ONE PIECE FILM STRONG WORLD（ワンピース フィルム ストロングワールド）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』（ワンピース フィルム ストロングワールド）の概要

『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』（ワンピース フィルム ストロングワールド）とは、海賊を題材にした少年漫画『ONE PIECE』（ワンピース）を原作とした劇場版。『ONE PIECE』の劇場版第10作品目で、『ONE PIECE』のTVアニメ放送10周年記念作品でもある。公開は2009年12月12日。

『ONE PIECE』の劇場版シリーズで初めて、原作者の尾田栄一郎がシナリオを書き下ろし、製作総指揮を務めて話題になった作品である。主題歌はMr.Children、劇場版オリジナルキャラクターのシキの声を竹中直人が務めた。公開1週間前の時点で、前売り券販売枚数は29万6,449枚を突破。これは当時の東映史上最高記録だった。最終的に前売り券販売枚数は36万3,532枚に上った。公開の全日には予約が可能な全国12館の劇場で公開初日の全上映回・全席が満席になるなど、前例を見ない状態に。公開初日は前日に予約ができないタイプの映画館では長蛇の列ができ、入場制限を設ける映画館も出た。2009年までの『ONE PIECE』の劇場版史上、最大の大ヒットとなり、最終的な興行収入は48億円、観客動員数は約385万人を記録。これは『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』が公開される前まで興行収入トップだった、劇場版第2作品目『ONE PIECE ねじまき島の冒険』（ワンピース ねじまきじまのぼうけん）の30億円を大きく上回る結果だった。

主人公モンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味は、偉大なる航路（グランドライン）を航海中、新聞で東の海（イーストブルー）で奇妙な事件が起きていることを知った。メンバーの半数以上は東の海出身者であり、故郷が心配。ルフィは航海を一旦中止して東の海に戻ることを決めた。ちょうどその頃、ルフィ達の船の上空を一隻の海賊船が飛んでいた。それは悪魔の実「フワフワの実」の能力者・金獅子のシキの船だった。ひょんなことからシキに貸しができた麦わらの一味は、シキの能力で東の海に送ってもらえることに。しかしそれはシキの罠であり、シキの狙いは天才的な気象センスを持つ航海士のナミだった。ナミは攫われ、ルフィを含めた麦わらの一味のメンバーは、シキの能力で空飛ぶ島「メルヴィユ」の各所に吹き飛ばされてしまうのだった。

『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』（ワンピース フィルム ストロングワールド）のあらすじ・ストーリー

動き出す金獅子のシキ

夕暮れに染まる海軍本部マリンフォードで事件が起きた。停泊していた海軍の軍艦がまるで風船のように浮き始めたのだ。その異様な光景を見て、海軍元帥のセンゴクと海軍本部中将のモンキー・D・ガープは顔をしかめる。この異様な光景を実現できる人物に1人だけ心当たりがあったからだ。事件を起こしたのは、シキ。かつて海賊王ゴール・D・ロジャーと渡り合った大海賊だ。

シキは過去、世界政府所有の大監獄インペルダウンに幽閉されたが、自身の足を斬り落とすことで錠を外して脱獄。以来、20年消息不明だった。そのシキが宣戦布告するかのようにマリンフォードに現れて事を起こした。宙に浮いた軍艦は一斉に海に叩き落され、シキはそのまま空を飛ぶ自身の海賊船で去っていった。

攫われたナミ

主人公モンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味は、空飛ぶ島「メルヴィユ」にいた。一味はバラバラ。お互いがお互いを探して、鬱蒼と茂る森や雪が吹きすさぶ山を歩いている。そんな中、麦わらの一味の航海士ナミだけは、城のような建物の中にいた。

遡ること1週間。麦わらの一味は航海中、新聞で東の海（イーストブルー）で起こる奇妙な事件の記事を見た。東の海はルフィ、剣士のロロノア・ゾロ、ナミ、狙撃手のウソップ、コックのヴィンスモーク・サンジの故郷だ。その故郷である東の海で次々と島が消えているという。麦わらの一味が事件について考えていると、空を何かが横切る気配がした。空を見上げると巨大な一隻の海賊船が飛んでいたのだ。麦わらの一味がそれに驚いていると、ナミは突然気象の変化を肌で感じる。巨大なサイクロンが来ることに気がついたナミは、ゴーイング・メリー号の進路を変えるようにルフィに言った。するとルフィはサイクロンが来ることを空飛ぶ海賊船にも教えてやろうと言い出す。ルフィが海賊船に手を降っていると、海賊船からふよふよと巻き貝が降りてきた。それは音声を録音することができる空島の道具・音貝（トーンダイアル）だった。ナミはサイクロンが来る旨を音貝に吹き込む。その内容を聞いた空飛ぶ海賊船は、ゴーイング・メリー号共々進路を変え、無事にサイクロンを逃れることができた。

