時空の覇者 Sa・Ga3(Final Fantasy Legend III)のネタバレ解説・考察まとめ

『時空の覇者 Sa・Ga3』とは、1991年12月13日に現:スクウェア・エニックスから発売されたゲームボーイ専用ソフト。サガシリーズの完結編。今作がGB最後の作品となった。システムは前2作とは異なり、経験値でレベルアップするというオーソドックスなものに変更され、武器や魔法の使用回数制限も撤廃された。滅びの未来を変えるため過去へ送られた3人の若者たちが、仲間と共に時空を超えて異次元の神と戦う物語。

異次元世界・地底

狂暴なモズマ族はデューンたちに問答無用で襲いかかる。

地底はマグマの川が流れ、緑はまったくなく、大地にはクレーターが無数に存在し、巨大なキノコが木のように生えているという異様な光景が広がっていた。

デューンたちはモズマ族という魔物の住む町を見つけた。
モズマ族たちはデューンたちを見つけると、問答無用で攻撃してきた。
デューンたちは、このままではどうやってゴート地方へ行けばいいのか、情報が得られないため、メタモルの魔法でモズマ族に化けて情報収集をすることにした。
するとこの町の先にはゴート地方へ続く入り口があることがわかった。
しかしそこにはモズマ族の門番がいて、簡単には通してくれないようだった。
デューンたちは、モズマ族の姿のまま門番に話しかけ、人間が町に忍び込んだと嘘の情報を教えて門番を去らせ、無事にゴート地方へと歩を進めることができた。
地底では、呪われた剣「ムラマサ」や3種の神器の「勾玉」、ステスロスのユニットである「メビウスほう」などを入手できる。

異次元世界・ゴート地方

ティールはデューンたちにラグナ神の秘密を話す。

地底から続く階段を登ると、ようやく地上に出た。
近くにはポートルの町に良く似た、コマンドの町があった。
町に入ってみると、どうやらここの住人は人間に害をなさないようだった。

デューンたちが町を散策していると、以前ザカリオンの町で出会った一家の姿を見つける。
一家の父親は、デューンたちも自分らと同様に、聖剣を求めて「3種の神器」を集めようとしていることを知る。
そしてその目的が故郷の世界を救うべく、神々と戦うためだと知ると、いたく感動し、自分の持っていた「剣」を譲ってくれた。

町では南東の遺跡にボルボックという神がいること、ラグナ神がゴート山の城に住むことなどが聞ける。

デューンたちが南東の遺跡へ行くと、そこにはボラージュがいた。
ボラージュはデューンたちを過去へ送った人物であった。
いろいろと聞きたいことがあったデューンたちだったが、ボラージュに「話はあとだ」と言われ、この遺跡にある結界装置を破壊してくれと頼まれる。
ボラージュはゴート山の調査に向かうと言って姿を消した。

遺跡の奥でデューンたちは結界装置を守るボルボックと対峙する。
聖剣を使って攻撃するも、ボルボックには通用しなかった。
その理由は結界装置にあった。結界装置は聖剣の力を封じる機能があったのだ。
闘いの最中、ディオールが1人で前に出る。
彼は以前、瀕死の重傷を負ってボルフェスに助けられたとき、万一の時のためと体内に自爆装置を埋め込んでもらっていたのだった。
デューンが止めるのもきかず、ディオールは結界装置に飛び込んで自爆し、結界装置を破壊した。
これでもう結界はなくなった。同時に聖剣の力を封じる機能も失われた。
ボルボックはディオールを愚かな人間だと愚弄した。
その言葉に激高したデューンたちは、ボルボックを打ち倒した。
この遺跡でステスロスのユニット「ひこうエンジン」を入手する。

ディオールを失って悲しみにくれるデューンたちの前に、ボラージュが現れる。
ボラージュは、ディオールの死を無駄にしないためにも、ラグナ神を倒すのだとデューンたちを鼓舞した。
ラグナ神のいるゴート山へ行く方法を調査してきたボラージュからの情報を得て、デューンたちはボラージュを仲間にしてステスロス2号機へと戻った。

