グリーンブック(Green Book)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『グリーンブック』とは、ユニバーサル・ピクチャーズ配給、ピーター・ファレリー監督による長編伝記コメディ映画。黒人差別が強い時期に、単独でディープサウスへの演奏旅行へ挑む天才黒人ピアニストと腕っぷしが強いイタリア系アメリカ人運転手が、ツアーの道程でさまざまな嫌がらせに遭遇し、当初はいがみ合いながらも一つ一つトラブルを切り抜け、最終公演までツアーを敢行する。その後2013年まで生涯続くことになる、厚い友情と信頼関係を築きあげるまでを描いた。8週間の実録ロードムービー。2018年制作・アメリカ作品。

ツアー最終公演の会場で、演奏直前に、支配人が、今までの規則のため、と全く悪びれずに、ドンが黒人であるために、観客用のレストランでは食事をさせず、物置で食事をとらせようとした。この酷く杓子定規な差別に怒り、ドンは観客400人が既に集まっているにもかかわらず、演奏をキャンセルした。気持ちの持って行き場がない、ドンは、必死にドンが本番の演奏前に、レストランで食事ができるように許可をとろうと、支配人と交渉を重ね、突っぱねられたトニーと連れ立って地元のライブバーに入る。普段の客では絶対にしないような、小綺麗な衣装のドンに、店員が声をかけ、飛び入りで演奏するように持ちかけた。ドンは二つ返事で引き受け、レパートリーのショパンの演奏を見事にやってのけ、その演奏に感心してステージに参加してきた、バーのレギュラーバンドと、即興のセッションを、ぶっつけ本番で行い、客席を熱狂させた。

白人でも、黒人でも、人間でもない私は、どこへ帰ればいいんだ?

あまりに理不尽な差別に、ついにドンは不満をぶちまけた。

ツアー終盤にドン・シャーリーはツアー先各地でのステージを降りている時にの自身への差別に対し、ひたすら我慢し、従順に振る舞っていた。しかし、ツアー終盤のある夜、夜間の外出を咎められ、かろうじて逮捕を免れた直後についにトニーに対して積もりに積もった自身の本音を爆発させる。「白人でも、黒人でも、人間でもないのなら、私は一体どこへ行けばいいんだ?」この作品のメインテーマが、一言で表現されている。

『グリーンブック』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

トニーの役作り

トニーを演じた、ヴィゴ・モーテンセンは、役作りのために約20キロ太った。
ツアーの運転手に決まる前の、ホットドッグ大食い競走の場面や、ツアー途中の車中で、フライドチキンをドンと食べるシーンや、ツアー先での食事のシーンなど、とにかく食べるシーンが多数あったため、体調を整えるのに苦労した、と語っている。

ドンとトニーの映画化に対する遺志

実在したドンとトニーは、映画化には大乗り気で、生前のインタビュー協力やメモなどの資料の提供を惜しまなかったが、本人たちが亡くなってからの公開を希望していた。監督のピーター・ファレリーは2人の遺志を継ぎ、彼らが亡くなる2013年まで映画化にゴーサインを出さなかった。

サントラの作曲者が演奏の代役も担当した

本作のサウンドトラックを担当した作曲家のクリス・バワーズがドンを演じるマハーシャラ・アリにピアノの技術指導をした。また、演奏するシーンがアップになる場面ではクリスが代役としてピアノを演奏した。

『グリーンブック』の主題歌・挿入歌

本作のサウンドトラックのために、ファレリーは作曲家のクリス・バワーズのオリジナル楽曲と、ドン・シャーリーのオリジナル楽曲を組み入れた。カニエ・ウェストや、トライブ・コール・クエストら、2019年の旬といえるヒップホップアーティスト達とも共演する、クリス・バワーズのオリジナルスコア等、全31曲がオリジナルサウンドトラックアルバムに収録。劇中のツアー移動の車中では、62年当時のリトル・リチャードの「ルシーア」、チャビー・チェッカー、アレサ・フランクリンなどのヒット曲もカーラジオから流れる。

予告編挿入歌『アイ・カウント・オン・ミー』アロー・ブラック

カリフォルニア出身のソウルシンガー、アロエ・ブラックが2018年10月に配信でリリースしたオリジナル曲。

OP(オープニング):フランク・シナトラ『ザット・オールド・ブラック・マジック』

本編挿入歌 : クリス・バワーズ『881 セヴンス・アヴェニュー』

本編挿入歌:ブルージェイズ『ソー・ロング・ラヴァーズ・アイランド』

本編挿入歌:クリス・バワーズ『ドクター・シャーリーズ・ラゲージ』

本編挿入歌:クリス・バワーズ『アイ・フィール・ファイン』

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