを理解し支え続けた。
夫の失踪中も明るく家庭を守り、後に自ら文字を習い娘と手紙を交わすようになる。蓮子が安東家を訪れた際も家族同然に温かく迎え入れ、人生の岐路に立つ娘たちに厳しくも温かな助言を与え続けた。

安東周造(あんどう しゅうぞう/演:石橋蓮司)

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