ワイルドアームズ アドヴァンスドサード(WA3)のネタバレ解説・考察まとめ

『ワイルドアームズ アドヴァンスドサード』とはメディア・ビジョンが開発したPlayStation 2用のロールプレイングゲーム(RPG)。2002年3月にソニー・コンピュータエンタテインメントより発売。略称は『WA3』。文明と環境が荒廃化した惑星「ファルガイア」を舞台に、荒野を旅する「渡り鳥」同士の対立と世界を巡る戦いを描いた物語となっている。シリーズで最もウェスタン色という側面が強調されており、各シリーズのキーワードでもある「渡り鳥」の要素が前面に押し出されている。

『ワイルドアームズ アドヴァンスドサード』の概要

『ワイルドアームズ アドヴァンスドサード』は、2002年3月14日にソニー・コンピュータエンタテインメントより発売されたPlayStation 2用のゲームソフト。『ワイルドアームズ』シリーズの第三作目でナンバリングとしての略称は『3rd』。トータルデザイン&シナリオは金子彰史、音楽はなるけみちこが担当。キャッチコピーは「それはきっと、いつか想い出になる物語」。シリーズ初のPlayStation 2タイトルとして登場した作品で、先代機と比較してグラフィック面などが大幅に向上している。
キャラクターは手描き調のグラフィックを採用してフルポリゴン化し、カメラワークが向上されキャラクターのアクションが豊富となった。

本作の特徴として、あらゆる面で『WA』独自の要素が過去のシリーズと比較して強調されており、『3rd』の舞台となる惑星ファルガイアは、太古の魔族との戦いにより荒廃化した世界と化している。この世界観は初代の『1st』と似ているが、荒野化の度合いはより激しいものとなっており、海に相当するエリアが砂で埋め尽くされた"水無き世界"となっている。また、各町の雰囲気や人々の服装はウェスタン調が基本で、より西部劇風の世界観を強調している。
他のシリーズでも登場する各地を旅するアウトローである「渡り鳥」がもっとも数多く見られる作品でもあり、登場キャラクターの多くも渡り鳥である。
システム面では過去のシリーズの要素とほとんど同じであるが、主人公達の武器が全て「ARM」という銃の武器に統一されていること、前二作でも登場した「ガーディアン」の力を用いる「ミーディアム」という石板がバトル面でキャラクターのステータスや技に大きく影響するなど、『WA』を象徴する要素が前面に押し出されている。
また、バトルシーンは見た目も変化しており、横一列に並んで戦闘を行っていた前二作とは違い、敵味方双方が駆け回ってフィールド上に入り乱れる「クロスファイアシークエンス」システムが新たに採用されている。
他、謎解きに使うアクションや敵とのエンカウントをキャンセルする「エンカウントキャンセル」を行える回数をゲージで制限するなど様々な改良が加えられた。

PS2になったことで画面の解像度が上がり小さな文字が表示できるようになり、テキスト面ではメッセージにルビが付けられるようになった。『WA』シリーズの特徴でもある特殊用語が、ルビにより漢字本来とは違った読み方をさせることで、ゲームの雰囲気がより表現されている。

音楽は世界観に合わせて口笛を用いた曲が多く、トータルで見るとシリーズでもっとも「口笛と荒野のRPG」らしい作品である。

自分の力を誰かの役に立てるために、平穏な暮らしを捨てて渡り鳥となった少女ヴァージニア・マックスウェル。
とある出来事がきっかけで偶然出会った3人の渡り鳥達とチームを組むことになった彼女は、世界を支える力を持つと言われる守護獣の力の継承者となる。
過酷な荒野を旅する中で、渡り鳥の世界の厳しさや理想と現実のギャップに苦悩しながらも、自らの信念を曲げることなくヴァージニアは荒野を駆け抜けていく。
やがてヴァージニアは、10年前に失踪した父の秘密と世界の根幹に関わる謎を知ることとなる。

