
『BLUE GIANT』とは、2013年から『ビッグコミックスピリッツ』において連載されている石塚真一による漫画である。ジャズを題材とする本作品は、世界一のサックスプレーヤーを目指す高校生・宮本大が、仙台、東京、ドイツと拠点を移しながら一歩ずつその階段を上っていく様が描かれている。本作には、「お前の音は人を圧倒できるんだ」、「オレはウマくてもヘタでも感動できればいい」など、ジャズだけでなく、音楽に携わっている人には特に心に響くであろうさまざまな名言・名セリフが登場する。
宮本大「へでもねえや。」

サックスの練習を始めてから、初めて他人と一緒にステージに立った宮本大(みやもと だい)。しかし大失敗してしまい、ステージを降ろされる。
その後、一人公園で物思いにふける大。落ち込んでいるかと思いきや、「へでもねえや。」というあっさり言ってのける。大は物語が進むにつれてメンタルに磨きがかかっていくが、1巻にていきなりその片鱗を見せつけるのだった。
宮本大「ヘタだからって、この人たちの音楽に救われる日は来ないと、どうして言えるんすか?」
大は高校の同級生の三輪舞(みわ まい)とデートをして帰る途中、駅前でストリートミュージシャンが演奏しているところに出くわす。そこに通りかかった酔っ払いが「ヘタクソ」と怒鳴るのを聞いた大は、思わず「ヘタの何が悪い。」、「みんなヘタクソからはじまるんだ。ヘタだから練習して、そしていつの日か、誰かの気持ちに届く音を出す。」「この人達の音楽に救われる日は来ないと、どうして言えるんすか?」「ヘタクソで、何が悪いんすか。」と言ってしまう。
酔っ払いは大に「お前はヘタクソか」と尋ね、「練習しろ」と言い残して去った。これが、その後大の師匠となる由井(ゆい)との出会いだった。
宮本大「オレはウマくてもヘタでも感動できればいい。」

出典: blog.livedoor.jp
「オレはウマくてもヘタでも感動できればいい。」とは、「東京編」での宮本大のセリフ。東京でピアニストの沢辺雪祈(さわべ ゆきのり)に出会った大は、バンドを結成することにする。そして同窓生の玉田をドラマーにしてバンドに加入させようとするが、全くの素人である玉田の加入に雪祈は反対する。しかしあしらわれた玉田は初心者ながらドラム教室に通って猛練習し、一週間後、大と雪祈の前でドラムを披露した。それでも雪祈は玉田の加入に反対したが、大は「下手だからダメ。追い出すのは簡単。それがジャズへの入り口を狭くして、誰も通さなくなる。だからジャズがダメになるんじゃねぇか? ウマくてもヘタでも感動できればいい。」と説得する。
この言葉がきっかけとなり、3人は「JASS(ジャス)」を結成するのだった。
沢辺雪祈「ウチのメンバーのことなら、口出し無用なんで。」
玉田のドラムの成長ぶりに刺激を受けた大は、「JASS」の初のライブを開催することにする。ライブの観客は3人と店の店長1人だけだったが、それでも3人は演奏を開始。しかし大と沢辺雪祈(さわべ ゆきのり)の観客を圧倒する演奏を前に、玉田はだんだんと自信を喪失していく。そして途中で手を止めてしまうのだった。
ライブを終えて店を出る際に、店長から「ドラムの彼ね、あのドラムじゃダメだよね」を声をかけられた雪祈は、「ウチのメンバーのことなら、口出し無用なんで。」と言い放つ。なんでもはっきりとものを言う雪祈だが、内心玉田の成長ぶりを認めていたのだ。
沢辺雪祈「クラシックやロックではありえねえ、即興重視のジャズだけに許された瞬間…。聴いてる側をもどこか別の場所に連れていく感覚…。オレはまだ…、体験できてねえ。」
原作6巻でのセリフ。幼い頃からピアノを習っていたピアニストの雪祈。雪祈がジャズを始めたのは、ジャズの巨人たちが即興中に体現する、技術や経験を超えた、何かに導かれるような「超自然的な演奏」のためだだという。そして雪祈は、「クラシックやロックではありえねえ、即興重視のジャズだけに許された瞬間……聴いている側をも、どこか別の場所に連れていく感覚……俺はまだ、体験できてねぇ」と続けたのだった。
アキコ「凄いわね、あの子。」

アキコは小さなジャズバー「TAKE TWO」の店主。営業時間外はジャズトリオ「JASS」に練習スタジオとして貸しており、3人の成長を見守っている。
「TAKE TWO」ではじめて大が吹いたテナーを聴いた後、アキコはカウンターにいる雪祈に「凄いわね、あの子。」と呟くように声をかけた。大の努力を理解しているからこそ、重みの出る言葉である。
宮本雅之「一番いいやつ。この店で一番いいやつをください。」