サイクロンを回避できた後、空飛ぶ海賊船から1人の男が降りてきた。それは悪魔の実「フワフワの実」の能力者であるシキという海賊だった。シキは「フワフワの実」の能力で無生物や自分を自由に浮かせることができた。サイクロンの情報をくれた礼にと、シキは麦わらの一味を自身の城でもてなしたいと言う。しかしルフィはそれを断った。東の海で起こる事件を調べるために、これから東の海へ帰るというのだ。故郷の危機に駆けつけようという心意気を買って、シキは能力で麦わらの一味を東の海へ送ってやると申し出た。一味はそれを喜んだ。

しかしそれはシキの罠だった。シキはサイクロンの接近を肌で感じることができる、天性の気象センスを持つナミを狙っていたのだ。シキはゴーイング・メリー号を宙に浮かせて自身の城がある、空飛ぶ島「メルヴィユ」に連れていくと、ナミを攫い、一味を「メルヴィユ」の島々にバラバラに飛ばしたのだった。

それからナミはシキの城で丁重にもてなされ、バラバラになった麦わらの一味はお互いを探して「メルヴィユ」を彷徨っているのだ。

メルヴィユの冒険

ナミを除く麦わらの一味は、「メルヴィユ」に落とされた時に4つのチームに自然と分かれた。ルフィは1人、ゾロとチョッパー、ウソップとサンジ、考古学者のニコ・ロビンと船大工のフランキー（本名：カティ・フラム）と音楽家のブルックの4チームだ。

ロビン達3人は、「メルヴィユ」にいるクリーチャーと戦いながら、「メルヴィユ」にある要塞のような場所にたどり着く。ルフィは島に生息する凶暴で奇妙な姿をしたクリーチャーに追いかけ回されながら森の中を入りまわっていた。
ウソップ達はクリーチャーとの戦いで誤って島から落下。サンジ達がいた島の下にあった島の湖に落ちたところを、湖のほとりにあった「メルヴィユ」唯一の村の女性に助けられた。
ゾロ達は雪が吹きすさぶ山の中を手懐けたマンモスのようなクリーチャーの背に乗って彷徨っていた。すると雪山でクリーチャーに襲われそうになっていた少女・シャオに出会う。ゾロ達は助けたシャオの案内で村へたどり着くことができた。

ゾロとチョッパーは、シャオを家まで送り届ける。ゾロ達はシャオの母と祖母に礼を言われ、休んでいくように勧められた。そこでゾロ達は、「ダフトグリーン」という植物について知る。「ダフトグリーン」は、動物が苦手な臭いを発しており、クリーチャーを寄せ付けない。村はこの「ダフトグリーン」に囲まれているため安全なのだ。ただ「ダフトグリーン」が出す毒素は人間にも有害で、毒を吸いすぎると「ダフト」という病を発症する。「ダフト」は「I.Q（アイキュー）」という「メルヴィユ」の特定の場所に咲く花からできる薬で治るようだが、「I.Q」はシキが独占しているため薬を作ることができない。シャオの祖母は「ダフト」に侵されており、身体の至るところに緑色の斑点があった。この斑点はやがて身体中に広がり、身体を硬直させ動かなくなるという。シキが独占しているのは「I.Q」だけではなかった。村の男手や若い娘は全てシキの城に召し上げられており、村には子供と年がある程度いった女性しかいない。村人達にとって生活は苦しいものだった。

その頃、ナミはシキの城で仲間になれとシキ達に要求されていた。シキの悪魔の実「フワフワの実」は触れたものを宙に浮かせることができる強力なものだが、サイクロンのように猛烈な暴風雨が弱点である。そこでシキは優れた気象学者を集めたチームを持っていた。しかしその集めた気象学者達よりも遥かに天才的な気象センスをナミが持っている。シキは自身の力を完璧なものにするためにナミを欲しがっていたのだ。当然ナミはシキの申し出を拒否。シキ達が席を外した間に、金獅子海賊団の科学者・Dr.インディゴが「I.Q」から作った「S.I.Q（エスアイキュー）」という動物に戦闘的な進化を促す薬を使って新たに生み出した、雷を発現させることができる鳥・ビリーと共に城から逃げ出した。