本作は「想い出」がテーマとなっており、作品全体を貫くキーワードとして機能している。

『ワイルドアームズ アドヴァンスドサード』のあらすじ・ストーリー

Chapter1 荒野の世界

秘宝が納められた列車の機密貨物車両に飛び込んだ3人の渡り鳥であるジェット(左)、クライヴ(左奥)、ギャロウズ(右)と、彼らの出現に驚くヴァージニア(右奥)。

豊かな緑が残る村「ブーツヒル」の裕福な家庭で育った少女「ヴァージニア・マックスウェル」は、村を襲った亜人種ゴブを撃退したことをきっかけに、自分の力を誰かの役に立てるために「渡り鳥」となることを決意する。故郷を出発し大陸を横断する列車に乗って旅に出たヴァージニアだったが、突如列車に衝撃が走った。客室を出たヴァージニアは「トニー」という車掌の隙をついて機密車両の方へ向かう。機密車両の鍵は壊されており、中の様子を確かめることにしたヴァージニアとトニー。中には宝箱があり、開けると暖かい光が溢れ始める。その時、窓の外、車両の入り口、物陰から3人の男達が飛び出してきた。車窓を蹴破って現れた少年「ジェット・エンデューロ」、機密物警護の任を受けた渡り鳥「クライヴ・ヴィンスレット」、貨物室に隠れていた不審人物「ギャロウズ・キャラダイン」。互いにARMを向け合い牽制しあっていると、貨物車両の屋根の上から不審な物音が聞こえてくる。クライヴの提案でひとまずARMを収めて屋根の上にのぼった4人の渡り鳥達の前に、3人組の渡り鳥が姿を現す。強面の中年「ダリオ・ニコロディ」、痩躯のナイフ使い「ロメロ・ジージョ」、そして眼光鋭い列車強盗の渡り鳥「ジェイナス・カスケード」。貨物車両の秘宝を狙っているジェイナス達から秘宝を守るために、ヴァージニア達は寄せ集めのチームを組む。どうにか秘宝を守り抜くことに成功するが、ジェイナス達には逃げられてしまう。

その後4人はクライヴの依頼主が住む場所の近くで列車を降ろされる。勢い任せのヴァージニアと、目的が無くなったジェット、ギャロウズの3人は、クライヴに同行することに決め、世界を支える力を持つと言われる「守護獣」を信仰する民達の隠れ里であり、ギャロウズの故郷でもある「バスカーコロニー」を目指す。バスカーコロニーで依頼主でありギャロウズの祖母である「ハル」に秘宝「アークセプター」を届けたヴァージニア達は、ハルから新たな依頼を持ちかけられる。
それは火、水、風、地を司る「四大守護獣」と接触し、守護獣の力が形を変えたプレート「ミーディアム」を入手してくるという内容だった。それぞれの理由からその依頼を引き受けることにした一行は、四大守護獣が奉られた「堕ちた聖域」へとやって来た。ミーディアムを手に入れるためには四大守護獣に己の力を示さなければならなかった。一行は4つのアークセプターの力を受けて守護獣と心を通わす術を得る。意を決して守護獣達の試練を受けた一行は、ミーディアムを入手する。

依頼を果たした後、チームを解散させる予定となっていたが、ヴァージニアが半ば強引にチームを継続させるよう提案し、伝承に伝わる「常闇の輝き」の謎を追うことに。「常闇の輝き」に通じる3つの秘宝「呪紋」のうちの1つが存在する「記憶の遺跡」に向かった一行は、以前列車で対峙した渡り鳥チーム「カスケード興産」から手を組まないかと提案される。ジェイナス達も目的は同じであるものの、ヴァージニアはジェイナスを信じることが出来ずにいた。それでも誰かを疑い続けるのは嫌だと感じ、彼らと手を組むことにしたヴァージニア。しかし呪紋が置かれている部屋まで辿り着くと、やはりジェイナスは裏切った。「常闇の輝き」は3つの呪紋によって封印されており、ジェイナスは呪紋を手に入れるために最初からヴァージニア達を利用していたのだった。ジェイナスを信じようとしていたヴァージニアは、それを嘲笑ったジェイナスに怒りをぶつける。残り2つの呪紋がジェイナスの手に落ちることを阻止するため、一行は彼より先に呪紋を手に入れることを目指す。

