ブラックナイトパレード(中村光)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブラックナイトパレード』とは中村光による漫画作品である。2016年から2019年まで『週刊ヤングジャンプ』にて連載していたが、2019年から『ウルトラジャンプ』にて移籍して連載している。大学受験に失敗し、就職活動も上手くいかず、3年間コンビニのアルバイトをして生活をしている主人公の日野三春が奇妙なサンタの会社に就職することなり悪い子のために黒いサンタとして働き始める。個性豊かな同僚たちと会社の謎に迫っていくクリスマスファンタジーコメディである。

『ブラックナイトパレード』の概要

『ブラックナイトパレード』とは中村光による漫画作品であり、2016年から2019年まで『週刊ヤングジャンプ』にて連載していたが2019年からは『ウルトラジャンプ』に移籍して連載している。また2022年には吉沢亮を主演として実写映画化された。作者の過去作品である『聖☆おにいさん』や『荒川アンダーザブリッジ』などもアニメ化、ドラマ化されており、本作の『ブラックナイトパレード』も過去2作品と同様に代表作として数えられる。
主人公の日野三春(ひの みはる)は大学受験・就職に失敗し、コンビニでバイトをして生活していた。仕事ができない後輩の責任を押し付けられるなど理不尽な環境だったが、文句も言わずに真面目に働いていた。しかし3度目のクリスマスの日、店長に廃棄商品を盗んだという冤罪で怒られたことでついに嫌気がさし、本当に廃棄のケーキを盗んで帰ってしまう。帰り際に黒いサンタ服の男クネヒトに遭遇し「悪い子の元には黒いサンタがやってくる」という話を聞かされた。すると突然サンタの袋に捕食されてサンタの会社「サンタクロースハウス」に連れてこられてしまった。目を覚ました三春は「内定だ」とクネヒトに告げられ、月給は手取り30万で残業代・ボーナス・昇給があり、3食付きの寮まで完備している説明を聞くと就職を即決する。三春が働くことになった「サンタクロースハウス」には以前まで2種類のサンタクロースも存在していたが、赤いサンタクロースは何年も前に死んだとされていた。そのため黒いサンタのクネヒトが社長となっている。クネヒトは黒いサンタとして働く職員の中から赤いサンタの素質があるものを見つけて新たな赤いサンタにしようと考えていた。
三春は会社で過ごすうちに小さい頃に赤いサンタと黒いサンタの両方に出会っていることなどを思い出し、赤いサンタが自分の父親であったことを知って、自分とサンタクロースにただならぬ関係があることに気づいていく。物語は進むごとに謎が深まっていき、異能力も登場することでよりファンタジー感が増していく。

『ブラックナイトパレード』のあらすじ・ストーリー

黒いサンタクロース

突然謎の場所に連れてこられ混乱している三春(下)と淡々と説明するクネヒト(上)