宮本雅之(みやもと まさゆき)は大の2つ年上の兄。雅之は18歳のとき、「サックスを吹いてみたい」という大のためにテナーサックスを購入し、プレゼントしている。
そのときの雅之は、工場で働いて得た初任給の残りを手に楽器店へ足を運んだ。そして、店員に「一番いいやつ。この店で一番いいやつをください。」といって、さらに36回ローンを組んでサックスを購入したのだ。
18歳の青年が弟のためにローンを組んでまでプレゼントし、弟の夢を叶えようとする格好良いシーンである。
ライブハウスの常連客「良くなっている。ボクはキミのドラムを、成長する君のドラムを聴きに来ているんだ。」
主人公の宮本大が結成したジャズトリオ「JASS」のドラマーである玉田俊二(たまだ しゅんじ)。
「東京編」にて、大学に入ってからドラムを始めた俊二は、初心者なりに練習を積み、「JASS」の暫定メンバーとなる。しかし初ライブでは演奏が追い付かず、途中でドラムを叩く手が止まってしまう。
その後、生活の全てをドラムに捧げた俊二は、ある時のライブ後の打ち上げで、バンドの正式メンバーとして認められた。本人の中では大と雪祈との実力差に思うところはあったが、あるライブ後に、常連客の老人に「良くなっている。ボクはキミのドラムを、成長する君のドラムを聴きに来ているんだ。」と声を掛けられた。
その老人は、玉田の初ライブ会場となったライブハウスの常連客だった。その言葉は、玉田にとって何よりの励ましとなったのだった。
黒木「音楽がなくても生活できる。 でもね、私達には心があるでしょ。 心にも食べ物が必要なのね、きっと。 音楽は、人間にとって絶対に必要なモノだと先生思うの。」
「音楽がなくても生活できる。 でもね、私達には心があるでしょ。 心にも食べ物が必要なのね、きっと。 音楽は、人間にとって絶対に必要なモノだと先生思うの。」とは、大が通っていた高校の音楽教師だった黒木の言葉である。黒木と大が関わった時間は決して多くはなかったが、大にとって何かを変えるきっかけとなった言葉だと言えるだろう。
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目次 - Contents
- 『BLUE GIANT』(ブルージャイアント)の概要
- 『BLUE GIANT』(ブルージャイアント)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 由井との邂逅
- 定禅寺ストリートジャズフェスティバル
- 文化祭
- JASSの初ライブ
- 玉田、圧巻のドラムソロ
- 由井「上手いヤツはゴマンといる。それじゃダメなんだよ。オレの音はよくても感動。 お前の音は人を圧倒できるんだ。」
- 由井「まだまだだが…最高だ」
- 宮本大「へでもねえや。」
- 宮本大「ヘタだからって、この人たちの音楽に救われる日は来ないと、どうして言えるんすか?」
- 宮本大「オレはウマくてもヘタでも感動できればいい。」
- 沢辺雪祈「ウチのメンバーのことなら、口出し無用なんで。」
- 沢辺雪祈「クラシックやロックではありえねえ、即興重視のジャズだけに許された瞬間…。聴いてる側をもどこか別の場所に連れていく感覚…。オレはまだ…、体験できてねえ。」
- アキコ「凄いわね、あの子。」
- 宮本雅之「一番いいやつ。この店で一番いいやつをください。」
- ライブハウスの常連客「良くなっている。ボクはキミのドラムを、成長する君のドラムを聴きに来ているんだ。」
- 黒木「音楽がなくても生活できる。 でもね、私達には心があるでしょ。 心にも食べ物が必要なのね、きっと。 音楽は、人間にとって絶対に必要なモノだと先生思うの。」
- 『BLUE GIANT SUPREME』(ブルージャイアント シュプリーム)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- クリス・ウィーバー「いつか世界一になる奴と、知り合えたらステキだなって。な…普通だろ。」
- 宮本大「お前の本番は、いつでも今日じゃなくて明日なのか?」
- ラファエル・ボヌー「いいよ。セッションなら、断る理由はない。だが、特定の誰かとは組まない。オレは色んな奴らと演奏し続けるんだ。人脈は停滞させない。」
- ガブリエル・ベール「失敗ってのは良い学びだって 誰かが言ってたな。なあスポック。ガンジーだったかな?」
- 『BLUE GIANT EXPLORER』(ブルージャイアント エクスプローラー)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- シェリル・ハント「理由がないってことは、アナタは本気ってこと。そして、本当に音楽が好きってこと。」
- ジャズをあきらめた老人「きっと本人が負けたと思わなかったら勝つんだね。 「オレなんて」、そう思った瞬間に終わるんだ。全てがね。」
- 宮本大「オレのサックスは全力です。『シリアスだ』ともよく言われます。オレの中の全部を出します。昨日も明日もない。お客の心を動かすにはそれしかない。計算なんかしない。」
- 『BLUE GIANT MOMENTUM』(ブルージャイアント モメンタム)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 宮本大「………アレ? 今 気付いたけど… 練習って、タダじゃね? 練習って凄えな…!! 練習って…………尊いな!!」
- サム・ジョーダン「NYには無数のジャズプレーヤーがいるが、その誰もが“個性的”でありたいと思っている。だが…ライチはライチでしかない。それに自分で気づくのに何年もかかる。何年もかかって気づかないプレーヤーもいる。」