オランピアソワレ(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『オランピアソワレ』とは、2020年にアイディアファクトリーより発売されたNintendo Switch用ゲームソフトである。舞台は、人々がそれぞれ【色】を持つ世界。ただ一人の【白】である少女オランピアが夫を探す使命の元に、世界の理不尽な仕組みに立ち向かいながら「魂の半身」と結ばれるまでを描く乙女ゲームである。鮮やかな色彩と神秘的な世界観、その裏に根付く差別や悲劇に悩みながら立ち向かう登場人物たちの間に生まれる愛情と絆の輝きが美しい作品である。

『オランピアソワレ』の概要

『オランピアソワレ』とは、2020年4月16日にアイディアファクトリーより発売されたNintendo Switch用ゲームソフト。2021年4月15日にはiOSとAndroidで配信が開始された。ジャンルは女性主人公と男性攻略対象による恋愛模様を体験する乙女ゲームである。
2016年4月21日に同社より発売されてアニメ化もされた『ニル・アドミラリの天秤』のスタッフが手掛けた作品でディレクターは渡邉渡、シナリオは片桐由摩、イラストレーターはさといが担当。『週刊ファミ通』2020年4月23日号(2020年4月9日発売)の新作ゲームクロスレビューでゴールド殿堂入りを獲得した。
舞台となる世界では人々がそれぞれ神から与えられた【色】(しき)を持ち、【色】の良し悪しで階級や結婚の制限などがある制度によって社会が成り立っていた。ただ一人の【白】(はく)である少女オランピアは自らの役目を継承するため子を残さねばならず、そのために夫を探す使命を背負うこととなる。彼女が世界の理不尽な仕組みに立ち向かいながら「魂の半身」と結ばれるまでを描くストーリー。鮮やかな色彩と神秘的な世界観、その裏に根付く差別や悲劇に悩みながら立ち向かう登場人物たちの間に生まれる愛情と絆の輝きが美しい作品である。

『オランピアソワレ』のあらすじ・ストーリー

夫探しの使命

オランピアは朱砂に助けられる。

オランピア18歳の誕生日、突然空から太陽の光が消えた。オランピアは女神アマテラスに捧げる舞を舞う。すると彼女の祈りが届き、再び太陽が蘇った。

オランピアは思い詰めた様子の男に絡まれるが、天供島(てんぐうとう)の情報管理機関・コトワリの所長である朱砂(あかざ)に助けられる。朱砂は彼女に希少な【白】(はく)の子孫を残すために夫を探すようにと宣告した。1年の期限を過ぎれば責任を持って自分が相手になると言う朱砂に対しオランピアは猛反発、必ず自分の力で夫を見つけると宣言した。

朱砂にコトワリの副所長・玄葉(くろば)を紹介されたオランピアは、二人に島を案内されながら、地下に広がる追放されし者たちの街・黄泉へ行ってみることにした。

黄泉という世界

黄泉に降りたオランピアは地上からも客が訪れる評判の湯屋「死菫城(しきんじょう)」を訪れ、その主である【紫】(し)の縁(よすが)と出会う。この店の地下には彼女がかつて世話になった月黄泉(つくよみ)が住んでいるが、今日はあいにく留守だという。

翌日、白鼠の「だいふく」を伴って死菫城を訪れると、外からやってきたマレビトである【緑】(りょく)の天草四郎時貞(あまくさ しろう ときさだ)と従業員である人形の少女・カメリアから声をかけられる。話に花を咲かせていると鞄からだいふくが顔を出し、彼の弟を時貞が、妹をカメリアが飼っていることが判明する。

オランピアは先日の舞の後と同様に絶望した顔の男に絡まれる。死を望む彼の前に「弔い屋」の少年・ヒムカが現れ、望みを叶えてやると言って手を翳した。オランピアが慌てて止めると引き下がったが、そこへ警邏隊の璃空(りくう)が現れ、生きた者に拔(ばつ)を使って晶(しょう)を抜き取るのは重罪だと警告した。

地上と黄泉を繋ぐ手紙の配達人

海辺を訪れたオランピアは手紙の入った瓶を拾う。そこには幼子の字で「日本の東京」から出された物だと書かれていた。オランピアはその手紙を岬にある隠れ家の宝箱に仕舞い込む。

死菫城で時貞とだいふくの弟・パリスと話して帰ろうとすると、行き倒れた青年に出会う。刈稲(かいな)と名乗るその青年は【黄】(おう)でありながら【乙】の女性と恋仲になったことで黄泉に落とされ、その恋人は処刑されたのだという。彼から手紙を預かったオランピアは届け先であるエビス楼へ向かい、刈稲の双子の弟で【橙】(とう)の若き長でもある柑南(かなん)に手紙を渡す。