「クレイボーン」という村で得た呪紋の情報をもとに近隣の遺跡に向かった一行は、そこで「シュレディンガー一家」と名乗る渡り鳥チームと遭遇する。一家の主である女性「マヤ・シュレディンガー」は、ヴァージニアに対して「アンタは何を以って、荒野を貫いているのかしら?」と問いかける。ヴァージニアの渡り鳥としての評価を「ごっこ気分」と見下すマヤから妨害を受けながらも、呪紋が置かれた部屋に辿り着く。そこにカスケード興産が現れ、彼らと争っている間に呪紋はマヤの手に渡っていた。マヤの手には2つの呪紋が揃っており、それを知ったジェイナスは「カ・ディンギル」という古びた塔に「常闇の輝き」が封じられていることを伝える。そこが決戦の場所となることをマヤが理解するとジェイナスは立ち去ろうとするが、ヴァージニアは彼を追いかけようとする。しかしジェイナスが時間稼ぎ用に仕掛けた罠によって瓦礫の下敷きになりそうになるが、間一髪ジェットに助けられる。それでもなおジェイナスを追いかけようとするヴァージニアを見ていたマヤは、彼女の頬を叩き、後先を考えず仲間を危険に晒したこと、そういった行動が「ごっこ遊び」に映ると指摘する。渡り鳥に正義も悪も無いことを知り、目標を見失ったヴァージニアにマヤは持っていた呪紋の1つを投げ渡す。「呪紋を持ってカ・ディンギルとやらにおいで。そこでは、正義も悪も無く…ただ、渡り鳥の現実ってヤツがあるはず」と言い残し、マヤは立ち去った。

自分が渡り鳥であるために足りないモノが何なのかを思い悩むヴァージニアは、自分が渡り鳥になって何をしたいのかを決めていなかったこと、仲間達に中途半端な覚悟で危険に巻き込んでしまったことを謝り、自分が渡り鳥になって何を為すのかを見つけるために荒野に羽ばたくことを改めて決意する。そして「常闇の輝き」が封じられている「カ・ディンギル」へと向かった。

カ・ディンギルの頂上に着くと、カスケード興産に敗北しボロボロの姿となったシュレディンガー一家が倒れていた。ジェイナスはマヤ達の命と引き換えにヴァージニア達に残り1つの呪紋を渡すよう要求する。やむを得ず呪紋を渡すと、ジェイナスは依頼主から受けていた3つの呪紋を持ち帰るという依頼を放棄し、永遠に誰かの「想い出」の中に在り続ける存在となるため、「常闇の輝き」の封印を解き始める。その衝撃で塔の外に吹き飛ばされた仲間のロメロとダリオも見捨てて、「常闇の輝き」の正体である「魔槍グラムザンバー」を復活させた。その圧倒的な禍々しき力に、ミーディアムを介してヴァージニア達に守護獣達の恐怖が伝わる。だがグラムザンバーをジェイナスが掴み取ろうとした瞬間、ヴァージニアはARMを放ちグラムザンバーを塔の外まで吹き飛ばした。

「渡り鳥の行動に正義も悪も無い…」「それでもわたしは、あるはずの正義を探して、荒野を飛び交うッ!」と決意するヴァージニア。彼女の決意に応えた仲間達とともに、一行はジェイナスに戦いを挑む。激闘の末、ジェイナスを倒すと、彼は崩れ落ちる塔に飲み込まれていった。ヴァージニアの答えを見届けたマヤは、次の獲物を求めて立ち去り、「常闇の輝き」を巡る戦いは終わりを迎えた。

その場に誰もいなくなった頃、ボロボロの姿で瓦礫から這い出たジェイナスの前に、白装束を纏った3人の人間が現れる。彼の依頼主である3人は、回収したグラムザンバーをジェイナスの胸に突き立てるのだった。

Chapter2 ファルガイア改造計画

「ティティーツイスター」という村で、渡り鳥達が誰一人帰還しないという遺跡の情報を得た一行は、その遺跡に挑むことに。一行はそこで「ミレディ」という長衣を纏った女性と、魔槍グラムザンバーによって体組織が伝承の存在「魔族」と化し強大な力を得たジェイナスと対峙する。どうにか2人を退けた一行だったが、伝承の魔族が実在したこと、守護獣が恐怖する存在、すなわちファルガイアが恐怖する存在が新たなる脅威であることを認識するのだった。

ミーディアムが示した月の守護獣が奉じられている神殿に向かうと、月の守護獣は「マリク」という青年によって生命を吸収されようとしていた。マリクを撃退し、残された力を月の守護獣から託された一行は、マリクがミレディと似たような恰好をしていたため、この2人が何らかの目的の下に統率されていることを推測する。彼らの狙いが守護獣が奉じられている遺跡にあると考えた一行は、先回りして残りの守護獣神殿に向かうことを決める。

途中、マリクとミレディ、そして「リヒャルト」と名乗る3人の「預言者」と遭遇し、彼らの目的がファルガイアを1つの生命体と見立て、魔族が築いた情報ライブラリィ「ヒアデス」から得た「ロストテクノロジー」を用いて、外部から作用を起こさせることで荒廃化した星を進化させることだった。しかしそのために守護獣達の生命を奪おうとする行為を許さないヴァージニア達はその正義を否定する。両陣営が本格的に対立する瞬間となった。