主人公の日野三春(ひの みはる)は大学受験・就職に失敗しコンビニでバイトをしながら冴えない日常を送っていた。働かない後輩に振り回され、店長に嫌味を言われても真面目に働いていたが、あるクリスマスの夜、後輩には彼女とデートだからと勝手に早上がりされ、店長には冤罪で説教をされついに嫌気がさし廃棄のケーキを盗んで帰ってしまう。アパートの下まで帰ってきたところでもつ鍋屋台を発見して入り、黒いサンタ服の男クネヒトに出会った。「悪い子の所には黒いサンタがやってくる」と語ったその男に「悪い子」だと告げられた三春は、突如サンタの袋に捕食されてしまった。目を覚ますとそこは悪い子のために黒いサンタが働く会社「サンタクロースハウス」だった。一見ブラック企業のように思えるその会社は、月給手取り30万、残業代・ボーナス・昇給ありで3食付きの寮まで用意されている手厚い待遇のホワイトな会社である。そこで働く職員たちは三春のように何かしらの悪事を犯したことで連れてこられ、悪事の内容に応じて最低1年から強制的に働くこととなっていた。まず最初に世話役として同僚の北条志乃(ほうじょう しの)と古平鉄平(こひら てっぺい)を紹介され、以来行動を共にするようになる。
サンタハウスに来た翌日、三春は迷子になった。彷徨っていると赤いサンタ服を着た人形がある部屋を発見しうっかり中に入ってしまう。人形を観察していると、肩で寝ていたサンタの袋が急に話しかけてくる。驚いた三春はすぐに逃げようとするが、袋は三春にサンタの資格があるのか確かめるために赤いサンタのベルトをけしかけた。するとベルトはひとりでに動き出し三春めがけて飛んでいき腰に収まったのである。実は赤いサンタの服を着ることができるのは赤いサンタクロースの資格を持つ者のみであるため、三春には資格があることになるのだが、本人はまだベルトをつけられたことがどれだけ重要か分からない状態である。
三春が袋と一悶着している間にクネヒトが部屋に入ってきて「ここは僕の部屋だ」と告げ、かつては赤いサンタの部屋であったが赤いサンタクロースは死んだため自分が使っているのだという。サンタが死んでいるという事実に驚く間もなく始業時間になり各部署に案内されることになった。志乃が所属している、悪い子かどうかを確認する部署や悪い子へのプレゼントを作る工場「石炭(コール)」などを紹介される。
「石炭」では、子どもの悪さの程度に合わせた「がっかり指数」が設けられており、その数値に合ったプレゼントを作ることが主な業務内容である。その部署で三春は子どもが絶妙にがっかりするプレゼントを選ぶ才能を発揮し、「石炭」に配属が決定した。

トナカイ試験開始と父親の謎

トナカイ試験の説明をする教官のカイザー

三春は配属された「石炭」で本格的に働き始めたが、ハードな業務内容とパワハラ気味の上司に早くも疲れきっていた。最悪な環境に腐りかけていたが、サンタクロースハウスではあらゆる資格を無料で取ることができ、自動車免許も取得可能だということを知り元気を取り戻す。
サンタクロースハウスでは、自分が取りたい資格の仕事をすることで資格が取れるという仕組みになっているため、兼業している職員が多い。鉄平もその1人で、コックとして働きながら他にもたくさん仕事をしているようである。さらに自動車免許取得も目指しているためトナカイと呼ばれる配達員の仕事にも申し込もうとしていた。それを聞いた三春も自動車免許取得のためトナカイを目指すことにする。トナカイに選ばれた者には1千万の特別手当が出るという話も聞き、より一層意欲に燃えていた。
トナカイには三春が働いていたコンビニの「ポーソン練間北口店」出身の人が優先的に選ばれるという噂が出ており、三春も志乃からその噂を聞いている時、コンビニ時代の後輩田中皇帝(たなか カイザー)と再会する。内定が決まったためバイトを辞めると言っていたカイザーがまさかの同じ会社の社員だったのである。
その後三春の部屋へやってきたカイザーと連れてこられた志乃と3人でポーソン各店舗の監視カメラ映像を見ることになった三春は衝撃的な事実を知る。順番にポーソンの店舗映像が映し出され最後に練間北口店の映像が流れると一緒に見ていた志乃は青ざめていた。「ポーソン練馬北口店」だけが暴動でもあったかのような忙しさだったのである。いまいち異常さが分かっていない三春は写っていたポーソン自体が黒いサンタを育成するための機関であったことを知り衝撃を受けた。そして勝手に育成されていたことに憤りながら、苦労したバイト生活3年間を無駄にしないために改めて真剣にトナカイを目指すことを決意した。トナカイ適性試験は全3回あり、三春は鉄平や志乃たちと共に無事1次試験に合格した。
サンタクロースハウスは週休2日制であり、ある土曜日、三春は朝の8時に起きて初めてのオフを満喫しようとしていた。そこへ突然カイザーがやってくる。デリカシーなく人の部屋を漁るカイザーをなんとか追い出し散らかされた部屋を片付けていると黒いカードを発見する。そのカードは幼い頃に遊びで使っていたものだが、模様が赤いサンタクロースの服の模様と同じだと気づくと、小さい頃2人のサンタクロースに出会った記憶の断片が頭をよぎった。
三春は「サンタクロースはいる」と断言していた志乃の所へ相談に行くと、黒いカードは最強のクレジットカードである「ブラックカード」だと分かった。カードに記載されているお客様センターに電話をかけてみると、クネヒトが出たのであった。話をするため志乃と一緒にクネヒトの部屋へ向かう途中、過去にお客様センターに電話をしたことがあることを思い出していた。部屋に着くとクネヒトに「赤いサンタの話は誰にも聞かれたくない」と言われ、三春と志乃はサンタの袋に食べられ別の場所へと移動させられる。
気を失っている間三春は2人のサンタクロースに出会い、自分がサンタクロースとして活躍した過去のことを夢に見ていた。目を覚ますとどこかの部屋にいて、赤いサンタクロースの格好をした父親の絵を発見したのであった。

