冒険家になろう!(スキルボードでダンジョン攻略)のネタバレ解説・考察まとめ

『冒険家になろう!(スキルボードでダンジョン攻略)』とは萩鵜アキの同名小説のコミカライズ作品で、作画は栗山廉士が担当する。世界中でダンジョンの存在が確認されてから5年後の世界。初心者冒険家空星晴輝(からぼしはるき)は、自宅にできたダンジョンで魔道具「スキルボード」を発見する。空星は、スキルボードを駆使して有名な冒険家「ランカー」を目指すこととなる。魔物との緊張感漂うバトルシーンと仲間たちとのコミカルな掛け合いが楽しいダンジョン冒険活劇。

『冒険家になろう!(スキルボードでダンジョン攻略)』の概要

『冒険家になろう!(スキルボードでダンジョン攻略)』とは萩鵜アキの同名小説のコミカライズ作品で、作画は栗山廉士が担当する。漫画版の出版社は、Mノベルス(双葉社)。萩鵜アキは、小説投稿サイト「小説家になろう」で連載しており、本作品『冒険家になろう! 〜スキルボードでダンジョン攻略〜』が、第6回ネット小説大賞を受賞し、商業デビューを果たした。世界中でダンジョンの存在が確認されてから5年後の世界。ダンジョンから魔物が溢れ出したことで、人類は、エネルギー問題や食料自給率などの数多の問題を抱えることとなり、衰退していた。そういった状況下であっても、人々はたくましく生きており、ダンジョンに挑み、成果を持ち帰ることを目的とする「冒険家」と呼ばれる職業が現れ、一般的になっていた。冒険家は危険な職業である一方、実力がつき「ランカー」になると、企業と契約して、活動に報酬が発生したり、市井の人気者になるなど、夢のある職業でもあった。初心者冒険家で存在感が薄いことが悩みの青年空星晴輝(からぼしはるき)は、勤めていた会社を辞め、一念発起して冒険家となった。ある日自宅に帰ると、自宅の車庫がダンジョンと化していた。突然のダンジョン化に嘆く空星であったが、気持ちを切り替え、車庫ダンジョンに挑むこととする。その中で魔道具である「スキルボード」を発見した空星は、自身が保有していたポイントを全て「成長加速」に振った。車庫ダンジョン内で自由に狩りができる上、成長加速も習得した空星は、異常な速度で成長し始め、メキメキと頭角を現すこととなる。自身が成長し、ゆくゆくはランカーとなり、誰よりも目立つ存在となるため、空星は冒険家活動に力を入れることとなった。魔物との緊張感漂うバトルシーンと仲間たちとのコミカルな掛け合いが楽しいダンジョン冒険活劇。

『冒険家になろう!(スキルボードでダンジョン攻略)』のあらすじ・ストーリー

冒険家になろう

車庫がダンジョンになっていることに気付いた空星。

5年前、世界に突如としてダンジョンが現れ、溢れた魔物により、文明が衰退するなど世界は混迷の時代に突入していた。国はダンジョンを踏破することを生業とする「冒険家」を職業として認め、その活動を奨励することで時代に対抗しようとしていた。ダンジョンにより、人々の生活はすっかり様変わりしたが、それでも人々はたくましく、新たな生活に適応して生きていた。そのような状況の中、空星晴輝(からぼしはるき)は新人冒険家として活動を始めていた。空星は生来の存在感の無さから、これまでの人生で目立ったことがなかったため、一念発起して会社を退職し、目立つ職業の冒険家となった。北海道在住の空星は、札幌最大のダンジョン「ちかほ」で冒険家として活動を始めるが、苦戦する日々を過ごしていた。そんなある日、空星は、実家の車庫にダンジョンが発生していることに気づく。空星がダンジョンの様子をうかがっていると、奇妙な石板を拾う。その石板は「スキルボード」と呼ばれる魔道具で、空星はスキルボードと車庫ダンジョンを利用して己の力を大幅に成長させる。集めた素材を換金するため、ちかほにある夕月朱音(ゆうづきあかね)の店に向かう空星。そこで装備を新調するとともに、朱音に半ば騙されて奇妙な仮面を買わされた空星だった。ちかほの攻略に励む空星であったが、その最中に少女がモンスターパレードに襲われている現場に遭遇する。少女は不良冒険家に騙された挙句、おとりとして取り残されたことを知った空星は助けるべく単騎突入を行う。空星はなんとか魔物を退け、助けた少女・黒崎火蓮(くろさきかれん)と帰還する。火蓮は空星に感謝し、彼と交友を育もうとするが、そこに火蓮を見捨てた不良冒険家が現れ、口封じのために2人に襲い掛かる。