シキの城を逃げ出したナミは、森を走り回っているルフィと再会。ルフィとナミはビリーに乗って、空から仲間を探した。すると木々に囲まれた湖のほとりの村を発見する。ルフィ達は村へ降下。そこにはゾロ、チョッパー、ウソップ、サンジがいた。ルフィ達は合流できたことを喜び、ナミはシャオの家で休ませてもらうことになった。

敗れる麦わらの一味

ナミがシャオの家で休んでいると、隣の家にお茶っ葉をもらいに行っていたシャオが慌てて帰ってきた。隣の家のお父さんが帰ってきたのだという。それはシキが「メルヴィユ」を出て”計略の海”へ行くことを意味していた。シキが出ていけば、男達や若い娘達は戻ってきて、また平和な暮らしができる。シャオやシャオの母はそのことを喜んだ。シキはその光景を映像電伝虫で見ながら、「絶望の前には希望を与えておくもんだ。より高い所から落ちる奴の引きつった顔は、格別だろ」とほくそ笑む。この後、シキは村の周りを囲んでいた「ダフトグリーン」を撤去して村を壊滅させる。この時喜びに満ちあふれていた村人はそんなことを想像もしていなかった。

ナミは家の片隅でシャオ達の話を聞いていた。”計略の海”が東の海（イーストブルー）であることも。ナミはそのことを聞いて、先日読んだ新聞記事を思い出した。東の海の島が次々と消えていく事件。事件を起こしたのはシキだったのだ。ナミはそれをルフィ達に知らせようとシャオの家を出る。するとそこにはシキと対峙するルフィ達の姿があった。

ナミが村に逃げ込んだことを知ったシキは、自ら直々にナミを迎えに来たのだ。当然ルフィ達は取り返した仲間をみすみす渡す気はない。麦わらの一味とシキの戦いが始まった。しかしルフィ達5人がかりでもシキを倒すことはできず、ルフィ達はシキが能力で操る土の塊に押しつぶされて気を失ってしまう。その様子を見たナミは、自分がシキの仲間になるから、ルフィ達に手を出さないでほしいと懇願。ルフィ達を守るため、東の海を守るため、ナミはシキと共にその場を去った。

ルフィ達は、村にやってきたロビン達によって助け出された。そしてナミがシキに着いていってしまったことを知る。ルフィは自身の無力さに憤りを感じた。するとそこにシャオが音貝（トーンダイアル）を持ってやってきた。せめて最後の言葉を仲間に残してやれというシキの情けにより、ナミが残した最後の言葉が音貝には入っていた。ルフィ達ではシキに勝てないこと、自分はシキの仲間になるというナミの声を聞き、ルフィは音声を最後まで聞かずに激昂。怒りに身を任せて周りの土壁に当たり散らした。その間にゾロ達はもう一度音声を最後まで聞く。ナミの最後の言葉を聞いて、麦わらの一味は動き出した。

ルフィとシキの最終決戦

シキは”計略の海”東の海へ行くための最終準備に入った。傘下に入りたい海賊を「メルヴィユ」の自身の城に呼び寄せて金獅子海賊団の結成のため、盃を交わす。城にはその総会にふさわしいドレスアップをしたナミもいた。しかしナミは総会に参加せずに、部屋に戻るふりをして、シキの城を囲む「ダフトグリーン」を破壊しようとした。シキはそれを見て、残念そうな顔を浮かべる。ナミは「ダフトグリーン」の近くで毒素を吸い込みすぎて、「ダフト」を発症していたのだ。シキはナミを「ダフトグリーン」のそばに拘束し、置き去りにして総会に戻っていった。

総会に集まったたくさんの海賊の盃に酒が注がれていく。そしてシキが大きな盃を掲げた時だった。突然部下の1人が総会に駆け込んできて、賊が侵入したことをシキに報告した。侵入者はたった8人。しかし城にいる人間には止めることができず、その8人はついに総会に到達した。現れたのはドレスアップして完全武装した麦わらの一味だった。たった8人でナミを取り返しに来たルフィ達をシキを笑う。しかしルフィ達はそんなことに構わず戦闘を開始した。