トナカイ2次試験とカイザーの過去

発注ミスで店内が苺大福で埋め尽くされてしまい絶望するカイザー

三春と志乃がクネヒトに連れてこられた場所は三春が所属している「石炭」の工場長、帽子さんの部屋だった。そこで絵の赤いサンタクロースが実の父親であることや、クリスマスを憎んでいる存在である「ネズミ」たちが、赤いサンタクロースの息子である三春の命を狙っていることを知ることになる。
そこへ後からクネヒトがやってきて、「三春が4歳の時に出会った時から三春にはサンタクロースの素質があると確信していた」と語った。また、ただの働かない後輩だと思っていたカイザーは三春を守るための影武者であることも知らされた。そして話をしているその時もカイザーは敵に狙われていることが分かった三春はすぐにカイザーの元へ向かおうとする。去り際クネヒトに「君には僕の顔が見えているよね」と尋ねられ「そりゃ見えるだろ」と当たり前のように返していた。しかし作中クネヒトの顔は無いように描かれていて、登場するキャラクターたちもクネヒトの顔は見えない認識のはずであり、その場に居合わせた志乃や帽子さんは衝撃を受けていた。
三春は急いで襲われているカイザーの元へ駆けつけたが、カイザーは攻撃をもろともせず、群がるネズミもフライパンで殺しまくっていた。その強烈な光景を目にした三春は気絶し、5年前のカイザーと出会った時のことを思い出していた。この出会いがカイザーが三春の影武者になった理由でもある。
5年前、コンビニバイトをしていたカイザーは莫大な借金をしそうだったところを受験生だった三春に助けてもらい、恩義を感じていた。いつか必ず恩返しをすると誓っていたところにクネヒトがやってきて、三春を守る存在であるトナカイの「DASHER(ダッシャー)」としてスカウトされる。そうしてカイザーは三春に恩を返すために影武者となったのだった。
自分の父親が赤いサンタであったことを知ったものの、クネヒトとの話の途中でカイザーの所へ行ってしまったため詳しいことは分からないままトナカイの2次試験が始まった。最初は苦戦していたが、あるプレゼントを目にしたことで父親とのクリスマスの記憶を思い出し、覚醒する。
一方鉄平は過度な労働と睡眠不足により倒れてしまう。そして夢の中で黒いサンタになるまでの経緯を思い出していた。鉄平の父親は碌でもない男で、小さい頃から騙されて働かされ、最後には家を出て行った。あるクリスマスには鉄平が弟のために学生ながらバイトをして買ったプレゼントを転売目的で盗む始末だった。鉄平が働いていたのは配送の仕分け工場のようなところで、ある日鉄平のラインに父親が出品したと思われる商品が流れてきた。それは鉄平が弟のために買っておいたプレゼントで、父親が盗んで出品したのであった。同じ物だと分かった鉄平は思わず盗んでしまう。罪悪感に苛まれながら帰っているとネズミに話しかけられ、「お友達」にされてしまうのだった。そのすぐ後にクネヒトがスカウトに来て黒いサンタとして働くことになったのである。
2次試験は、鉄平が倒れるという事件もあったが三春も鉄平も志乃も無事通過し、3人は3次試験に挑む。3次試験の内容は架空の空間で子どもたちの家にプレゼントを届けるというものだが、トナカイのメンバーが護衛として参加するほど危険なものであった。試験中チームと逸れてしまった三春と志乃は別のチームと遭遇し、一緒に行動する。そのチームにはとにかく体が丈夫で五感が異常に鋭い褐色の青年ベンジャミンがいた。ベンジャミンはサンタクロースハウスに黒いサンタではなく、赤いサンタに連れてこられたのだと語った。