かつてファルガイアの荒廃を食い止め、緑豊かな大地に戻すための研究が行われていた施設「レイライン観測所」を訪れると、知るはずのないその場所でジェットは奇妙な既視感に襲われた。施設を探索していると、半分に破れた1枚の写真があった。その写真はヴァージニアが持っている自分の父が写った破れている写真とピッタリのものだった。行方不明となった父の手がかりを見つけたヴァージニア。そこにミレディが現れ、ヒアデスの情報をもとに造りだしたゴーレム「アースガルズ」と対峙させる。圧倒的なアースガルズの力に敗北してしまう一行だったが、間一髪のところで現れたシュレディンガー一家に救出される。意識を取り戻したヴァージニアは、マヤにこれ以上危険なことに首を突っ込むと生命を落としかねないと忠告される。彼女の言うことも、もっともだと感じたヴァージニアは仲間を危険に晒さないためにチームを解散させようとするが、クライヴとギャロウズは彼女をチームのリーダーとして認めており、自分達は着いていくことを告げる。彼らに感謝したヴァージニアは、改めて打開策を考えることに。観測所で見つけた写真と預言者達が語っていた惑星環境の操作というキーワードが手がかりになると考えた一行は、クライヴが星の失われた「想い出」を求めて収集してきた資料から情報を得るため、彼の故郷「ハンフリースピーク」へ向かうことにした。

クライヴの集めた資料によると、ファルガイアの環境に手を加えようとする試みは過去に何度も繰り返されており、それは預言者達が言っていた進化ではなく再生であったが、特に大規模な計画は「世界樹計画(ユグドラシルプロジェクト)」と呼ばれるものだった。運営機関の構成メンバーは常に7人であったため、「七人委員会」と称されていた。ヴァージニアが持っている写真に写っているのも、ウェルナーを含めて7人おり、ウェルナーが七人委員会のメンバーであった場合、世界樹計画が10年近くの間に行われた計画であることが推測されるが、ヴァージニア達はそんな大規模な計画は聞いたことが無かった。また、写真には預言者の1人であるマリクによく似た風貌の青年が写っていた。謎はさらに深まるが、一行は引き続き守護獣神殿と世界樹計画の謎を探っていく。

途中、「運命の箱舟(ディスティニーアーク)教団」から「キシュムの炎」と呼ばれるエネルギー結晶体の発掘を依頼され、古代の超技術が眠る遺跡へ向かう。そこでヴァージニアは求めて止まなかった父ウェルナーと再会を果たす。無言で立ち去っていくウェルナーに、自分の気持ちを伝えられなかったヴァージニアだったが、ウェルナーの後を追うことよりキシュムの炎を届ける依頼を優先する。回収したキシュムの炎を教団の本部ディスティニーアークまで届けることになった一行は、そこで教主「ラミアム」と出会う。ラミアムは夢の中に現れる「聖女」の導きをもとに遺跡の発掘を行い、発見したテクノロジーを使って人々の生活を向上させることを理想に掲げていた。ラミアムから本部の図書室を閲覧することを許可された一行は、そこで七人委員会のことが書かれた本を発見。写真の7人が七人委員会であると確定し、一行はウェルナーの過去を探るためにヴァージニアの故郷であるブーツヒルへ向かう。

ウェルナーの経歴や「世界樹(ユグドラシル)」と呼ばれる惑星環境再生システムを用いた七人委員会の計画など、次々と浮かび上がる真実を目の当たりにする一行の前に、とある情報を持ったジェイナスが現れる。ジェイナスは最後の守護獣神殿で守護獣の力を吸収することを宣言する。明らかに罠だと知りつつも阻止しないわけにはいかなかった一行は、最後の守護獣神殿へ向かった。そこで待っていたのはジェイナスとアースガルズだった。
アースガルズは胸部に搭載された「ジェミニ回路」により疑似的な心が芽生え始めており、一行との再戦を待ち望んでいた。しかし戦いの最中、裏切りを企んでいたジェイナスは不意打ちでアースガルズに致命傷を負わせる。その隙をつき、己に流れる血の宿命を受け入れたギャロウズは、時空を司る守護獣の力を解き放ち、神殿を起動させる。その結果、アースガルズを時間の彼方に飛ばすことに成功するが、アースガルズを葬ったことで裏切りに成功したジェイナスは、「ニーズヘッグを超えてユグドラシルまで来い」と告げて姿を消した。

