CLAYMORE(クレイモア)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『CLAYMORE(クレイモア)』とは、八木教広原作のダークファンタジー漫画である。中世ヨーロッパ的な世界を舞台に、半人半妖の女戦士たちが妖魔や覚醒者などの人外の存在と戦う姿が描かれている。主人公クレアの成長や女戦士たちの生き様などバトルシーン以外にも見どころが多く、美麗な女戦士や覚醒者のデザインの素晴らしさが評価されている。壮大な世界観と重厚なストーリーが上手くまとめられており、非常に読み応えのある作品となっている。

ジーンの恩返し

自分を救ってくれたクレアのため、ジーンは命を懸けてクレアを人へと戻す。

自分を覚醒体から人へと戻してくれたクレアに、恩を返したいと考えていたジーン。リガルドに腹部を貫かれて致命傷を負っても、クレアを救いたいという思いに突き動かされて立ち上がる。「あの時とちょうど逆だな」と穏やかに話しかけるジーン。クレアの刃に身体を貫かれても決してクレアを離さず、「あの時の言葉と恩…そのまま返しにきた…」とクレアへの感謝の言葉を伝え、最後の力を使って妖力同調をしてクレアを人に引き戻したのだ。恩義を忘れずに、人のため、仲間のために戦い続けたジーン。彼女の魅力が凝縮された、悲しくも印象深いシーンである。

仲間の遺志を胸に

ラキとの再会を果たそうとするクレアの言動が引き金となり、北の戦乱の生き残りたちが遂に動き出した。

北の戦乱から7年。ラキの生存を信じて捜索を続けていたクレアは、少年が囚われていた痕跡を見つけ出し、生きて南へ向かったことを確信する。ラキとの再会を果たすため、更には自分の中に受け継いだ戦士たちの意志を遂げるため、クレアは北の地を離れることを仲間に告げる。それが引き金となり、組織への復讐を果たすため、ついにミリアたちが動き出す。潜伏中に厳しい鍛錬を続け、妖気を押さえながらでも上位ナンバーと渡り合える強さを身に着けた戦士たち。北に散った仲間たちの想いを胸に戦いに挑む覚悟が伝わってくる。

ミリアの願い

組織を潰しにきたミリアは、ナンバー10のラフテラの視覚操作を受け、かつての友ヒルダの幻影に惑わされてしまう。覚醒者となったヒルダを自らの手で討伐したが、ミリアはもう一度友に会いたい、また一緒に戦いたいと叶うことのない願いを抱いていた。涙を流しながら再会を喜び、「これからまた一緒に戦っていこうヒルダ…」と幻影に語り続ける姿が切ないこのシーン。再会を切望した友の幻と、戦士たちに斬り刻まれる現実という対比が、残酷さをより際立たせている。

ミリア「人の血にまみれるのは 私の手だけでいい」

甦ったかつてのナンバー1たちとの戦いに決着が付くと、ミリアはデネヴ、ヘレンと共に組織の人間を捜索する。組織の秘密を探っていた時に地下室の存在を知ったミリアは、デネヴたちを遠ざけて一人でそこへ向かい、潜んでいた組織の長リムトの首をはねた。組織の者とはいえ、人のために戦ってきた戦士たちに人を殺めさせたくなかったミリア。「人の血にまみれるのは私の手だけでいい」と考えており、自分だけが手を汚すことを固く決意していたのだ。彼女の心の強さや仲間を思う気持ちに改めて気付かされるシーンである。

クラリスの消滅

クラリスは自分が消えることでミアータの心が壊れないよう、二人の記憶を消し去って消滅した。

精神的に最も成長した戦士、クラリス。その最期のシーンは非常に印象的である。ラボナに襲い掛かる覚醒者エウロパを討伐するため、ガラテアと共にミアータの心を預かることとなったクラリス。慣れない精神共有、さらには覚醒したミアータの制御は想像以上にクラリスの身体に負荷をかける。その状況でミアータが完全覚醒しそうになってしまい、自分の命がミアータの命か選択を迫られたクラリスは、迷わずミアータを救うことを選ぶ。最後の力でミアータを人に戻し、自分が消えても心が壊れないようにと二人の記憶をミアータから消して消滅するのだ。できそこないと呼ばれ、実力も勇気もなかったクラリス。その自分を「ママ」と呼び、存在意義を見出してくれたミアータ。初めはミアータのことを恐れていたが、二人の間には確かな絆が芽生えていたのだ。作中で最も成長を見せたキャラクターと言っても過言ではないクラリス。跡形もなく消え去ってしまっても、ミアータがクラリスという戦士がいたことを感じている描写に涙を誘われる。

『CLAYMORE』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

名前の由来は西洋美術

作中に登場する地名や人物名の由来には、西洋美術に関連するものが多い。「北の地アルフォンス」「南の地ミュシャ」はチェコの芸術家のアルフォンス・ミュシャから、「ドガの村」はフランスの芸術家であるエドガー・ドガの名前が使われている。また「組織の本拠地スタフ」と「組織の長リムト」はオーストリアの画家グスタフ・クリムトの名を一文字削って使っている。「組織の連絡員ルヴル」や「オルセ」はフランスのパリにあるルーヴル美術館やオルセー美術館が由来となっている。

妖魔討伐の仕組み

妖魔の捕食は1、2週間に1度。定期的に住人の遺体が発見されると、その町や村には妖魔が潜伏している可能性が高い。その村や町の長が妖魔討伐の依頼を組織に出すと、戦士が送られてくる。戦士は妖魔討伐だけに専念し、依頼先とのやり取りは組織の連絡員たちが担当する。妖魔の討伐数によって金額が変動するようだが、組織への報酬金額は非常に高額。組織に支払う金額を捻出するために町の存続が危ぶまれるところも出てくるようで、妖魔討伐後に報酬金を回収しに来た組織の連絡員と、金額についてもめることもある。そうした場合は、今後組織はそこからの要請には一切応じないというスタンスを取っている。

「特殊体」クレア

テレサの血肉を取り込んだ「特殊体」クレア。妖魔の血肉を半分以下しか受け継いでおらず、その力は並の戦士より遥かに劣ると思われていた。

本来ならば妖魔の血肉を少女の身体に埋め込んで半人半妖の戦士が作られるが、クレアはテレサの血肉を取り込んでいる「特殊体」である。そのため他の戦士からは「クオーター」と呼ばれ、妖魔の血肉が薄いために平均的な戦士よりも運動能力が劣っており、力の弱さを見下されていた。組織は「優秀な戦士の血肉を取り込んだ戦士を作り、永続的な強さを図る」という研究のためにクレアにテレサの血肉を埋め込んだようだが、クレアのナンバーが組織の最下位である47だったことから、実験は失敗だったと考えている。

戦士の手術痕

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