日本中のダンジョンでスタンピードが発生

空星と火蓮は町中で突然四釜(しかま)たちに襲われ大ピンチになる。しかし、そこに最強の冒険家マサツグが現れ、空星を助ける。マサツグは四釜たちを捕まえるが、空星たちに報復を警戒するように忠告する。その忠告を受け、空星は身を守るためしばらく車庫ダンジョンにこもることとする。火蓮も付いていくこととなり、2人で車庫ダンジョンを攻略し始めた。車庫ダンジョンの攻略を進める空星達の前に、素材の買取店と朱音が現れた。朱音は自身の問題行動により左遷され、車庫ダンジョンに店をかまえる事態に陥っていた。朱音の助力もあり、空星一行のダンジョン攻略はさらに速度を増していく。そんなある日、空星はダンジョンが揺れる気配で飛び起きる。同時に、日本中のダンジョンでスタンピードが発生しているとの速報が空星の耳に入った。車庫ダンジョン周辺の冒険家は空星と火蓮のみであるため、空星は、スタンピードを鎮めるため1人でダンジョンに突入することとなる。

隠密によりボスを強襲

スタンピードを止めるべく、群れに突っ込む空星は、自らの影の薄さにより、群れを突っ切ってボスに近づく作戦を立てる。順調に群れを突っ切る空星であったが、群れの中に鼻の利く魔物がいたことから途中で空星は発見されてしまう。絶体絶命の空星は、一縷の望みをかけて、ボス・ワーウルフとの戦闘に入る。空星よりも明らかにを格上のワーウルフを前に、始めは圧倒される空星であったが、戦闘前に習得した新スキルの「模倣」を使い、徐々にボスの動きを捉え始める。一進一退の攻防を繰り返し、どうにか勝利を納めることに成功した空星は満身創痍で倒れ込んでしまった。火蓮の助けにより、なんとか帰還した空星の下に、続々と各地のスタンピード討伐成功の知らせが届く。しかし、日本の中心の新宿ダンジョンにおいて、スタンピードにより新宿の街が陥落したとの知らせに日本中に激震が走る。今の自分たちの実力では新宿奪還には到底力が足りないと判断した空星は、自身が早く成長することが何よりも重要だと再認識する。なお、スタンピードの数々の経験により実力が高まったが、一方で、ただでさえ高い自身の「隠密」スキルも成長してしまい、嘆く空星であった。

遭難者の捜索依頼

車庫ダンジョンの攻略は、自身の訓練になると同時に、今となっては貴重となった野菜が手に入るため、ますます力を入れる空星は、欲を出し、ダンジョン産の野菜をダンジョンの外で育てようと考える。ジャガイモの魔物を外に連れ出すことに成功した空星は、こっそりと育て始めたが、何故か魔物たちのほとんどは数日で枯れ果ててしまった。しかし、しぶとく生き残っていた1匹に、石ジャガのアイテムを渡すことでなんとか命を助けることに成功する。一連の行動により、空星に懐いた魔物は、「レア」と名づけられ、空星一行の新たな仲間となった。新たな仲間を得て波に乗る空星一行の前に、朱音からちかほで行方不明となっている同僚・大井素(おおいそ)の捜索をしてくれないかと依頼される。1度は断ったものの、朱音の熱意に押され、依頼を引き受けることとなった。ちかほに到着した空星は、準備もそこそこに、数日かけて必死に捜索し、8層にて大ケガを負って動けなくなった大井素を見つける。大井素にポーションを飲ませ、あとは出口に向かうだけの一行は出口の直前で、何者かによる強襲を受ける。それは、先日因縁となった不良冒険家の四釜たちであり、空星達への逆恨みを募らせていた四釜達は、新宿奪還のため、多忙となったマサツグの目を盗み、空星達に復讐すべく、ちかほで謀略を巡らせていた。そして、大井素が大ケガを負ったのも、四釜達の謀略に巻き込まれたためで、大井素の捜索に空星達が駆り出されたことを知った四釜達は、一瞬のスキを付き、攻撃してきたのであった。火蓮が負傷してしまい、大ピンチに陥る空星一行であったが、存在感の薄さを利用した空星の反撃により、なんとか火蓮と大井素を戦線から退かせることに成功する。残った空星と四釜たちは因縁にけりをつけるべく戦い始めるが、そこに突然モンスターパレードが発生し、たちまち魔物に取り囲まれてしまう。魔物により、次々に倒れていく四釜達を尻目に、空星も絶体絶命の危機に陥るが、モンスターパレードの発生源を潰すことに成功したことと、先に戻った大井素が外の応援を呼んできてくれたおかげで命からがら脱出することができた。