「この島を守りながら、変えたい」と言う朱砂に同意したオランピアは、地上と黄泉の間で手紙を配達することを思いつく。死菫城の入り口に手紙箱を設置してもらい、最初の手紙を届けるために一歩踏み出すのだった。

玄葉ルート

日時計広場で会った玄葉は、男を引っ掛ける罠として「ハンカチを落としておき、拾ってくれた男をお茶に誘う」という方法を伝授してきた。彼が去った後試してみるが、数分後にハンカチを拾ったのは当の玄葉だった。

惹かれ合う2人だったが、玄葉は自分の【色】が彼女を染めてしまうのではないかと不安を覚える。
さらに【黄緑】(おうりょく)の青年・薙草(なぐさ)が横恋慕し、オランピアが自分の妻にならなければ玄葉を処刑すると脅迫する。しかし彼は突然剥(はく)を発症してしまった。

道摩(どうま)は玄葉が望むならオランピアとの婚姻を許すと言い、代わりに薙草の見殺しを匂わせた。オランピアは、それでも彼を助けたいと口にする。
オランピアは剥の新薬の材料として生き水を使うことを思いつき、急いで天女島に向かった。

玄葉ハッピーエンド

薬を完成させた玄葉の呼び出しに応じて隠れ家を訪れるオランピア。オランピアは母から聞いた魂の半身の秘密を伝え、床にハンカチを落とした。玄葉はそれを拾い「あなたが欲しい」と告げる。ようやく結ばれた時、オランピアの髪は玄葉と同じ色に染まっていた。

オランピアが海岸を歩いていると、顔に包帯を巻いた薙草が現れて刃を向けた。怯まず反論するオランピアの元へ駆けつけた玄葉が庇い、薙草は朱砂と璃空に連行されて行った。
玄葉は折り紙で折った魚を婚姻の約束としてオランピアに渡し、新薬の名前「白妙(しろたえ)」を彼女に捧げると言った。

玄葉バッドエンド1

薙草が助かったと知らせが入るが、それは玄葉の新薬の力ではなかった。慌てて研究室に駆けつけると軍人が現れ、玄葉を連行して行ってしまう。
オランピアの元へ訪れた薙草は、玄葉の処刑が明日に決まったと伝える。取り乱すオランピアの前に脱走してきた玄葉が現れ、自分もすぐ行くからと彼女の体に刃を突き立て愛を告げた。

玄葉バッドエンド2

道摩に決断を迫られたオランピアは、剥に冒された薙草を助けたくないと口にする。
1週間後、玄葉は血を吐いていた。彼もまた剥に罹っていたのである。薙草、そして玄葉も、助かることはなかった。
オランピアは隠れ家に玄葉の白衣やシャツを集めて彼の頭蓋骨を抱きしめ、その残り香を感じながら涙を零した。

璃空ルート

【青】(せい)の居住区で見た素晴らしい舞手である璃空に、オランピアは舞を教わることになった。2人はすれ違いながらも惹かれ合う。

ある日オランピアが怪しい男に拉致されかかり、激昂した璃空は男に拔を放とうとしてしまう。オランピアが静止の声を上げ未遂で済んだが、賊は取り逃がしてしまう。
璃空は生きた者に拔を使いかけた咎で審問にかけられるが、事件解決まで処罰を猶予されることになった。

璃空は、自分は黄泉で生まれたハズシの子なのだと告白した。共にこの島を変えようと語る彼に彼女も応え、2人はキスをした。するとオランピアの髪が薄青く染まり、また戻っていった。

璃空は襲撃事件の黒幕である叉梗(さきょう)を海辺へ追い詰める。彼は自らに銃を向けた。すると突然高波が発生し、叉梗を飲み込もうと迫ってきた。

璃空ハッピーエンド

オランピアは思わず波に向かって「その人を連れて行かないで」と叫ぶ。叉梗は海水を被ったもののどうにか助かった。璃空は叉梗に償って生きて欲しいと告げた。

2人は縁とカメリアの計らいで個室に閉じ込められることになる。オランピアは母から聞いた「魂の半身と愛し合う秘密」を語る。璃空は彼女の対が自分である事を喜び、2人は結ばれた。
色が戻り始めたオランピアの髪を梳かす璃空。実の母の形見であるその櫛をオランピアに贈り、変わらぬ愛を誓った。

璃空バッドエンド1

叉梗と彼の元へ走った璃空は、高波に呑まれ連れ去られてしまった。
悲しみに暮れるオランピアに、実の兄である叉梗をひそかに愛していた珠藍大姉(しゅらだいし)が寄り添う。魂の半身を失ったオランピアは【白】の役目を放棄し、大姉と共に滅びの日を待ち続けた。

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