トナカイ試験結果と春子の訪問

関係者以外立ち入り禁止のサンタクロースハウスにきてしまった春子

3次試験が終わり、結果が分からないまま10日間のホリデーに突入しする。ベンジャミンが赤いサンタに連れてきてもらったという話を聞き、父親は本当は生きているのかもしれないと考え始めた三春は、真実を確かめるため実家に帰省することに決める。父の遺骨を確かめるとそこには骨は入っておらず、両親のプリクラが入っていた。母・日野春子(ひの はるこ)の話では父親の遺骨はトラックの炎上で残らなかったということで、ますます生きている可能性が高まった。
三春の実家にクネヒトのおつかいでやってきた志乃にお年玉を渡される。志乃の分もあり2人で中身を確認すると、トナカイ試験の合格を証明するブラックカードが入っていた。鉄平やベンジャミンも受かっておりそれぞれのトナカイの役割を得ることになった。三春は人間を動かす能力を持つ「DONDER(ドンダー)」、志乃はあらゆるものを見ることができる能力を持つ「COMET(コメット)」、鉄平は矢で射た者を味方にできる「CUPID(キューピッド)」、ベンジャミンは手の平から電撃を伝達させる能力を持つ「BLITZEN(ブリッツェン)」である。特に「ドンダー」と「ブリッツェン」は体に高電圧の電気が流れている状態であり、2人が近づき触れ合うと一気に放電してしまうのである。
力を得た三春とベンジャミンがお互いにどんな能力を持っているか分からない状態で会い、力が暴発してしまい騒ぎになっていた頃、鉄平の元には「キューピッド」になったことを察知したネズミがやってきていた。そして赤いサンタクロース候補が見つかった時に鉄平に殺してもらうために体に「鉛の矢」を仕込んでいったのである。
10日間のホリデーが終ってサンタクロースハウスに戻る日になり、帰省していた三春たちは同じ飛行機で帰ることになった。もうすぐサンタクロースハウスに到着するというところで、いるはずのない春子が飛行機に乗っていたのである。関係者以外立ち入り禁止のサンタクロースハウスに来てしまった春子に三春たちはパニックになっていたが、クネヒトの判断で会社内を案内することになる。しかしこの春子の訪問が物語を大きく動かすことになるのであった。
春子の案内役になったのはトナカイ「VIXEN(ヴィクセン)」の称号を持ついなほで、三春と志乃も同行して会社の部署などを紹介して回った。最後に社長室に向かう途中の廊下に来ると、いなほは昔この廊下で殺人事件が起き、赤いサンタクロースの死体が落ちていたのだと話し出す。ネズミたちには食いちぎられ、ぐちゃぐちゃにされた死体は家族に見せることができないため交通事故として処理されたのだという。三春は話を聞いて自分の父親の境遇と同じだと感じるのだった。
帰りはトナカイのリーダー「ルドルフ」がヘリコプターで送ることになった。別れ際に三春と話していた春子は、サンタクロースハウスには招待されたのだと話した。そんなはずはないと詳しく聞こうと思った三春に突然鉄平が早くヘリコプターに乗るように急かす。ネズミと通じている鉄平からは不穏な空気が漂っていた。
一方クネヒトは7つの頭を持つネズミたちの長のところへ出向き、キューピッドの「鉛の矢」を盗んだ犯人について聞き出そうとしていた。

