白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT(イクス)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT(イクス)』とは、2019年9月にNintendo Switch・PlayStation 4用ソフトとして、インティ・クリエイツから発売されたアクションゲーム。キャッチコピーは「2DアクションのX(極限)を、見せてやる」。本作は異能を宿した新人類を統括する巨大組織「スメラギ」が支配する世界の中で、主人公の科学者の少年・アキュラが同じ人間の仲間であるコハクたちと共にスメラギに立ち向かう物語を描いている。

CV:伊藤美来

その名の通り分身を作り出す「分身(コンパニオン)」のセプティマホルダー。普段は眼鏡をかけた紺色の軍服の美少女の姿をしており、この時の彼女は凛々しく威厳のある振る舞いをするが、戦闘時になるとRoRoの人間形態に似た機械の歌姫のような姿に変身し、語尾に「★」をつけるなどノリノリではっちゃけた性格に変わる。「エクシア」と呼ばれる人型のエネルギービットや、自分そっくりな分身を作り出して自在に動かし、物量攻撃や撹乱を行う他、ビット操作に長ける「ノーマルモード」、機動力に優れた「アリーナモード」と戦闘スタイルを切り替えて戦う。
自らのセプティマを交えたライブパフォーマンスが好評なアイドルで、翼戦士も含めたセプティマホルダーたちの間ではそれなりの知名度を誇っている。そして翼戦士として働くことでスメラギから様々な面でアイドル活動のサポートを受けており、マイナーズはもちろんセプティマホルダーたちの間でもファンを増やしているRoRoに対しては、「素人バーチャルアイドル」と真っ向から挑発するほど対抗心を燃やしている。

パクト

パクトの人間態(画面左)と変身態(画面右)。どちらの姿でも豪快な性格と戦いぶりは変わらず、得意とする肉弾戦の他にも螺旋エネルギーを用いた範囲攻撃でプレイヤーを圧倒してくる。

CV:田中敦之

螺旋状のエネルギーを操る「螺旋(スパイラル)」のセプティマホルダー。普段は博多弁を喋る屈強な体格と威風堂々とした雰囲気が特徴的な極道風の男だが、戦闘時になると獅子の獣人の戦士を思わせる姿に変身する。その屈強な体格から繰り出される豪快かつ強力な肉弾戦を得意とし、さらに膨大な螺旋エネルギーの奔流によって敵を直接吹き飛ばしたり、攻撃を逸らすこともできる。一見するとシンプルな能力な柄、攻守速全てを兼ね備えたオールラウンダー型のセプティマと言える。
かつてはとあるマフィアの初級幹部だったが、彼の所属するマフィアで内乱が勃発して多くの部下たちが死亡、もしくは逮捕か脱退するという憂き目を見る。そんな中、情に厚い性格で人望を集めていたことから急遽マフィアのトップとして組織の立て直しを図ることになるが、その優れたセプティマに目をつけ、翼戦士として引き込むことを目論んだスメラギの奸計によって自分と共に生き残った部下たちが一斉摘発された。その後、部下たちの無罪放免を条件に翼戦士としてスメラギの命令下で活動している。

『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT(イクス)』の用語

セプティマ

本作の重要なキーワードで、『ガンヴォルト』シリーズにおける超能力「第七波動(セブンス)」に相当する。進化を遂げた新人類が獲得した超能力で、火や風など自然現象を操るものから、肉体を糸に変えるといった超自然的なものまでその現象は多岐にわたる。そのセプティマを有する新人類を「セプティマホルダー」と呼ばれ、彼らの間にも能力差は存在するが、スメラギの管理AI・デマーゼルことアシモフによって平和裏に統治されている。

マイナーズ

セプティマを持たない普通の人間たちの総称で、スメラギからは「旧人類」として世界の秩序を乱す存在と見なされ、そのほとんどが戦闘部隊によって駆逐された。コハクも含めてわずかに生き残った者たちはスラム街などの場所に身を隠して暮らし続けている。

人類進化推進機構スメラギ(じんるいしんかすいしんきこうスメラギ)

本作の重要なキーワードで、セプティマホルダーだけの世界を目指し、マイナーズ掃討を掲げる組織。名目上は個人団体だが、国に対する影響力の大きさから往々にして政府や国家と同一視されている。国民の中でも強力なセプティマを有した者と見なせば、リベリオ、クリム、パクトのような犯罪者であっても徴兵し、従軍させている。

翼戦士(よくせんし)

国民の中でも特に優秀なセプティマホルダーから、スメラギによって無作為に徴兵されたエリート戦闘部隊の総称。スメラギから渡された羽根ペンを持って「コントラクト」という言葉と共にスイッチを押し、羽根ペンから放たれたエネルギーを纏うことで普段以上に強力なセプティマを扱える戦闘形態に変身することが可能。

『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT(イクス)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

