SIREN: New Translation(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『SIREN: New Translation』とは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)によるPlayStation 3用のホラーゲームで、『SIREN』シリーズの3作目。初代『SIREN』の新訳として開発された。
ある日、自分宛てに届いたメッセージに興味をもった高校生のハワード・ライトは、日本の山奥に存在する羽生蛇村(はにゅうだむら)を訪れる。本作は、羽生蛇村を舞台に巻き起こる怪異に立ち向かう様々な人物の物語である。

エピソード11:神宝「宇理炎」と蚕子の誕生

犀賀医院で目覚めたハワードは犀賀省悟の手により輸血されていた。犀賀省悟のところへ行くと彼が屍人を使った人体実験をしているところに出くわす。そのあまりに残酷な光景にハワードは「あんた狂ってるよ!」と叫ぶ。そんなハワードを犀賀省悟は「救世主」と呼び、「まだやることがある」と言い捨て部屋を後にする。犀賀省悟が向かった先は羽生蛇鉱山。合石岳異記に記されていた内容によると、神宝である「宇理炎」は合石岳に眠っていると記されており、自らそれを手にするべく訪れたのだ。鉱山では、頭脳屍人となったかつての恋人である河辺幸江が襲い掛かってくる。犀賀省悟は何度殺害してもすぐに復活する河辺幸江の胴体を杭で打ち付け動きを封じる。鉱山の奥へ進んだ犀賀省悟は、ついに青白い光を放つ宇理炎を入手するのだった。

時を同じくして、犀賀医院を出たハワードとベラは屍人ノ巣へ向かう。過去の世界線の記憶があるハワードは、「前は一人だった。今度は君が一緒だ」とベラに語り掛け、自身が1人ではないことに勇気づけられていることを伝える。巣の中枢へ進むと、オルガンの音が聞こえてくる。音のする方向へ進むと、そこにはオルガンを演奏しているアマナと赤い水の池に浮かぶ美耶古の姿があった。アマナの一声で儀式が始まり、美耶古は炎に包まれてしまう。その瞬間に現れたサムは「これも予言の通りか」と、予言されていた儀式を止められなかったことに頭を抱える。美耶古の犠牲により、白透明の謎の巨大生物が誕生し辺りを暴れまわる。その姿にアマナは「違う、これでは違う」と絶望し、そこに突如現れた犀賀省悟は不敵な笑みを浮かべるのだった。

エピソード12:最終決戦「いんふぇるの」

美耶古の生贄により誕生した蚕子は儀式の場で暴れまわり、その場に現れた犀賀省悟の胴体を貫いてしまう。その時、犀賀省悟は羽生蛇鉱山で手に入れた宇理炎を取り出し、青白い炎を天に解き放つ。不死となった存在を滅する力をもっている宇理炎の天から降り注ぐ炎によりその場の人間全てが吹き飛ばされる。

宇理炎の力により吹き飛ばされたサムは屍人ノ巣で目覚め、目の前にはハワードが倒れていた。お互いの自己紹介をして名を名乗ると、ハワードは驚愕する。「サム・モンロー」とは、自分がこの羽生蛇村にくるきっかけとなったメールを送り付けてきた人物の名前だったのだ。しかし、メールのことをサムに訪ねても「何の話だ?」と知らない様子である。二人は手分けして屍人ノ巣を探索することにする。ハワードと分かれた直後、サムの前に怪力屍人が立ちはだかるが、それはなんと自ら焼死したはずの元妻メリッサだった。問答無用で襲い掛かってくるメリッサに向けてサムは付近にあったテレビアンテナを突き刺し、それに反応して落雷が命中してメリッサを退治することに成功する。安心したのも束の間、付近では蜘蛛屍人と化したソルがベラに襲い掛かっている姿があった。手持ちの銃で蜘蛛屍人の群れを撃退するも、ソルが隙を見てベラに襲い掛かる。その時、落雷に打たれたメリッサが間一髪ソルを押さえつけ、そのまま突如現れた奈落の底に引きずりこみ自らを犠牲にしてベラを救出する。しかし、ベラの足元も崩壊し自身も奈落の底に落ちていくのだった。

