アンデッドガール・マーダーファルス(アンファル)のネタバレ解説・考察まとめ

『アンデッドガール・マーダーファルス』とは、青崎有吾による小説、及びそれを原作とした漫画・アニメ作品である。原作小説は2015年から刊行されており、人間以外の怪物も登場するバトルありのミステリー作品となっている。半人半鬼の青年・真打津軽が不死で生首の少女・輪堂鴉夜と出会い、「怪物専門の探偵」をしながら鴉夜の首から下の体を奪った犯人を探す物語である。有名な怪盗や怪物がキャラクターとして登場し、彼らが生み出す独特な世界観が魅力の作品である。

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『アンデッドガール・マーダーファルス』の概要

『アンデッドガール・マーダーファルス』とは、青崎有吾による小説、及びそれを原作とした漫画・アニメ作品である。略称は「アンファル」。人間以外の怪物も登場するバトルありのミステリー作品となっている。原作小説は講談社より2015年12月17日から刊行されており、カバーイラストは漫画家の大暮維人が手掛ける。漫画は友山ハルカの作画で、2016年6月25日から2017年5月26日まで『シリウス』、2017年6月9日から2018年8月9日まで『ネメシス』、2018年8月9日から2025年2月27日まで『コミックDAYS』にて連載され、全8巻が刊行された。アニメは畠山守が監督、高木登がシリーズ構成を務め、ラパントラックによるアニメーション制作で2023年7月26日から9月28日の間に全13話放送された。
半人半鬼の青年・真打津軽(しんうちつがる)が不死で生首の少女・輪堂鴉夜(りんどうあや)と出会い、「怪物専門の探偵」をしながら、鴉夜の首から下の体を奪った犯人を探す物語である。人間以外にも妖怪や怪物が存在する世界で、世界的に有名な怪盗アルセーヌ・ルパンや吸血鬼や人狼などがキャラクターとして登場し、津軽たちとバトルや推理戦を繰り広げるのが見どころとなっている。また津軽と鴉夜による言葉遊びをしながらの会話や独特な世界観も魅力の作品である。

『アンデッドガール・マーダーファルス』のあらすじ・ストーリー

旅の始まり

舞台は明治30年、半人半鬼の青年・真打津軽(しんうちつがる)は東京にある見世物小屋に雇われ、怪物殺しの見世物を行っていた。人間だった津軽は過去にある人物により半分鬼にされ、怪物を殺す力を手にしていたのである。
ある夜、津軽は「不死」と呼ばれる怪物の少女・輪堂鴉夜(りんどうあや)と鴉夜に仕えるメイド・馳井静句(はせいしずく)に出会う。鴉夜は1年ほど前に教授と呼ばれる人物に襲われ首から下の体を奪われてしまい、生首の状態になっていた。鴉夜の身の上を聞いた津軽は鴉夜を襲ったという教授が自分を半鬼にした人物と同じだと気づき、犯人を共に探すことを提案する。そうして津軽・鴉夜・静句の3人は教授がいるであろうヨーロッパへと向かい「怪物専門の探偵」をしながら教授を探す旅に出た。

3人が「鳥籠使い」一行として名を馳せるようになった頃、フランス東部で暮らす吸血鬼から事件の調査依頼が入る。依頼内容は、依頼主の吸血鬼であるジャン・ドゥーシュ・ゴダールの妻のハンナ・ゴダールの殺人事件の調査だった。ゴダール卿は、今回の事件の犯人は怪物ハンターという外部の者によるものだと考えていた。しかし鴉夜が調査の結果導き出した犯人は、ゴダール家の次男・ラウールだったのである。
ラウールは巧みな仕掛けでアリバイを作り、一見外部の人間の者による犯行に見せかけていたが、鴉夜に見破られてしまった。逆上したラウールは鴉夜に襲いかかるが、怪物殺しの力を持つ津軽によって倒された。事件は解決したが、ゴダール家には悲しい結末となってしまったのである。
ゴダール家の屋敷を去る時、鴉夜はゴダール卿に教授について何か知っているか尋ねた。するとゴダール卿は先日教授が家に訪ねてきたと言い、共にロンドンにいくことを誘われたという。

