蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環(ギブス)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環(ギブス)』とは、2022年7月28日にNintendo Switch用ソフトとしてインティ・クリエイツから発売された、ライトノベル2Dアクションゲーム。キャッチコピーは「求めた希望(あした)の、その先へ」。「第七波動(セブンス)」と呼ばれる超能力を持つ主人公の少女・きりんが、同じ超能力者たちの中でも最強と呼ばれた少年・ガンヴォルトと出会い、各地で勃発する能力者たちの暴走と、その裏で動き出した組織・ATEMSに立ち向かう物語を描いている。

『蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環(ギブス)』の概要

『蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環(ギプス)』とは、『ロックマン』シリーズなどで知られる稲船敬二とインティ・クリエイツのコラボレーションによる新規IPの2D横スクロールアクションゲーム『蒼き雷霆 ガンヴォルト(以下、ガンヴォルト)』シリーズの第3作に相当する作品で、前作『蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪(ソウ※以下、爪)』から6年の時を経て発売された。『ガンヴォルト』シリーズは、SF系ライトノベル調の世界観と、目まぐるしく入れ替わるスピーディーな攻防とコンボの爽快感がセールスポイントとして掲げられており、本作のゲームシステムにおいてもそのセールスポイントが活かされている。
そして本作は『ガンヴォルト』シリーズの集大成的なお祭り作品とされており、その理由で本作の大きな魅力として、後項で記載するゲームシステムのひとつ「イマージュパルス」があり、本作に登場するガンヴォルト、きりん、ZEDΩ、モルフォも含めたシリーズキャラクターを召喚して攻撃や回復などの支援を行わせるものとなっている。その他にもアップデートコンテンツに、メラク、テセオ、紫電、アシモフといったシリーズのボスキャラとの再戦、本作の敵役であるZEDΩを主人公としたATEMSエピソードなど、多くのファンの注目を集めるお祭り作品としての要素が盛り込まれている。

本作の発表自体は2020年6月27日に開催されたイベント『Bitsummint Gaiden』で行われたが、新主人公であるきりんのアクション関連のゲームデザイン及び調整にかなり難航していた。同時期に『ガンヴォルト』シリーズの外伝作品である『白き鋼鉄のX2』の開発が並行し、本作の製作陣がそちらに回されるなど、制作に予定よりも大幅な時間を費やすことになった。そのため、初報ではプラットフォームもNintendo Switchのみとなり、後にXbox版、PlayStation 4とPlayStation 5版の発売も決定され、前者は8月2日、後者は2022年12月15日に発売された。

『蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環(ギブス)』のあらすじ・ストーリー

第一部:きりんとガンヴォルトの出会い

ガンヴォルト(画面左)の力の暴走を「鎖環(ギブス)」の能力で抑えるきりん(画面右)。彼女のこの能力により人の姿と心を取り戻したガンヴォルトは、再び戦いの場に立つことになる。

とある近未来のこの時代、「第七波動(セブンス)」と呼ばれる超常現象を自在に操る特殊な能力に目覚めた人間、第七波動能力者が生まれるようになった。その能力者たちで結成された多国籍能力者連合「エデン」が、無能力者、すなわち人間の殲滅を目論んで世界全体を舞台に抗争を巻き起こしたが、電撃を自在に操る最強と名高い第七波動「蒼き雷霆(アームドブルー)」の能力者・ガンヴォルトとその仲間たちによって阻止され、エデンは壊滅する。
しかし、そのエデンとの激しい戦いを経て自らの能力が急激に成長し、ガンヴォルトは「暴龍」と呼ばれる怪物めいた高次の存在へと覚醒してしまう。暴龍として凄まじくなった電気エネルギーを自分では制御しきれず、そして仲間を傷つけてしまったことを痛烈に後悔したガンヴォルトは、自らの意思で仲間の元を去る。その矢先ガンヴォルトの暴龍のエネルギーに、能力者の研究を行う超巨大企業「皇神グループ」が目をつけ、彼に接触を図ってきた。

ガンヴォルトは、自らの電気エネルギーを皇神グループに提供して、皇神グループが経営する電力会社を通して人々の生活を支えるエネルギー事業に協力することを引き換えに、「宝剣」と呼ばれる第七波動を制御する特殊な剣によって自らの暴走を抑えてもらうことになった。そうしてガンヴォルトが歴史の表舞台から姿を消して10年、人々は平和な生活を送っていたが、ある時、ガンヴォルトと同じく暴龍と化した能力者たちが次々と各地に現れ、暴れ始めるという異常事態が発生し、この事態を重く見た皇神グループと対をなす影の組織「裏八雲」が活動を開始する。
裏八雲は事態の調査のために、組織の実働部隊「戦巫女」のひとりである、封印の第七波動「鎖環(ギブス)」の能力者の少女・きりんを皇神グループの研究施設へと向かわせる。きりんはその研究施設に乗り込み、地下に大量の宝剣で封印されていた暴龍ガンヴォルトを発見した。封印を破って暴れ出した暴龍ガンヴォルトと激闘を繰り広げ、ギブスの能力で力を押さえつけたことで彼を人間の姿へと戻す。そうして正気を取り戻したガンヴォルトに、きりんは「アンタには、これから起きる事態の責任を取ってもらうよ」と言ったのだった。

