白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT(イクス)のネタバレ解説・考察まとめ

『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT(イクス)』とは、2019年9月にNintendo Switch・PlayStation 4用ソフトとして、インティ・クリエイツから発売されたアクションゲーム。キャッチコピーは「2DアクションのX(極限)を、見せてやる」。本作は異能を宿した新人類を統括する巨大組織「スメラギ」が支配する世界の中で、主人公の科学者の少年・アキュラが同じ人間の仲間であるコハクたちと共にスメラギに立ち向かう物語を描いている。

『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT(イクス)』の概要

『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT(イクス)』とは、『ロックマン』シリーズなどで知られる稲船敬二とインティ・クリエイツのコラボレーションによる新規IPの2D横スクロールアクションゲーム『蒼き雷霆 ガンヴォルト』(※以下ガンヴォルト)シリーズの外伝に相当する作品である。そして本作の最大の特徴は『ガンヴォルト』シリーズのライバルキャラで、同シリーズの2作目に相当する『蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪(ソウ)』(※以下爪)にてもうひとりの主人公として登場したアキュラが本作のメインキャラクターを務めていることと、同シリーズの1作目で主人公のガンヴォルトが死亡するエンディングから分岐したifストーリーとなっていることにある。
ちなみに本作では『ガンヴォルト』シリーズで行われていた、ステージ作中で能動的に流れる主人公も含めたキャラクターとの会話「ライブノベル」が廃止されており、その代わりとして本作のメインキャラクターのひとりであるRoRoがプレイヤーの行動に音声で反応するようになっている。そして、『ガンヴォルト』シリーズ恒例のスコアシステム「クードス」が1000ポイントに達した時に歌唱するギミックで、新たなシステム・オーバードライブモードの効果によってよりさらに高得点のスコアを狙えるようになった。また、2022年1月27日には続編である『白き鋼鉄のX2』が発売された。

『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT(イクス)』のあらすじ・ストーリー

第一部:人類の希望アキュラ

スラム街を見下ろすアキュラ(画面右)とRoRo(画面右奥)。ふたりは既にこのスラム街も含めた世界各地でマイナーズがスメラギの掃討を受ける光景を見てきた。

いつかの近未来のその世界は、「セプティマ」と呼ばれる異能の力を宿し、高度に発達した新人類「セプティマホルダー」に支配されていた。一方で異能を持たない者たちは「マイナーズ」と呼ばれる旧人類の蔑称にして烙印をつけられ、セプティマホルダーの社会の中枢である巨大組織「人類進化推進機構スメラギ」によって見つかり次第、殺処分される運命に追いやられていた。そんな中、とあるスラム街と、その遠くに見えるセプティマホルダーの住む煌びやかな街を、ひとりの白い鋼鉄の鎧に身を包んだ少年・アキュラと、その相棒であるサポートメカ・RoRoが見下ろしていた。
アキュラはRoRoと共に世界各地でスメラギと戦い、殺されそうになっていたマイナーズたちの多くを救っていたことから「白き鋼鉄のX(イクス)」という名前で英雄視されるようになっていた。そしてアキュラは、行き着いたとあるスラム街で生き残っていたマイナーズを探していたところで、セプティマホルダーで構成されたスメラギの実働部隊と、それを統率する雷撃の異能使いである仮面の女剣士・ブレイドと遭遇する。アキュラとRoRoは実働部隊を蹴散らすが、ブレイドの圧倒的な強さに追い込まれる。そのピンチを救いに現れたのが、コハクと名乗るマイナーズの少女だった。

第二部:マイナーズの子供たち

コハク(画面中央)、キョウタ(画面左)、ジン(画面右)、マリア(画面中央右)の初登場シーン。アキュラとRoRoは彼女らを守るのと引き換えにこの隠し拠点を生活の場として借りることになる。

アキュラとRoRoは、コハクによってスラム街の地下にあるマイナーズの隠し拠点に案内される。そこにはキョウタ、ジン、マリアの3人の子供が住んでおり、コハクはこの隠し拠点は自分たちのもので、さらに先ほど見たスラム街での戦いから、アキュラが白き鋼鉄のXだと思っていると言った。そこでコハクは、アキュラとRoRoが自分たちを守ってくれるのなら拠点を提供すると話を持ちかけると、アキュラはその話に応じ、コハクたちと共にこの隠し拠点に住みながら、スメラギとの戦いに臨んでいくのだった。
アキュラとRoRoは、スメラギが刺客として差し向けたセプティマホルダーのリベリオ、クリム、インテルスと戦い、これらを倒してコハクたちの生活物資を確保しながら、スメラギが秘匿している「バタフライエフェクト」と呼ばれる装置の情報を入手する。しかしそんな中、コハクが突然病気で倒れてしまい、この病気を治せる薬が隠し拠点にはないことから、アキュラとRoRoはすぐさまセプティマホルダーの住む街にあるメディカルセンターへと向かった。