夜宴との邂逅

ロンドンに向かった鳥籠使いの一行は、80日間で世界一周を成し遂げたフィリアス・フォッグという男から警備の依頼を受けた。フォッグは、怪盗のアルセーヌ・ルパンから80カラットの人工ブラックダイヤ「最後から2番目の夜」を狙う犯行予告を受け、イギリスの探偵のシャーロック・ホームズと怪物専門の探偵「鳥籠使い」に警備を依頼したのである。
ブラックダイヤは純銀製の金庫に入れられ、フォッグの屋敷の地下で厳重に保管されており、いくらルパンでも盗むのは容易ではないと思われていた。しかし犯行当日、ルパンは全ての警備の目を欺いて金庫を盗む。そして手を組んでいた「オペラの怪人」ファントムと合流して屋敷から逃げようとするが、ホームズたちとは別行動をしていた鴉夜たちに止められた。鴉夜は前日に自分を金庫にしまってもらうようフォッグに持ちかけており、ルパンが金庫を盗んでも後を追えるようにしていたのである。津軽たちがルパンを追い詰めていたところ、屋敷内で爆発が発生し新たな侵入者が現れる。
津軽を半人半鬼にし、鴉夜の体を奪った張本人であるジェームズ・モリアーティ率いる犯罪組織「夜宴(バンケット)」がブラックダイヤを奪いに来たのだった。
津軽は夜宴のメンバーの1人・ジャックとブラックダイヤをかけて戦うことになる。ジャックは津軽と同じ半人半鬼で、さらに不死、吸血鬼の力も得ていた。津軽はジャックの圧倒的な力に敗れてしまう。
ブラックダイヤを奪った夜宴は屋敷を去っていった。しかし実は奪われたと思っていたブラックダイヤは、津軽がジャックからバレずに奪い返していたのである。
夜宴がブラックダイヤを狙っていたのは、人狼の居場所の手がかりがブラックダイヤに隠されていたためであり、モリアーティは新たに人狼の力をジャックに移植しようと考えていた。
何とか夜宴からブラックダイヤを死守し、その暗号を読み解いた鴉夜たちは人狼のいるドイツへと向かう。

人狼村

鳥籠使い一行は、ドイツ南端にあるホイレンドルフという村にやってきた。道中で村の医師ハイネマンと出会う。ハイネマンは東洋人2人に鳥籠という特徴の津軽たちを見て、怪物専門の探偵「鳥籠使い」だと気づき、村で起きている事件について助けを求めた。
村では1年ほど前から少女が行方不明になり、酷い状態の死体で発見されるという事件が起こっており、村人たちは人狼の仕業だと考えていたのである。
一通り調査を終えた鴉夜たちは、村長に会いに行き人狼について話を聞くことにした。話では村の近くにヴォルフィンヘーレという人狼の村が隠れているという。鴉夜は、村で起きている事件の犯人を指摘することを条件に人狼の村の見つけ方を教えてもらうことになった。村長は人狼について詳しく、人狼は血筋を操り品種改良を行うことで進化し、銀も聖水も克服していると話す。実は8年前、村にはローザという女性とその娘のユッテがおり、2人は人狼で村人によって焼き殺されたのである。

その日の夜、事件が起きる。村外れに住む絵描きのアルマという女性が人狼に変身したのだ。アルマは逃げ出し、鴉夜たちはすぐに後を追い津軽と静句は人狼と戦うが、その最中に静句は滝に落ちてしまう。そのまま人狼には逃げられてしまうが、事件の犯人が判明したため鴉夜たちは村長から人狼村への行き方の情報を得て、翌朝人狼村へと向かう。
一方で行方不明になってしまった静句は人狼村に流れついており、人狼の少女・ノラ、カーヤ、ヴェラに命を救われていた。
静句がノラたちに話を聞くと、人狼村でもホイレンドルフと同じような事件が発生していたのである。そしてその日、新たな犠牲者として静句を救ってくれたノラが死体で発見された。

人狼村に到着した鴉夜たちは、カーラとヴェラの協力で静句と再会することができた。静句から人狼村での事件の話を聞いた鴉夜と津軽は、静句と別行動でノラ殺害の現場検証へ向かう。
現場で地下への隠し扉を見つけて中を調べ、地下の道を進むとホイレンドルフに繋がっていた。ルイーゼの部屋とヴォルフィンヘーレとホイレンドルフを繋ぐ地下通路などから、鴉夜は今回の2つの事件の真相に辿り着く。そして人々を集め事件の謎解きを始めた。
2つの村の事件は繋がっており、どちらも犯人は前日殺されたはずのノラだった。ノラは8年前にホイレンドルフで命を追われた人狼の娘・ユッテであり、生き延びてヴォルフィンヘーレでノラと名前を変えて暮らしていたのである。そして1年ほど前から復讐のために2つの村で殺人事件を起こし始めた。そして最後に自分も殺したことに見せかけて姿を消そうとする。しかしホイレンドルフに来ていた鴉夜に見破られてしまったのだった。
鴉夜の推理はほぼ完璧であったが、ひとつだけ間違いがあった。それはノラの犯行動機で、鴉夜は村人たちへの復讐だと推理していたが、実はノラの目的は殺人事件をカモフラージュにしてヴォルフィンヘーレの少女たちを救うことだった。人狼はより強い種を生み出すために交配するため、村の少女たちはその器となる運命だったのである。ノラはそんな村の因習から少女たちを逃していたのだった。
謎解きを終えてから自分の間違いに気づいた鴉夜は、ノラに対して間違っていたことを謝罪し、探偵が推理を間違えたなら犯人は逃げるのが筋だと言いノラを逃がす。

