日下部篤也（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ

五条悟が封印された後、渋谷の事態は一変する。特級呪霊・真人の術式「無為転変」によって化け物に変えられた人間・改造人間達が一般人を襲い始めたのだ。そのため五条悟のバックアップのために待機していた呪術師達は帳の中に突入することになる。日下部篤也もパンダと共に魑魅魍魎の跋扈する帳の中へと入った。

帳の中への突入時に五条悟が封印されたことを知らなかった面々だったが、虎杖悠仁からの情報共有で五条悟が封印されたことが伝わる。呪術師達の目的は一般人の救出から、五条悟の封印を解くという方向にシフトした。冥冥率いる冥冥班、一級呪術師・七海建人が率いる七海班、御三家の一つ禪院家第26代目当主・禪院直毘人が率いる禪院班は、五条悟がいるという渋谷副都心線の地下五階を目指すことになった。しかしパンダとチームを組んでいる日下部篤也は一般人の救助を名目に、地下五階には向かわない。

帳の中にいた一般人は、呪術高専東京校の二年生、呪言師である狗巻棘の力によって避難が粗方済んでいた。建物の中を隈なく探して歩き回る日下部篤也に、パンダも地下五階に向かおうと進言する。だがそんなパンダを日下部篤也は叱咤した。「世の中の人間は、五条だけじゃないでしょーが！！！」。パンダはその言葉に衝撃を受けるた。そして、今この瞬間も渋谷のどこかで幼い子供が恐怖に震えているかも知れず、それを見落とすことは儚い未来を摘み取ることに自分達が加担したことになるのだという日下部篤也の説得に、だんだんそんな気がしてきて、建物内部の捜索を再開する。

日下部篤也は地下五階には行きたくない。なぜなら死にたくないから。そしてパンダが一人で地下五階に向かうのも避けたい。なぜなら今の渋谷で一人になりたくないから。日下部篤也は徹底して戦闘を避けようとしているだけなのだった。

そしてさらに日下部篤也にとってうまい展開がやってくる。偽夏油／加茂憲倫／羂索に体を乗っ取られる前の夏油傑を慕っていた夏油一派の一部の呪詛師が現れたのだ。前に二人、背後には隠れているが二、三人の呪詛師がいるようだ。人数的には日下部篤也達不利だったが、現れた呪詛師達から感じ取れる力量から相手が自分よりも格下であると日下部篤也は感じ取る。この夏油一派の相手をのらりくらりしていれば、特級呪霊のところに行かずにすむと、日下部篤也すむとほくそ笑むのだった。

しかし日下部篤也とパンダが夏油一派に遭遇した頃と時を同じくして、虎杖悠仁の体の主導権を得た両面宿儺と人々の大地への恐れから生まれた特級呪霊・漏瑚（じょうご）が戦闘を始めた。特級以上の実力の者同士の戦闘を見て、臨戦態勢だった日下部篤也はすぐさまその場を離れることを決断する。隠れていた呪詛師達が立ちふさがるのを、「シン・陰流」の「抜刀」で一瞬で斬り倒し、呪詛師達へも逃げることを提案する。今の状況は「蟻んこの上で象がタップダンス踊ってんの！！一応言っとくけど俺達が蟻な！！」であり、一刻も早く逃げなければ命が危ない。

だが、それは両面宿儺によって阻まれる。いつの間に両面宿儺は日下部篤也とパンダの間に立っていた。そして逃げようとする日下部篤也達にこう言う。「ならん。これより四方一町（一町は約109メートル）の人間全員、俺が『よし』と言うまで動くのを禁ずる。禁を敗れば勿論殺す。」と言い放つ両面宿儺を前にして、日下部篤也達は動くことはできなかった。頭上には漏瑚から放たれた術「極ノ番『隕』」（超、超巨大な炎に包まれた岩石を作り出す術）が迫ってきている。両面宿儺は楽しそうな笑みを浮かべながら「まだ、まだまだ」と「極ノ番『隕』」をギリギリまで引きつけて、最後に子供のような無邪気な笑みを浮かべて「よしっ」と手を叩く。日下部篤也とパンダはその掛け声の瞬間にその場を離脱した。

両面宿儺と漏瑚の戦闘後、日下部篤也は瓦礫の中から、「ゴリラモード」にコンバート（変態）したパンダによって助けられる。瓦礫の下に埋もれていた日下部篤也は、着ていたコートは焼けてしまったのか着ていない。しかし表情には心なしか余裕が垣間見えた。日下部篤也は助けてくれたパンダに「パンダよ、随分と話が違ぇじゃねえかよ。」と文句を言う。それは虎杖悠仁についてのことだった。
日下部篤也は虎杖悠仁の死刑に賛成している。肉体に主導権が虎杖悠仁にあるから特に言及をしてこなかっただけで、五条悟が封印されたことで虎杖悠仁にどんな処分が下ろうと、自分が虎杖悠仁側につくことはないと明言した。

最終決戦

その後日下部篤也はパンダと共に最終決戦に向かう。虎杖悠仁が人から生まれた呪いである特級呪霊・真人（まひと）と交戦し、追い詰める中、偽夏油／加茂憲倫／羂索が現れた場面だ。

