花の慶次(原哲夫)のネタバレ解説・考察まとめ

『花の慶次 -雲のかなたに-』は、1990年から1993年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載された原哲夫の漫画。隆慶一郎の歴史小説『一夢庵風流記』を原作としている。
戦国時代末期を舞台に、戦国武将・前田利家の義理の甥である前田慶次が、天下御免の傾奇者として繰り広げる一大劇を描いている。主人公の前田慶次と彼を取り巻く多彩なキャラクターが魅力的で、彼らの大胆かつ痛快な立ち振る舞いと、豪胆な駆け引きが人気を博した。多くの名言も生まれ、後にパチンコ台としても人気を集める。

北条家との戦が始まる頃、真田幸村は、捨丸が加賀国の7人の忍びを殺害して逃げたことによる報復で、加賀人軍に囲まれ死刑を受けているところを目撃する。最初は他人事として、見過ごそうとするも、あまりの捨丸に対する物としての扱いに、過去に幸村自身も真田昌幸の手によってたらい回しにされ、今も人質として蔑まれていることを思い出し、捨丸と自分を重ね合わせ同乗し、捨丸を助けることとなる、その時に「いいかキサマら人間には触れちゃならん痛みがあるんだ!!其処に触れたら後はもう生命のやり取りしか残らんのだ!!」と発し、男たちに殴りかかるのである。

『花の慶次 -雲のかなたに-』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

史実の前田慶次

エンターテイナーとしての側面

「傾奇者」という存在は、エンターテイナーとしての性質を含む。前田慶次においても同一であり、周囲を楽しませたり、突飛な言動において驚かせたりすることはエンターテイナーとしての性格を表しているともいえる。
傾奇者とは、ただの変わり者というわけではなく、高い教養と分別も兼ね備えた人物である。傾奇者は人の上に立つのに適していないので、同じく傾奇者と呼ばれていた織田信長や豊臣秀吉は、次第にその傾奇ぶりを丸くしていったが、慶次だけは死ぬまで傾奇者を貫いた。だから、慶次は、技量はあるが、最後まで人の上には立てなかったのである。

態度の悪い店主との喧嘩

ある日、前田慶次は商店街を歩いている時に、店の前に太々しく足を通りに向けて投げ出して座る店主がいた。慶次はその店主の態度にイラつき、「この足を買う!」と言い、足を切り落とそうとするのである。慌てた店主が大暴れするという逸話がある。これ以降、商店で働く者が足を投げ出して座るなどの行為が禁止になったという。

前田利家へのイタズラ

慶次の叔父であり、主君でもある前田利家とは仲が良くない。慶次は日頃の労をねぎらうと見せかけ、利家に対して「風呂が沸いたからどうですか?」と勧める。しかし風呂は沸いているわけでなく水風呂であり、利家を驚愕させた。
これは史実においても実際に実行された慶次のイタズラとされており、本作においてもしっかり描かれている。

利家が慶次を嫌う理由は荒子城の立てこもりの件と嫉妬が理由

利家が慶次を嫌う理由を、慶次が直接利家に問いただしたことがある。すると利家は「荒子城だ」と言う。16年前の話である。前田家の家督が利久から慶次に引き継がれようとしたときに、信長の鶴の一声で、慶次ではなく、利家に引き継がれることとなる。慶次と当時の城代の奥村助衛門は、荒子城を明け渡すまいと、城に立てこもり、信長の書状にも応じず、利久の同意書がないと明け渡さないと宣言する。
荒子城には前田慶次に与する軍勢が多数立て持っていると思っていたが、いざ利久からの書状を到着し、利家の軍勢が城に侵入したところ、城には慶次と奥村助衛門の二人のみだった。見事な偽装工作だったのである。このことに利家は周囲からも笑われ、怒り、いつかは慶次を殺そうと決意するのであった。また他にも理由があり、機転が利き周囲から尊敬を集める慶次に対する嫉妬心の表れでもあったのだ。「俺は一度も好かれたことが無い」と慶次に向って泣き崩れる一幕もあった。

戦国の陰に存在した伊賀・甲賀・加賀忍者

忍者とは諜報活動や破壊活動、棒術、暗殺などを得意とする元たちの総称である。容姿や風貌はそれぞれで、中には町民生活に溶け込んでいる者もいるので、外見で見分けるのは困難である。戦国時代には、忍者の集団である「伊賀忍者」の勢力が最大であった。織田信長の子信雄の軍勢を破るほどの強さを持つが、最後は信長が最大勢力をもって伊賀国を攻め落とすことになる。これを「天正伊賀の乱」と呼ぶ。信長が死んだ後、伊賀の怨念は秀吉に向くこととなる。伊賀忍者の生き残りを従えていたのが、服部半蔵であり、徳川家康に家臣でもある。“半蔵”という名前は代々引き継がれており、慶次と出会ったのは2代目の半蔵で、この時は槍を主に使用する武将でもあった。また元々伊賀忍者であったものの一部が、伊賀流でも甲賀流でもない「無拍手流」という忍術を発展させ、加賀人軍として勢力を持つことになる。前田家に仕えていた忍者がこれである。本作中での棟梁は四井主馬であった。
前田慶次は甲賀忍者の出身でもある。甲賀忍者は薬の扱いを得意とする忍者で、薬を売りながら全国を回っていた。

『花の慶次 -雲のかなたに-』の主題歌・挿入歌

『CR花の慶次』

主題歌:角田信朗「傾奇者恋歌」

パチンコ版の主題歌。15R大当たり中にはこちらの曲が流れる。

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