オールド(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『オールド』(原題: Old)とは、2021年アメリカのスリラー映画。監督・製作・脚本は『シックス・センス』、『サイン』など数々の話題作を生み出したM・ナイト・シャマラン。南国のビーチにバカンスに来た家族。案内されたプライベートビーチで、漂流してきた死体を発見した時から事態は一変。次第にビーチにいる人の体にも異変が現れ始め、どんどんと老化していく。時間の概念を覆す不思議なビーチに囚われた人々は、様々な恐怖に襲われる。主演はガエル・ガルシア・ベルナルとヴィッキー・クリープス。

シドニー(演:マシュー・シアー)

日本語吹き替え:松川裕輝
製薬会社の研究員の男性。研究所のスタッフにてんかんの持病に対して新薬が効いたことを報告する。

『オールド』の用語

ウェルカムドリンク

歓迎の意味を込めてゲストに振舞われるドリンク。『オールド』でも、リゾートに訪れたカッパ家がホテルに着くと、ウェルカムドリンクが提供された。実はこのウェルカムドリンクには宿泊者の持病にあわせた治験薬が混入されており、知らないうちに製薬会社の治験者となっていた。ウェルカウドリンクを飲んだ治験者はプライベートビーチに招待され、そこで実験体となる。

プライベートビーチ

プライベートビーチとは、ホテルの宿泊客や個人専用のビーチとして一般の客は立ち入りできない区画のこと。『オールド』では、リゾートに訪れた観光客をホテルのスタッフが特別なプライベートビーチへと招待する。リゾートを満喫すべく喜んで送迎バスに乗り込み、楽園のように美しいプライベートビーチに到着して楽しいひと時を過ごすが、すぐにこのプライベートビーチの異常さに気が付くことになる。

治験

治験とは、新薬の承認を得るために効果のデーターを集める臨床試験のことで、通常は認可された病院で治験者の了承を得て行われるもので新薬の効果や安全性、投与量や投与方法を確認するために必要な試験。『オールド』では、もっとも大切な治験者の承諾を得ることなく、治験が行われている。それぞれの持病や、病気にあった新薬をホテルのウェルカムドリンクに混入し、治験者の様子を観察するためにビーチで、監視を行いデーターを収集している。通常では治験に長い年月が必要となるが、製薬会社は30分で1日という驚異的な時間の流れのビーチを利用し、時間を短縮させて治験を行っている。

『オールド』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

パトリシア「心のうちを話して」

ビーチに集まる人々

自身もてんかんの持病を持つパトリシア。パトリシアは、プライベートビーチに集められただけのお互いに面識のないみんなが、死体が流れ着いたことで事件か事故かわからず疑心暗鬼になっている中、全員に「心のうちを話して」と呼びかけた。そんなことが今、必要かと言われるが、「お互いを安全と思えないと相手を傷つける」と説得をした。素性がわからない人が集まっているため、不安ばかりが募る。心理士らしい冷静な対応に、全員が耳をかたむけた。

ガイ「前に喧嘩してた?」

リゾートに来た直後は、離婚問題で喧嘩をしていたガイとプリスカ

妻プリスカを並んでビーチに座っているガイ。夜になり、老化現象が進んだためプリスカも同じくシワも増え、耳も聞こえにくくなっている。リゾートに来た時に、離婚問題で喧嘩していた時のことを思い出したのか、プリスカにガイが「前に喧嘩をしていた?」と問いかける。プリスカは「ええ」と寄り添い合いながら答える。見つめ合う夫婦は穏やかな表情で微笑み合う。夫婦関係の修復を望んでいたガイが、病と不倫を隠していた妻プリスカに変わらない愛情を持って語り掛けている。ほどなくして、ビーチに静かに倒れ込みふたりとも死んでしまう。ビーチの不思議な現象により、老化が進み記憶が曖昧になってきていることがわかる。共に年を取ったことで修復不可能だった夫婦関係に変化が起きたことで互いを理解しあい、許し合う夫婦の姿が垣間見れるシーン。

『オールド』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

映画冒頭のM・ナイト・シャマランからのメッセージ

映画はコロナ禍で撮影され、M・ナイト・シャマランをはじめ現場のスタッフや出演者が感染対策を取る中で完成された。現在、コロナ過で映画館での観客動員が難しい状況下となっている。映画を映画館で観て楽しんでもらえることを心から望んでいるM・ナイト・シャマランからのメッセージが映画の冒頭で流れる。「大スクリーンへおかえりなさい」というM・ナイト・シャマランからのメッセージは、映画文化の衰退をストップさせたいという気持ちがくみ取れる。

映画のインスピレーションとなった本『Sandcastle』

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