ラストナイト・イン・ソーホー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ラストナイト・イン・ソーホー』とは、2021年に公開された、イギリスのタイムリープ・サイコ・ホラー映画である。監督はエドガー・ライト、脚本はライトとクリスティ・ウィルソン=ケアンズが務めた。デザイナー志望の女学生エロイーズは、夢の中で60年代のソーホーにタイムリープする。その際に魅惑的な女性、サンディと出会い、やがて夢の中でも現実世界でも恐ろしい体験をしていく。60年代の魅力的な音楽とファッションも同時に楽しむことができる、ホラー作品である。
日本語吹き替え:ふくまつ進紗
エリーのバイト先のバーの常連。エリーが夢で見たサンディのことを知っているかのような態度をとる。
セイジ・バーメイド (演:マーガレット・ノーラン)
エリーがバイトをしているパブのオーナー。エリーの良き相談相手でもある。
女性刑事(演:リサ・マクグリリス)
日本語吹き替え:米倉希代子
エリーがサンディ殺害について相談した刑事。同席した男性刑事はまともに取り合わなかったが、彼女はエリーを心配し、「なにかわかったことがあれば連絡する」と、親身に接した。
『ラストナイト・イン・ソーホー』の用語
ソーホー
イギリス・ロンドンのシティ・オブ・ウェストミンスターに位置する一地区である。20世紀中は、性風俗店や映画産業施設が並ぶ歓楽街として栄えた長い歴史をもつ。特に60年代後半はファッション、映画、音楽などのカルチャーがこの街を中心に爆発的に流行することとなり、「スウィンギング・ロンドン」と総称される一時代を築いた。1980年代初頭以降は、高級レストランやメディア関連企業が立ち並び、洗練された街へと大きく変貌し、性産業はそのほとんどが姿を消した。お洒落な店が密集し、ゲイバーやレズビアンバーが多く連なるエリアとしても有名である。
60年代イギリスの楽曲
主人公のエリーは60年代イギリスの楽曲が好きで、ロンドンに旅立つ際に大量のレコードをトランクに詰め込んでいる。60年代イギリスの名曲が数多く本作に挿入されており、シラ・ブラックや、ウォーカー・ブラザーズなど、輝かしい成功をおさめたアーティストたちの楽曲が存分に楽しめる。
カフェ・ド・パリ
カフェ・ド・パリは、実際にあったロンドンのナイトクラブであり、すでに閉店している。
作中では、エリーが初めてサンディとシンクロした場所である。そこでは歌手のシラ・ブラックが歌っており、サンディはここでデビューさせてほしいと、ジャックに交渉する。
『ラストナイト・イン・ソーホー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
エリーの1人ファッションショー
冒頭のシーンは、主人公のエリーが1人で無邪気にファッションショーをするところから始まる。自作のニュースペーパードレスを身にまとい、ピーター&ゴードンの楽曲「A World Without Love」に合わせて、踊るように楽しんでいるのが印象的である。主演女優のトーマシン・マッケンジーの愛らしい魅力が溢れている。
ジョン「何かできることは?」
恐ろしい夢を体験したうえ、現実世界でも幻覚を見てしまい、精神的に追い詰められたエリーに、ジョンは「何かできることは?」と、真剣な表情で話す。さりげない一言だが、誰からも信じてもらえないだろうと相談できなかったエリーは、ジョンに「そばにいてほしい」と助けを求める。学校に入学してからずっとエリーのことを気にかけていたジョンだが、彼の思いやりの心が特に強く感じられるシーンといえる。
鏡越にサンディと再会するラストシーン
ファッションショーで大成功をおさめたエリーがふと鏡を見ると、優しく微笑むサンディが映っていた。サンディは笑顔で手を振り、エリーに投げキッスをする。ジャックに騙され、ソーホーの闇に心を蝕まれていたサンディの登場シーンは暗いものが多かったため、最後の笑顔は大変印象深いものである。
『ラストナイト・イン・ソーホー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
カフェ・ド・パリの撮影場所は本物ではなく再現したもの