ステスロス2号機内で、これまでにデューンたちが集めた武器「ムラマサ」、3種の神器である「勾玉」「鏡」そして謎の一家から託された「剣」を持ってまさむねの元に行くと、彼の手によって3種の神器は聖剣「くさなぎのけん」に作り変えられた。
そして同じように手に入れていた剣ムラマサは、まさむねの手により、聖剣「まさむね」へと姿を変えた。
デューンたちは、ついにソロモンソード、エクスカリバー、まさむね、くさなぎのけんの4本の聖剣を手にした。
また、シャルルは古の魔法を作ってくれた。

「ひこうエンジン」や「メビウスほう」を装着してパワーアップしたステスロス2号機で、ゴート山を目指すボラージュとデューンたち。

山頂についたところで道が途絶えており、調査のためにステスロス2号機を下りたデューンたちの耳に轟音が聞こえる。
その音は敵の襲撃によるものだった。
ボラージュが危険を訴え、逃げろと全員に言うと、誰も操縦していないはずのステスロス2号機が勝手に敵を爆撃した。
ステスロス2号機のおかげでどうやら危機は去ったようだ。
驚くデューンたちに、ボラージュが説明する。
ボラージュは、ジュピターという人物がデューンの父親であることを話した。
しかし、ジュピターはフェンリルによって殺されてしまったのだという。
ステスロス2号機には、デューンの父親でもあるジュピターの脳が取り付けられているというのだ。
世界を救いたいというジュピターの遺志を汲んで、クエーサー博士がジュピターの脳をステスロス2号機の制御ユニットとして使用したのだ。
デューンはこれまで何度も耳にしたジュピターという人物が、自分の父であり、そしてすでに亡くなっていることを知ってショックを受けた。
皆、世界を救うために命を懸けて戦っているのだ、とのボラージュの言葉に、デューンは気を取り直し、サガ世界を救うためにラグナ神と戦う決意を新たにした。

ついにラグナ城へ乗り込んだデューンたち。
ラグナ神を守る神ティールが彼らの行く手を阻む。
ティールは恐るべき事実を告げる。
ラグナ神とはこの世界の海そのもので、水瓶からサガ世界に流れ込んでいる水はこの世界の海の水であり、ラグナ神自身だという。
そして、今頃はこの城の最上階で、ラグナ神の本体がソール神を取り込んでいるところだからソール神を取り戻すことはあきらめろと言い、ティールはデューンたちに襲い掛かった。
死闘の末、ティールは敗北する。
ティールは、ソール神の成り立ちを語りだす。
元々ソール神とラグナ神は1つの存在だった。
ラグナ神の善き心が分離したものがソール神であり、ソール神は分離した際にサガ世界を作った。
しかしこの異次元世界がやがて崩壊することがわかると、ラグナ神はソール神を捕らえ、再びソール神と1つになって、さらに強大な存在となりサガ世界を侵略し移住することを画策した。
全ては手遅れだと笑いながら、ティールは死んだ。

急がなければソール神がラグナ神に取り込まれてしまう、と危機感をおぼえたボラージュは、デューンたちと共に城の最上階へ急行した。ソール神がラグナ神に取り込まれてしまえば、ソール神は消失し、水瓶を止められる者がいなくなってしまうからだ。

最上階にいたのは、ラグナ神ではなくソール神であった。
ソール神はラグナ神に吸収されたものの、ラグナ神の意識をなんとか抑え込み、かろうじて自我を保っていたのだ。
ソール神は、デューンたちに、自分がラグナ神を押さえ込んでいるうちに、自分ごとラグナ神を倒せという。
だが、デューンたちは躊躇する。そんなことをすればソール神も死んでしまうのではないかと考えたからだ。
そんな、デューンたちに、ソール神は「ラグナは強大で、今倒さなければ手遅れになる」と諭す。
デューンたちは意を決してソール神を攻撃する。
だが彼らは無抵抗のソール神に対し、本気で攻撃することができない。
ソール神はもっともっと攻撃しろ、と促す。
だがそのうちにソール神に抑え込まれていたラグナ神が目覚め始める。
やがてソール神の意識を奪い、ラグナ神が現れた。
ラグナ神はその姿をまがまがしいものへと変化させ、デューンたちに襲い掛かった。
ラグナ神は強力な魔法を連発し、デューンたちを圧倒する。
そこへステスロス2号機がやってきた。
ステスロス2号機はデューンたちを援護してくれる。
デューンはステスロス2号機に、父ジュピターの面影を感じ、ラグナに立ち向かう。
長い戦いの末、聖剣でラグナ神にとどめを刺すデューンたち。
ラグナ神は断末魔の声をあげて消滅していった。
ラグナ神の本体が消えたことにより、ソール神もまた消えてしまった。
これでもう水瓶を止めることはできなくなってしまったと、失望するデューンたち。

