サイレントヒルf(SILENT HILL f)のネタバレ解説・考察まとめ

『サイレントヒルf』(SILENT HILL f)とは、コナミデジタルエンタテインメントが制作する「サイレントヒルシリーズ」の一作品で、2025年に発売したホラーゲームである。描かれる世界は作品ごとに異なり、本作ではシリーズ初の和テイストに振り切った作品となった。1960年代の日本が舞台で、怪奇現象に襲われた田舎町の女子高生が、生き残りをかけて戦って選択していく物語である。マルチエンド採用で何度も繰り返し遊べるのが魅力。対応機種はPlayStation 5、Xbox Series X/S、PC。

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白無垢のバケモノを追う雛子

【戎ヶ丘にて】
頭痛から正気を取り戻した雛子。家の前には散乱した履物と血の跡があった。怒りにふるえる雛子は、白無垢のバケモノを追いかけていく。ようやく白無垢に追いつき、飛びかかっていった雛子だが、白無垢が伸ばした巨大な獣の腕につかまれ、宙づりにされてしまう。首を絞められて苦しむ雛子の元に、狐面の女性が現れた。雛子の姉だった。姉は、殺しなさいと白無垢に指示する。白無垢に首を絞められる雛子。

白無垢のバケモノになった雛子

【闇の神社にて】
寿幸と共に、最後の儀式に臨む狐面の雛子。突然、雛子の体から赤い花が無数に生えてきた。装着していた雛子の狐面がずれ落ちる。混乱してうずくまった雛子は、やがて白無垢の巨大なバケモノへと変身した。
【戎ヶ丘にて】
狐面の雛子は、実家の深水家へと戻っていく。家に着くと、玄関先で両親が並んで待っていた。父親の目には涙が浮かんでいる。やさしく見守る母親。白無垢の巨大なバケモノとなった雛子は、両親を持ち上げて、両手で握りつぶした。

白無垢のバケモノとの対決

【闇の神社にて】
気づくと雛子は闇の神社にいた。狐面はつけておらず、右腕も人間のままだ。鳥居の間を抜けていくと、狐面をつけた姉が待っていた。姉の問いかけに答えられない雛子は、つらい、帰りたいとつぶやき、赤いカプセル薬を大量に飲み込む。修にもらったその薬は、幻覚症状を引き起こす危険な薬だった。制止する姉を振り切り、雛子は目の前の祭壇を破壊した。
そこに白無垢のバケモノが現れる。白無垢を倒した雛子は、もう嫌だとつぶやきながら、社殿を飛び出していった。頭が痛い。脳裏で様々な光景がフラッシュバックする。パトカーのサイレンの音がこだまし、赤く点滅する光があたりを覆う。
事件発生を告げる警察の無線の声。場所は、結婚式が行われていた神社だった。花嫁姿の女性が凶器を持って逃走中との無機質な声が響いた。

『サイレントヒルf』(SILENT HILL f)のゲームシステム

バトルシステム

バトル発生時、画面左下に表示される各種ゲージ。

町や神社で敵(バケモノ)に遭遇した際、画面の左下にバトルゲージが表示され、バトルモードへとシームレスに突入する。ゲージの左にある三日月マークは武器の耐久度を示し、その右側にある3つのゲージはそれぞれ次のパラメーターを示している。
・「精神力」:白い花のゲージ(一番上)
・「体力」:赤く太いゲージ(真ん中)
・「持久力」:白っぽくて細いゲージ(一番下)
「精神力」は、攻撃力を高めるために「集中」する際に消費するパラメーター。「体力」は、ゼロになると命を落としてしまうため、包帯や食べ物などのアイテムで回復する必要がある。「持久力」は、敵に殴りかかったり、敵の攻撃を回避する際に消費し、ゼロになるとしばらく動けなくなる。それぞれのパラメーターをうまく管理しながら戦っていく。
バトルの基本は攻撃と回避であり、敵の攻撃を回避でかわしつつ、近接攻撃で敵にダメージを与えて倒すことになる。「集中」するとより強い攻撃や見切り反撃、見切り回避などのテクニックが使えるようになり、バトルを有利に進めることができる。