ユグドラシルで一行は、預言者達の目的がユグドラシルシステムを使った「降魔儀式」によって、伝承の魔族をファルガイアに降臨させることを知る。ユグドラシルシステムを停止させるために行動していたウェルナーは、10年前のファルガイアが現在のような荒野と砂の世界では無かったこと、ファルガイアの環境を再生させることを目的としたユグドラシルシステムが、世界中から生命エネルギーを吸収する作用を起こしてしまい、ファルガイアを死に追いやってしまったことを語る。
その時の事故で七人委員会が全員死亡したと思われていたが、奇跡的に生き延びた預言者達が、10年の歳月をかけてシステムを修復させたのだった。システムの防御壁を突破するため、ウェルナーはジェットにシステムの端末ケーブルを握らせ、強くファルガイアを念じるよう伝える。戸惑いながらも念じると、ジェットの脳裏には緑と水に溢れた過去のファルガイアの光景が浮かんでいた。自分が知らないはずのファルガイアの「想い出」を何故自分が知っているのかと混乱するジェットだったが、システムのプログラムを書き換えることには成功する。その後、上の階に向かうと、そこにはユグドラシルシステムのジェネレイターの核を何者かに奪われたことで、呆然と立ち尽くしていた預言者達の姿があった。目的を果たすことができなくなった預言者達は、自暴自棄になり一行に襲い掛かってくる。
預言者達を倒した後、ヴァージニアは10年前にファルガイアが荒廃化した出来事を何故誰も覚えていないのか、なぜウェルナーが1人だけその事実を覚えているのかをウェルナーに問いかけるが、それに答えることなくウェルナーは去っていった。

辛うじて戦場から離脱した預言者達だったが、力を使いすぎたことで身体が自壊しようとしていた。そこに離反を企み預言者達を殺めようとジェイナスが姿を現すが、ギリギリのところで降魔儀式が成功していたことで魔槍グラムザンバーの本来の主である「ジークフリード」によって生け贄にされ、ジェイナスは消滅する。ファルガイアに召喚されたジークフリードは、ファルガイアの生命に宣戦布告をするのだった。

Chapter3 蒼の脅威

ユグドラシルの一件から1週間が過ぎ、運命の箱舟教団からの依頼を受けた後、一行はかつて常闇の輝きが具現化した時と同じような悪寒を感じとる。何が起こり始めているのかを調べるために、一行はギャロウズの弟の「シェーン」と共にファルガイアの歴史が記録された遺跡「星の足跡」へ向かう。ファルガイアの歴史を知った一行の前に、魔族の力によって新たな姿を得た預言者達とジークフリードが現れる。ジークフリード達は「この星が、この星でなくなる様を見せてやる」と言い残し去っていった。シェーンは夢の中で未来視する夢見の素質を持っていたが、彼が夢見に視た脅威はジークフリードのことであった。

ジークフリード達の目的は、ナノマシンを用いて星の構成組織を改造し、ファルガイアそのものを魔族化させることだった。ナノマシンによるファルガイア侵蝕を行う際の出力を得るために、高質量のエネルギー結晶体「涙のかけら」を狙うことを推測したヴァージニア達は涙のかけらを求めて「ケイジングタワー」へ向かう。途中、同じく涙のかけらを狙っていたシュレディンガー一家と遭遇し対決することになるが、ヴァージニアの信念にマヤはひとまず負けを認め、共に涙のかけらがあると言われている場所へ向かう。そこには涙のかけらは存在せず、預言者達がヴァージニア達を陥れるために用意したトラップが設置されていた。しかしマヤが涙のかけらの本当の在処を知っていることが分かると、預言者達はマヤを拉致する。マヤを救うべく、ヴァージニア達はマヤの弟「アルフレッド」、シュレディンガー一家の執事「トッド」、マヤに恩義を感じて共に旅をしている魔獣「シェイディ」達と共に行動を開始する。

先に涙のかけらを回収することに成功するヴァージニア達は預言者達を一度は出し抜くが、そこに時間の彼方から帰還したアースガルズが現れる。アースガルズが最大展開したバリアによって、瓦礫の下敷きにされそうになるヴァージニアだったが、彼女の目の前にはアースガルズと同じようにバリアを出して危機を救ったウェルナーの姿があった。ヴァージニアは父に会えたことが本当に嬉しかったこと、いつか父が全てを話してくれることを待っていると伝える。