するとデューンたちはソール神の声を聞いた。
ラグナ神の本体と共にその姿を失ったソール神だったが、意識だけの存在となって彼らに語り掛けてきたのだった。

ソール神はわずかに残された力で水瓶を破壊すると言い、その後はサガ世界には戻らず、生まれ故郷であるこの異次元の世界で眠りにつくという。
デューンたちの活躍を見て、もう神が必要な時代は終わったと感じ、安心して眠りにつけるとソール神は言った。

そして、ソール神の意識は、異次元世界の海に空いた大穴はサガ世界へ通じているので、そこから脱出するようデューンたちに助言する。
デューンたちは、ステスロス2号機に乗って、海の大穴を抜けて異次元を脱出した。

帰還・未来のサガ世界

異次元世界の海の大穴は、サガ世界に現れていた水瓶につながっていた。
つまり、水瓶から流れ出ていた水は異次元世界の海の水だったのだ。異次元世界の魔物たちは、この大穴を通ってサガ世界へやってきていたのだ。

異次元世界の海の大穴を通って、ステスロス2号機が水瓶を抜け出した直後、水瓶は大爆破して消滅した。
デューンたちに約束した通り、ソール神が残された力で水瓶を爆破したのだ。
ところがステスロス2号機は、その爆風に巻き込まれて爆発してしまい、デューンたちは海に投げ出された。

水瓶が消滅した海は平和でのどかだった。
異次元でラグナ神が消失したことで、海に湧いていた魔物たちもいなくなったようだ。
水瓶が無くなった今、もうこれ以上大陸が水没することも、魔物が湧いて出てくることもない。
ラグナ神をデューンたちが倒したことで、異次元世界がどうなってしまったのかは彼らの知るところではない。

あわやステスロス2号機ごと水瓶の爆発に巻き込まれるところだったデューンたちに「間一髪だったな」とボラージュは言い、デューンたち全員の無事を確かめると、ボラージュはムオンの魔法を唱え、皆でバイパーへと戻った。

エンディング

バイパーではボルフェスがボラージュたちを迎えた。
ボルフェスは、帰還したメンバーの中にディオールとジュピターの姿がないことに気付き、2人の所在を尋ねた。
ボルフェスはジュピターが死んで、ステスロス2号機にその脳が使用されていたことも知らされていなかったようだ。
答えに詰まるデューンたちの横から、ボラージュがボルフェスに声をかける。
「ボルフェス博士のバイオ技術なら、細胞の欠片からでも人間を再生させられるんだろう?」とボラージュは言う。
ボルフェスが「もちろん」と答えると、ボラージュはひそかに持っていたディオールとジュピターの細胞を博士に手渡して、「2人を助けてやってくれ」と頼んだ。

やがてボルフェスによって、ディオールとジュピターは再生され、復活した。
再会を喜ぶディオールとデューンたち。
そしてデューンはついに父ジュピターとの再会を果たす。
滅びの未来を救ってくれたデューンらに礼を言うジュピターに、あえてデューンは自分が息子だとは名乗らなかった。
ジュピターは、デューンがボラージュによって過去へ送られた時にはすでに死亡していたため、自分の子供がタイムスリップして今目の前にいるとは夢にも思っていないのだ。
そもそもこの親子の再会は、デューンたちが歴史を変えたために起こったことなのだ。
ジュピターはデューンに名前を尋ねた。デューンだと名乗ると、ジュピターは「良い名だ」と言い、間もなく生まれてくる我が子にその名をつけるという。
デューンは「ぜひそうしてくれ」と嬉しそうに言った。
それが未来の自分の名前になるのだ。