一方、ハワードは儀式が行われていた水鏡の空間にいた。水鏡の向こうには美耶古の姿があり、ハワードに「お願い、全部...全部消して、この村もあいつらも全部」と告げて水鏡の世界へハワードを導く。ハワードが導かれたのは「いんふぇるの」と呼ばれる異世界である。そこには蚕子に刺されたはずの犀賀省悟が待ち受けていた。犀賀省悟はループする世界に気づいており、何度も屍人や元恋人である河辺幸江を殺害しなければいけないことにうんざりしていた。波羅宿集落で見つけた合石岳異記によると、宇理炎の力は寄り坐しの力を持つ者だけが使うことができ、それは神の血を引く美耶古の血液を体内に取り入れることで寄り坐しの力を手にすることができる。ハワードを自身の犀賀医院へ運び入れたとき、ハワードの血液を自身に輸血することで美耶古の血液を得ようとしていたが、それだけでは足りず宇理炎の力を最大限発揮することができなかった。そこで、いんふぇるので宇理炎をハワードに渡し、ハワードが救世主として相応しいか見定めるため攻撃を仕掛ける。宇理炎の炎を浴びた犀賀省悟は、最終的には消滅し自身が望んだ通りこの世界から消滅するのだった。

犀賀省悟を葬った直後、ハワードの前にまたしてもアマナが現れる。蚕子が不完全な状態で誕生した元凶が、純潔であった美耶古の血にハワードの血が混ざったためだと知ると、蚕子を完全体にするために自らを実として蚕子に差出し完全体へと進化させる。万華鏡のような眩い世界の中で変幻自在に動き回る蚕子に攻撃が当たらずハワードは苦戦を強いられる。その時、美耶古の声が脳内に響き渡り美耶古の視界が映し出される。その視界では本当の蚕子の居場所を見ることができ、それを頼りに宇理炎で攻撃を仕掛け、最終的に宇理炎の炎を纏った刀「焔薙(ほむらなぎ)」により蚕子は消滅する。

気づくとハワードと美耶古は辺り一面真っ赤な世界にいた。ここはいんふぇるのと現実世界の間に位置する水鏡の世界である。蚕子を倒し、ようやく現実世界に戻れると確信した二人は安堵する。現実世界へ戻る二人の後ろにはアマナが横たわっていた。起き上がるアマナの表情は安堵と喜びに満ちていた。それは、自身に科せられた呪いを断ち切ることができたからだ。アマナの正体はなんと成人したベラである。ベラが屍人ノ巣で奈落の底に落ちていった時、たどり着いたのは7世紀の羽生蛇村であった。そこで水不足や食糧難に見舞われ飢餓に陥ったベラは、ある日天から現れた蚕子の肉を食べてしまう。その呪いによりベラは不死の力を与えられ、これまで生きてきたのだ。ところがハワードの手により蚕子が消滅すると、蚕子の呪いが解かれ自由の身となった。「新たな始まりが生まれる」。そう言い放ったアマナは赤い世界の向こうへ歩いていった。

『SIREN: New Translation』のゲームシステム

基本的な流れ

『SIREN: New Translation』は、複数の主人公を代わる代わる操作してストーリーを進めていくアクションホラーゲームである。各エピソードの終了条件を達成することで次のエピソードへ進むことができ、エピソード中で特定の行動を取ることでアーカイブと呼ばれるストーリーに関わる情報や資料を手に入れることができる。

エピソード方式

本作では前作と異なりストーリーが一本道となったストーリーを進めていく方式である。全12エピソードが実装されており、1つのエピソードに複数のチャプターが用意され、その内実際にプレイをするのは1、2話である。前作では「リンクナビゲーター」という物語構成を一望できるシステムとなっていた。各エピソード内で非常に緻密な行動を取って初めて新しいエピソードが解禁されるといったシステムだったため、本作のストーリー進行は大幅に難易度が下がったと言われている。

