八握剣異戒神将魔虚羅（呪術廻戦）とは【徹底解説・考察まとめ】

八握剣異戒神将魔虚羅の概要

八握剣異戒神将魔虚羅（やつかのつるぎいかいしんしょうまこら）とは、芥火下々の漫画『呪術廻戦』（じゅじゅつかいせん）に登場するキャラクターで、「十種影法術」（とくさのかげぼうじゅつ）という術式によって召喚される式神の1体。
恐るべき力の持ち主ながら、名前の響きが妙に愛らしいこともあり、ファンからは「まこーら」の愛称で呼ばれる。

「十種影法術」は、文字通り10体の式神を召喚して操る術式だが、魔虚羅はその中でも別格の戦闘力を誇っていた。歴代の「十種影法術」の使い手の誰もが調伏（1度倒して自分に使役できる状態にすること）できなかった怪物で、この術の使い手である伏黒恵は「“調伏の儀に巻き込む”ことで、自分諸共に相手を殺す自爆技」として魔虚羅を使用していた。
最強最悪の呪霊両面宿儺（りょうめんすくな）は、「十種影法術」の汎用性と魔虚羅の性能に目を付け、後に伏黒の肉体ごとこれを強奪。魔虚羅を調伏した上で、現代最強の術師五条悟（ごじょう さとる）との戦いの中で魔虚羅を投入し、自身のさらなる力とした。

八握剣異戒神将魔虚羅のプロフィール・人物像

人語を介さぬ怪物であり、人間性のようなものは感じられない。召喚されると目の前にいる者を徹底的に蹂躙するが、呪霊やそれに属する者、より強い者を先に狙う性質があるようである。調伏されている状態では素直に術者の指示に従う。

身長3〜4メートルほどの筋骨隆々の人型で、両目の部分には2対の翼が生えている。頭上には車輪状の方陣と呼ばれるものが浮かんでおり、新たな種類の攻撃を食らうたびにこれが回転する。
アニメ版では、状況に応じてさらに巨大化するシーンが描かれた。

八握剣異戒神将魔虚羅の装備・能力

「十種影法術」で使役される式神の中でも別格の戦闘能力を持つ。宿儺や五条といった作中最強格の存在にも刃を届かせ得る恐るべき怪物であり、彼らからも「警戒が必要な相手」と目されている。
江戸時代には呪力効率を上昇させる「六眼」と無敵に等しいバリアを展開する「無下限呪術」を共に備えた術師を殺害しており、現代においても同じ能力を持つ五条の死に間接的に関わった。

身体能力

その巨躯を差し引いても驚くべき怪力と、ビルを軽々と飛び越える身体能力、超高速の戦闘にも対応するすさまじい敏捷性を持つ。固有の飛び道具は持たないが、瓦礫を正確かつ立て続けに殴り飛ばして相手にぶつけるなど遠距離での戦いにも対応しており、化け物じみた運動能力もあって特に弱点にはなっていない。

退魔の剣（たいまのけん）

右手に装備した剣。正のエネルギーをまとっており、負のエネルギーを持つ呪霊に対しては特に強い力を発揮する。作中最強の存在である宿儺ですら、「自分が呪霊の状態であれば一撃で消し飛んでいた」とその威力を認めている。
このエネルギーは相手に合わせて調節することが可能で、宿儺との戦闘中に効果が薄いことを察するなり負のエネルギーをまとう形に性質を変更している。

再生能力

胸を裂かれようが、足を切り飛ばされようが即座に傷を癒す、桁外れの再生能力を持つ。これが生来の能力なのか、反転術式を利用したものなのか、「適応」を利用したものなのかは不明。
再生には限界があるらしく、宿儺の領域展開「伏魔御廚子」（ふくまみずし）で延々と微塵切りにされた際は、しばらく再生しながら動いていたが最終的には行動不能になっていた。

あらゆる事象への適応

頭上の方陣が回転するたび、あらゆる事象に適応する。これは「相手の攻撃や状況に対する耐性を獲得する」ということであり、1度適応した攻撃はほぼ通用しなくなる。
この「適応」は非常に広義的な対応が可能で、作中では「斬撃全般への耐性」や「水中での呼吸」、「束縛された状態からの脱出」などで発動し、状況を引っ繰り返している。

この能力は魔虚羅の切り札であり、歴代の「十種影法術」の使い手たちが調伏に失敗してきた最大の理由。生半可な攻撃はそのすさまじい身体能力と再生能力の前にほとんど意味をなさず、ダメージを与えうるほどの攻撃に対しては適応して耐性を獲得し、相手の攻め手のことごとくを潰してしまう。このため魔虚羅を倒すには、「強力な一撃で適応される前に一気に仕留める」ことが必要となる。
「耐性を得る」だけで完全に無効化できるわけではないらしく、非常識な威力の攻撃であれば一応ダメージは与えられる。