第三部:バタフライエフェクトへの道

メディカルセンターで待ち受けていたメカの猛攻を掻い潜り、薬を見つけたアキュラとRoRoだが、そこにブレイドが再び現れる。問答無用で戦いを挑まれるアキュラとRoRoは、激闘の末にブレイドを一度は撃破するも、撃破された直後にブレイドが凶暴化し、凄まじいパワーで暴れ回ってくる。これにまた窮地に立たされるアキュラとRoRoだが、彼らが戦いの中でふと口にしたコハクの名前を聞いてブレイドが突然動きを止め、コハクの名前を叫び出す。突然の事態の急変に驚きながらも、ブレイドが錯乱する隙をついてアキュラとRoRoは薬を入手し、すぐさま隠し拠点に持ち帰ってコハクを回復させたのだった。
その後、スメラギがさらに差し向けてきた刺客のセプティマホルダーのイソラ、ダイナイン、パクトを激闘の末に打ち倒し、彼女らが持っていたスメラギの重要データからついにバタフライエフェクトの居場所を掴む。世界各地で苦しめられるマイナーズを救うことと合わせて、スメラギと戦う理由となっていたバタフライエフェクトの道が開けたことを確信するアキュラとRoRo。しかしその時、隠し拠点の外から物凄い衝撃音が響き、ジンが慌てた様子で敵が攻めてきたと叫んできた。

第四部:デマーゼルの殲滅宣言

アキュラとコハクたちが外に出ると、セプティマホルダーの住む街を除いた世界の各所に、巨大なRoRoを模した歩行戦車が現れ、マイナーズたちへの攻撃を開始したところだった。そんな中で、どこからともなく「全テノ マイナーズ ドモニ 告ゲル。ワタシハ スメラギノ 全統括管理AI デマーゼル」と、無機質な声が響き渡ってきた。その声の主で、スメラギの管理AIを名乗るデマーゼルは歩行戦車を世界各地へ送り込み、これでマイナーズを殲滅することを宣言する。そしてアキュラたちの元に現れた歩行戦車も、アキュラたちを捕捉すると共に容赦ない攻撃を仕掛けてきた。
その歩行戦車を撃破したアキュラとRoRoだが、世界中に投入されたからこそすぐに次の歩行戦車が来ると踏んで、バタフライエフェクトの居場所として浮上したスメラギの本部ビルへ乗り込むことを決意する。そして、その本部ビルの地下に存在するデマーゼルの本体を破壊することをコハクたちに打ち明けると、コハクたちはこの隠れ拠点もスメラギに捕捉され、もう逃げ隠れもできないことを悟り、危険を承知でアキュラとRoRoに協力を申し出た。

第五部:スメラギ本部ビルの決戦

スメラギ本部ビル地下での3度目の対決の末にアキュラたちによって倒され、さらにアキュラが戦いの最中に落としたコハクのペンダントを見て、ブレイドは正気を取り戻した。

コハクたちが決死の覚悟で囮作戦を行ったことで、スメラギ本部ビルに潜入することができたアキュラとRoRo。その本部ビルの地下基地で待ち受けていた大量の敵を蹴散らして、基地最深部へと到達したアキュラとRoRoの前に立ち塞がったのは、凶暴化したブレイドだった。凄まじい戦いを繰り広げて再びブレイドを撃破するが、ブレイドは凄まじいパワーで立ち上がり、襲いかかってくる。しかしその時、コハクが作戦開始前にアキュラにお守りだと渡したペンダントを見て、ブレイドが突然暴走を止め、正気に戻ったのだった。
ブレイドの正体は、コハクの生き別れの実の姉だった。彼女もかつてはマイナーズのひとりだったが、スメラギの襲撃から妹たちを守るために身を挺して囮となり、逆にスメラギに捕らえられると共にデマーゼルによって改造手術と洗脳を受けさせられた。洗脳されていたとはいえ多くのマイナーズを手にかけてしまったことを悔やむブレイドに、アキュラはコハクが生きていることを伝えた。そして「後悔しているヒマがあったら、早く仲間の元に戻るんだな」と言い残し、RoRoと共に基地の奥へ向かった。

第六部:バタフライエフェクトの正体

バタフライエフェクト(画面右)の元に辿り着いたアキュラ。実はこのバタフライエフェクトの正体が、『ガンヴォルト』シリーズに登場したアキュラの妹・ミチルであることを知って愕然となったプレイヤーたちは多い。

アキュラとRoRoは、これまでに戦ってきた刺客たちの幻影を突破して、ついにバタフライエフェクトの保管区画へと辿り着く。アキュラとRoRoが目にした、セプティマホルダーを全世界規模で監視し、コントロールする装置であるバタフライエフェクト。その実態は、1つの人間の脳を生体パーツとして組み込んで稼働しているという悍ましい外観の巨大な装置だった。その装置を見て、アキュラはぽつりとこう呟いた。「ようやく見つけた。ミチル…オレの、たったひとりの妹…」バタフライエフェクトに組み込まれた脳は、なんとアキュラの生き別れの妹であるミチルの脳だった。
アキュラの妹のミチルは、今から100年ほど前にスメラギに連れ去られてしまった。アキュラはスメラギに連れ去られたミチルを救うため、自身の身体をサイボーグに改造してまで100年もの月日をスメラギとの戦いに費やしていた。そして現在になり、ミチルがバタフライエフェクトと呼ばれる装置としてスメラギに利用され続けていることを知ったアキュラは、RoRoと共にこのバタフライエフェクトを追い続けていたのだ。「アキュラクン。ワタシヲコロシテ」と、壁に光の文字を浮かび上がらせてきたバタフライエフェクトことミチルに向けた銃の引き金を、アキュラは静かに引いたのだった。