アクション要素

ゲーム視点は第3者視点(TPP:サードパーソンプレイ)でキャラクターを操作する。屍人との戦闘では銃器を用いて戦うことが好ましいが、本作ではほぼすべてのキャラクターが素手での攻撃が可能となった。しかし、相手を仰け反らせることができないため、倒すには技術が必要である。新要素として、ダッシュをしながら攻撃することで相手を転倒させることができるダッシュ攻撃や、特定の状況下で攻撃を仕掛けると一撃で相手を倒すことができるフェイタルムーブが追加された。また、扉を抑えたり転倒してしまった時に、モーションセンサー対応のためコントローラーを振って対応する等の要素も加わった。

視界ジャック

本シリーズの要である相手の視界を見ることができる視界ジャックだが、本作では相手の視界をジャックすると画面が二分割され自身と相手の両方の視界が映し出される。最大で3人の視点を画面に表示することができる。視界ジャックを駆使することで相手の行動パターンを把握し相手に見つからず移動ができたり、チャプターを進めるうえでのヒントを得ることが可能。また、前作では一部のキャラクターを除いて視界ジャック中は移動不可であったが、本作では移動可能となっている。移動する際に表示できる視界は1つのみ。

『SIREN: New Translation』の登場人物・キャラクター

登場人物の外見はすべて演者の外見をモデルに作成されている。

主要キャラクター(操作可能)

ハワード・ライト(Howard Wright)

蚕子を撃破後に屍人を殲滅するために戦うハワード

演:ステファン・フィッシャー
本作の主人公で2007年の人物。普段は都内のインターナショナルスクールに通うごく普通の高校生である。片言だが簡単な日本語は話せる。自身が開設しているブログ宛てに謎の人物から送られてきたメールをきっかけに日本の山奥にある羽生蛇村を訪れる。羽生蛇村で行われていた生贄の儀式を目の当たりし、殺害されそうになる美耶古を救い出し、美耶古と村の怪異を終わらせるため屍人らに立ち向かう。
日本語の練習のために開設したブログを見ると、ハワードの日常や羽生蛇村を訪れることになったきっかけなどが綴られている。このブログだが、実際のURLを入力するとそのページを閲覧することができる。
初代『SIREN』の主人公「須田恭也」にあたる人物だが、やんちゃな性格であり儀式の直後に屍人と化した警官である嶋田習次に真向から立ち向かったり、作中で暴言を吐いたりするなど好戦的な一面を見せる。

サム・モンロー(Sam Monroe)

屍人に襲われていたところを犀賀省悟によって救出されたサム

演:ジョナサン・レッグ
2007年の人物で、文化人類学部教授。羽生蛇村の儀式について取材するために訪れたメリッサ一行に同行し村を訪れる。メリッサとは離婚をしており、作中でも頻繁に喧嘩をする描写が描かれている。シッターを雇う金銭的な余裕がなかったことから、メリッサとの娘であるベラを村に連れてくる。村の怪異に巻き込まれ探索を進めるが、不入谷聖堂で見つけた天地救之伝に一連の騒動が全て予言されていたことを知り、儀式を止めるべく奮闘する。物語終盤、ハワードの手により蚕子が消滅し時空が歪んだことで奈落に落とされ、1976年の羽生蛇村にタイムスリップしてしまう。タイムスリップの最中、娘のベラが過去の世界へ飛ばされ蚕子の呪いにより不死の力を得て今日までアマナとして生きてきた様子が脳裏に流れる。ベラを永遠の存在にするため、サムはハワードを再び羽生蛇村に来させて儀式を邪魔させるため31年という長い年月をかけてハワードを待ち続け、彼のブログが開設された時メールを送った。このメールがハワードが羽生蛇村に来るきっかけとなった冒頭のメールである。
初代『SIREN』の竹内多聞にあたる人物である。

メリッサ・ゲイル(Melissa Gale)

ベラを引き連れて屍人から逃げるメリッサ

natuhi0
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