魔女の家(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『魔女の家』とは、ふみー氏によって制作されたRPGツクールVX製のフリーホラーアドベンチャーゲーム、及びそこから派生した小説・漫画作品。
少女「ヴィオラ」が森の奥地に建つ「魔女の家」からの脱出することを目的としたホラーゲームだが、それだけに留まらない意外性のあるストーリーや、謎解き要素の面白さがフリーゲームプレイヤーのみならず多方面に話題を呼んだ。
『魔女の家』の概要
『魔女の家』はふみー氏によって制作されたRPGツクールVX製のフリーホラーアドベンチャーゲーム、及びそこから派生した小説・漫画作品。
2012年にVer1.00が公開され、2013年には作者ふみー本人の執筆した小説が発売。2017年には小説を原作とした漫画の連載が開始された。
少女「ヴィオラ」が森の奥地に建つ「魔女の家」からの脱出することを目的としたホラーゲームだが、それだけに留まらない意外性のあるストーリーや謎解き要素の面白さがフリーゲームプレイヤーのみならず多方面に話題を呼んだ。
誤った行動を取れば即ゲームオーバーとなってしまうイベントが多数存在するため「初見殺しゲー」などと称されることもあるが「多種多様な死亡演出」にも力が入っており、何度もゲームオーバーになってしまったとしてもプレイヤーを飽きさせない工夫が施されている。
また、ゲーム中のBGMやイラストはほぼ全てふみー氏が手掛けており、そのクオリティの高さもゲームの人気の一端を担っている。
マルチエンディング方式を採用しており、エンディングは全部で三つ存在している。
通常のプレイではノーマルエンドに行き着き「魔女の家からの脱出に成功し魔女も死亡してハッピーエンド」という結末を迎える。しかし、ゲームプレイの終盤であえて寄り道をし「エレンズナイフ」というアイテムを手に入れてからエンディングを迎えることによってトゥルーエンドに行き着く。
三つ目のエンディングに行き着くには「一度もセーブをすることなく、死亡せずにクリアする」ことが条件になっている。
2つのトゥルーエンドは大きな真実が明かされるが、結局最後には救いのない結末が待っている。
その暗い結末や、ゲーム全体に流れる不気味な雰囲気は高く評価され、後のフリーホラーゲームにも強く影響を与えた。
『魔女の家』のあらすじ・ストーリー
主人公である少女ヴィオラは、森へ遊びに出かけている途中にいつの間にか眠ってしまっていた。
目を覚ますと花畑の中におり、ポケットには父からの手紙が入っていた。
「遊びに行くのはかまわないが、あまり森の奥には近づかないようにな。早く帰ってくるように。父より」
しかし家に帰る道は巨大な薔薇に塞がれてしまい通ることが出来ない。
草むらの中でマチェット(山刀)を拾うが、薔薇は巨大すぎて切ることは難しい。
そして家とは反対方向の、森の奥へと向かう道は小さな薔薇に塞がれている。仕方なく小さな薔薇の方を拾ったマチェットで切り落とし奥へと進むと、そこには「魔女の家」と呼ばれる大きな洋館があった。
ヴィオラは中で壁にあった張り紙を発見する。「わたしの へやまで おいで」と書かれているそれは、読み終わると灰のように崩れて消えてしまった。
入ってきた扉から外へ出ようとすると全く違う部屋へ出てしまい、帰ることが出来なくなる。
ヴィオラは自身の家に帰るため、様々な罠や仕掛けの張り巡らされた魔女の家を探索することになる。
魔女の日記
「魔女の家」には基本的に主人公ヴィオラの会話シーンなどが無く、ストーリーの背景などは館内に点在する「魔女の日記」というオブジェクトから得られる情報から推測していくことになる。
「魔女の日記」はその名の通り、館の主である魔女の少女が書き連ねた日々の記録であるが、途中からはあからさまにヴィオラに向けて書かれた内容になっている。
内容を要約すると以下のようになる。
私(魔女) は病気を患っており、一緒に遊ぶ友達が居なかった。
