天上天下(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『天上天下』とは、大暮維人が『ウルトラジャンプ』で1997年11号から2010年9号まで連載していた漫画。2004年にアニメ化された。学園バトル漫画で、特殊な力(異能)を持った不良少年、凪宗一郎(なぎ そういちろう)と生真面目で勤勉な性格の常人、高柳雅孝(たかやなぎ まさたか)の二人の主人公が様々な相手と戦い、時には敵対し、人間として武人として成長していく様子を描いている。戦闘などでの過激な描写も魅力の一つである。

戻ってきた凪宗一郎

柔剣部では凪宗一郎が戻ってきたが、その右目には寵宗魄浄雲の目が埋め込まれその中で寵宗魄浄雲は未だに生きていた。その異変に気付いたのは棗亜夜のみだが、何もできずに天覧武會予備選本番を迎える。予備選の中で多数の部活が競い合うが、その中に明らかに異能の力の影響を受けているものがいて執行部を決める戦いと同時に異能との戦いも繰り広げられていく。これも寵宗魄浄雲の計画の一端であり、異能の力を一か所に集中させて凪宗一郎に取り込ませる事で自らの力として利用する為であった。しかしそれは同時に全ての異能の力を凪宗一郎に集めてしまい、その力を纏った凪宗一郎を消すことで異能の力をすべて消し去ることができるという、凪一葉顕悟が戦国時代に後の世を見据えて建てた計画でもあった。

未だに意識の戻らない棗真夜の病院に俵文七が現れ、棗真夜を攫いそのまま2人は高柳光臣のいる高柳家のビルまで出向く。中立の姿勢を貫いていた俵文七も彼なりの筋を通しており、高柳光臣や棗真夜を救おうと奮闘していた。ビルに辿り着き、高柳光臣と戦う俵文七。一度は高柳光臣を倒すがそれは、猩徳庵蜜色が化けた姿であった。不意を突かれて動けなくなるが根性で立ち上がり再度高柳光臣へと戦いを挑むが最後にやさしさを見せてしまい、逆に倒されてしまう。高柳光臣に瀕死の傷を負わされた俵文七だがそこに、高柳雅孝が辿り着き執行部の部員をなぎ倒し高柳光臣の前へ立ちはだかる。

そして統道学園最強の兄弟対決が始まるが、その頃高柳雅孝と共にビルに来た凪宗一郎は階下で警備員に足止めをくらっていた。そこに屍妙雲比呂彦と屍縫(かばね ぬい)(屍妙雲比呂彦の妹)の2人が凪宗一郎の中にいる寵宗魄浄雲を倒すために、凪宗一郎を殺そうとしてくるが、寵宗魄浄雲の乗っ取られた凪宗一郎に一方的に蹂躙されてしまう。2人は命をかけてビルを爆破し、道連れに下敷きにしようとするが犬江新太夫典子が現れ高柳家の家臣達を操りそれさえも防がれてしまう。しかし凪宗一郎は正気を取り戻し犬江新太夫典子の龍砲を奪う。凪宗一郎の精神世界の中では寵宗魄浄雲との戦いが繰り広げられていた。

凄王の誕生

精神世界でも凪宗一郎は寵宗魄浄雲を自らの拳と強い意思で圧倒するが、逆に精神を取り込まれてしまう。取り込まれてしまった事で、凪宗一郎は人でなく神に近い存在凄王へと変貌して、高柳光臣達がいるビルのフロアに姿を現す。あまりの禍々しさに一同は圧倒されて動けなくなる中、ソファの上で未だ意識の戻らない棗真夜のもとへ凄王は歩みを進める。そんな中唯一高柳光臣のみが凄王と対峙していた。圧倒的な力の差の前に高柳光臣の力では全く歯が立たないように見えたが、高柳光臣も真の武に目覚めて人として神と戦えるようになっていく。
しかし凄王はまだ産まれたばかりで本来の力ではなく、外気を取り込み更に強くなっていく。無限に強くなっていく凄王に一瞬負けそうになるが、凪宗一郎の精神世界の中に龍眼を使って入り込んだ柔剣部一同が凪宗一郎に声援を送る。その瞬間に凄王の動きは止まりなんとか生き永らえる。高柳光臣は生への執着の気持ちを失っていたがこの戦いの中でもっと生きたいと思うようになり、死への恐怖から体が動かなくなる。そこに凪真貴子が助けに入り、高柳雅孝、高柳道現も参戦する。
凪真貴子は自分の命を使い、外気を自分の中に取り込みそれを棗真夜へ注ぎ込み、勾玉の日ノ巫女として蘇らせる。
正気を取り戻した凪宗一郎は、自分の精神世界にいる柔剣部と共に、寵宗魄浄雲を封じ込める事に成功する。しかし、今回の凄王の目覚めをきっかけに世界中で新たな異能の力に目覚めるものが多発する事を告げられる。それは、戦国の世と同じように世界は波乱に巻き込まれることを意味していた。