戦況は虎杖悠仁に分があったが、偽夏油／加茂憲倫／羂索の登場で一気に形勢が偽夏油／加茂憲倫／羂索側に傾く。呪術高専京都校のメンバーが応援に駆けつけるも、京都校の三年生・加茂憲紀が放った矢も、二年生の禪院真依が放ったスナイパーライフルの銃弾も全て簡単に防がれてしまった。そして最後に二年生の三輪霞が偽夏油／加茂憲倫／羂索の背後から「シン・陰流」の「抜刀」を放つ。しかし三輪霞渾身の一撃も偽夏油／加茂憲倫／羂索にとっては、子供の遊戯のようなものだった。偽夏油／加茂憲倫／羂索は三輪霞の刀を素手で掴んで折り、呪霊操術「極ノ番『うずまき』」（呪霊操術で体内に取り込んでいる呪いを一つにしてぶつける技）を放つ。三輪霞の命はそこで終わったかに思えた。

そこへ登場したのが日下部篤也だった。日下部篤也は偽夏油／加茂憲倫／羂索と三輪霞の間に割って入り、刀で「極ノ番『うずまき』」を受け止め三輪霞の命を守った。そして正体を史上最悪の術師として名高い「加茂憲紀（かものりとし）」と明かした偽夏油／加茂憲倫／羂索や裏梅との戦いに参戦する。しかし裏梅の術式、氷を操る「氷凝呪法（ひこりじゅほう）」によって体の大部分を氷で固められてしまい、早々に身動きが取れなくなる。圧倒的な力を見せ、その上反転術式を使う裏梅を見て、日下部篤也は「帰りてぇ～～～～」と心の中で叫ぶのだった。

その後も快進撃を続ける裏梅に虎杖悠仁達は絶対絶命になるも、特級術師・九十九由基（つくもゆき）の介入で一命を取り留める。偽夏油／加茂憲倫／羂索と九十九由基がしばし問答をした後、偽夏油／加茂憲倫／羂索は、今まで準備してきた計画を発動させた。前もってマーキングしていた呪術師候補達の封印を解き、呪力への理解を深めるために、その候補達同士で殺し合いをさせるのだという（これが後に「死滅回遊（しめつかいゆう）」と呼ばれる）。偽夏油／加茂憲倫／羂索はその後手持ちの呪霊を東京に放ち、姿を消した。

こうして渋谷事変は終了した。

パンダの逃亡の幇助

妹と甥のタケル

渋谷事変終了後、日下部篤也は夜蛾正道に恩があることが判明する。過去に身内の心を救ってもらったことがあるそうだ。

日下部篤也は妹がいる。そしてその妹には幼い子供がいた。日下部篤也からすれば甥に当たる少年・タケルは幼くして命を落とす。そしてタケルを失った日下部篤也の妹は、生きる支えを失い廃人になってしまい、車椅子での生活をしていた。妹は光のない虚ろの目をしており、心が壊れてしまっているように見える。

そんな妹を見ていられなかったのか、呪術高専東京校の学長・夜蛾正道はタケルの情報を入力した完全自立型人工呪骸を作った。この呪骸の製造を日下部篤也が夜蛾正道に頼んだのか、それとも夜蛾正道が進んで作り出したのか不明である。夜蛾正道だけが作ることに製造している完全自立型人工呪骸と呼ばれる呪骸は、自我を持ち、呪力も完全に自己補完することができる。本来呪骸は呪術師から与えられた呪力が尽きたり、内蔵する核が破壊されると機能を停止するが、完全自立型人工呪骸はまるで生きているように成長していく。

呪骸になったタケルと日下部篤也の妹は、天元が結界を張る森の中で再会。タケルの生前の口癖「天才だろ？」を口にする呪骸のタケルを見て、日下部篤也の妹の目に再び光が宿った。呪骸のタケルはタケルの魂の情報を持った何かであり、タケルではない。しかし妹の生きる支えになるには十分な存在だったのだ。

完全自立型人工呪骸の存在は公にはできないので呪骸のタケルと日下部篤也の妹は一緒に暮らすことはできない。日下部篤也もそれはわかっていた。しかしそれに対して夜蛾正道が「すまん」と謝ると、「何、謝ってんですか。」と日下部篤也は言う。そして震えながら「ありがとうございます、本当に」と夜蛾正道に礼を言うのだった。

夜蛾正道への恩義

渋谷事変終了後、夜蛾正道に死刑宣告がされた。渋谷事変の首謀者である夏油傑と、それに共謀した（と無理やりされた）五条悟を教唆したという罪を着せられたのだ。

夜蛾正道は幽閉されたが、脱獄。そしてその夜蛾正道を誘い出すために、パンダもまた拘束されていた。それを日下部篤也が秘密裏に助け出す。面倒事が嫌いな日下部篤也が自分を助けたことに疑問があったのか、パンダが「…いいのか？日下部」と問うと、ものすごく面倒そうな顔をした日下部篤也が「俺が助けたって言うんじゃねーぞ」と返す。「……あの人（夜蛾正道）には恩があんだよ」と言い、日下部篤也はパンダを送り出すのだった。