両親も自分のことを愛してくれていなかったので、殺した(作中では「×した」と表記されている)。
この家に遊びに来た友達も全員殺したが、まだ足りない。
そんなある日、女の子が遊びに来た。
金色の髪を三つ編みにした可愛い女の子(主人公ヴィオラは金髪の三つ編み)。
しかし、彼女は殺さない。
何故なら彼女は私を病気から救ってくれる存在だから。
私は彼女と友達になることにした。
そして、彼女の身体をもらって生きていくことにした。
だって私たちは友達なのだから、いいよね。
だから今日も遊びに来てくれたんでしょう、ヴィオラちゃん。
つまり、病気により余命いくばくかとなってしまった魔女が、主人公ヴィオラの身体を乗っ取り生きるためにこの部屋へ誘ったのだということが読み取れる内容になっている。
エンディング分岐
館内の探索を経て、最上階に設置されている最後の「魔女の日記」を読むことにより最後のイベントが発生する。
「下半身のない少女」が現れ、主人公ヴィオラを追いかけ回す。捕まってしまうと一発でゲームオーバーであるため、難易度は高め。
しかしイベント発生直前にセーブ画面が現れるため、捕まってしまってもすぐにやり直すことが出来る親切設計となっている。
なんとか走り抜け魔女の家から脱出することでゲームクリアとなる。
が、脱出時に「真っ直ぐ出口へ向かう場合入る必要の無い部屋」に寄り道をし「エレンズナイフ」というアイテムを入手したか否かでエンディングが分岐する。
ノーマルエンド
「エレンズナイフ」を所持していない場合、こちらのエンディングに行き着く。
魔女の家を脱出した主人公ヴィオラは、帰りが遅いからと心配して様子を見に来た父と合流する。
父と共に自宅へ帰ろうとするが、背後から魔女がうめき声を上げながらにじり寄ってくる。
父はそのおぞましい姿に驚愕しつつも「下がれ!ヴィオラ!」と自ら前に出て、所持していた銃で魔女を撃退する。
そして無事、親子は早足にその森を去ることが出来たのだった。
トゥルーエンド
「エレンズナイフ」を所持していた場合、こちらのエンディングに到達する。
ノーマルエンドと同じように魔女の家を脱出した主人公ヴィオラは、ゲーム開始時に目を覚ました場所の近くに手紙が落ちているのを見つける。
アイテム説明は「なくしていた手紙の前半部分」となっており、ゲーム開始時から所持していた父からの手紙が完全なものでなかったということがわかる。
その手紙の内容を元々所持していたものに繋ぎ合わせると、
『ヴィオラへ
昨日は怒鳴って悪かった。
森の奥には魔女が住んでいて、迷い込んだ子供をさらうって、昔から云われていてな。
その友達の家が、森の近くだっていうから心配になったんだよ。
その友達、エレンちゃんだっけ?その子の家に
【ここから後半】
遊びに行くのはかまわないが、あまり森の奥には近づかないようにな。早く帰ってくるように。
父より』
となる。
このことから、魔女の名前が「エレン」であること、そして魔女と主人公ヴィオラは以前より交流があったことがわかる。
その後、森を去ろうとするとイベントが発生する。
ノーマルエンドでは父と出会った後にエレンが背後から登場していたが、トゥルーエンドでは父と出会う前にエレンが登場する。
血塗れの下半身を引きずり近付いてくるエレンに対してヴィオラは攻撃を加え、「しつこいな。」「いつまで追いかけてくるの? もうすぐその体は死んじゃうのに。」と言い放つ。
うめき声を漏らすエレンにヴィオラはさらに「”かえして?” やだよ。この体、どこも痛くないんだもん」「一度は私にくれた体じゃない。どうして返す必要があるの?」「ねえ?」「ヴィオラちゃん。」と発言する。
つまり、プレイヤーが今まで操作していた少女は「少女ヴィオラの身体を奪い取った魔女エレン」であり、追いかけて来ていた下半身のない少女は「魔女エレンの身体の中に入ってしまった少女ヴィオラ」であったことがわかる。