最後の戦い

寵宗魄浄雲を封じた一行だが、世に放たれた異能の力を滅する為に、凪宗一郎は独りで旅を続ける。自分の体の中に膨大な量の異能の力を取り込み続けるが、戦国時代の凪一葉顕悟の様に次第に魔の力に飲み込まれ制御もできなくなっていく。高柳雅孝と自分を倒してくれる事を約束した凪宗一郎は、柔剣部部室前の桜の木がまた花を咲かせる頃に来ると告げる。天覧武會予備選も柔剣部一同の圧倒的力で優勝しており、凪宗一郎と高柳雅孝の対決は事実上の会長決定戦でもあった。そして季節外れの桜の花が咲き、柔剣部道場に凪宗一郎が異形の姿で現れる。

異能の力を取り込み人間離れした能力に対して全く歯が立たない高柳雅孝だが、棗亜夜と棗真夜の2人が異能の力を抑えて、更に凪宗一郎の精神世界に入り凪宗一郎の精神と共に寵宗魄浄雲と対峙する。
寵宗魄浄雲と1つになってしまっており、凪宗一郎の力だけでは寵宗魄浄雲は倒せない為、力を抑えている間に外側から高柳雅孝が気を送り4人の力で完全に倒す事に成功する。滅びる寵宗魄浄雲に最後の一撃を放つ凪宗一郎の前に棗真夜が立ちはだかり、一撃を受ける。凪宗一郎はそのまま宗魄と共に消え去るつもりだったが、それを棗真夜が止めたのだ。棗真夜の持つ勾玉の龍門の力で、凪宗一郎の異能の力全てを吸い浄化することで、寵宗魄浄雲を滅ぼし同時に魔の力に侵された凪宗一郎を救う。しかしそれは、自らの命を失うことだった。棗真夜の犠牲によって、全ての魔の力が消え去り、寵宗魄浄雲も消え全ての戦いが終わる。

『天上天下』の登場人物・キャラクター

現・柔剣部

凪宗一郎(なぎ そういちろう)

この物語の主人公であり、強力な異能の力を持っている。最初はただの不良だが運命を受け入れ異能との戦いの中で徐々にその才能を開花させる。最後には自分の能力が忌み嫌われている事も受け入れ、人類の為に異能の力全てを滅する旅に出る。

ボブ牧原(ぼぶ まきはら)

天性のリズム感で戦いを音楽と捉える事で、天才的な格闘センスを発揮する。凪宗一郎の親友。

棗真夜(なつめ まや)

現柔剣部部長、過去に高柳光臣との想い合い、お互いの為に現代では敵同士となっている、戦闘能力は高いが怪我を負ってしまい、その状態で大会へ挑む。途中、半死状態になり肉体のみがかろうじて生きている状態になり意識を失うが、勾玉の日ノ巫子として覚醒して最後にはその能力を使い凪宗一郎を救い逝く。

棗亜夜(なつめ あや)

棗真夜の妹。現代で唯一の龍眼の使い手であり、式刀零毀を発動させる事ができるただ一人。凪宗一郎に惚れており結婚を申し込むが、女慣れしていない凪宗一郎にいつも躱されてしまう。龍眼の能力は歴代でも秀でており、全てを見通す。

高柳雅孝(たかやなぎ まさたか)

この物語の唯一の常識人で、もう一人の主人公。異能と敵対する常人の代表もある。棗亜夜に惚れている。本来は凪一葉顕悟の計略たる「運命の環」には組み込まれていなかった人間だが、自らの努力で宗一郎を止めるためだけに人として最強の座である月読になる決意をする。最終決戦では兄である高柳光臣も自分より強いと認めるほどの強さになっており事実上常人最強である。

菅野影定(すがの かげさだ)

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