オランピアソワレ(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『オランピアソワレ』とは、2020年にアイディアファクトリーより発売されたNintendo Switch用ゲームソフトである。舞台は、人々がそれぞれ【色】を持つ世界。ただ一人の【白】である少女オランピアが夫を探す使命の元に、世界の理不尽な仕組みに立ち向かいながら「魂の半身」と結ばれるまでを描く乙女ゲームである。鮮やかな色彩と神秘的な世界観、その裏に根付く差別や悲劇に悩みながら立ち向かう登場人物たちの間に生まれる愛情と絆の輝きが美しい作品である。

CV:松岡禎丞

天供島の公的機関・コトワリの所長。色は【赤】(せき)で、次の長と噂されている。
一見無愛想で鉄面皮だが面倒見は良く、この世界の理を変えたいと望む熱さを秘めた人物。料理などの外からもたらされた技術を修練するのが趣味。
父親は【赤】の長である慈眼大師(じげんだいし)だが、コトワリに入る際に戸籍を抹消する決まりのためもあってあまり親しい間柄ではない。母親は【白】の朱々珀(すずは)。本来【白】の女は【白】の女しか産めないとされている中で産まれた異例の存在であるが、公表はされていない。
かつて太陽神アマテラスを害した弟神スサノオに瓜二つであり、アマテラスを慕うヒムカや月黄泉(つくよみ)からは敵意の目で見られている。スサノオの刀を海で拾って以来何をしても手放せず、自らの手でオランピアを刺し殺す夢ばかり見るようになる。攻略ルートのハッピーエンドではその呪いを断ち切り、オランピアと共にアマテラスを目覚めさせた。

玄葉(くろば)

CV:杉田智和

コトワリの副署長にして若き医学博士。【色】は最下層の【化色】(あだしき)である【黒】(こく)。
黄泉の出身であり縁(よすが)とは兄弟のように育った。子供の頃に世話になった女性の死が切っ掛けで医者になることを決意し、実現した。地上では人体を蝕む病である剥(はく)の治療法を研究しており、時折黄泉に降りて子供たちの健康診断などを行っている。医療院での師匠である叉梗(さきょう)とは方針の違いから疎遠になっている。
飄々とした軽い言動で女性を口説くが根はしっかりした大人で、子供には優しい。しかしその言動の裏には、時折自らの色へのコンプレックスが見え隠れする。
実は先代の【黄】(おう)の長である葉金(はがね)の息子。赤子の頃剥にかかり、当時できたばかりだった薬である非時丹・涅(ときじくたん・ね)を服用することで完治はしたが、副作用で【黄】だった色が【黒】に染まってしまった。結果黄泉の孤児院に送られて現在に至る。兄か姉が2人いたようだが、いずれも剥で命を落としている。

璃空(りくう)

CV:島﨑信長

黄泉警邏隊に所属する【青】(せい)の軍人。強力な拔(ばつ)の力を持ち、弔いの儀式「魂籠の儀(たまごめのぎ)」の舞も一流。【青】の長にして叔母でもある珠藍大姉(しゅらだいし)からは自分の後継として目をかけられている。長を継ぐための潔斎として、30歳まで婚姻をしないことになっている。
真面目すぎる堅物で融通が利かず、色層制度に疑いを持つ様子もないが、下層の者相手でも暴力や命に関わることについては否と言う信念の持ち主。
珠藍大姉の姉である璃埜(りの)の息子ということになっているが、実は本当の両親は色層制度に反する交配をした罪人であるハズシ。璃埜が死産したのとほぼ同じタイミングで産まれた美しい【青】の赤子だったため、替え玉として引き取られたのである。

天草四郎時貞(あまくさ しろう ときさだ)

CV:上村祐翔

外の世界から天供島に流れ着いたマレビトで、【緑】(りょく)を授かり長・常穂(つねほ)の元で暮らしている。薄荷ショコラ(チョコミントアイス)をこよなく愛する、年相応の明るさと優しさを持つ少年。白鼠のパリスを飼っている。
現実の歴史における天草四郎時貞その人。圧政に耐えかねた人々から島原・天草の乱の総大将に祭り上げられるも敗北し首を切られた。現在も斬首の跡が痣のように残っているので常に襟の詰まった服を着ており、事あるごとに襟元を触るのが癖になっている。この痣を湯治で消せないかと思い、死菫城(しきんじょう)に通って美肌の湯に浸かっている。

縁(よすが)

CV:内田雄馬

黄泉最大の娯楽施設「死菫城」の主。特技は花占いと薬の調合で、物腰柔らかく面倒見の良い性格。
「地獄太夫」として黄泉全体の総元締め的役割も担っており、上層の権力者たちも黄泉においては彼に頭が上がらない。
元々は【紫】(し)の長である師縁(しえん)の息子だったが、父と姉の絢雨(あやめ)が発症した剥がきっかけで15年前に一族が滅んでいる。剥の蔓延を防げず近隣の【色】たちを危機に陥らせたとして生き残りの彼が責任を取る形で黄泉へ追放され、生涯婚姻を禁じられている。
幼い頃は月黄泉の世話になっており、玄葉とも仲が良い。月黄泉を通じて幼いオランピアから貝殻を贈られており、今も螺鈿の物入れの中に大切にしまっている。

ヒムカ

CV:堀江瞬

地上と黄泉を行き来して死者の身体から晶(しょう)を抜き出す「弔い屋」の少年。常に両目に晶を嵌め込んだ髑髏を抱えている。物静かで人と関わることを避けており、親しく接する者はいない。
その正体はこの世界を創造した神「卑流呼(ひるこ)」その人。形のない神であり、また生みの親であるイザナミから疎まれた「不出来」な自分を嫌い、月黄泉の作った人形の体で生活している。妹神であるアマテラスへの執着心が誰より強く、彼女の目覚めのために天三柱(あまのみはしら)の建立をさせている。その依代となるオランピアについては、何においても守ることを最優先としている。

【原色】(げんしき)の長たち

道摩大師(どうまだいし)

CV:速水奨

【原色】の一つである【黄】の長を務める男性。「赤渦の災」で失われかけた太陽を、【白】の舞によって晶を捧げる「道」を作ったことで守った。
母を喪ったオランピアを屋敷に住まわせているが、脱走した彼女を保護しようとした際に左手が回復不能になる重傷を負った。非常に厳格でオランピアへの態度は厳しいが、民からは慕われている。
マレビトであり、正体は現実世界における蘆屋道満。安倍晴明と対立する悪徳陰陽師というイメージの強い人物だが、今作では権力を嫌い市井の民に寄与した人物として描かれている。
実はオランピアの実父であり、心の底では彼女の幸せを祈っている。彼女の母である白亜とは深く愛し合っていたが「赤渦の災」で喪ってしまう。犯人である先代【黄】の長・葉金を剥に罹患させて仇を取った。

慈眼大師(じげんだいし)

CV:宮本充

【赤】の長を務める男性。物腰柔らかで慈愛に満ちており、オランピアも親しみを覚えるほど。
マレビトであり、素性は現実の歴史における天海大僧正。【赤】の土地に含まれる毒物である辰砂を生活に利用する方法を広め、呪われた血とされていた【赤】の地位を向上させた。
朱砂の実父であり、天女島に住む朱々珀を妻として深く愛していた。赤子の朱砂を引き取った際におくるみとして使われていた白絹を大切に保管している。

Tyber1142
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@Tyber1142

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