ネズミの襲撃

ネズミに赤いサンタクロースだと思われ攻撃されるルドルフ(上真ん中)

帰りのヘリコプターに乗り込んだものの、鉄平は素性を何も知らないルドルフ1人に春子を送らせるのは信用できないと言い出した。実は管制官を務める志乃にも協力させてヘリコプターの出発を遅らせていたのである。春子に対する態度からもルドルフが三春の父で、赤いサンタだと確信した鉄平は、ネズミに引き渡すため春子を人質に取ってルドルフに三春を座席に固定させ、3人でヘリコプターから降りた。そこへ母体から離れたネズミが現れ、春子に襲いかかってきた。ルドルフは春子をかばい隠していた顔があらわになる。その素顔は確かに三春の父・日野冬馬(ひの とうま)であったが、昔から時が止まったように若い頃のままなのであった。
ルドルフはネズミを倒したが、殺さず鉄平に身柄を渡しこのままでは死んでしまうからと母体に返してやるように指示した。弱ったネズミを持って地下道へ向かおうとする鉄平をヘリコプターからなんとか出てきた三春が呼び止める。すると赤いサンタと同じ三春の匂いを嗅ぎつけたネズミは再び暴走し三春に襲いかかった。三春はドンダーの力を使い敵の動きを止めようとするが、味方にしか効果が出ない能力であるためネズミには効かず、ルドルフや助けに来たカイザーたちの動きだけが止まってしまい絶体絶命になってしまう。ネズミに食べられそうになった三春を庇ったのは鉄平である。しかしそれは味方にだけ効く能力が効かない、つまり自分は味方ではないということを証明するためであった。そしてネズミを自分の身にまとい、赤いサンタクロースの肉と引き換えに返すとして春子を連れて雪の中へ消えて行ってしまった。
コメットの力で一部始終を見ていた志乃は、そのまま能力でネズミたちの動向を追っていた。そして1人ではダメだと判断してベンジャミンに「一緒にきてほしい」と助けを求め2人でネズミの後を追う。残された三春たちはクネヒトから真相を聞くため帽子さんの部屋に集合していた。
志乃とベンジャミンは1つの部屋を見つけ入ってみるとそこにはかつて初代サンタクロースと共にサンタクロースハウスを作ったというドロッセルマイヤーと名乗る男がいた。ドロッセルマイヤーは赤いサンタクロースついて「生命の再生を担う存在」とし、ルドルフの持つ武器の針は元はサンタクロースの持ち物だと話す。
そこで視点はルドルフに変わる。ルドルフは連れ去られた春子の元へ急いでいる。春子を探しながらの回想でネズミたちに食い殺された時のことを思い出していた。心臓は奪われ体はバラバラになって地面に転がっていたが、もう1度三春や春子のいる家へ帰るという強い望みを叶えるため、針で自分の体を繋ぎ合わせたのである。そうして死んだとされている赤いサンタの冬馬は今でも生きていられるのだった。

クネヒトの回想

過去に見た出来事について語るクネヒト(左)と話を聞くカイザー(右)

