HYBE（韓国芸能プロダクション）の徹底解説まとめ

HYBE（ハイブ）の概要

HYBEとは、2005年に設立された韓国の総合エンターテイメント企業である。JYPエンターテインメントに所属していた作詞家のパン・シヒョクが独立し、前身となるBig Hitエンターテインメントを設立。当初は会社としての知名度がなく、2013年にデビューしたボーイズグループ「BTS（防弾少年団）」も「売れないアイドル」と言われ、世間からの評判は低かった。しかし他の事務所よりもいち早くSNSを駆使し、「親近感のあるアイドル」としてプロモーション活動を展開してファンを獲得。2017年には日本に「HYBE LABELS JAPAN」を、2021年にはアメリカに「HYBE AMERICA」を設立し、アリアナ・グランデやジャスティン・ビーバーが所属するイサカ・ホールディングスを吸収合併する。数々の合併や買収をしながら徐々に企業規模を拡大し、2021年に社名をHYBEに変更した。
音楽制作やアーティストマネージメントを担うレーベル部門、ビジネスソリューションを提供するソリューション部門、プラットフォームビジネスを展開するプラットフォーム部門からなり、K-POPアーティストたちは主にレーベル部門傘下の事務所に所属している。レーベル部門に所属するのは母体であるBig HitエンターテインメントのほかBIGHIT MUSIC、BELIFT LAB、SOURCE MUSIC、PLEDISエンターテインメント、KOZエンターテインメント、ADOR。またプラットフォーム部門では、韓国の通信会社NAVERとともに、アイドルとファンが交流できるアプリ「WEVERSE」を提供している。

HYBE（ハイブ）の沿革・歴史

Big Hitエンターテインメントの設立

ソウル大学校在学中に作曲家としてデビューしたパン・シヒョクは1996年、以前から交流のあった歌手兼音楽プロデューサーのパク・ジニョンが設立したJYPエンターテインメントに入所。K-POP第一世代の男性グループ「god」のプロデュースを担い成功を収め、パク・ジニョンとともに「ヒットメーカー」として知られるようになる。2005年にJYPエンターテインメントから独立し、HYBEの前身であるBig Hitエンターテインメントを設立した。

JYPと共同でアーティストを輩出

Big Hitエンターテインメント設立後、初めて所属したのは歌手のK.Willだった。2007年にはデビューした男女ユニットの「8eight（エイト）」が、歌対決番組『ショバイバル』で優勝し注目を集める。2010年にはJYPエンターテインメントとボーイズグループ「2AM」を共同経営する契約を締結。「8eight」のイ・ヒョンと「2AM」のイ・チャンミンによるボーカルユニット「HOMME（オム）」も結成したが、Big Hitエンターテインメントとしての知名度はまだ低かった。

「BTS（防弾少年団）」の誕生と大躍進

2010年から全国的なオーディション「ヒップホップオーディション HIT IT」を開催し、2013年にヒップホップグループ「BTS（防弾少年団）」をデビューさせる。大規模プロジェクトだったものの知名度の低さからデビュー当初は全く売れず、CD売り上げが2000枚にも届かなかった。しかし2015年にリリースしたミニアルバム『花様年華 pt.1』が、音楽授賞式MAMAで初めて賞をもらう。当時は3大芸能事務所であるSMエンターテインメント、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメント以外のアーティストの受賞はほとんどなかった。これをきっかけに「BTS（防弾少年団）」は一躍トップスターとなり、Big Hitエンターテインメントの知名度も急上昇する。

他事務所の買収とBig Hit Entertainment Japan設立

「BTS（防弾少年団）」の大成功を受け、エンターテイメント企業としての知名度を得たBig Hitエンターテインメント。業界内での影響力も増し、2019年にはガールズグループ「GFRIEND」が所属するSOURCE MUSICを、2020年にはボーイズグループ「SEVENTEEN」らが所属するPLEDISエンターテインメントや、ボーイズグループ「Block B」の元メンバー・ZICOが設立したKOZエンターテインメントを次々と買収した。また2017年には初の海外拠点として、日本にBig Hit Entertainment Japanを設立した。

HYBEへのリブランディングとアメリカ進出

たくさんの傘下企業を抱えることとなったBig Hitエンターテインメントは、2021年に社名をHYBEへと変更することを発表。HYBEとは創造的な知的資産家を意味する「ハイパーノマド（Hyper Nomad）」に由来しており、社屋も改めて全体的なリブランディングを実施した。また「BTS（防弾少年団）」のアメリカでの成功を受けて、アメリカの拠点としてHYBE AMERICAを設立。ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデが所属するイサカ・ホールディングスを吸収合併させた。

HYBE（ハイブ）の特徴・特色

音楽業界にとどまらない活動

音楽活動だけでなく食品メーカーやゲームとのコラボを積極的に行っている。たとえば「BTS（防弾少年団）」はLINE FRIENDSとコラボし、「BT21」というオリジナルキャラクターをプロデュース。またHYBEが企画・制作したオリジナル漫画『7FATES : CHAKHO』も発売された。他業界とコラボすることで、K-POPに興味のなかった潜在的なファンにアプローチしている。

「10代の青春」が最大のテーマ

多様なレーベルでそれぞれの特色があるものの、一貫して「10代の青春」がテーマになっている。「BTS（防弾少年団）」の初期の楽曲には、「学校三部作」や「青春三部作」と呼ばれるシリーズがある。また「TOMORROW X TOGETHER（トゥモローバイトゥギャザー）」や「NewJeans」などにも、10代の少年少女たちの儚さや青春を描く作品が多い。

HYBE（ハイブ）の代表的な歴代所属アーティスト・タレント

Big Hitエンターテインメント所属

8eight（エイト）

2007年にデビューしたHYBE初の所属アーティスト。女性ボーカルのチュヒと男性ボーカルのイヒョンとペクチャンによるユニットで、ボーカルだけでなくラップもこなす実力派である。デビューの年に歌の対決番組『ショバイバル』で優勝し、知名度を高めた。