輸送や物資調達などの問題があったため、本物のカフェ・ド・パリの入り口では撮影できなかった。代わりに、ロンドンの主要な通りであるヘイマーケットを占領し、そこにある映画館に店を再現した。『007/サンダーボール作戦』の巨大なポスターが映画館の上に事前に立てられ、エリーが初めて夢の中で60年代と接触するシーンはそこで撮影された。映画のポスターのせいで、数人の観客が上映していると勘違いし、チケットを購入しようとしたそうだ。
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目次 - Contents
- 『ラストナイト・イン・ソーホー』の概要
- 『ラストナイト・イン・ソーホー』のあらすじ・ストーリー
- ロンドンでの生活
- 60年代のソーホーへタイムリープし、サンディと出会う
- 次第に壊れていく、サンディとエリー
- 友人ジョンとの恋と、老人への疑惑
- サンディの真実と死
- 『ラストナイト・イン・ソーホー』の登場人物・キャラクター
- 主人公とその家族
- エロイーズ・ターナー(演: トーマシン・マッケンジー)
- ペギー・ターナー (演:リタ・トゥシンハム)
- エリーが夢で見た、過去に登場する人物
- サンディ(演:アニャ・テイラー=ジョイ)
- ジャック(演:マッド・スミス)
- クラブの客の男(サム・クラフリン)
- クローク係 (演:ジェームズ・フェルプス、オリバー・フェルプス)
- 学校の同級生
- ジョン(演:マイケル・アジャオ)
- ジョカスタ(演:シノバ・カールセン)
- ララ・チャン(演:ジェシー・メイ・リー)
- その他の登場人物
- ミス・コリンズ(演:ダイアナ・リグ)
- 銀髪の老人(演:テレンス・スタンプ)
- セイジ・バーメイド (演:マーガレット・ノーラン)
- 女性刑事(演:リサ・マクグリリス)
- 『ラストナイト・イン・ソーホー』の用語
- ソーホー
- 60年代イギリスの楽曲
- カフェ・ド・パリ
- 『ラストナイト・イン・ソーホー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- エリーの1人ファッションショー
- ジョン「何かできることは?」
- 鏡越にサンディと再会するラストシーン
- 『ラストナイト・イン・ソーホー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- カフェ・ド・パリの撮影場所は本物ではなく再現したもの
- 車での疾走シーンは道を封鎖せずに撮影
- ミス・コリンズ役、ダイアナ・リグの死
- 『ラストナイト・イン・ソーホー』の主題歌・挿入歌
- OP:ピーター&ゴードン「A World Without Love」
- 挿入歌:ダスティ・スプリングフィールド「Wishin' And Hopin'」
- 挿入歌:ザ・サーチャーズ 「Don't Throw Your Love Away」
- 挿入歌:キンクス「Starstruck」
- 挿入歌:シラ・ブラック「You're My World(Il Mio Mondo)」
- 挿入歌:シラ・ブラック「Anyone Who Had A Heart」
- 挿入歌:ジェームス・レイ「I've Got My Mind Set On You」
- 挿入歌:ペトゥラ・クラーク「Downtown」
- 挿入歌:ザ・フー「Heat Wave」
- 挿入歌:サンディ・ショー「Puppet On A String」
- 挿入歌:ウォーカー・ブラザーズ「Land Of 1000 Dances」
- 挿入歌:リチャード・ディーン・テイラー「There's A Ghost In My House」
- 挿入歌:スージー・アンド・ザ・バンシーズ「Happy House」
- 挿入歌:サンディ・ショー「There's Always Something There to Remind Me」
- 挿入歌:バリー・ライアン「Eloise」
- 挿入歌:アニャ・テイラー=ジョイ「You're My World」
- ED:デイヴ・ディー・グループ「Last Night In Soho」