タクティクスオウガ(TO)のネタバレ解説・考察まとめ

『タクティクスオウガ』は1995年にクエストから発売された、スーパーファミコン用シミュレーションロールプレイングゲームである。
『オウガバトルサーガ』シリーズの2作品目であり、ランスロットやウォーレンなど、前作である『伝説のオウガバトル』と共通するキャラクターも多く見受けられる。
ヴァレリア大陸の民族紛争で親を亡くした少年である、「デニム・パウエル」が様々な政治的思惑や信条に触れ、戦いを通じて成長していく物語である。

『タクティクスオウガ』の概要

『タクティクスオウガ』はクエスト社の人気コンテンツであり、スーパーファミコン後期の作品であるため、グラフィックもスーパーファミコンにしては出来の良いものとなっている。
また、民族紛争をテーマにした重厚なストーリーも人気である。

戦場の斜め上から俯瞰するようなグラフィックが当時としては画期的なものになっている。
また、主人公の行動によってルート(ストーリー)が分岐するシステムなども画期的であり、後の多くのゲームに影響を与えた作品である。

スーパーファミコンで発売された作品であるが、人気があったため、後にプレイステーションポータブルにてリメイク版が発売される。
また、Nintendo Switchでもリメイクされる。

ストーリーは民族紛争で親を亡くした少年である「デニム・パウエル」が様々な政治的な思惑や信条に触れ、過酷な運命に翻弄されながらも己の信じる道を切り開いていくものである。

『タクティクスオウガ』のあらすじ・ストーリー

出典: ameblo.jp

バルマムッサの虐殺

大小15ほどの島々からなる諸島で、貿易拠点として栄えていた「ヴァレリア大陸」。
元々民族間の紛争が絶えない土地であったが、類まれな頭脳と人望を持つ、覇王「ドルガルア王」の統治によってしばらくの間戦乱が収まっていた。
しかし、それも長くは続かず、王妃と王子に悲惨な事件が相次ぎ、王も病気によって亡くなってしまう。
ヴァレリア大陸はそれから戦乱の世を迎える。

ヴァレリア大陸は少数民族の「ウォルスタ人」、多数派の「ガルガスタン人」、支配者層の「バクラム人」により争いが絶えない状態となってしまった。

統治者を亡くし内乱状態であった「ヴァレリア大陸」で民族紛争にて親を亡くした少年である、「デニム・パウエル」は姉のカチュアや親友のヴァイスと共にゲリラ活動をしていた。
そんな中、親の仇である「ランスロット・タルタロス』が村を訪れると聞き、襲撃を試みるデニム達。
しかし村を訪れたランスロットは異国である「ゼノビア国」から来た騎士「ランスロット・ハミルトン」であり、彼らに自らの民族「ウォルスタ人」を解放して貰うよう頼みこみ、自分達もその戦いに身を投じる。
デニムらレジスタンスの首領でありウォルスタ人の指導者であるロンウェー公爵は「アルモリカ城」に幽閉されており、デニム達はランスロットらに彼を助けて欲しいと乞う。

ロンウェー公爵は無事解放され、デニム達は彼に「クリザローの街」に囚われている「騎士レオナール」の救出を要請する。
デニム達が騎士レオナールを助け出している内に、ロンウェー公爵は暗黒騎士と休戦の協定を結ぶことに成功する。

最初はデニム達の頼みを快く引き受けるランスロット達であったが、ロンウェー公爵らを助けた後、彼の手段を選ばない戦略を疑問視し、離反する。
ロンウェー公爵は罪もない「クリザローの街」の住人を虐殺し、その罪を暗黒騎士に擦り付け、ウォルスタ人の士気を高めようと企んでいたのである。

これまでが共通のストーリーであるが、虐殺に加担するか否かでその後のストーリーは分岐する。

ロウルート

ロンウェー公爵を救出したデニム達は、彼が提案したバルバロッサ収容所に捕らえられている同士を救出し、武装蜂起させるという作戦をとるが、捕らえられていた者達は戦意を喪失していた。
そんな彼らをロンウェー公爵はガルガスタン人の仕業にして虐殺するという非道な作戦を実行する。
デニムは迷いの末、自らの手を汚し、虐殺に加担する。

その後、ロンウェー公爵の腹心であった「騎士レオナール」が公爵の暗殺を画策、公爵の暗殺は成功するもレオナールはその罪をデニムに擦り付ける。
しかし、レオナールを返り討ちにしたデニムはウォルスタ軍の指導者の座を手に入れる。

その後、ガルガスタン軍がウォルスタ人と決着をつけるために進軍してくるが、デニムはヴァイスと協力し、それを撃退。
しかし、元々好戦的な性格ではなく、ヴァイスとウマが合わなかったカチュアとは離別することになる。