ウソップとチョッパーはナミを探すようにルフィから指示を受け、城を駆け回って探す。すると城の周りにある「ダフトグリーン」のところにナミがいるのを発見した。そしてウソップ達がちょうど駆けつけた時、ナミはビリーに頼んで「ダフトグリーン」に仕掛けたダイナマイトを爆発させた。「ダフトグリーン」がなくなったことで、安全だったシキの城にも次々とクリーチャーがやってくる。金獅子海賊団 VS 麦わらの一味 VS クリーチャーで城は大混乱に陥った。その後チョッパー達はシキが独占していた「I.Q」を見つけ出し、Dr.インディゴから「ダフト」の特効薬を奪い取る。チョッパーはナミを治療してクリーチャーを作り出していた「S.I.Q」を研究所もろとも爆破した。

ルフィとシキの決闘も佳境に入る。ルフィはビリーの背に乗って空を飛び回りながらシキと戦った。シキは圧倒的な力を持っていたが、諦め悪いルフィは何度でもシキに立ち向かう。やがて決着が着き、シキはルフィに敗れた。シキが気絶したことによって、「メルヴィユ」にかけていた悪魔の実「フワフワの実」の能力が解け、空に浮かんでいた島も全て海に落下した。そこにはシキを捕まえようとする海軍がいたが、麦わらの一味はどさくさに紛れて逃亡に成功した。

ナミの最後の言葉

ナミも取り返すことができ、無事に冒険へと戻った麦わらの一味。しかしルフィは1人怒っていた。ナミが音貝に残した別れの言葉にまだ腹を立てていたのだ。ルフィが1人拗ねたように怒る姿を見て、他のメンバーは呆れた顔をする。ナミの残した最後の言葉を聞けば、そんなふうには怒れないというのだ。ルフィはメッセージの途中で怒り出したため、ナミの言葉を最後まで聞いてなかった。それにナミ本人も呆れる。ワケがわからないといった様子のルフィは、もう一度聞けばいいというゾロの言葉に、それもそうかと音貝を再生した。ナミは恥ずかしいためそれを全力で阻止しようと音貝を奪い、海に投げようとする。しかしそれはウソップに阻まれた。音貝は貴重なために再利用するのだというのだ。最終的にルフィ、ナミ、ウソップで音貝を取り合い、ナミは見事、音貝を海に投げ捨てることに成功した。

ナミが残した最後の言葉は、「これだけ言っておきます……必ず、助けに来て」。ルフィはついにその言葉を聞くことはなかった。

『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』（ワンピース フィルム ストロングワールド）の登場人物・キャラクター

主要人物

モンキー・D・ルフィ

CV：田中真弓

『ONE PIECE』（ワンピース）の主人公の少年。悪魔の実「ゴムゴムの実／ヒトヒトの実 モデル”ニカ”」の能力者。東の海（イーストブルー）ゴア王国フーシャ村出身で、17歳の時に海賊になるために海に出た。海賊王ゴール・D・ロジャーが残した「ひとつなぎの大秘宝（ワンピース）」を手に入れて海賊王になるのが夢。

『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』は、新世界編に入る前最後の長編映画。作中のルフィは17歳で、懸賞金は3億ベリーである。胸の大きな傷がないため、時間軸的にはマリンフォード頂上戦争よりも前ということになる。覇気に関しても未習得の状態だ。

シキに攫われたナミを取り返すために、ロジャー時代の大海賊・金獅子のシキと戦う。

モンキー・D・ルフィ（ONE PIECE）とは【徹底解説・考察まとめ】 - RENOTE [リノート]

renote.net

モンキー・D・ルフィとは、『週刊少年ジャンプ』の大人気海賊漫画『ONE PIECE』の登場人物であり、主人公。左目の下にある傷と麦わら帽子がトレードマーク。「麦わらのルフィ」という異名を持つ。悪魔の実「ゴムゴムの実」の能力者で、全身が伸び縮みするゴム人間である。
海賊王ゴール・D・ロジャーが残した「ひとつなぎの財宝（ワンピース）」を手に入れて海賊王になるという夢を叶えるために17歳で海に出た。そして愉快な仲間達と共に大海原を冒険するのだった。

ナミ