エレンに身体を奪われてしまったヴィオラが、元々魔女であったエレンの力を利用してエレンを館に誘い込み、自分の身体を取り返そうとしたが失敗し、逃げられてしまうというストーリーだったのである。
そしてエレンは「私の家だよ? 私が殺されるわけないじゃない」という発言をするが、この発言が三つ目のエンディングに辿り着くための重要なヒントになっている。
そしてエレンはノーマルエンドと同じように、帰りが遅いからと心配して様子を見に来た父と合流する。
ヴィオラは「お父さん助けて」と声をかけようとするが、上手く発音出来ずうめき声になってしまい「寄るな、化け物!」と、父に射殺されてしまう。
そしてヴィオラの姿をしたエレンと父はその森を去り、エンド。
トゥルーエンドでは「隠されていた真実が露わになる」というだけで、ノーマルエンドと全く状況は変わっていない。
プレイヤーが「無事魔女を撃退して家に帰ることが出来てハッピーエンドだ」と思っていたものが、この上ないほどに悲惨なバッドエンドであったというどんでん返しに多くのプレイヤーが驚愕した。
ノーセーブクリア
トゥルーエンドの途中にあった「私の家だよ? 私が殺されるわけないじゃない」という発言を成立させるため、「一度も死なずにクリアする」=「セーブを一度もせずにクリアする」ことを達成すると三つ目のエンディングに到達することが出来る。
このゲームにおいては、館の様々な場所に存在している黒猫に話しかけることによってセーブが出来るので、黒猫に一度も話しかけずにクリアすることが条件となっている。
このエンディングではノーマルエンド・トゥルーエンドでは語られなかった謎を補足するようなセリフやイベントが追加されている。
魔女の部屋に入る直前、黒猫との会話で
「張り紙やメモなどが主人公に謎解きのヒントを与えられていたのは、この家が家主を認識していて、張り紙やメモで助けようとしていた」
と発言していたり、その会話の途中で黒猫の名前が「悪魔」に変わったりする。
そして最後の魔女の日記は、他の二つのエンディングとは全く異なった内容になっていて「身体を交換したら、声が出せなくなるように”喉を焼く薬"を飲ませよう」や「目をえぐり出して、足を切り落として、そのまま死んでしまえるようにしよう」など、エレンがヴィオラに対して行った残虐な行為が綴られている。
そこから先は他の二つのエンディングと全く同じで、エレンズナイフを入手しているか否かでどちらかへ分岐する。
難易度の高いノーセーブクリアを成し遂げたとしても物語にハッピーエンドは存在せず、ただ後味の悪いエンディングが待っているのみである。
『魔女の家』の登場人物・キャラクター
ヴィオラ
本作の主人公。
魔女の家に閉じ込められ、危険に晒されながらも館内を探索することになる。
ゲーム開始時に既にエレンに身体を奪われてしまっている可哀想な少女。
プレイヤーがゲーム内で操作する彼女の中身はエレンであり、ゲーム中に登場するエレンの中身はヴィオラである。
娘思いの父親と二人で暮らしていたが、ゲームクリア時にはどちらのエンディングでもその父親に射殺される最後を迎える。
エレン
このゲームの黒幕である「魔女」。
幼い頃から病気を患い、友達もおらず、エレンはいつも家で一人ぼっちだった。
「自分を愛してくれないから」と両親は殺害し、その後も家に迷い込んできた人間を殺害し続けていた。
しかし、病気の身体にうんざりしたエレンはある日、元気な女の子と身体を交換することを思いつく。
そうして館に迷い込んできたヴィオラと友達になり「一日だけ身体を交換してほしい」と嘘をついて元気な身体を手に入れることに成功する。
ヴィオラはかつてエレンであった身体を持ったことにより使えるようになった魔女の力を使用し、自らの身体を取り戻そうとする。
だが、エレンはその追跡から逃げ切りヴィオラの父親と合流。
そし後父親の銃弾にて殺害されたヴィオラを尻目に、彼女の父親と共に館を後にするのだった。
黒猫
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