第七部:全ての元凶アシモフ

バタフライエフェクトを破壊し、100年もの月日の中でスメラギの傀儡として使われ続けたミチルの長い悪夢を終わらせたアキュラとRoRoは、デマーゼルが存在する基地中枢へと辿り着いた。その中枢で待っていた、黒いコートに身を包んだ男を見てアキュラとRoRoは目を疑った。その男の名前はアシモフ。100年前、スメラギと敵対していたセプティマホルダーの武装組織「フェザー」のリーダーで、そのスメラギとの戦いの最中でアキュラとも一戦を交え、手傷を負わせたことから、彼にとって因縁深い人物となっていた。
100年ぶりの因縁の再会を喜びながら、アシモフは自らがデマーゼルだと打ち明けた。100年前のスメラギとの戦いの後、アシモフは自分に代わってスメラギの指導者である紫電を打倒してくれた自らの部下であるガンヴォルトと、彼に懐いていた強いセプティマホルダーの少女シアンを、セプティマホルダーたちの指導者に仕立てて裏から操り、世界を作り直そうとしていた。だがそれを知ったガンヴォルトに拒否されたアシモフは、彼をシアン共々用済みとしてあっさりと殺害し、紫電を失ったことで混乱しているスメラギに付け入り、掌握することに成功した。

そして100年もの月日の中、自らの肉体が死期に近づいていることを悟ったアシモフは、自らのセプティマ「蒼き雷霆(アームドブルー)」が生み出す膨大な雷撃のエネルギーを利用して自らの肉体を電脳へと変換し、それ以降は管理AI・デマーゼルと名乗ってスメラギを通しての世界の支配を続ける。その支配をより強固なものとするべくアシモフは、捕らえたブレイドとミチルをスメラギの実働部隊の指揮官とバタフライエフェクトにそれぞれ作り替えて、マイナーズを殲滅し、セプティマホルダーだけが生きる世界を築こうとしてきたのだった。
その狂気と独善に満ちたアシモフの野望を聞かされ、アキュラとRoRoは怒りに燃える。だがアシモフはそんなふたりを嘲笑いながら、新たに得た自らの姿を曝け出す。それは青白く輝く雷の魔人であり、アシモフは自らを電脳へと変じることで得たこの姿こそが全てのセプティマホルダーの守護者・デマーゼルだと豪語する。「ホトバシレ アームドブルー…。旧時代ノ遺物 清浄ナル蒼キ雷デ 浄化セシメヨッ!!」と言い放つアシモフに、「なにが浄化だ…バケモノふぜいが…!貴様のようなバケモノに、人の世を生きる資格はないッ!!」とアキュラは吠えて、最後の決戦を挑んだ。

エンディング:生還

デマーゼルの本体を破壊し、再会したブレイドと共に力尽きたアキュラとRoRoを抱えて脱出してきたコハクと、コハクたちの無事を喜んで駆け寄るキョウタ、ジン、マリア。まさに感動のエンディングと呼ぶに相応しいシーンである。

大激闘の末にアシモフを打倒するアキュラとRoRoだが、アシモフは最後の悪足掻きに渾身の雷撃をふたりに浴びせてきた。その渾身の雷撃を受けて深手を負い、倒れるアキュラとRoRo。アシモフが体勢を立て直すべく自己修復にかかる中、RoRoは最後の力を振り絞って自らの歌をどこかへ流す。その時、この歌を聴いたコハクが、キョウタとジンとマリアの制止を振り切ってひとりで地下基地の奥へと走るが、生き残っていた敵に取り囲まれて窮地に陥る。その時、ブレイドがどこからともなく現れてコハクの窮地を救った。
「ここは私に任せて行くんだ!イクスの元へ…走れコハクっ!!」と、単独で迫り来る敵に立ち向かいながら叫ぶ姉に戸惑うコハクだが、彼女の言葉に従ってアキュラの元へ向かう。そこでRoRoと共に倒れているアキュラに駆け寄り、彼がまだ生きていることにコハクは涙を流して微笑む。そしてアキュラの銃を手に取ったコハクは、自己修復中のアシモフへと向き直り、とどめの一撃を加えた。こうしてブレイドと共にアキュラとRoRoを連れて、基地を脱出したコハクは、地上で待っていたキョウタ、ジン、マリアに涙を浮かべながら「みんな…ただいまっ!」と笑顔で呼びかけたのだった。

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