ドロッセルマイヤーは、自分の技術とサンタクロースの魔法によって「裏側の世界」を作り上げた。裏側の世界は子どもたちにプレゼントを配るために作られたもので、表側の世界と同じ座標にプレゼントを置き、クリスマス当日に表側に転送することでプレゼントを配ることができるのだと語った。そしてドロッセルマイヤーと志乃とベンジャミンは表側の世界にいる三春たちと裏側の世界では同じ場所にいるのだった。ドロッセルマイヤーは裏側の世界から表側に干渉する技術を有しており、三春に春子を助けに行こうと語りかける。すぐに助けに行こうとする三春をクネヒトは危険だと止めるが、ドロッセルマイヤーは自分の最愛の人を殺したクネヒトを怪物だと言い放ち、三春を裏側の世界へ連れ去ってしまった。クネヒトは三春を助けようと手を伸ばすが、赤いサンタの鎖の力により跳ね飛ばされてしまう。赤いサンタの資格を持つ三春に黒いサンタのクネヒトは触れられないのであった。
三春を裏側に連れてきたドロッセルマイヤーは、自分たちがいる世界について「静かなる夜(サイレント・ナイト)」と呼び、12月24日をループする世界なのだと説明した。時間がループしているため急いでも仕方ないと3人を落ち着かせ、敬愛するサンタに代わりなどいないと言う。クネヒトに嫌悪を示すドロッセルマイヤーに志乃は「私にとってクネヒトはサンタクロースです」と反論するが、利用されているだけだと辛い言葉を浴びせられ、部屋から出て行ってしまう。追いかけて部屋を出ていったドロッセルマイヤーをベンジャミンが追いかけて、2人で話すことになる。ベンジャミンはドロッセルマイヤーに嫉妬の匂いを嗅ぎ取り、誰かに対しての強い殺意も感じとっていた。そのため警戒しており、志乃とは2人にさせたくないのである。
一方で表側の世界で気を失っていたクネヒトは目を覚まし、残っていたカイザーといなほに5年前に自分が見た出来事を話し始めた。5年前のクリスマス、毎年恒例のプレゼントとしてルドルフ(三春の父)に三春の近況を伝え、日付が変わる頃に別れた。時計が0時を回るとサンタクロースだけが入れる、1年後の12月25日がループする世界「クリスマスホリデー」へ行き、悪い子を連れてくる仕事を開始した。そしてその仕事の中で1年後の三春の様子も確認するのである。クネヒトの見た世界の三春は大学に合格し1人暮らしを始めていた。しかしクネヒトが三春の家を見に行ったまさにその時、三春はネズミたちに襲われ心臓を奪われており、死んでしまったのである。
赤いサンタの息子である三春はネズミたちに狙われる可能性があるため正体を隠され情報も漏れないようにされていた。しかし三春自身が非常に賢く優秀な人間だったのである。ニュースになるような論文を発表して有名になってしまっていたのだ。この未来は行動次第で変えることが可能であり、クネヒトはすぐに三春が死なない未来に変えるために行動を開始する。三春をどうにかして目立たせなくするため、トナカイ「Vixen(ヴィクセン)」としていなほを雇い、受験合格や就職を阻止させた。しかしどんなに邪魔をしても三春はどこでも輝いてしまうのだった。そうして何度も殺されてしまった。最終的にカイザーが三春を守るために雇われ、三春の邪魔をしながら守っていたがクリスマスには殺されてしまうのだった。
何度目かの失敗でクネヒトにはなぜ毎回クリスマスの日に殺されるのかと言う疑問が浮かび、ドロッセルマイヤーの顔が浮かんだのである。
クネヒトが5年前の出来事を話している最中、三春とベンジャミンはサンタだけが入れる「クリスマスホリデー」の世界に来ていた。その世界ではサンタハウスはボロボロで、至る所に血が飛び散っている状態であった。ネズミに襲われた2人は帽子さんに助けられ帽子さんの部屋に逃げ込む。そこでこの世界は「クリスマスホリデー」と言う12月25日をループする世界であることや元の世界には24時間経てば自動的に戻ることができるということを教えられた。1年後の世界では過去に三春がドロッセルマイヤーを信じたために大勢が死にトナカイもほとんど殺されてしまっていた。そうして今の状況を話していると、部屋に覚醒した志乃が入ってくる。志乃はこの1年で悟りを開きあらゆるトナカイの能力を使いこなし強くなっていた。多くの人間が死んでしまっている未来を変えるため、三春は生きて元の世界に帰らなければならないのである。しかしドロッセルマイヤーが放っておくわけはなく、すぐにネズミたちが攻め込んできた。そして一緒にいたのは赤いサンタクロースの服を着たクネヒトだった。

