Paradise Kiss(パラダイス・キス)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『Paradise Kiss(パラダイス・キス)』とは、雑誌『Zipper』にて連載された矢沢あいの漫画作品である。進学校に通う早坂紫が、矢沢芸術学院生「パラダイス・キス」のメンバーからファッションショーのモデルになるよう誘われる。夢を追う彼らに刺激を受け、紫も人生への考え方に変化が表れてゆく。ファッションへの情熱やキャラクター達の人生観、恋愛模様が凝縮され、今でも人気の高い作品。ファンの心を射抜く矢沢あいの名言や名シーンを紹介する。

ジョージがパリに旅立った後、紫に小包が届いた。ジョージから紫に送られた小包の中にはカギと地図が入っており、紫は地図を元に大型コンテナが並ぶ貸倉庫へとたどり着く。小包に入っていたカギでコンテナを開けると、中にはジョージが作った「パラダイス・キス」の服や靴が並べられていた。ジョージが作った大切な服だからこそ、大切な紫に着て欲しい。ジョージからの最後の贈り物には、紫への深い愛が詰め込まれていたのだ。この先、同じ道を進むことはないけれど、ジョージにとっても紫は大切な人。その想いを受け取った紫は、彼が作った服を励みにし、体系維持やモデル業へと打ち込んでいくのだった。

櫻田実和子(さくらだみわこ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

優しさが凝縮された実和子の登場シーン

「パラダイス・キス」のメンバーに捕まり、気絶した紫は彼らのアトリエで目を覚ます。しかし彼らが矢澤芸術学院の生徒だと分かると、モデルの誘いを断り、彼らの夢を「お遊び」と言ってしまう。その一言にメンバーの永瀬嵐(ながせあらし)は怒り狂い、彼女である櫻田実和子(さくらだみわこ)は懸命に嵐をなだめながら、初対面の紫に嵐の態度を詫びるのだ。更にはアトリエを飛び出した紫を追いかけ、怒るのでもなく、泣くのでもなく、穏やかな表情で「自分たちは放課後ここにいるから 気が向いたら会いに来て」と言葉をかけるのだ。初対面の相手に夢を侮辱されても、嫌な顔一つ見せない実和子。とがった態度を見せる紫とは対照的に描かれており、個性的なメンバーがひしめく「パラダイス・キス」のメンバーの中で癒しとなるキャラクターである。実和子の登場シーンには、彼女の優しさや柔らかさが凝縮されている。

「好きな人に甘えたいと思うのはみんな同じだよ」

恋人のジョージとケンカして飛び出してきた紫。ジョージが自分を追いかけてくるような男ではないことを分かっていても、彼を待ってしまう。自分がジョージが求めるような主体性を持った女性ではなく、ジョージがそのことに気付けば、二人の関係は終わってしまうのではないか。その考えに押し潰されそうになった紫は、実和子に連絡をする。実和子がバイクで駆け付けると、自分の胸の内を吐き出したのだ。その紫に対してかけた言葉が「好きな人に甘えたいと思うのはみんな同じだよ」だった。主体性がない女が嫌いだというジョージに認められるようになろうと、恋人に甘えたい気持ちを我慢してきた紫。自分の中で押し殺してきた気持ちは、誰しもが持っているものだと肯定してくれた美和子の言葉は、壊れてしまいそうだった紫の心を優しく支えた。安心したような表情で涙を流す紫の姿から、実和子のこの一言がどれだけ救いになったかが伺える。

永瀬嵐(ながせあらし)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「ビジネスとして成功したいならもっと現実的に物事わきまえなきゃだめだろ 芸術家目指してるんじゃねぇんだから」

ファッションショーまでに衣装を仕上げなければならない中で、妥協案に乗ろうとせず完璧を求めるジョージ。心配する仲間の中で嵐だけが、「ビジネスとして成功したいならもっと現実的に物事わきまえなきゃだめだろ 芸術家目指してるんじゃねぇんだから」と発言をする。ジョージを始め、「パラダイス・キス」のメンバーがファッションショーにかける熱意を考えると、完璧を追求したいジョージの作り手の気持ちも理解できる。しかし、焦りが生まれる時だからこそ、嵐のように一歩引いて物事を捉えられる人物がいると、チームとしてのバランスを保つことができるのだ。荒々しい言動が多いキャラクターだが、ファッションにかける情熱を持ちつつも、メンバーの中で誰よりも現実的に物事を考えられる人物だということが感じられる一言である。

山本大助(やまもとだいすけ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「美しい装いは人に勇気や自信を与えるわ」

「パラダイス・キス」のメンバーでパタンナーを目指しているイザベラこと山本大助(やまもとだいすけ)が、紫に言った言葉。「美しい装いは人に勇気や自信を与えるわ あたしはそう信じてジョージと服を作り続けてきた あなたにも魔法がかかったかしら」という言葉は、幼い頃から自分の性に違和感を抱いていたイザベラがジョージが自分のために作った服を着たことで、自分を肯定することができた体験から語られたものである。服はただ身に着けるものではなく、その人の心を支える力があるもの。かつての自分が一着の服で変われたように、自分たちの作った服も誰かの特別な一着になって欲しいという思いを感じ取ることができるセリフである。

「決まってるじゃない あなたのドレスのパターンを引くのよ」

船でパリに向かうジョージの元に現れ、就職を蹴ってパリへ一緒に行くことを告げたイザベラ。その大胆な行動力に呆れたジョージに「この先どうするんだ」と問われたイザベラは、迷うことなく「決まってるじゃない あなたのドレスのパターンを引くのよ」と即答した。幼馴染であり、ありのままの自分を受けれてくれたジョージは、イザベラの中でも大切な存在。また、イザベラに夢は 「ジョージの作る服のパターンを引くこと」であるため、自分の夢を叶える為にも渡仏を決意したのだ。ジョージからの質問に迷うことなく答えた姿からも、夢を叶えようとするイザベラの決意が現れている。

幸田実果子(こうだみかこ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「トントン拍子に進んでいけるのはその道が自分に合ってる証拠だよ」

実和子の姉である実果子は、作中に登場するブランド「Happy Berry 」の社長兼デザイナー。バイトの面接に来た紫に雑誌モデルの代役を依頼し、さらにはモデル事務所を立ち上げた同級生に紫を紹介するなど、紫の夢の実現を後押しする人物でもある。しかし、あまりにも順調に物事が運んだため、紫は怖気づいてしまう。そんな彼女に、「トントン拍子に進んでいけるのはその道が自分に合ってる証拠だよ」と、実果子は言葉をかけた。さらにこの後に続く、「このさきはキャロラインのがんばり次第だけど、がんばっている人間にバチなんてあたらないって」という言葉に、紫は背中を押されて夢へ突き進む決意をするのだった。

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