シカゴ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『シカゴ』とは、監督ロブ・マーシャルメインキャストにレニー・ゼルウィガー、リチャード・ギア、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの3人を起用したミュージカル映画。
1920年代、ショービジネスと犯罪の町シカゴを舞台に、スターを夢見る主人公が、殺人を起こし刑務所に収容されながらもスターへの道を上る様子を描いている。
キャッチコピーは「この街では、銃弾一発で有名になれる」
近年のアメリカ映画において、ミュージカル映画はヒットしないと言われていたが、そのジンクスを覆した作品ともいわれている。

ロキシー役であるレネーは、この映画に出演するまでダンスや歌の経験がなかった。
しかし、監督であるロブはロキシー役についてコメントで次のようなことを語っている。
「ロキシーを演じる女優を決めるまで10人ほどのトップ女優に会ったよ。名前は言わないけどね。でも、私はずっとレニーが気になっていて、彼女のコメディセンスと繊細さ、演技力がほしかったんだ。そこで彼女にステップと歌をやってもらい、彼女こそロキシーだと確信したんだ。歌声はナチュラルで美しく、サウンド的にはビリー・ホリディのような感じ。体操の経験があったので、ダンスの基本は出来ていたしね」と言うように、ロキシー役にはレネーはピッタリだった。
しかし、ロキシー役の候補であった女優の一人は『モンスター』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したシャーリーズ・セロン。
本来この作品はロブ以外が監督を務める予定であり、その監督がロキシー役にシャーリーズ・セロンを指名していたが、監督がクビになったことにより、現在の監督であるロブがシャーリーズをロキシー役から降ろしたのである。
シャーリーズはロキシー役に未練があり、出演したラジオ番組で「私はレニー・ゼルウィガーが演じた役をやる予定だった。彼女は素晴らしかったわ。だから、彼女がやり遂げたことが本当に羨ましかった。あの映画を何度も観たわ。あの作品が大好きだし、出演者全員が素晴らしかったと思う」と話している。

ビリー・フリンはジョン・トラボルタが務めるはずだった

ビリー役には、ジョン・トラボルタの名前が挙がっていたが、彼はこの役を辞退し、それによりこの役はリチャード・ギアが起用されることとなった。
ジョン・トラボルタが辞退し、その役をリチャード・ギアが引き受けるのは、『天国の日々』、『アメリカン・ジゴロ』、『愛と青春の旅立ち』に続いて4度目である。

ポスターのクレジットでもめていた

ポスターのクレジットの順について、レネー・ゼルウィガーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズのエージェントは長い事もめていた。
結局、上から読むと、レネーが先、左から読むとキャサリンが先ということで話がまとまり、ポスターができあがった。

実際にシカゴでおこった事件がもとになっている

ブロードウェイミュージカル『シカゴ』を元に映画『シカゴ』は作られているが、実はこのミュージカルには事実を元にした原作がある。
それが戯曲『シカゴ』であり、これを書いたのが、女性記者モーリン・ダラス・ワトキンスだった。
彼女は登場人物である女性記者メアリー・サンシャインのモデルとなった人物。
実際に起きた事件は、ビューラ・アナンというロキシーのモデルとなった若い女性とヴェルマのモデルになったベルヴァ・ガードナーというキャバレー歌手の二人の女性が中心となっている。
ビューラは10代で一度結婚をするが、自動車整備工のアルバート・アナンと出会い、再婚しシカゴに引っ越すことになる。
しかし、ビューラはシカゴでハリー・カルステットという人物と出会い、二人は不倫関係になるが、1924年痴情のもつれから24歳の若さでビューラはカルステットを撃ち殺した。
逮捕されたビューラは裁判に至るまで証言が二転三転するも殺意があったわけではなく、身の危険を感じたうえでの正当防衛であったと主張する。
さらに、ビューラの裁判費用を夫であるアナンが出し、献身的に支えた。
また、裁判中であるにも関わらず妊娠を公表して世間の同情を集め、さらには無罪を勝ち取った後すぐにアナンと離婚したのである。
一方、ヴェルマのモデルとなったべルヴァには年上の夫がいるにもかかわらず、ウォルター・ロウという愛人がいた。
1924年、ベルヴァの車の中からロウの射殺死体が発見された。
車の中からジンと拳銃が見つかったことから、ベルヴァに容疑がかけられたが、彼女は酔っていて何も覚えていないと主張する。
そんなベルヴァを担当した弁護士が2人いたのだが、彼らをモデルにしたのが、敏腕弁護士であるビリー・フリン。
ロウの事件を自殺の可能性も否定できないと主張し、無罪を勝ち取った。
この2人の事件をシカゴ・トリビューン紙に掲載したのが女性記者モーリン・ダラス・ワトキンスだった。
彼女自身ビューラもベルヴァも有罪だと思っていたが、2人を記事の中で悲劇の殺人者に仕立て上げ、ビューラには「監獄の美女」、ベルヴァには「最もスタイリッシュな女殺人者」とキャッチフレーズをつけた。
ビューラとベルヴァは美女であることもあり、シカゴ市民から注目をあつめ、新聞各社が彼女たちを取り上げることとなり、時の人となった。
この事件を元に、戯曲『シカゴ』を書きあげた。
この戯曲は1926年にブロードウェイで演劇が上演され、さらに1927年にはサイレント映画『シカゴ』が作られ、1942年にリメイクされ映画『ロキシー・ハート』が作らた。
1960年代から原作者にミュージカル化が打診されるが拒否されるが、原作者死亡後に権利が売却されミュージカル化が実現となった。
この時につくられたものが1975年にブロードウェイで初演を迎え、それがもとになり映画『シカゴ』が作られたのである。

『シカゴ』の主題歌・挿入歌

ED(エンディング):ヴェルマ・ケリー、ロキシー・ハート『I Move On』

挿入歌:ヴェルマ・ケリー『All That Jazz』

映画の冒頭で妹と夫を殺したヴェルマがクラブで歌った曲。
「All That Jazz」とは「なんでもあり」という意味で、殺人をした後でも平然と舞台に上がるヴェルマの姿に重なる。

挿入歌:ロキシー・ハート『Funny Honey』

警察から取り調べを受けるロキシーを守る証言をする夫を歌う歌。

挿入歌:メイトロン・“ママ”・モートン『When You're Good to Mama』

ロキシーが刑務所に到着した際、看守長であるママの印象を歌った曲。

挿入歌:ヴェルマ・ケリー『Cell Block Tango』

女性囚人たちが自身の無罪を主張する曲。

挿入歌:ビリー・フリン『All I Care About』

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