対ドロッセルマイヤー戦

ドロッセルマイヤーの洗脳により様子がおかしくなるアトラス(左)とアトラスの耳を塞ぐ三春(右)

サンタクロースハウスの外へ逃げる三春たちを追ってきたクネヒトは、三春のおかげで鎖が切れて本来の姿や能力を取り戻すことができたのだと感謝を伝えた。それを聞いた三春は動揺を隠せないでいた。そして体力を使い果たし動けない志乃と丸腰の三春たちにクネヒトが再び攻撃を開始する。そこへ帽子さんが剣を持って現れ、攻撃を凌いだ。帽子さんはベンジャミンに三春と志乃を担いで逃げるように指示し、3人を逃した。
逃げた先にはコンビニがあり食料補給をしているところにドロッセルマイヤーが向かわせていた鉄平が現れる。鉄平はネズミに寄生され支配されている状態で、三春を見つけるとすぐに殺そうと襲ってきた。鉄平を傷つけたくない三春は、自分の血にネズミが反応することを思い出しカッターで思い切り手のひらを切る。するとネズミは勢いよく飛び出してきて三春の腕に食いついた。そこをベンジャミンが引きずり出し、鉄平からネズミを剥がすことができた。腕に食いついていたネズミは三春の顔を見て春子のことを思い出し、人間の子供の姿になった。その子の名はアトラスといい、鉄平とともに春子の見張り役だったが、春子にすっかり懐いてしまい逃したのだった。
鉄平は正気を取り戻し、アトラスにももう敵意はない様子だったが、ネズミの子たちはドロッセルマイヤーの声を聞くと催眠のようなもので命令を聞いてしまうのだという。鉄平がそう説明した途端に放送が入りドロッセルマイヤーがアトラスに「その場にいる全員を殺せ」と命令を下す。するとアトラスは急変し三春たちを攻撃し始めた。鉄平のキューピッドの力で一時動きを止めることはできるが長くは持たない。作戦を考えている間にドロッセルマイヤーたちに追いつかれてしまった。アトラスにドンダーの力で命令して戦わせることしか作戦はないような状況であるが、アトラスはドロッセルマイヤーを傷つけたくないと泣いて懇願する。結局三春はその場から逃げるという選択を取ったのだった。
逃げてきた先で、アトラスは我に帰りドロッセルマイヤーを裏切ったことを悔いていた。「歯向かう者」という意味がある自分の名前が大嫌いで命令を聞けなければ自分に価値はないと泣き始める。それを聞いた三春は「アトラスには他に意味もある」と言い、「歯向かう者が嫌ならやめたら良い」と提案すると突然アトラスはドロッセルマイヤーとの恐ろしい記憶を思い出すのだった。
三春たちがコンビニへ戻ると、ルドルフが戦っていた。「全てを終わりの時間に進める」力を持つ「アダマスの剣」を使い戦うが、ドロッセルマイヤーの策略で自分の心臓を刺すことになってしまい、塵となって消えてしまう。持ち主をなくした剣が地面に落ち、クネヒトが拾おうとするのを志乃が阻止し剣を手に取るが、赤いサンタの資格がない者は触れるだけで時間を進められ死に至るのだった。そうして志乃も消えてしまった。改めてクネヒトは「アダマスの剣」を手にした。
そこへ三春が「俺にも持てる 俺が赤いサンタになる」と言い剣を奪い取る。そしてドロッセルマイヤーがつけていた腕時計を刺し、時を進めることで「クリスマスホリデー」から脱出した。元の世界へ戻る直前、三春はクネヒトに向かって「俺が必ずお前を止めてやる」と言い残す。クネヒトは涙を流していた。

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