第二部:暴龍と化した能力者たち

きりんによると、各地で暴龍となった能力者たちは、ガンヴォルトが皇神グループのエネルギー事業に提供していた電気エネルギーから出ている「龍放射」と呼ばれる特殊な波動が覚醒の原因になっているとのことだった。さらについ最近、きりんが所属する裏八雲の占術師が「暴龍と、暴龍を生み出し統べる王が現れる」という予言を出し、きりんはこの予言も踏まえてガンヴォルトが各地の暴龍化とは無関係だとは言い切れないと言った。
ガンヴォルトはきりんから告げられたこの現状に困惑しながらも、各地で勃発する暴龍化現象を食い止めるべく彼女に協力を決意。それからガンヴォルトはきりんと自らの能力の応用技で、過去に共に戦い、倒れた仲間である、歌の属性の第七波動「電子の謡精(サイバーディーヴァ)」の化身である少女・モルフォを復活させた。

そしてモルフォの協力を得たガンヴォルトときりんは、各地で遭遇したB.B.、シロン、レクサス、カミオムといった暴龍化した能力者たちを倒し、正気に戻していくと共に仲間に迎え入れていく。しかしその能力者たちとの戦いの最中、見慣れないひとりの褐色肌の少女が現れ、モルフォと同じ歌の力で能力者たちの暴走をさらに加速させて力を引き出させては消えていくという不可解な事態を目の当たりにするのだった。

第三部:強敵・ZEDΩとの邂逅

ZEDΩ(画面中央)の初登場シーン。ガンヴォルトの「蒼き雷霆(アームドブルー)」と並ぶ最強と名高い第七波動「金色の黎明(ゴールドトリリオン)」はもちろん、いつも側に付き従う少女・レイラ(画面中央左)の第七波動「電子の踊精(サイバージーン)」による歌の干渉でガンヴォルトときりんたちを苦しめる強敵として君臨する。

突如、国外から大量のミサイルが飛来してきたという緊急の知らせがもたらされる。ガンヴォルトたちがすぐさま対応に赴くと、そのミサイルは、ミサイルを改造して作った巨大な輸送機であり、内部には武装した能力者たちの戦闘員が乗り込んでいた。さらなる予想外の展開に困惑しながらも、ガンヴォルトたちは襲いかかってくるその戦闘員たちを撃退しながら輸送機をひとつずつ制圧していく。そんな中、「こんなところまでお出迎えとは…いやはや、恐れ入るなぁ」と、青年の声が空から聞こえてきた。
ガンヴォルトたちが空を見上げると、そこにはひとりの赤い髪の青年と、黒いフード付きのパーカーを羽織った少女が浮かんでいた。青年が空に向けて手をかざすと、突然太陽が現れて辺りを眩く照らす。それに驚きを隠せないガンヴォルトたちに青年は微笑みながら「なかなかのモノだろ?オレの第七波動」と、言った。そして青年は自らをZEDΩ(ジエド)と名乗り、海外の能力者たちの武装組織「ATEMS」のリーダーだと告げた。

太陽を作り出したZEDΩの第七波動は「黄金の黎明(ゴールドトリリオン)」といい、核融合のエネルギーを人為的に生み出し、自在に操るというものだった。さらにZEDΩと一緒にいる黒いパーカーの少女・レイラも第七波動の能力者で、暴走能力者との戦いで乱入してきた褐色肌の謎の少女は、レイラの第七波動「電子の踊精(サイバージーン)」の化身・ルクシアだった。そしてZEDΩは暴龍化の調査のために、あえてルクシアの歌の力で能力者たちの暴走を再発させていたことを不敵な表情で告白した。
そんなZEDΩの不敵さに気色ばんだガンヴォルトたちは、ZEDΩに勝負を挑んだが、ゴールドトリリオンはもちろん、ZEDΩの強さは想像を上回るもので、全く歯が立たない。一方、この戦いでガンヴォルトたちの実力を見れたことに満足したZEDΩは「ここで目的を明かしても構わないけど、あとで邪魔をされても困るしな…。ま、いずれキミらにも解るよ。それじゃ、また!」と爽やかで不敵な笑いを浮かべながら、レイラと共に飛び去っていった。

第四部:ATEMSとの激戦

ZEDΩとの邂逅と初戦の後、各地にATEMSの部隊が現れ、その付近の皇神グループの施設で破壊活動を行っているという急報が寄せられる。ATEMSの部隊が現れた4つの場所を確認したきりんは、顔色を変えた。きりんによるとATEMSの部隊が現れた4つの場所には「封鍵」と呼ばれる、強大な力を秘めた宝剣の原型が封印されており、ATEMSはその封鍵を狙っていると悟った。ガンヴォルトたちはすぐさま封鍵が封印された4箇所へと急行するが、そこでATEMSの部隊と共に待ち受けていたのは、ATEMSナイツと呼ばれるZEDΩ直属の精鋭である女性能力者たちだった。
そのATEMSナイツのグラツィエ、システィナ、サーペンタイン、プラドと激闘を繰り広げ、彼女らを一度は退けるガンヴォルトたちだったが、その激闘も虚しく封印されていた4つの封鍵全てを奪われてしまう。直後、都市全体にルクシアの歌が響き渡り、「太陽宮」と呼ばれる巨大な城が出現し、さらに各地で次々と能力者たちが昏倒させられていくという異常事態が連続して発生する。ガンヴォルトたちはこの事態から太陽宮でZEDΩらATEMSたちが何かを行おうとしていると察し、太陽宮へと乗り込んだ。

