攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C. SSS)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』とは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『攻殻機動隊S.A.C.2ndGIG』に続く長編SFアニメ作品である。原作は士郎正宗、監督は神山健治が務める。2006年にパーフェクト・チョイスで公開され、2011年には劇場で公開された。
主人公である草薙素子が公安9課を去り、トグサが新隊長として事件解決に挑む。現代にも通ずる社会問題と、その裏で動く組織と対峙するハードボイルドな作品である。

シアク共和国

架空の国。カ・ルマ将軍はシアク共和国で革命を起こし国を追われ日本に亡命している。

傀儡廻

読み方は「くぐつまわし」。子供の誘拐を企てソリッド・ステートシステムを構築した主犯と思われる人物の呼称。

ソリッド・ステートシステム

介護ネットシステムにつながった老人たちの総体のこと。
基本概念はコシキが企画・開発したもので、虐待監視ネットから危険な子供を見つけ出し、貴腐老人たちの戸籍へロンダリングするシステムがベースとなっている。コシキはDNAを残せなかった貴腐老人の代わりに記録上の子孫を作り、財産を譲り渡す流れを作った。資産を国に没収されることなく、経済行為に加担することを貴腐老人たちに提案し協力を得ていた。

貴腐老人

全自動老人介護システムにつながり、最低限の措置が施された状態の老人。まるで貴腐ブドウのように干からびていくことからそう呼ばれている。
2034年の世界において600万人を超えるとされている。

聖庶民救済センター

老人介護システムの中枢が置かれている施設。宗井はこの施設の管理運営に関する指導的立場にいた。
表向きは老人介護と職業訓練を提供するための福祉施設だが、実際はパワーエリートの養成機関となっていた。宗井は洗脳するために孤児を集めていたと思い込んでいたが、基本システムはコシキが作ったソリッド・ステートシステムのため、誘拐された虐待児が集まるようになっていた。

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

サイトーとラジ・プートの銃撃戦

シアク共和国の工作員であったラジ・プートが監視網にかかり、バトーとサイトーはラジ・プートが何の目的で日本に入国したのかを調べていた。狙撃手であるラジ・プートが聖庶民救済センタービルを中心に移動しており、狙撃対象がいると判断したバトーたちはラジ・プートを尾行する。その途中でラジ・プートが熱光学迷彩により姿を消した。鷹の目の衛星を逆探知し居場所を突き止めるサイトーだが、同時にサイトーの位置もラジ・プートにばれてしまう。自分も狙わている立場にあると気づいたラジ・プートはサイトーに向かって銃を放ち、サイトーもまたラジ・プートに銃を放つ。互いに被弾するがサイトーが狙撃に成功する。ラジ・プートは意識はあるものの完全に活動ができない状態であった。狙撃手としてのサイトーの腕が光るシーンである。

バトー「任しとけ。いつだってそうして来ただろう」

聖庶民救済センターに突入した際、激しい銃撃戦の中素子がセンターのシステムに侵入する。爆風が起こり素子が銃を向けると、その先には敵を制圧し素子に銃を向けるバトーがいた。「バックアップを。もう少しでシステムを制圧できる」と言った素子に対し、バトーは「任しとけ。いつだってそうしてきただろう」と返す。素子とバトーの信頼関係が再確認されたシーンである。

草薙素子「それにしても、ネットは広大だわ」

草薙素子がバトーと会話し、公安9課に戻ると決めた際の一言。素子はバトーに対し「それにしても、ネットは広大だわ。もうすでに、私たちの知らない次の社会が生まれ始めている」と語る。
「ネットは広大だわ」というセリフは、攻殻機動隊シリーズを通して草薙素子から発せられており、押尾守が監督した「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」でも登場する。
ウィザード級のハッカーである素子がまだ知らないネットの中の世界、社会があるという意味であり、現代の情報社会に通ずるものがある。

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』はProduction I.G初の自主配給作品

『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』はProduction I.G初の自主配給作品であり、3D立体アニメーションであった。キャッチコピーは「それは、観る人を電脳化する3D。」。観客が電脳化感覚を味わうことを目的に製作されている。

ぴあ初日満足度ランキングでは満足度89.5で第1位

東北地方太平洋沖の影響が残る中、ぴあ初日満足度ランキングでは満足度89.5を記録し高い評価を得ている。また20日間で興行収入1億円を突破したため、スクリーン数を3倍に拡大することが発表された。

「貴腐老人」は神山健治が抱く未来の自分への恐怖感

神山健治はインタビューで「貴腐老人の設定が60~70代の老人だとすると、30年後の僕たちの世代だ」と語っている。「経済行為に胸を張ってコミットしてきたのかという反省を、自戒の念を込めて作っている部分がある」とも語り、感情を持たないロボットにシーツと下着だけを交換してもらい、ハエが飛んでいても払ってくれないという状況は、「保険適用内で受けられるサービスもせいぜいあんなもの」と話している。

KaoruNatsuki
KaoruNatsuki
@KaoruNatsuki

Related Articles関連記事

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX、S.A.C. 2nd GIG、Solid State Society(神山版攻殻機動隊)のネタバレ解説・考察まとめ

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX、S.A.C. 2nd GIG、Solid State Society(神山版攻殻機動隊)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊S.A.C.』は2002年放送のTVアニメ及びそのシリーズ。AD2030年、内務省直轄独立攻性部隊・公安9課が「笑い男事件」を追うストーリー。 続編の『S.A.C. 2nd GIG』ではテロリスト「個別の11人」を追う事件、『Solid State Society』は主人公・草薙素子が失踪後に謎のハッカー「傀儡廻し」に関わる事件となっている。 神山健治監督版『攻殻機動隊』シリーズ。