ガルガスタン軍を退け、残るバクラム軍を撃破に向かうも騎士「ランスロット・タルタロス」にドルガルア王の遺児として担ぎ上げられたカチュアとデニムは対峙する。

カオスルート

虐殺の命令を拒否したデニムは、反逆者としてウォルスタ陣営に追われることになる。
賞金首となり、港街アシュトンに逃れた後、ランスロット・ハミルトンらの力を借りようと動き出すデニム達。
クリザローの街の虐殺で兄を殺されたという「アロセール」らに命を狙われるも、誤解を解きアロセールを仲間に引き入れる。

そんな中、カチュアがヴァイスに攫われ、ヴァイスとデニムは一騎打ちをすることになる。

一騎打ちの最中にロンウェー公爵の腹心である「騎士レオナール」が割って入り、デニムに和睦を要求する。

カチュアとデニムはだんだんと意見が合わなくなり、そんな折、カチュアはバクラム軍の暗黒騎士団に捕まってしまう。
ヴァイスはウォルスタ陣営から離反し、バラクム軍に取り入ろうとする。
体制に媚びを売り、成り上がろうとするヴァイスだったが、結局は悲惨な最期を遂げることとなる。

カチュアは自らの出自を知り、暗黒騎士と行動を共にすることとなる。

デニムはガルガスタン軍の一部と反バラクム軍勢力、そしてゼノビアの騎士と強力し、バラクム軍に戦いを挑む。

ニュートラルルート

ヴァイスとの一騎打ちの後、「騎士レオナール」の和睦の提案を飲み、ウォルスタ陣営の指導者となるデニム。
レオナールが言うにはランスロット・ハミルトンらは行方不明となり、ウォルスタ陣営にとっても危機的状況らしい。

デニムが指導者となったことが面白くないヴァイスはウォルスタ陣営から離反。以降ウォルスタ陣営から裏切り者として追われることとなる。
デニム自身にも離反したヴァイスを討つという任務を与えられることとなる。

カチュアはデニムと考えが合わなくなり、離反。

ガルガスタン人と手を組み、ウォルスタ陣営は大きくなる。

ミルディンと再会するデニムだったが、ウォーレンは昏睡状態で、ギルダスも行方不明という状況。
ミルディンは一行と同行することになる。

その後、プランシー神父や、フォーリナー4姉妹という、デニムの出自を知る人々と出会う。
カチュアやデニムの出自を知るプランシー神父は暗黒騎士団に命を狙われる。

ウォルスタ陣営とバラクム軍は暗黒騎士団の仲介のもと和平交渉をするが、上手くいかず状況は益々混乱する。
その後、しばらくウォルスタ軍、バクラム軍、暗黒騎士団は三つ巴のような状況になる。

しばらく逃げ回っていたヴァイスであるが、機を伺いロンウェー公爵を殺害し、自身も共に果てる。
レオナールが説得するも全く聞く耳を持たなかった。

ロンウェー公爵の死後、レオナールとデニムの両名は暗黒騎士が駐留する「フィダック城」に攻め込む。

レオナールはカチュアに出会うもカチュアに殺害される。
そんな中、カチュアが亡きドルガルア王の遺児であることが判明する。

戦いの中、屍術師ニバスという、不老不死を得る目的のためなら手段を選ばない術師と出会い、その数奇な運命に翻弄される、ニバスの娘と息子を仲間に迎える。
また、行方不明であったギルダスもニバスの実験台の一人にされてしまう。

共通ルート(最終章)

タクティクスオウガ バッドエンド

暗黒騎士達はカチュアを担ぎ上げ、事態の解決を図るも失敗。
そんな中、ゼノビア騎士達の真の目的である聖剣「ブリュンヒルド」が暗黒騎士達に奪取されていたことを知ったデニム。
また、フォーリナー4姉妹のオリビアにより、自らの出自を知らされる。

自らをウォルスタ人だと思い込み、民族解放運動に身を投じてきたデニムであるが、自らがバクラム人であると知り民族間の不毛な戦いに終止符を打つため、暗黒騎士らローディス人に立ち向かうのであった。

暗黒騎士達の一部はそのブリュンヒルドを用い、亡きドルガルア王の墓を暴き、古の神と魔の戦いの際に、神が魔を封じたとされる「カオスゲート」を開放するという、とんでもない行動に出る。
カオスゲートを開くと、失踪したドルガルア王が復活してしまう。

