ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード(WA5)のネタバレ解説・考察まとめ

『ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード』とはメディア・ビジョンエンタテインメントが開発したPlayStation 2用のロールプレイングゲーム(RPG)で、略称は『WA5』。かつて高度な文明が存在した世界「ファルガイア」。物語は古代兵器「ゴーレム」を発掘するゴーレムハンターを目指す少年ディーンが、謎の女性アヴリルとの邂逅を果たすところから始まる。本作はシリーズ10周年という節目の年に登場する記念碑的な作品であると同時に、新たな地平を切り開いた作品となっている。

本作のキーワードとなる「導く者」の名称。12000年前よりもはるかに遡る時代に、船を発明し新天地を求め海を渡った人物が「ジョニー」と呼ばれており、彼は自分の後に新天地へ辿り着く者のために、現在の酒造郷ゴウノンがある地域に、後から来た者が迷わないようにとリンゴの種を蒔き続けた。やがてジョニーはゴウノンの初代村長に収まり、彼が植えたリンゴの木にちなんで「ジョニー・アップルシード」と呼ばれるようになる。以降、「ジョニー・アップルシード」は、人類の運命を左右するような大きな選択が行われる際、その時代で人々を導く開拓者を指す言葉となった。また、酒造郷ゴウノンでは同名のお酒が製造されている。
12000年前の古代文明時代に「ジョニー・アップルシード」として民を導いたのは、氷の女王アヴリルであったが、彼女がコールドスリープに入ってからは、この地位は別の者に移った。それから時が流れ、宇宙からファルガイアに入植した際にベルーニ族を率いていたのがバーソロミューであり、彼は先代の「ジョニー・アップルシード」の地位にいた。バーソロミューが引退した後、コールドスリープからアヴリルが目覚めたことと、当時指導者の座が空位になっていたことで、ベルーニ族の暗黙の了解により、再びアヴリルがこの地位に就いた。しかし、ディーンがヴォルスングを倒し、人間とベルーニ族の壁を壊したことで、アヴリルはディーンを「ジョニー・アップルシード」の後継者として指名。ディーンは人間とベルーニ族の両種族を率いる最初の「ジョニー・アップルシード」となった。

ベルーニ族

12000年前に強硬派として宇宙へと飛び立った「ヒト」の子孫。100年前にファルガイアへと帰還し、入植を果たした。長らく宇宙空間を航行していたため、過酷な環境に適応すべく肉体構造が変化し、遺伝子的にも人間と異なる種となっている。外見は人間とほとんど変わらないが、肉体や精神は人間よりはるかに強靭かつ屈強であり、人間と違い科学技術を捨てなかったことで高度な科学力と様々な知識を持っていた。これが決定的となり、ベルーニ族は人間を下と見て両種族を区別するようになり、人間達も肉体面や頭脳面でベルーニ族に敵わないと悟り、彼らがもたらす技術と支配を受け入れているようになったことで、両種族の主従関係が生まれた。
ベルーニ族は人間を労働力とみなし、生かさず殺さず接しているため、人間がベルーニ族に反乱したことは無い。人間と比べて寿命が長く、一定の年齢を過ぎると、人間の四分の一程度のスピードで老化するようになっていく。

穏健派

12000年前の「ヒト」の中で、TFシステムの稼働によるファルガイア改造に反対していた者達。星と共に生き、星と運命を共にすることを信念としていたため、惑星改造を進める強硬派とは相容れない。TFシステム凍結後、ファルガイアから宇宙へ飛び立った強硬派に対し、穏健派はファルガイアと共に生きることを選択し、全ての科学技術を捨てて生きてきた。現在、かつての穏健派は人間となり、宇宙へ出た強硬派はベルーニ族となった。現代における穏健派は、ベルーニ族でありながら人間やファルガイアの原住生物と共存することを推進し、TFシステムの使用に反対する者達を指し、彼らのトップに立つのがバーソロミューとなっている。

強硬派

12000年前の「ヒト」の中で、TFシステムの稼働によるファルガイア改造を推進していた者達。当時強硬派を率いていたのは、「ジョニー・アップルシード」の地位に就いていた氷の女王アヴリルであり、穏健派と対立し両陣営による大戦が引き起こされていた。TFシステム凍結後は、ファルガイアと共に生きる道を選んだ穏健派に対し、強硬派は疲弊したファルガイアを捨て、新天地を求めて宇宙へと飛び立っていった。宇宙へ出た強硬派の子孫は肉体構造を変え、ベルーニ族となり、100年前にファルガイアへと帰還。以降、高度な科学力を用いて人間を支配し、統治者として君臨するようになった。50年前からファルガイアの大気に含まれるUb成分によってベルーニ族が滅亡の危機に立たされたことで、ベルーニ族はTFシステムを稼働してファルガイアを改造することを推進する強硬派と、TFシステムを稼働せずファルガイアと共存する道を探っていくべきとする穏健派の2つに分裂した。現在、強硬派のトップはヴォルスングであり、両陣営の共同管理下にあったロクス・ソルスの艦橋を占拠し、全てを支配下に入れている。

バスカー

ベルーニ族だが穏健派、強硬派のどちらにも属さず、学問や技術を追求することを目的とした中立を保つ研究者集団。自分達の研究成果を両陣営に渡すことで双方から不可侵の領域とされている。現在はベルーニ族の滅亡を防ぐため、ファルガイアと人間の関係を主に研究している。

四天王(フォーカード)

ベルーニ族の最高司令官であるヴォルスングに仕える、ベルーニ族強硬派最高幹部であるファリドゥーン、ペルセフォネ、カルティケヤ、エルヴィスの4人を指す。

リリティア

12000年前の古代文明時代に、「ジョニー・アップルシード」として民を導いていたアヴリルの別名。絶対的な権力と冷徹な判断力、目的を達成するためには手段を選ばない非情さから、氷の女王と呼ばれる。強硬派のトップとして穏健派を容赦なく力でねじ伏せたり、TFシステムを設計し、ファルガイア改造を推進していた。しかしTFシステムの稼働実験の際に、穏健派の妨害によって発生した次元の乱気流に巻き込まれたことで、12000年後のディーン達と旅をしたアヴリルと精神だけ入れ替わってしまう。以降、精神が入れ替わったアヴリルは、ツインフェンリルや6つのオリジナルミーディアムの開発を始め、12000年後の戦いに備えるための様々な準備を行った後、12000年後に目覚めるためにコールドスリープに入った。

ロクス・ソルス

宇宙に出たベルーニ族が生活の場としていた巨大な宇宙コロニー。ベルーニ族にとってもう1つの故郷であり、自給自足ができるよう、ファルガイアに近い大気を作り出すための植物や水といった自然物が多く存在し、居住区や研究所なども存在している。近年、研究所で発生した事故により魔獣が蔓延るようになってしまい、ベルーニ族にとって危険な場所と化してしまう。これにより多くのベルーニ族はファルガイアへの入植を余儀なくされている。

ゴーレム

12000年前の古代文明時代に製造された巨大ロボット。当初は産業用に開発されていたが、やがて軍事目的に転用されるようになり、穏健派と強硬派の当時の科学の最先端技術を投入されていった。現在、ゴーレムはベルーニ族や人間が生活するために必要な資源となっているが、ゴーレムを生産するための技術は既に失われている。主に遺跡から発掘されており、発掘したゴーレムを研究して得た技術により、現在の科学技術が支えられている。また、ゴーレムはベルーニ族にとって権威と支配の象徴となっており、自分達の地位を守るために発掘を繰り返し、ファルガイアをより疲弊させている。

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