涙のかけらを強奪することに成功した預言者達は、アースガルズにどうやって帰還できたのかを尋ねる。アースガルズははるか昔の水と緑に溢れていた頃のファルガイアに飛ばされ、そこは美しい宝石と喩えられるほどの世界だったと言う。造られた心ながら世界を愛おしいと感じたアースガルズだったが、創造主である預言者達を守護する使命を果たすため、稼働に必要な動力供給を極力カットし、冬眠状態となって現代に帰還したという。一方、その話を聞いていたマヤはアースガルズが語った宝石という言葉に反応していた。

その後、アースガルズが持ち帰った原初のファルガイアのデータをもとに、死んだ母親の「想い出」も兼ね備えた完全なクローン再生を試みていたマリクの前に黒衣の少女が現れる。少女がクローン体に手をかざすと、クローン体のマリクの母は、「想い出」を持った状態でマリクに語りかけた。しかし、魔族の力を得て異形の姿に変貌したマリクの姿を目の当たりにした母は、彼を自分の息子と認識できずに怯えて逃げ出してしまう。自分を拒絶する母の姿に発狂したマリクは母を殺害し、アジトの動力炉を破壊する。

動力炉の前で暴走したマリクと、計画を完遂せんと立ちふさがったミレディを倒したが、ジークフリードとリヒャルトは、浮遊要塞「デウスエクスマキナ」を浮上させる。ファルガイアの魔星化を食い止めるため、一行はデウスエクスマキナに乗り込む。すでに脱出をしていたマヤとシュレディンガー一家に合流した後、一行はリヒャルトを撃破する。ファルガイアに散布されようとしていたナノマシンのプラントを発見し、ジェットがプラントにARMを扱うように心を通わせながら手をかざすと、プログラムが急速に書き換えられていった。それを見たリヒャルトはジェットに対して「ファルガイアサンプル『世界の雛形』…人造生体であったか…」と口にする。リヒャルト達七人委員会は、星の環境再生計画にあたって、ファルガイアの構造を調査し、星を1つの生命体として捉えられるかを確かめようとしていた。そのためにファルガイアサンプルの1つとして造られたのがジェットだった。七人委員会のメンバーの1人である「エリオット・エンデューロ」は、失ったひとり息子の生前の姿を重ね、生体サンプル筒の中でジェットを育て続けていたのだった。
そしてユグドラシルの暴走事故の際にウェルナーに救出され、外の世界に適応できるよう調整を施された後、エリオットの息子の名前であるジェットの名を授けられた。自分には他の誰かのような「想い出」を持っておらず、記憶喪失だと思っていたが、最初から失うような「想い出」など無かった事実を知ったジェットは、やり場のない怒りをぶつけるべく一行と、ジークフリードのもとへ向かう。

デウスエクスマキナの中枢部でジークフリードを倒すと、デウスエクスマキナの全システムのエネルギー圧が低下し始める。ヴァージニア達の脱出の準備が出来次第、デウスエクスマキナを自爆することにしたマヤは、1人でメインコンソールの操作を引き受け、アルフレッド達に先に脱出するように命令する。それではマヤが危ないと感じて躊躇うアルフレッド達に、「『ファルガイア』という宝石をみんなで手に入れる」と言うマヤ。彼女の言葉を信じてアルフレッド達は脱出ポイントへ向かった。

一方、撤退したジークフリードは「龍機ファフニール」と合体して自身を強化しようとしていた。そこにファフニールの角を携えたマヤが現れ、魔族に匹敵する精神力によってファフニールの力を放ち、ジークフリードに大きな一撃を与える。
その反動で周囲が瓦礫で塞がり、一度は脱出を諦めかけるが、不屈の精神で死地を乗り越え、ヴァージニア一行とアルフレッド達と合流し、全員で脱出することに成功する。
デウスエクスマキナが自爆すると、ファフニールと合体したジークフリードが襲い掛かる。激闘の末、ついにジークフリードにとどめを刺した後、シュレディンガー一家と別れ、一行は報告も兼ねてバスカーへ向かうのだった。

Chapter4 想い出を守る戦い

戦いが終わり、バスカーで宴会を行った翌日、シェーンがバスカーから失踪していた。彼は「柱」と呼ばれる者がファルガイアに生命を捧げる「生け贄の祭壇」と呼ばれる場所へ向かっていた。シェーンは「夢の中の君」と呼ばれる少女に唆され、その身を捧げてファルガイアを守ろうとしていたが、ギャロウズの決死の説得により、生きることを決意する。祭壇の入口でウェルナーと再会するが、直後、一行の前に黒衣の少女「ベアトリーチェ」が姿を現す。