加護によりボスを撃破

無事に大井素を救出した空星と火蓮は、車庫ダンジョンの攻略を再開していた。順調に攻略を進め、装備を新調した一行は、冒険家として大きく成長するとともに、「加護」と呼ばれる新たなスキルを手に入れた。空星たちの活躍は注目されるようになってきており、空星のもとに新たな依頼が舞い込む。依頼主は北海道トップでランカーの冒険家・カゲミツで、ちかほに出現したモンスターパレード討伐のため、力を貸してほしいというものだった。カゲミツは空星とは正反対の人間ながら、存在感を悩みにしている部分が似ており、すっかり意気投合する。カゲミツに協力することとした空星であったが、モンスターパレードのボスは強敵のリザードマンで、苦戦はまぬがれない相手であった。そのため一行は少しずつ群れの数を減らし、孤立したボスを倒すという作戦を立てる。空星は群れを固める雑魚モンスターの数を減らす役目を請け負ったが、空星はカゲミツの予想以上の活躍を見せ、数日間で大きく数を減らすことに成功する。そして遂にボス討伐に向かう日、空星は残った雑魚モンスターを全て打ち破るが、雑魚モンスターを倒しきってもモンスターパレードは終わらずボスは生き残っていた。カゲミツの下に駆け付けた空星が目にしたのは疲弊した仲間たちと、ボスの健在な姿だった。圧倒的な攻撃力と防御力を持つボスに、カゲミツたちは攻め手に欠け、徐々に消耗が積み重なっていた。空星も自分の力ではボスには歯が立たないと察し、一か八かスキルボードで加護を強化し、「打倒神」の力を手にする。空星の援護により、ボスは疲弊し、そのスキを突いてカゲミツはボスを打ち倒すことに成功した。しかし、打倒神「メジェド」の加護は空星の影をさらに薄くする効果もあり、さらに存在感が希薄になった空星は1人大きく嘆きの声を上げるのであった。

新宿奪還作戦の開始

空星がリザードマン(ボス)と戦っている頃、火蓮は1人、車庫ダンジョンを攻略していた。しかし、空星の成長についていけていない火蓮が空星の足を引っ張っていることを朱音に指摘され、火蓮と朱音は大ゲンカになってしまう。2人はダンジョン攻略で対決することとなるが、その結果、火蓮は加護の力を成長させ、新たな力を身につける。空星は、ダンジョンの魔物を相手に新技を試していたところ、芋虫の魔物を発見して倒そうとするが、魔物はおとなしい性格で仲間になりたそうにしていたため、新たな仲間として歓迎し、「エスタ」と名づけるのだった。新たな仲間とともにダンジョン攻略を進める空星だったが、ある日、車庫ダンジョンにほかの冒険家の痕跡を発見する。現れたのはトップランカーの1人、時雨(しぐれ)だった。時雨は空星に興味を持ち、手合わせを望んだため車庫ダンジョンに現れたようであった。空星はボコボコにされたものの、彼女の戦い方を模倣することで己の技を向上させることに成功する。その後、時雨はマサツグに合流し、新宿のスタンピードを引き起こしている「鹿の魔物」の討伐のため「新宿奪還作戦」開始する。一方、新宿奪還作戦が始まった頃、空星は車庫ダンジョンの様子がおかしくなっていることに気づく。空星が目にしたのは見たこともない鹿の魔物の姿だった。

