オバケのQ太郎(オバQ)のネタバレ解説・考察まとめ

『オバケのQ太郎』とは藤子不二雄が1964年に『週刊少年サンデー』で連載を開始した、「怖くないオバケ」を主人公にしたドタバタギャグ漫画、および漫画を原作としたアニメ作品である。」地上に現れたQ太郎が大原正太と出会った事で大原家に住むが、Q太郎のドジやあわてんぼうぶりに周囲が翻弄されてしまう。Q太郎を中心としたドタバタぶりを笑うだけでなく、時には人情味に溢れるQ太郎の優しさが読み取れる回もある。

Q太郎のトレードマークと言えば頭のてっぺんにある3本の毛だが、連載開始時には6本程毛が生えており、Q太郎も太めに描かれていた。
しかし、いつの間にか3本の毛が定着した。
『伝説のクイズ王も驚いた予想を超えてくる雑学の本』(三笠書房)によると、アニメ化する際に毛が6本あると描き難いとの理由で、3本に落ち着いたそうである。
また主題歌で「頭のてっぺんに毛が3本」と唄っているのが定着した説もある。
アニメの人気に連載漫画の方が歩み寄った例と言える。

ラーメン大好きなのは小池さんではなく鈴木さん

ロックバンド・シャ乱Qが「ラーメン大好き小池さんの唄」と言う曲をヒットさせている為、いつもラーメンを食べている男は小池さんと思いこまれている。しかし本当は、小池さんと言う家に下宿をしている「鈴木さん」である。

絶版時期が長く続いた本作

問題となった「国際オバケ連合」

『オバケのQ太郎』は人気を呼んだにも拘わらず他の藤子作品では当たり前だった新装版の単行本や文庫本としての発売が1988年以降無かった。その為一時期、古本の値段が高騰した事もあった。
絶版の時期が長く続いてしまった理由には、諸説ある。

① キャラクターの作者が混在。
『オバケのQ太郎』は藤子・F・不二雄作品として定着している。しかし連載当時のキャラクター造形には石森章太郎(後の石ノ森章太郎)やトキワ荘出身の漫画家が設立したアニメーション会社「スタジオ・ゼロ」の手が関わっている。その為にどうしても著作権料の問題が避けられず、その割合いで揉めたのではないかと言う説がある。
後にスタジオ・ゼロは著作権を作者側に戻し、石ノ森も「著作権に関して主張した事は無い」と否定している。

② 遺族の意向。
『オバケのQ太郎』が連載をスタートしたのは1964年(昭和39年)である。
当時の情景が丁寧に描写されているが、時代が進むに連れ、レトロ感が漂い始めて古臭く映る描写も出て来てしまう。
また当時は差別用語の規制も緩く、後にNGとなった言葉や描写も平気で出て来る。
表現の規制に過剰反応する時代になったと察した藤子・F・不二雄夫人が、表面化する事を警戒して封印したと言う説がある。
また、藤子不二雄の2人の周囲(家族)の間で起きている感情の問題が一因と言う説もある。

③ 差別描写。
前記した様に差別用語の規制が緩い時代に描かれた作品なので、当時は日常的に使用していた言葉や表現がNGとなり、勝手に自主規制をして絶版にした。または抗議を受けて絶版に持ち込まれた経緯もあった。
「国際オバケ連合」と言う回にウラネシヤ代表のボンガと言う全身真っ黒なオバケが登場し、「バケ食いオバケ」と紹介されている。その設定が人食い人種を思わせると抗議を受け、「国際オバケ連合」が掲載されていた単行本が回収された。それ以降『オバケのQ太郎』の増刷が停止されてしまった。
当時は「黒人差別をなくす会」が黒人の描写が差別的だと多くの出版社に抗議をしていた時期で、童話「ちびくろサンボ」も絶版に追い込まれた。

しかしその後「国際オバケ連合」は『藤子・F・不二雄全集』第4巻やてんとう虫コミックス第9巻(共に小学館発行)に収録され、後に放送禁止用語扱いされた言葉も、表現を変えて収録される様になった。
以後、『オバケのQ太郎』の単行本は手に取って読める様になり、封印は解かれた形となった。