果たしてデニム一行はそれを阻止することができるのか。

カオスゲート開放の一件が終わればエンディングであるが、カチュアが生きているかどうかでグッドエンドかバッドエンドに分岐する。

カチュアが生存していると、戦いに参加した仲間が次々と祖国に帰っていくグッドエンドになるが、カチュアが死亡しているとウォーレンが一人封印の間に残るバッドエンドとなる。
デニムはヴァレリアの指導者になるが、色々と問題を残した、後味の悪いエンディングである。デニムは最終的に銃撃される。

『タクティクスオウガ』のゲームシステム

戦闘は、高低差のある3Dマップで行われる。
高所から低所のユニットに一方的に攻撃をしたりということが可能であるため、ポジション取りもこのゲームで重要な要素である。
当時のシミュレーションロールプレイングとしては珍しく、戦闘に「ウエイトターンシステム」というシステムが用いられている。
素早さの高いものから順に行動が出来、装備の重量などによっても行動順が変わるため、非常に戦略性の高いプレイが求められる。

また、魔法を使用できるキャラクターは戦闘開始から徐々にMPがチャージされ、アイテムなどを使わない限りは直ぐに魔法を使うことはできない。

各キャラクターごとに職業(クラス)が設定されており、特殊なキャラクターを除いては転職をすることが可能である。
職業によって使用できる武器や魔法が変わったり、ステータスが変わったりするため、職業の選択もこのゲームの重要な要素である。

キャラクターは基本的に死亡すると特殊な方法を用いない限り、生き返ることはない。
そのため、慎重かつ戦略的にゲームを進めていかなければならない。

人間のユニットの他にも、スケルトンやグリフォンといったモンスターの類いも仲間にすることが出来、それぞれ使い勝手が違うため、それらのユニットをどう使っていくかということも攻略のカギである。
空を飛べるカノープス等のユニットもいるため、そのような機動力の高いユニットをどう利用するかも攻略の鍵である。
また、キャラクターごとにエレメントという属性のようなものがあり、火属性は水属性のキャラクターに有利といったことがあるので、攻撃をする際にはそれらも加味する必要がある。

『タクティクスオウガ』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

デニム・パウエル

少数民族のウォルスタ人であり、姉のカチュア、友人のヴァイスと共にレジスタンス活動をしている。
ランスロットらの力を借り、ロンウェー公爵を助けたことにより、ウォルスタの英雄として担ぎ上げられる。
自分はウォルスタ人であると思っていたが、ゲーム後半で実は皇族の多いバクラム人であることが発覚する。

プレイヤーの意思を反映する主人公であるため、思想や信条というものはプレイヤーに委ねられ、虐殺に参加するかといった選択肢によってストーリー展開が変わってくる。
勇敢な性格の正義漢であり、弱者を助けようとする節があり、主人公らしい性格だと言える。

カチュア・パウエル

主人公であるデニムの姉のウォルスタ人であると思われていたが、ドルガルア王の遺児でありバクラム人であることが後に判明する。
その後、ランスロット・タルタロスらにドルガルア王の後継者として担ぎ上げられる。

デニムに対して、たった一人の肉親であるという思いから、溺愛していたが、自分とデニムは血がつながっていないとわかってからは距離を置いている。
ワガママで自分勝手と見られる行動が目立ち、ゲーム史上でも稀にみる悪女であると言われることもある。

5iyu-na78
5iyu-na78
@5iyu-na78

Related Articles関連記事

伝説のオウガバトル(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

伝説のオウガバトル(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『伝説のオウガバトル』とは、1993年3月12日、クエストよりスーパーファミコンで発売されたシミュレーションRPGである。全8章からなるとされる『オウガバトルサーガ』の5章にあたる。大陸全土を支配する神聖ゼテギネア帝国に対し、主人公が反乱軍を率いて挑む戦いを描く。 大部隊同士の臨場感のある戦闘が特徴である。 また、民衆の支持率によってゲームの展開が大きく変わるのも魅力である。

Read Article

北欧神話徹底解説・考察まとめ!おもしろくて分かりやすい!

北欧神話徹底解説・考察まとめ!おもしろくて分かりやすい!

北欧神話(ほくおうしんわ)とは、キリスト教が広まる以前にノルド人(ノース人)が信仰していた神話体系。ノルド人がスカンジナビア半島を勢力圏としていたため、スカンジナビア神話とも呼ばれている。口伝によって伝えられていたが、13世紀頃、アイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンによって『エッダ』という書物にまとめられた。 「滅亡の運命」が定められた神々の隆盛と終焉を描いており、全体的に暗い印象のエピソードが多い。物語全体の完成度が高く、漫画などの現代の創作物においてもたびたび題材として用いられる。

Read Article

目次 - Contents