こうして鴉夜たちはホイレンドルフ・ヴォルフィンヘーレの事件を解決し、夜宴の拠点であるロンドンを目指して新たな旅が始まるのだった。

『アンデッドガール・マーダーファルス』の登場人物・キャラクター

鳥籠使い一行

輪堂鴉夜(りんどうあや)

CV:黒沢ともよ
この世に1人しかいないとされる「不死」と呼ばれる怪物の少女。大きな瞳と長い黒髪を持ち、妖艶な雰囲気のある美少女である。肉体年齢は14歳3ヶ月で止まっているが、962年生きている。長寿ゆえにかなり博識で、常に冷静かつ理論的な思考の持ち主だが津軽と冗談を言い合うユーモアもある。
ある日「夜宴」のジェームズ・モリアーティによって首から下の体を奪われ、生首の状態にになってしまった。体があった頃は絶世の美女だと言われていたが、体を失ってからは人に恐怖や気味悪さを抱かれることが多い。
生首なため1人では行動できず、鳥籠に入り人に運んでもらっている。普段は鴉夜に仕えるメイドの静句や津軽が運ぶ。
モリアーティに体を奪われたせいで大幅に行動が制限され、人生に楽しみが見いだせなくなり死のうとしていた。しかし「不死」であり死ねないため、怪物を殺すことができる鬼の力を持つ津軽に会いに行き殺してもらおうとする。
しかし津軽に肉体を取り戻すことを提案され、津軽と静句と共に「怪物専門の探偵」として活動しながらヨーロッパで旅をすることになった。

真打津軽(しんうちつがる)

CV:八代拓
半人半鬼の青年。軽い性格のお調子者でいつもニコニコしている。
一人称は「あたくし」で、噺家のように小噺をしたりつまらないをよく言っては鴉夜にたしなめられている。
かつて日本では怪物たちを狩る「怪奇一掃」が行われており、そのために「明治政府農商務省山林局怪奇一掃特設隊」という部隊が存在した。
その部隊は通称「鬼殺し」として知られ、津軽は6番隊の一員だった。しかしモリアーティに捕らえられ、鬼の力を移植する人体実験を受け半人半鬼にされる。
一緒に実験を受けた者が鬼の力に耐えられえず次々と死んでいく中、一際鬼の濃度が高かったにも関わらず生き延びた津軽は隙を突いて脱出に成功した。
その後見世物小屋で雇われ怪物を殺す見世物をしながら生活していた。
生き延びたものの体に鬼に侵食されつつあり、余命が短くなっていたところに鴉夜と出会う。寿命を伸ばす代わりに自分を殺してほしいと鴉夜に頼まれるが、一緒に犯人を探し肉体を取り戻すことを提案し、探偵である鴉夜の助手としてヨーロッパへ向かうことになった。
寿命を伸ばす方法は、強力な免疫力を持つ不死の体液を摂取して鬼の侵食からの免疫力を高めることで、津軽は定期的に鴉夜の唾液を接種している。
鬼殺しとして活動し、鬼の力を移植されてからも怪物たちと戦ってきたことで戦闘能力は非常に高い。怪物を殺すことができる鬼特有の力もあり、「怪物の王」と称される吸血鬼をも凌駕する。
鴉夜と共に旅する中で10ヶ国語を習得している。

馳井静句(はせいしずく)

CV:小市眞琴
鴉夜に仕えているメイド。クールで寡黙かつ無表情である。
鴉夜への忠誠心は非常に強く、鴉夜が望むことは自分の感情に関係なく従う覚悟がある。忠誠心だけでなく実は恋慕のような気持ちも秘めており、鴉夜に馴れ馴れしく接する津軽には辛辣な言葉を吐いたり冷たい態度で接したりしている。
津軽に対しては邪険にするが、基本的に誰に対しても礼儀正しく振る舞う。
戦闘能力が高く、怪物とも対等にやり合う。
スペンサー騎兵銃と日本刀を組み合わせた「絶景(たちかげ)」という武器で戦う。
精神力も強く、吸血鬼のカーミラの媚毒を打たれても屈しなかった。

フランス

アニー・ケルベル

CV:鈴代紗弓
パリの新聞「エポック社」の特派員の14歳の少女。
赤毛とそばかすが特徴的である。
神出鬼没であり、鳥籠使い一行を追って鴉夜たちが訪れる事件に毎回現れる。

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@misumiyua8

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