その後夜蛾正道は追手である呪術高専京都校の学長・楽巌寺嘉伸の手によって殺害される。そのことを日下部篤也が知っているのか、知っているとしたら夜蛾正道の死をどう受け取ったのか、詳しいことはわかっていない。

宿儺との決戦

渋谷事変以降、本性を現した羂索の謀略によって日本は壊滅的な被害を受ける。日下部たちは五条の解放には成功するものの、策略を用いて虎杖の肉体から伏黒の肉体へと乗り移った宿儺は往年の力と完全な自由を得てしまう。日本のみならず世界の命運を懸けて、日下部は生き残った術師たちと羂索と宿儺の双方を倒す計画を練り上げる。先陣を切ることとなったのは、味方内で唯一宿儺と互角に戦えると目された五条だった。
五条と宿儺の決戦は史上空前の激しいものとなった。五条は勝利目前まで相手を追い詰めるも、あと一歩のところで宿儺に上を行かれて敗死。二番手の術師も敗れた後、三番手として飛び出していった虎杖たちが、宿儺力の一端を封じることに成功する。

「五条との戦いで消耗した今しか宿儺を倒すチャンスは無い」と考える日下部は、今こそ好機と実力派の術師たちと共に出撃。しかし、この時封じられたのは宿儺が持つ呪具だけで、術式はまだ使える状態であり、これに気付かなかった日下部は大きなダメージを受けてしまう。日下部はこの時戦闘に参加した術師の中ではリーダー格であり、傷ついてなお「命に代えても宿儺を倒す」と気勢を吐く。しかし一方で「こんなところで死ぬのか」ともぼやいており、俗っぽさを捨て切れないでもいた。
それでも日下部はこの場に残った中ではもっともベテランの術師にして屈指の実力者であり、実質的な前線指揮官として力を振るっていく。仲間たちが次々と倒れる中、「まだ勝ち目がある」からこそ逃げられない日下部は、ついに直接宿儺と戦うこととなる。

劇場版『呪術廻戦 0』

原作漫画『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』には登場しないが、映画で活躍が描かれた。劇場版公開前に放映されていたTVアニメ『呪術廻戦』第1期では登場していなかったが、劇場版『呪術廻戦 0』でアニメデビューを果たす。声優が三木眞一郎というベテラン声優だったことに、劇場で驚いたファンも多かったようだ。

原作漫画『呪術廻戦』本編では2年生になった乙骨達の担任をしているが、”百鬼夜行”のあった2017年も教職をしていたかは不明。夏油が呪術高専に宣戦布告をしに来た後のミーティングでは、トレードマークの棒付きキャンディを口に含んで面倒そうな表情を浮かべていた。”百鬼夜行”の当日は新宿サイドで呪霊を撃破する姿が描かれたが、自身の使う呪術流派「シン・陰流」は披露されなかった。

日下部篤也の関連人物・キャラクター

パンダ

呪術高専東京校の二年生。日下部篤也の生徒にあたり、渋谷事変では日下部篤也とチームを組んで行動していた。渋谷事変後は死刑宣告を受けて幽閉されていた夜蛾正道が脱獄し、逃げた夜蛾正道を誘い出すためのエサとして拘束されていたが、日下部篤也によって救われる。日下部篤也のことは「日下部」と名字で呼んでいる。

呪術高専東京校の夜蛾正道の作った完全自立型人工呪骸で、呪骸でありながら自我を持ち呪力を自己補完している。本来呪骸が持つ核は一つだが、パンダはメインのパンダ核、お兄ちゃんの「ゴリラ核」、そして未だ詳細不明の「お姉ちゃん核」の三つの核を体内に宿しており、これらを使い分けて戦闘する。本編登場時の呪術師等級は二級だったが、その後冥冥と呪術高専京都校の生徒であり一級呪術師である東堂葵（とうどうあおい）から一級に推薦されており、パンダでありながらその実力は確かだ。ただ同時期に一級推薦を受けた伏黒恵（ふしぐろめぐみ）、釘崎野薔薇（くぎさきのばら）、禪院真希が渋谷事変の際は「昇給査定中」だったのに対して、パンダは「昇給査定保留中」となっており、その扱いの差にやや疑問が残る。

パンダ（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

renote.net

パンダは、『呪術廻戦』の登場キャラクターで、呪力を宿した無生物（呪術的なロボットに近い存在）・呪骸の中でも極めて稀な“感情を持って生まれた”突然変異呪骸である。
見た目はただのパンダだが人語を操り、そればかりか人間関係の機微にも気を遣う高い知性を持つ。
一個の人格を持つ存在として周囲に受け入れられ、現在は東京都立呪術専門高等学校の二年生。呪術師を目指して修行と勉学に励んでいる。人間ではないからこそ独特のスタンスから物事を観察しており、その実力と落ち着いた性格で仲間たちから頼りにされている。

三輪霞（みわかすみ）