永年封印されていた最大の理由は、藤子・F・不二雄と藤子不二雄Ⓐとの間で起きた権利の問題と、その周囲の人々の間で起きた問題との説が有力とされている。

現在は「藤子・F・不二雄大全集」にて『オバケのQ太郎(全12巻)』『新オバケのQ太郎(全4巻)』、てんとう虫コミックスでは『オバケのQ太郎(全12巻)』『新オバケのQ太郎(全4巻)』が発売されており、手に取って読めるようになっている。

激ムズと評判のファミコンゲーム『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』

『オバケのQ太郎』が3度目のアニメ化をされた1985年には、バンダイから『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』と言うファミコンソフトが発売された。逆行不可の右横スクロール型で、各面共、ラストに待っているキャラクターに荷物を届ければ1面クリアという全12面の構成となっている。
動く度にエネルギーゲージが減少し、途中にある食べ物のアイテムを取れば回復するが、空を飛ぶとゲージの消耗も早くなる。ゲージが無くなると、オバQが1機減る。
そして制限時間があり、朝8時からスタートして夜20時までに到達しなければならず、タイムオーバーになると1機減る。
更に、Q太郎が苦手とする犬が攻撃を仕掛けてくる。
犬に触れるだけでも1機減ってしまうが、犬を避けようとすると「ワ」「ン」「ワン」と言った鳴き声が武器となるワンワン砲を仕掛けて来る。
この鳴き声に当たっただけでも、1機減ってしまう。
これらの難関の途中に置かれたアイテムを、ラストに待っているキャラクターに渡せば1面クリアとなるアクションゲームである。
しかし、クリアする条件が非常に厳しい為に高難度のソフトとして語り継がれている。
敵やその攻撃に一度でも当たるとダメ。エネルギーゲージも理不尽に減って行くなど、高難度と言われる程の激ムズゲームだった。

優れた音楽性が高く評価された主題歌・挿入歌

「♪QQQ オバケのQ」と、甲高い独特の声で歌い上げる石川進の主題歌『オバケのQ太郎』は、1966年・第8回日本レコード大賞にて童謡部門賞を受賞した。これはアニメソング界で初めての快挙である。
また「QQQのQ QQQのQ オバQ音頭でQ・Q・Q」の唄い出しで始まる「オバQ音頭」は、全国の盆踊り会場でも使われる程人気が爆発し、アニメのキャラを音頭で歌い上げて浸透させる嚆矢となった。
スポンサーだった不二家のキャンペーンで当たるソノシートにも応募が殺到し、レコードは200万枚以上売れ、アニメソング史上最大のヒット曲とも言われている。
更に『新・オバケのQ太郎』は、ヒゲがトレードマークの作曲家・山本直純の編曲である。オーケストラの奏でる曲調は迫力に満ちており前作の主題歌とはまるで違う趣きを感じるが、オバQの世界観を崩さない軽妙さも踏襲している。2017年に放送されたテレビ朝日『日曜もアメトーーク!』内では、効果音が大胆であると紹介された。
「昭和アニソン軍」と名乗る昭和生まれの出演者達はこの曲が掛かると、合唱するかの様に全員が歌い出した。
それ程この世代には浸透している曲である。

『オバケのQ太郎』の主題歌・挿入歌

1965年放送『オバケのQ太郎』

OP(オープニング):石川進「オバケのQ太郎」 (前期/放送開始直後ではED)

作詞・東京ムービー企画部(現:トムス・エンタテインメント)・作曲・広瀬健次郎・唄:石川進

OP(オープニング):石川進/曽我町子「オバQ音頭」(後期)

作詞・藤子不二雄・作曲・広瀬健次郎・歌:石川進・曽我町子

曽我町子「オバQかぞえ歌」

作詞 - 東京ムービー企画部 / 作曲 - 広瀬健次郎 / 歌 - 曽我町子

チビッコエイト/ヤング・フレッシュ「オバケのQ太郎マーチ」

作詞 - 東京ムービー企画部 / 作曲 - 広瀬健次郎 / 歌 - チビッコエイト、ヤング・フレッシュ

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