鹿の魔物の討伐

鹿の魔物の異様さを感じた空星は、朱音を通じて外の冒険家に討伐依頼を出す。そして、外の冒険家が到着するまで鹿の魔物を見張る空星であったが、火蓮がやってきたタイミングで鹿の魔物の襲撃に遭い、紫色の塊を喰らってしまう。全く動くことができなくなった空星に、絶体絶命に思われた火蓮であったが、目の前に火蓮の加護の神のオキクルミが現れた。オキクルミとのやりとりを通して覚醒した火蓮は、エスタのおかげで無事だった空星と一緒に鹿の魔物と戦闘を続けることになる。自身が倒したワーウルフを配下にして操る鹿の魔物であったが、外の冒険家の応援としてカゲミツも参戦し、空星は鹿の魔物にとどめを刺すことができた。

カムイの湯での湯治

鹿の魔物を倒した空星一行は、マサツグから魔道具の贈り物を受ける。贈り物を装備してますます勢いにのる空星一行であったが、空星は戦闘中に限って我慢できないほどの痛烈な痛みが走るようになる。朱音に相談すると、痛みの原因は急速なレベルアップにより、空星の身体が魔物に近づいてきており、そのせいで痛みが発生しているとの説明を受けた。冒険家を続けるか人間を辞めるかの2択を迫られる空星であったが、どちらも選ばず、旭川市の「カムイの湯」で症状が回復したという噂に望みを託して、カムイの湯に行くことになる。神居古潭ダンジョンで湯治に励む空星であったが、カゲミツが神居古潭ダンジョンでスタンピード殲滅戦をするという話を聞く。治療中の身のため、1度は不参加を決めた空星であったが、上位入賞者はカゲミツのブログで紹介され、非常に目立つことができると聞き、一転参加することになる。スタンピード殲滅戦で上位入賞しようと張り切って魔物を探す空星の前に突如現れたのは1番シャケの姫を自称する人魚族の精霊「チェプ」であった。チェプの目指すカムイ岩に同行した空星は、そこで魚人の襲撃を受けることになる。魔法も駆使する強力な魔物であったが、なんとか撃破に成功する。しかし、戦いに気を取られてスタンピード殲滅戦の終了時刻を大幅に超過してしまい、空星は結局上位入賞することができなかった。

強モンスターの急襲

翌日、神居古潭ダンジョンを攻略するべくダンジョンに潜る空星一行。地下10階でダンジョン主の暗黒巨木と戦い、見事勝利する。喜びも束の間、突如謎の扉が現れ、中に入ると地上に到着した。しかし、突然チェプが倒れてしまい、続いて真っ黒な鎧に身を包んだ戦士が現れ、襲ってきた。成すすべなく戦闘に入る一行であったが、鎧の戦士は今までの魔物とは次元が違うぐらいに強く、仲間が次々とやられてしまう。空星も攻撃を仕掛けるが、治ったかに思われた身体に痛みが再び走り大ピンチになる。そこに、倒れたはずの火蓮が現れ、気力を込めた杖の一撃で鎧の戦士の顔を吹き飛ばした。しかし、ダメージは大きく、再び倒れる火蓮に、気力で戦うようアドバイスを受けた空星は、火蓮の気力を込めた攻撃を「模倣」し、なんとか倒すことに成功した。なんとか強敵を撃破することに成功した空星一行であったが、チェプが役目を終え、消えたと思い、消沈する。しかし、チェプは生きており、火蓮の腕輪の石に住み着くこととなった。チェプは新スキルの巫力を覚えており、巫力を込めた力が空星に当たると、身体の痛みがすっかりなくなり、空星は完治することとなった。

奥尻島の奪還作戦

強敵を打倒し、身体の不具合も解消したことで、後顧の憂いがなくなった空星一行は車庫ダンジョンに戻ってきていた。一行を出迎えた朱音から、有名冒険家達が一堂に集い、過去魔物に奪われたままになっている奥尻島の奪還作戦を行うこと、そして、空星一行もその作戦に参加するよう依頼が持ちかけられていることを伝えられる。自身の実力と有名冒険家との差に、1度は断ろうとした空星であったが、奪還作戦には常にテレビ中継が入り、参加する冒険家は間違いなく目立つという情報を得たことから心機一転、参加を決意した。マサツグ、カゲミツ、アオイなど日本を代表する有力な冒険家が続々と集合する奥尻島で、奪還作戦の目標は、ボスの発見及び討伐であるとの説明を受けた一行は、雑魚モンスターを一掃しつつ、有力な冒険家から様々なことを学び、ボスを探すこととなった。

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