ユグドラシルの暴走は事故ではなく、七人委員会のメンバーで、ユグドラシルの制御管理官「デュラン」が情報ライブラリィ「ヒアデス」を通じて夢に現れたベアトリーチェに心を支配されたことで引き起こされた災厄だった。シェーンの夢見もまた、ベアトリーチェによって意図的に与えられていた情報であり、ウェルナーはファルガイアにとって危険な智慧をもたらす「ヒアデス」を封印しようと考えているが、クライヴは「力そのものに善悪は無いはずだから、有効活用することもできるはず」と「ヒアデス」を封印することに抵抗を感じていた。すると地震が発生し、巨大な塔「魔界柱」が出現する。そこには魔獣を製造するプラントが存在していた。それを見たジェットは、自分を書き換えマシーンと卑下し、自分も造られた生命で「想い出」を持たず、戦う理由も生きる理由も無いと言う。その後、魔獣を量産するための自律運行を司る受信装置を見つけ出し、破壊しようとするヴァージニアだったが、装置の発信源が「ヒアデス」であると考えたクライヴは破壊する前に「ヒアデス」から智慧を引き出せるかもしれないと止めに入る。しかしその隙を突かれ、装置にはベアトリーチェによってバリアを展開されてしまう。ベアトリーチェの目的は自らが住まうことができるもうひとつのファルガイアを創り出すことだった。そこにアースガルズが現れ、バリアを破り装置を破壊すると、決着をつけようと告げアースガルズは一行に戦いを挑む。一行が勝利すると、アースガルズは「戦いの中で培われていくバトルデータにより疑似的な心を得ていた」と告げる。「想い出」を持っていないから同じ造られた生命でも自分は半端者だと言うジェットに、アースガルズはそこに逃げ込むことで自分を甘えさせているのではないのかと指摘する。そしてジェットに生きる理由は既に見出しているはずと言うと、改めてその理由を問いかける。ジェットは「俺は、『想い出』を作るために戦う…そのために、この星を守りたい…」と答える。ジェットの出した答えに満足し、アースガルズは消滅していった。

塔を出ると、再び地震が起こり、別の場所に新たな塔が出現する。その方角はクライヴの故郷がある場所だった。クライヴは自宅に帰り、自分はみんなと一緒に戦うことができないと告げる。魔界柱が魔獣を産み落とす危険な装置だと分かっているものの、それを解析してその先にある「ヒアデス」を知りたいとも考えていた。そんな自分に星のために戦う資格は無いと言い、クライヴはチームから外れてしまう。3人はクライヴが後から追いかけてくると信じて、先に塔へ向かった。戦う理由を見失うクライヴだったが、娘の「ケイトリン」との触れ合いで、家族を守るという戦う理由に気づき、先に向かった3人の後を追う。合流したクライヴは、「想い出」は現在の自分を過去に縛る鎖では無いことを示し、塔の受信装置を破壊した。
その後、塔の奥で対面したベアトリーチェから、彼女の目的であるファルガイア創星計画は10年前のユグドラシルシステムの暴走により失敗したこと、過負荷に耐え切れず暴走したユグドラシルは星の創造に必要なデータバンクを補うために、人が持つ「想い出」を星の構成データとみなして吸収したことを告げられる。誰にもファルガイアが荒廃した瞬間の記憶が無いのは、その瞬間の「想い出」をユグドラシルに吸収されたことが原因だった。
では何故父はその時のことを覚えているのかとヴァージニアが問いかけると、ベアトリーチェは倒れているウェルナーの姿を見せる。そして預言者達から奪ったユグドラシルのジェネレイターと、人の「想い出」を用いて、今度こそ自分のファルガイアを創造してみせると告げると、彼女は姿を消した。
一行はウェルナーがいる「ミーミルズウェル」と呼ばれる「ヒアデス」のアクセスポイントへ向かうと、そこで彼から自分は10年前のユグドラシルの暴走事故で生命を落としており、生前にウェルナーが「ヒアデス」に残した「想い出」から構成された質量を伴う幻像が今その場に存在するウェルナーだと告げられる。10年前の事故で生存していたジェットを人として暮らせるように再調整をした後、システムが暴走した原因を探していたところでヴァージニアと再会を果たしたのだ。ベアトリーチェによって自身を構成する自律浮遊端末を傷つけられていたウェルナーは、もう長く維持することができないと悟り、ヴァージニアに施設を破壊し、「ヒアデス」とファルガイアの接点を断ち切ってほしいと頼む。だがそれは「想い出」としてのみ存在するウェルナーもこの世から消滅することを意味していた。
そんなことができるわけがないと拒絶するヴァージニアに自分は「想い出」の存在に過ぎないと告げ、ARMを構えるよう促すと、迷いを振り払い、ヴァージニアは父に引鉄を引いた。