Read Article

攻殻機動隊シリーズ(原作漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

攻殻機動隊シリーズ(原作漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』は士郎正宗によるSF漫画。1巻は草薙素子こと少佐が公安9課で事件を追う中人形使いと出会い融合するまで、1.5巻『攻殻機動隊1.5 HUMAN-ERROR PROCESSER』は少佐が去った後の公安9課の活躍、2巻『攻殻機動隊2 MAN MACHINE INTERFACE』は荒巻素子がテロ事件を追う内に草薙素子と邂逅するまでを描いている。

Read Article

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊・イノセンス(押井版攻殻機動隊)のネタバレ解説・考察まとめ

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊・イノセンス(押井版攻殻機動隊)のネタバレ解説・考察まとめ

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を原作とし、1995年に公開された日本のアニメ映画である。AD2029年、公安九課のリーダー草薙素子が事件を追う中、正体不明のハッカー“人形使い”と遭遇する。押井守監督版『攻殻機動隊』シリーズの1つであり、続編の『イノセンス』は2004年に公開された。ガイノイド“ハダリ”の暴走した原因を九課のバトーとトグサが追う。

Read Article

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年11月18日公開)は、士郎正宗原作のSF漫画『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』を映画化したアニメーション作品。製作会社はProduction I.G 。 その革新的ともいえるアニメーション技術から映像面で評価が高い本作だが、キャラクターの巧みな台詞回しもその人気の一因だ。当記事では、ファンの間で特に知られている名言・名セリフを紹介する。

Read Article

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)のネタバレ解説・考察まとめ

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)』とは、士郎正宗が原作、神山健治が監督を務めたSFアニメ作品。2002年から2003年まで日本テレビ系列で放送された。舞台は、西暦2030年の日本。主人公の草薙素子(くさなぎ もとこ)が属する国の秘密組織「公安9課」が様々な事件を解決しながら「一つの陰謀」を明かしていく様子が描かれている。

Read Article

攻殻機動隊 SAC_2045(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

攻殻機動隊 SAC_2045(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊 SAC_2045』とは、Netflixで配信されているSFアニメシリーズ。『攻殻機動隊』シリーズでは史上初となるフル3DCG作品である。各メンバーが卓越したスキルを有する内務省元公安9課の「少佐」こと草薙素子はアメリカで傭兵となっていた。AIの急速進化の反動で世界的に持続可能性を追及した産業戦争’サスティナブル・ウォー’が勃発する中、驚異的な身体能力を持つ新人類’ポスト・ヒューマン’が出現。少佐たち元9課のメンバーは、新人類の謎に迫るうち、部隊再編を余儀なくされていく。

Read Article

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊S.A.C.2ndGIG』とは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の続編であるSFアニメ作品。原作は士郎正宗、監督は神山健治が務める。本作はストーリーコンセプトとして、劇場作品『イノセンス』の押井守が参加している。2004年からパーフェクト・チョイスで放送され、2005年には日本テレビ系列で放送された。主人公である草薙素子が所属する公安9課が「個別の十一人」と名乗るテロ集団と対峙する。テロリストの影で動く大きな組織に立ち向かうハードボイルドな9課の姿が描かれている。

Read Article

攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE(DUAL DEVICE)のネタバレ解説・考察まとめ

攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE(DUAL DEVICE)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE』とは、『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』の続編に位置づけられるサイバーパンク漫画である。士郎正宗が1997年7月~9月までに『週刊ヤングマガジン』で「DUAL DEVICE」という副題で連載していた作品群に、大幅加筆修正を加え単行本として発行された。ネットも普及していない時代に、ネット全盛の世界感を描いた事で多くのSFファンを魅了した攻殻機動隊シリーズの中で、第一巻を超えると言われる難解さが今作の魅力ともいえる。

Read Article

攻殻機動隊ARISE(アライズ)のネタバレ解説・考察まとめ

攻殻機動隊ARISE(アライズ)のネタバレ解説・考察まとめ

攻殻機動隊ARISE(Ghost in the Shell: Arise)とは、Production I.Gが制作を務める、士郎正宗の漫画「攻殻機動隊」を原作としたアニメ作品である。本作は主人公の草薙素子が公安9課を結成する前の物語に焦点が当てられており、バトーやトグサら9課の仲間たちがどのような形で素子と出会い、彼女と行動するようになったかが描かれているのが特徴となっている。

Read Article

攻殻機動隊ARISE、攻殻機動隊 新劇場版(黄瀬・冲方版攻殻機動隊)のネタバレ解説・考察まとめ

攻殻機動隊ARISE、攻殻機動隊 新劇場版(黄瀬・冲方版攻殻機動隊)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊ARISE』は2013年6月に公開された劇場用アニメ。公安9課結束以前の物語で、正体不明のハッカー・ファイアスターターを巡る事件を追う。『攻殻機動隊 新劇場版』は『攻殻機動隊ARISE』の続編で2015年6月全国公開。ファイアスターターと草薙素子の出生の秘密が繋がっていくストーリー。 黄瀬和哉総監督・冲方丁脚本版『攻殻機動隊』シリーズ。

Read Article

【必見】高評価おすすめアニメまとめ【攻殻機動隊・コードギアスなど】

【必見】高評価おすすめアニメまとめ【攻殻機動隊・コードギアスなど】

アニメ大国と言われる日本。毎年数多くのアニメが制作されており、何を見たらいいのか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。そんな数々のアニメの中でも、長年にわたり高い評価を得ている作品を、あらすじ・レビューとともにまとめました。これさえ見ておけば間違いない、見て損はないという作品ばかりです!

Read Article

目次 - Contents