バガボンドの武器と奥義・必殺技まとめ
『バガボンド』とは、吉川英治の小説『宮本武蔵』を原作とした、江戸時代初期の剣客宮本武蔵が“日本一の剣士”へと成長していく様を描いた井上雄彦の漫画作品。丁寧な筆致と生々しくも迫力ある物語が高く評価され、第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第6回手塚治虫文化賞マンガ大賞などを受賞している。
実在の剣豪をモデルにした作品であるため、作中には日本の武芸者たちが実際に使用した刀や槍、鎖鎌に杖といった様々な武器とその遣い手、奥義や必殺技が登場する。ここではそれを紹介する。
遣い手:上泉信綱/疋田豊五郎(新陰流)&柳生石舟斎/柳生兵庫助(柳生新陰流)
日本剣術史上、ただ1人「剣聖」と呼ばれた上泉信綱が興した流派。信綱は戦国時代末期に諸国を漫遊しながら見込みのある者たちに「相手を斬り殺すことだけが剣術の可能性ではない」という自身の極意を教え、剣術の新たな可能性を広く世に示した。
後に将軍家指南役となる柳生家も新陰流の薫陶を受けており、有名な“柳生新陰流”という名称も「柳生家が独自の改良を加えた新陰流」を意味している。江戸時代を通じて日本剣術界における最高峰のビッグネームだった柳生家すら“新陰流”の名前を名乗り続けていたことが、翻って信綱が辿り着いた境地の高さを物語っている。
無刀取り(むとうどり)
繰り出される相手の刃を、いわゆる白刃取りの形で受け止める技。上泉信綱が編み出し、柳生の高弟に伝えたとされている。
実際には「繰り出される前に機先を制して相手の刀を抑える」ものだったとする意見もある。
木刀(ぼくとう)
木を刀の形に削り出したもの。多く使われたのは硬くて手に入りやすい樫の木で、刃はついていないがまともに当たれば骨が砕けるほどの威力がある。
武芸者としての極みに達した武蔵は、「どちらも当たれば相手を無力化できるのだから、刀より木刀の方が軽くて速い分強い」と結論して好んで木刀を使うようになった。本作においては武蔵がまだ発展途上ということもあり、主な出番は修行シーンとなっている。
遣い手:宮本武蔵/佐々木小次郎/吉岡伝七郎(剣術諸流派)
物語の舞台となる江戸時代初期、竹刀はまだ普及するどころか今の形のものにもなっておらず、剣術の修練にはもっぱら木刀が用いられていた。
そのため、“作中で修行するシーン”が存在するキャラクターはほとんどが木刀を使用している。下手に当てれば骨が折れ、最悪相手が死ぬこともあるため、剣術の修行はそれ自体が命懸けの行為だった。
武蔵のみ実戦の場で木刀を使うシーンが存在するものの、回数はあまり多くない。
短刀(たんとう)
刃渡り1尺(30cm)ほどの短い刀。戦闘用の武器というより護身用の代物で、当時は女性が持つ護身具の定番だった。
作中では武蔵を追う幼馴染のおつうがこれを懐に忍ばせているが、武芸の心得があるわけではないため、実際に使うシーンはない。日用品として持ち歩く者も少なくなく、武蔵はたびたびこれを使って仏像などを彫っている。
余談だが、武蔵は芸術的なセンスもかなり優れており、彼の造った仏像や絵画は高値で取引されている。
遣い手:おつう(護身術)
武蔵の幼馴染。村を飛び出した彼を追い、様々な人々と交流する。明るく朗らかな性格で、当時もっとも日本一に近い剣豪と目されていた柳生石舟斎(やぎゅう せきしゅうさい)からは孫のようにかわいがられた。
武芸を志しているわけではないため、短刀も護身以上のものではないが、大切なもののためには勇気を振り絞る。謎の侵入者が石舟斎を襲わんとした時は、勝てるわけがないと知りつつ刀を構え、相手を驚かせている。
槍(やり)
長い棒の先に刺突用の刃物を装着した武器。遥かに遠い間合いから攻撃できるため、刀で槍に勝つには相手の3倍の技量が必要だとされている。
携帯には向かないため、戦国時代の終焉と共にあまり使われることはなくなっていったが、技術としては継承されていった。宝蔵院流などが有名。
遣い手:宝蔵院胤栄/宝蔵院胤舜(宝蔵院槍術)
宝蔵院流槍術の創始者。仏門にありながら槍術の修行に励み、戦国末期に「兵法天下一」と称された伝説的武芸者上泉信綱(かみいずみ のぶつな)の薫陶を受けて自身の技術を大成した。
2代目として自身の後を継いだ胤舜にさらなる成長を促すため、一種の当て馬のつもりで武蔵に武の心得を伝授する。その武蔵が胤舜を倒した時は「こうなることも覚悟していた」と涙したが、胤舜が息を吹き返したことで目的を達成する。
十字槍(じゅうじやり)
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目次 - Contents
- 『バガボンド』の概要
- 武器と奥義・必殺技について
- 刀(かたな)/太刀(たち)
- 遣い手:宮本武蔵(二天一流)
- 奥義・必殺技:後の先(ごのせん)
- 遣い手:佐々木小次郎(巌流)
- 奥義・必殺技:燕返し(つばめがえし)
- 遣い手:吉岡拳法/吉岡清十郎/吉岡伝七郎/植田良平(吉岡流)
- 奥義・必殺技:一の太刀(いちのたち)
- 遣い手:上泉信綱/疋田豊五郎(新陰流)&柳生石舟斎/柳生兵庫助(柳生新陰流)
- 無刀取り(むとうどり)
- 木刀(ぼくとう)
- 遣い手:宮本武蔵/佐々木小次郎/吉岡伝七郎(剣術諸流派)
- 短刀(たんとう)
- 遣い手:おつう(護身術)
- 槍(やり)
- 遣い手:宝蔵院胤栄/宝蔵院胤舜(宝蔵院槍術)
- 十字槍(じゅうじやり)
- 遣い手:宝蔵院胤舜(宝蔵院流槍術)
- 鎖鎌(くさりがま)
- 遣い手:辻風黄平(我流)
- 杖(じょう)
- 遣い手:夢想権之助(神道夢想流杖術)
- 投石(とうせき)/印字打ち(いんじうち)