本作に再登場した最強最悪の敵・アシモフ

ラストバトル前で語られるアシモフの過去の回想シーン。このシーンは初代『ガンヴォルト』のノーマルエンドのものでもあり、アシモフは自らの理想を受け入れなかったという理由で、部下であるガンヴォルト(画面中央)と彼に懐いていた少女シアン(画面左)を容赦無く処断した。

『ガンヴォルト』シリーズの1作目のラストで、ガンヴォルトに対して裏切りを働くと共にシアンをその手にかけるという暴挙に出て、その後に真のラスボスとしてガンヴォルトと最後の戦いを繰り広げたことで、本作及び『ガンヴォルト』シリーズで有名になったアシモフ。無能力者を淘汰し、能力者だけの世界を作るという歪んだ思想とそれを実現するために手段を選ばない冷酷非道ぶりと、真のラスボスの立ち位置に恥じない圧倒的な強さを見せつけた彼が、本作で黒幕兼ラスボスとして再登場したことに驚いたプレイヤーたちは数多い。

アシモフによってダークなものとなった世界観とキャラクターの扱いの悪さ

バタフライエフェクト戦前で、バタフライエフェクト(画面右)という悲しくも恐ろしい洗脳装置に作り替えられたミチルがアキュラに光の文字で訴えかけるシーン。このシーンに衝撃を受け、涙を誘われたプレイヤーたちは多い。

本作の特筆すべき特徴として、舞台が『ガンヴォルト』1作目のノーマルエンド(アシモフにガンヴォルトとシアンが殺される)から100年以上経過した世界であるという。かつてこの世界のスメラギは、能力者(セプティマホルダー)と無能力者(マイナーズ)の融和を掲げていたが、アシモフに完全掌握されてから弾圧に走るようになった。そしてアキュラはミチルを救うため、全身をサイボーグに改造しており、100年以上経っても容姿が全く変わっていない。
一方のミチルはアシモフに攫われて人体改造され、巨大な脳みその怪物という哀しくも恐ろしい外観のボスとなってアキュラに襲いかかる。しかしそれでもなおミチルとしての意識は辛うじて残っていて、アキュラとの接敵時には「アキュラクン ワタシヲ コロシテ」と懇願してくる。そのあまりの悲惨な変わりようには、本作はもちろん『ガンヴォルト』シリーズのファンの多くがショックを受けることとなった。

こうしてアシモフがスメラギを乗っ取ったことで、死亡したままのガンヴォルトとシアン、哀しい姿の怪物へと変えられたミチルなど扱いが悪いキャラクターが多い。さらにアシモフの無能力者への弾圧と支配によって世界が荒廃するという、ダークで絶望感溢れる世界観が本作のストーリーにおける最大の特徴となった。しかし、そんなアシモフの弾圧と支配に苦しみながらも抗い続けるコハクたちや、困難に打ちひしがれようとも戦いを続けるアキュラの姿は、プレイヤーも含めた本作のファンから高い評価を得るものとなっている。
特にアキュラに関しては、100年もの月日の間、コハクたちに会うまでは仲間がRoRoしかいないという『爪』以上に苦しい立場に立たせられていながらも、迷いは一切見せず、自分をRoRoと共に受け入れてくれたコハクたちのために奔走した。そして、ラスボスとして再び対峙したアシモフには、積もりに積もった感情を一気に爆発させて「妹もブレイドも貴様の道具ではない」「貴様のようなバケモノに人の世を生きる資格はない」と啖呵を切る姿が好評を博した。

初代『ガンヴォルト』の真エンディングでもたらされた幸福

初代『ガンヴォルト』でアシモフを倒した際に見られるトゥルーエンディングでのシーン。望まざる激闘の末にかつての師であるアシモフに引導を渡し、その凶行に終止符を打ったガンヴォルト(画面中央左)は、「電子の謳精(サイバーディーヴァ)」という新たな姿を得たシアン(画面中央右)と共にどこかへ旅立っていった。

前項で記載したストーリーの特徴を踏まえると、本作における世界が、セプティマホルダーたちによってマイナーズたちが老若男女問わず虐殺される悪夢のようなディストピアとなったのは、とどのつまりアシモフのせいという訳である。こうしたことから1作目の真のエンディングで、組織のリーダーとして、能力者の師匠として信じていたアシモフの本性を知り、葛藤しながらもガンヴォルトがアシモフを討つことでその暴挙を止めたことで、アキュラやミチルも含めた無能力者、そしてジーノやモニカら他の能力者の未来が守られた事実が理解できる。
そして『爪』のエンディングにおいて、多国籍能力者連合エデンという新たな敵やガンヴォルトとの戦いを経て、アキュラは自分が父の教えを盲信してきたあまりにどれだけ歪んだ存在になっていたかを自覚した。しかし、今までの自分を変えることはできず、自分がやってきたことも帳消しにはできないと割り切ると共に、せめて妹だけでも幸せな人生を送ってほしいという願いから、敢えてミチルの前から姿を消すという悲愴だがある種のハッピーエンドを迎えることができている。

『ガンヴォルト』シリーズ3作目でも隠しボスとして再登場

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