マルチエンド

本作ではマルチエンドを採用している。初回クリア時のエンディングは固定されており、2回目以降に分岐していくことになる。エンディングは全部で5種類あり、それぞれの内容は次のとおり。

「呪いは雛の如く舞い戻る」

ゲームを初めてクリアした時のエンディングである。達成条件は特にない。
エンディングの内容は、「あらすじ・ストーリー」欄の最後にある「白無垢のバケモノとの対決」に記載している。

「狐の嫁入り」

雛子が結婚を承諾するエンディング。達成条件は、「赤いカプセルを一度も飲まなかった」・「霊刀を所持していないか、その怨念を祓った」・「胡坐の布袋様を入手した」の3点で、満たした場合に出現する。
物語の最後で、結婚を受け入れようとする狐面の雛子と、結婚を断ろうとする通常の雛子が対決することになる。その場に立ち会った寿幸(狐面の男)が、狐面の雛子を守った上で、通常の雛子を「憑き物」として消し去ってしまう。
そこにバットを持った修が乱入してきて、寿幸へ殴りかかるが、狐面の雛子は覆いかぶさるように寿幸の身を守った。狐面の雛子は、修ではなく寿幸を最終的に選んだのだ。狐面の雛子は修に自分の気持ちを説明し、修と寿幸はグータッチして仲直りする。作品中で唯一、寿幸が狐の面を外す場面が出てくる。

「狐その尾を濡らす」

雛子が結婚を断って、元の生活に戻るエンディング。達成条件は、「赤いカプセルを一度も飲まなかった」・「怨念が祓われていない霊刀を持っている」の2点である。
通常の雛子と、狐面の雛子が対決する。通常の雛子は寿幸との結婚を断り、私の幸福は私が決めると宣言。狐面の雛子は白無垢へと変身し、普通の雛子との戦いが始まった。寿幸が割って入り、普通の雛子を倒そうとするが、バットを持って乱入した修に阻止される。寿幸は七尾の狐へと変身して襲いかかったものの、返り討ちにされて敗れ去った。社殿から逃げていく普通の雛子と修。敗れた寿幸は、引き際が大事と告げて後を追わなかった。
自分らしさを取り戻した雛子と修は、昔からの親友の関係に戻る。狐と結婚しなかったのが原因かは不明だが、町では硫化水素の噴出事故が起き、避難指示が出された。

「静寂なる戎ヶ丘」

結婚が白紙になり、それぞれが自由に生きていくエンディングである。達成条件は、「特定のエンディングを除く、2種類以上のエンディングに到達した」・「赤いカプセルを一度も飲まなかった」・「霊刀の怨念を祓った胸飾りを奉納した」の3点。
雛子を嫁がせたい「狐」と、それを妨害する「水竜」の争いが、雛子自身を2つに引き裂いて戦わせている、それこそが苦しみの根源だったと気づく雛子。望まぬ選択を強いられることに、私たちは抵抗して戦わなければならないと決意する。
普通の雛子と、狐面をつけた雛子が対峙する。お互いに戦いたくないが、狐と水龍に強引に戦わされる2人の雛子。そこにやってきた寿幸。事情を察して2人の雛子を助けるが、その場に倒れてしまう。倒れた寿幸の元からは、憑りついていた九尾の狐が姿を現した。九尾の狐に立ち向かっていく、狐面をつけた雛子。一方、普通の雛子の前には九十九神が現れた。
激戦の末、それぞれの敵を倒した狐面の雛子と普通の雛子。寿幸と3人で話をして、私たちが望むのは静かに悩める静寂だけだと告げる。結婚はいったん白紙に戻し、何かに一生懸命に生きてみたいと告げる雛子。寿幸の愛が本当ならば、また会いましょうと告げて社殿から去っていった。
戎ヶ丘に戻って、自分の生き方を探し始めた雛子。寿幸とは文通で連絡を取り続けることにした。

「怪奇!宇宙人大侵略!」

Ryz8
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