第五部:暴龍の王メビウス

メビウスに最後の抵抗として体を奪われてしまうガンヴォルト。そしてメビウスによって能力を極限まで引き出され、暴走してしまったガンヴォルトを止めるべく、きりんは激しく葛藤しながらも彼に剣を向けることになる。

太陽宮にてガンヴォルトたちはATEMSナイツをはじめとした多くの敵を倒していき、その太陽宮の最上階でついにZEDΩと対峙する。そこでガンヴォルトたちは、ZEDΩのそばに巨大な竜の赤子のような存在がカプセルに入っていて、さらにその周りに奪われた封鍵も含めた大量の宝剣が浮かんで、何らかの封印を施しているのを見た。カプセル越しに竜の赤子から放たれる龍放射に、ガンヴォルトたちは気圧されそうになる。ZEDΩはこの竜の赤子を「暴龍の王メビウス」と呼び、数多の未来を予知して選択する第七波動「無限の星詠(アストラルオーダー)」を持っていると言った。
今はこうして封鍵も含めた大量の宝剣による封印で押さえつけているものの、メビウスの龍放射はガンヴォルト以上に強力で、もしも封印が解けて覚醒することがあったら世界中は暴龍に覆い尽くされ、破滅してしまう。だからこそZEDΩはメビウスを覚醒させないまま自分たちで制御するという目的を明かし、レイラのサイバージーンならば覚醒前でもメビウスに干渉してアストラルオーダーの舵取りができると語った。

そしてZEDΩは、メビウスを制御できたとしても世界中の能力者たちの多くが暴龍となる未来は避けられないが、少しでも理想的な未来を得るために自分たちでアストラルオーダーを正しく使うと言い切った。これにガンヴォルトは「メビウスの自由は奪われ、都合よく利用されるだけだ!」と、きりんは「ひとりのエゴで未来の決まる世界なんてあっちゃいけない。アンタがメビウスでより良い世界を作ったとしても、その世界が他人と相容れることなんてない!」と叫び、ZEDΩの野望を阻止するべく彼に決戦を挑んだ。
その熾烈極まりない決戦の末に、ガンヴォルトたちはついにZEDΩを降すことに成功するが、同時にメビウスが覚醒して内側から封印を破り、暴走を始める。ガンヴォルトたちは休む暇もなくメビウスを止めるべく更なる戦いを挑み、メビウスの圧倒的なパワーに捩じ伏せられそうになりながらも撃破に成功する。そしてきりんがメビウスを封印しようとした瞬間、なんとメビウスはガンヴォルトに取り憑き、彼の体を奪って最後の抵抗をしてきた。

エンディング:別れと新たな戦い

エンディングでの、暴龍を止めに戦いへと繰り出していくきりんのカットイン。命懸けでメビウスを抑えて姿を消したガンヴォルトの思いに応えるため、今の世界を守るために生きて戦い続けることをきりんは誓う。

メビウスに体の自由を奪われ、きりんを襲ってしまうガンヴォルト。きりんは望まざる戦いを強いられながらも、ガンヴォルトもろともメビウスを降し、ガンヴォルトから分離されたメビウスにギブスでの封印を施す。すると、ガンヴォルトとメビウスが同時に青く輝き出し、そのままどこかへ飛び去っていってしまった。そうして太陽宮での戦いは終わって世界の危機は去り、ZEDΩもATEMSをまとめて海外へ去ってから数週間が経つが、メビウスと共に飛び去っていったガンヴォルトの行方は未だわかっていない。
その後、メビウスが覚醒した余波を受けて各地で暴龍が現れ続けるようになり、きりんはB.B.、シロン、レクサス、カミオムと共にこの対処に追われる日々を送っていた。きりんは胸の中でガンヴォルトに「アンタと紡いできたこの絆、無駄にしないから…!この世界、必ず未来へと繋ぎ止めてみせる!私のギブスで!」と、語りかけ、幾度目かわからない戦いに力強い笑顔で赴いていった。

『蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環(ギブス)』のゲームシステム

キャラクターチェンジ

本作のゲームシステムは、主人公・きりんと、『ガンヴォルト』シリーズの主人公であるガンヴォルトを切り替えて戦うのがメインとなっている。

鎖環(ギブス)ゲージ

画面左上に表示されたパーセンテージ付きのゲージが「鎖環ゲージ」。きりんで戦っている時に少しずつ溜まっていき、100%越えたところで操作キャラをガンヴォルトに変更できる。

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