クエーサー博士は、デューンたちに「これからどうするのか」と尋ねた。
デューンたちは元の世界へ戻るつもりだという。
だが「過去へ戻る方法があるのか?」とクエーサー博士が聞くと、デューンは首を横に振る。
それでデューンは、クエーサー博士に「タイムマシンを作ってくれ」と頼む。
クエーサー博士は快く引き受けた。

だがそう簡単にタイムマシンが完成するわけではない。
タイムマシンが完成するまでの間、ここにいたらどうかとボラージュに言われるが、デューンは実の父であるジュピターと一緒にいるのは気まずいといい、さらにこの後、赤ん坊の自分がここで生まれてくることで、タイムパラドックス的に何か不都合があるかもしれないとも考えた。

デューンたちは、タイムマシンができるまで、この時代のダームの町でメルローズの世話になろうと考えていた。

ボラージュはバイパーから去るデューンたちに、世界を救ってくれた礼を言った。
デューンたちは、未来を勝ち取るチャンスをくれたボラージュに感謝の気持ちを伝えた。

ステスロス2号機に同乗していたネメシスも無事にサガ世界へ戻ってきていた。
ネメシスはバイパーに残ってディオールと暮らすという。
彼らに別れを告げて、デューンたちはバイパーを後にした。

ダームの町に戻ったデューンたちは、メルローズに自分たちをしばらくここへ置いてほしいと頼んだ。
メルローズは大歓迎だ、と喜び、デューンたちがきっと戻ってくると思っていたという。
そして彼は、デューンたちに見せたいものがあるという。
それはデューンたちが元の世界にいた頃、メルローズとともに修行に励んでいた機械「バトルトレーナー」の改良型だった。
元の時代にいたあの頃のように、デューンたちはバージョンアップされた「バトルトレーナー」でまた修行に励むのだった。

『時空の覇者 Sa・Ga3』の世界観

巨大な水瓶

ある日、突然サガ世界の上空に現れた巨大な水瓶。
水瓶はサガ世界のすべての時代に存在し、サガ世界へ大量の水と魔物を吐き出し続けている。
それは異次元から現れたもので、水瓶の水を止められるのはサガ世界を作ったソール神だけだと言われている。
水瓶の奥は異次元の海へと繋がっており、サガ世界へ吐き出されているのはその異次元の海の水である。その水に触れたサガ世界の人間は魔物に変わる伝染病にかかってしまう。
水瓶から無尽蔵に流れ出る水は、やがてサガ世界の大陸を呑み込み、多くの町や村を水没させていくこととなる。

現在のサガ世界

主人公たちが育った時代で、彼らが生まれた時代からは過去に当たる。
突如現れた巨大な水瓶から流れ出る水で、大陸が徐々に水没し始めている。
残された大陸で暮らす人々も魔物の襲来により、危機に瀕している。

過去のサガ世界

現在のサガ世界よりも過去の時代。
この時代には、まだ主人公たちの住むダームの町もできていない。
この時代にも巨大な水瓶はあるが、大陸の水没はまだそれほど進んでいない。

未来のサガ世界

主人公のデューン・ポルナレフ・ミルフィーが生まれた時代。
巨大な水瓶から流れ出る水により、世界の陸地の殆どが水没しており、やがてすべての陸地が海に飲み込まれてしまうというという危機に陥っている。
生き残った人々は、水没していない高台へと逃れ、細々と暮らしている。

ダームの町

長老ギルがみなしごたちを保護するために作った町。
滅びの未来から送り込まれたデューンたち3人はこの町に送り込まれ、ギルによって育てられた。
過去世界では、ギルがまだダームの町を作る前だった。
未来世界では、町は水没してしまったため、高台の別の場所に移された。

神殿

ダームの町ちかくにある神殿。町ができるずっと以前から存在する。
現在世界では、すべてのユニットを失った状態のステスロスが封印されている。

イレムの町

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