八握剣異戒神将魔虚羅の来歴・活躍

十種影法術の怪物

呪術界の御三家の1つである禪院家の相伝である「十種影法術」（とくさのかげぼうじゅつ）の式神の1体としてその存在が確認される。「十種影法術」がいつから用いられるようになったかは不明だが、1000年前には人間の術師だった宿儺がその存在を知らなかったことから、古くても数百年前のことだと思われる。
「十種影法術」は、その名の通り10種の式神を操る術式で、魔虚羅はその中でももっとも強力な存在だった。あまりに強すぎたため、式神を従えるための調伏の儀に成功した者は誰もおらず、呪術界でもごく限られた者だけが知る怪物として恐怖の対象となる。

江戸時代、五条家に呪力効率を劇的に上昇させる「六眼」（りくがん）と無敵に等しいバリアを展開する「無下限呪術」（むかげんじゅじゅつ）を共に生まれ持った強力な術師が誕生する。どのような経緯でそうなったのかは不明だが、この術師と禪院家の「十種影法術」の使い手が御前試合をすることとなった。
この時、禪院家の術師は「魔虚羅の調伏の儀に巻き込む」形で五条家の術師を自身諸共に殺害。両家の間に長く残る遺恨を生んだ。

伏黒恵の切り札

現代になり、禪院家の血を引く伏黒恵（ふしぐろ めぐみ）という術師が「十種影法術」
を持って生まれる。伏黒は現代最強の術師である五条悟（ごじょう さとる）に師事して「十種影法術」を磨いていくが、魔虚羅のことは「勝てるとは思えない」と調伏することを最初から無意識に諦めており、「もっと向上心を持て」と五条からたびたびたしなめられていた。
ある時、伏黒は最強最悪の呪霊として恐れられる両面宿儺（りょうめんすくな）が、虎杖悠仁（いたどり ゆうじ）という少年の体の内側に宿る形で復活する場面に立ち会う。虎杖は特殊な体質でとりあえずは宿儺を己の肉体に封じるも、宿儺は虎視眈々と虎杖から肉体の主導権を奪おうと画策しており、ともすれば伝説の呪霊が自由を得て暴れ出す寸前の状況にあった。

虎杖の善性を知った伏黒は、彼を「死なせたくない」と考え、“虎杖ごと宿儺を処刑する”という呪術界の決定に異を唱える。五条もこれに賛同し、虎杖は彼の監視下で呪術師としての修行を始めることとなる。
しかし、宿儺は虎杖の中からそんな外部の動きを注意深く監視しており、伏黒の持つ「十種影法術」に注目。「自分がいずれ自由を得た時、恐らく五条との戦いになる」と考え、「十種影法術」を自分のものとするために伏黒の肉体を奪うことを画策する。

現代での顕現

伏黒が虎杖と共に切磋琢磨する中、五条が現代の呪霊たちによって封印されるという事件が発生。彼を解放するために伏黒は仲間たちと共に呪霊たちが待ち構える結界の中に突入するも、深手を負って倒れる。せめて自分を襲った相手を道連れにしようと考えた伏黒は、「自分と襲撃者が参加する」という形で魔虚羅の調伏の儀を開始する。制御する者のいない魔虚羅に暴れさせることで、自分諸共襲撃者を死亡させるのが伏黒の狙いだった。
この時、虎杖も別の敵との戦いで意識を失い、宿儺は全盛期の3／4の力を得た上で一次的な自由を得ていた。“自分がいずれ肉体を奪う”予定の伏黒が死にかけていることを察した宿儺は、「今ヤツに死なれると困る」と彼の下に駆け付け、自身が魔虚羅を相手取る。

魔虚羅は恐るべき力を発揮して宿儺を攻め立て、「これほどの隠し玉があったのか」と彼を驚かせる。戦いながら宿儺は魔虚羅の能力を分析し、「あらゆる攻撃や環境への適応」こそがその真骨頂だと判断。自身にとっても切り札である強力な攻撃を連続して叩き込み、魔虚羅を撃退する。
本来の参加者ではない宿儺によって倒されたことで、魔虚羅の調伏の儀は強制的に中断。伏黒は危ういところで命拾いし、宿儺は彼の肉体を奪うさらなる好機をうかがうために虎杖に肉体の支配権を譲る。五条は封印されたまま持ち去られ、彼を解放するために伏黒は新たな戦いに臨んでいった。

五条との戦い