故郷に作った父の墓前で、ヴァージニアは父の「想い出」を胸に生き続けること、その「想い出」やみんなの「想い出」を守るためにベアトリーチェと戦うことを決意する。
ベアトリーチェの居城である夢の城「ナイトメアキャッスル」で彼女と対峙する一行。ベアトリーチェはユグドラシルのジェネレイターを稼働させるためのエネルギーを補おうと城を爆破させた。城の爆発から間一髪脱出した一行だったが、起動したユグドラシルのジェネレイターによって10年前とは比べ物にならない規模で人々の「想い出」が奪われてしまっていた。一行は創星計画を止めるため、ベアトリーチェがいるディスティニーアークへ向かう。途中、シュレディンガー一家の助けも得て、ベアトリーチェとラミアムがいる部屋にたどり着く。しかしベアトリーチェの本性を知ったラミアムは、一行を彼女の攻撃から庇い、生命を落としてしまう。
その後、ディスティニーアークに張られた結界内で誕生したファルガイアの反存在となる世界「ネガ・ファルガイア」とベアトリーチェを倒すが、対となる世界が消滅することで、現実のファルガイアも消滅すると告げられると、ヴァージニアは辺りが白い世界に放り出される。そこでウェルナーと再会すると、今いるのは「ヒアデス」のエミュレーターゾーンであることを教えられる。ヴァージニアはそこで世界中の人々の「想い出」をウェルナーを構成していた自律浮遊端末に束ねて、ファルガイアを再生させた。
気が付くと、仲間達が自分を覗き込んでおり、戦いが終わったのだと安堵する。その時、倒れているラミアムの姿を見たディスティニーアークの教団員達は、一行にラミアムが殺害されたと思い込み発砲してくる。
銃撃戦になりかけるが、ヴァージニアはARMから弾を抜き、自分達が今まで間違ったことをしてきていないなら、この先にARMは必要ない、胸を張って駈け出そうと告げる。仲間達は彼女の指示に従うことを決意し、共にその場を駈け出すのだった。

その後、ヴァージニア一行は、教団教主殺害疑惑と暴徒と化した教団員との衝突により指名手配され、賞金首になるが、それほど深刻な事態にはなっておらず、現在も荒野を旅している。そして、再生されたファルガイアの大地には、ファルガイア再構成の際に用いられた「想い出」の中に、過去のファルガイアの姿を知るジェットの「想い出」が加わっていたためか、一輪の花が咲いていたのだった。

『ワイルドアームズ アドヴァンスドサード』のゲームシステム

サーチシステム

一度も訪れたことがない村やダンジョンは、アウトフィールド上に現れていない。これらを探すためにはサーチシステムを使って対象の建物を発見する必要がある。サーチはアウトフィールド上で□ボタンを押すとサーチウェブが展開され、サーチウェブの範囲内に目標の建物があれば、マップシンボルが出現する。また、建物以外にも看板やギャラ(お金)、アイテムを探すことも可能。なお、特定の建物は、イベントを進めたり、その場所に関する情報をあらかじめ入手しなければ出現しない。

グッズ

各キャラクターは専用のグッズを使うことで多彩なアクションをとることができる。4人のキャラクターにはそれぞれ3つずつグッズが用意されており、グッズは村やダンジョンで□ボタンを押すことで使えるが、左スティックと組み合わせて使うグッズも存在する。また、状況によっては複数のグッズを組み合わせて使う場所もある。

ASKシステム

イベントシーンや村の住人との会話中、メッセージ内に緑色の文字が表示されることがあり、表示中に□ボタンを押すと、ASK(Approach to Selected Keywords)システムによって緑色の文字の内容についてより詳しく話を聞くことができる。このシステムを使わなければ得られない情報もあるが、逆にASKシステムを使わないことによってのみ得られる情報もある。

エンカウントキャンセル

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