ドールズフロントライン(ドルフロ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドールズフロントライン』とは、中国のサンボーンが開発しているスマートフォン用のゲームアプリである。民間軍事会社の指揮官であるプレイヤーは、第三次世界大戦により荒廃した近未来を舞台に、人工知能の反乱により襲い来る機械の兵士たちを撃退するため、銃の名前を冠する戦術人形と呼ばれる機械の少女を率いて戦うことになる。

正規軍の目的がエルダーブレインの捕獲であることを知ったアンジェリアは、エルダーブレインの捕獲阻止を決定。その作戦にあたり、反逆小隊の隊長にM4を指名する。小隊では一番の新参である自分が隊長を務めることに戸惑うM4だが、実戦での指揮経験が最も豊富であることが理由だと告げられる。命令を受諾したM4は、そのついででいいからSOPIIの捜索ができないかと懇願するが、事態は急を要するとしたアンジェリアはそれを拒絶。AK-12は、M4の様子を「命令以外の何かに衝動的に動かされている」と判断していた。
反逆小隊が出撃したのを見届けたアンジェリアはペルシカに連絡を取り、M4の状況を報告すると共にエルダーブレインがM4に執着する理由を尋ねる。ペルシカもまたそのことを不審に思い調査していたが、エルダーブレインの開発者であるかつての同僚・リコリスがM4のメンタルモデルを造るためのベースとなった少女の脳部スキャンデータのコピーをペルシカから入手していたことが関係しているのではと推測するに至った。しかし、それはまだ断片的な情報にすぎないとするアンジェリアは、更なる調査が必要であると言う。そして、軍のサーバーから入手したデータにかつてのOGASシステムと古代文明の遺跡調査に関係していた人物としてカーターとハーヴェルの名前があったことをペルシカに教えるのだった。
正規軍は、遂に戦場に重装部隊を持ち込み、そしてエルダーブレイン輸送のために装甲列車の準備を開始していた。なりふり構わずエルダーブレイン奪取に乗り出してきた軍の動きに危機感を覚えるアンジェリア。
その頃、I.O.P.社の16LABでは、404小隊が入手した鉄血工造での最後の監視カメラ映像を分析していたペルシカが、リコリスの死体の傍に転がっていた報告書がOGASシステム再起動に関するものであることを確認していた。その時、ハーヴェルからペルシカへ通信が入る。それは、ペルシカがこれ以上リコリスの死について調べることを止めるための警告だった。クルーガーが逮捕されたことを伝えたハーヴェルは、ペルシカも同様に軍に狙われていることを教える。しかし、ペルシカは逆にハーヴェルにOGASシステムの再起動について尋ねる。30年前にハーヴェルがOGASシステムを停止させたことをペルシカが知ったことに愕然とするハーヴェルは、その背後にアンジェリアがいることを悟る。ハーヴェルは、これ以上の通信は盗聴の危険がある、と直接ペルシカとの話し合いに向かうのだった。
アンジェリアから再度の連絡を受けたペルシカは、アンジェリアが入手した正規軍のサーバーデータはわざと侵入しやすい状況に置かれていた可能性を示唆。それは、正規軍が意図的に情報を晒すことでエルダーブレインをおびき寄せるためのものであった。正規軍は、エルダーブレインに「傘」よりも強力なウイルスを掴ませてハッキングすることを目的としていたのだ。そして、エゴールがあの局面でM4を捕らえなかったのはエルダーブレインを前線に引きずり出すためでもあった。現在展開している重装部隊は、あくまで次善の策にすぎなかったのだ。ペルシカは、正規軍のウイルスのサンプルを入手することでエルダーブレイン捕獲の妨害ができるかもしれないと考える。
正規軍がそこまでOGASシステムに執着しているのなら、なぜ1年間もグリフィンのような民間企業に鉄血の相手を任せていたかを怪訝に思うアンジェリア。ペルシカは、正規軍は鉄血のOGASシステムが自己成長するのを待っていたのではないかと推測する。そして、正規軍の内部でOGASシステムに対する深い知識があった人物のことを思い出していた。かつて軍内の研究組織「90Wish」でペルシカやリコリスの同僚であったウィリアム。OGASシステムに執着する一方でリコリスを激しく憎悪していた人物である。
アンジェリアはペルシカに正規軍のウイルスサンプルを転送、そのデータを基にエルダーブレインを正規軍の電子戦から守る作戦を開始する。かつて自分を殺しかけた相手を守るという皮肉さに苦笑いするアンジェリア。そして、それに成功したら今度はM4を囮にエルダーブレインを捕獲する計画であった。昔から無鉄砲なところが変わらないアンジェリアを案ずるペルシカだったが、アンジェリアは「だからあなたは研究者で自分は兵士なんだ」と笑い飛ばす。そして、正規軍によるエルダーブレインへの電子戦が開始された。高度な暗号化処理のため、アンジェリアと反逆小隊では正規軍の電子攻撃を阻止することができない。もはやこれまでかと思われたが、正規軍によるエルダーブレインへのハッキングはトラブルにより失敗していた。正規軍は、重装部隊を動かして力ずくでエルダーブレインを奪取すべく作戦を開始した。

〈反逆小隊の視点〉
その頃、M4はAR-15がなぜ生存していたのかを問う。AR-15が自爆した時、エルダーブレインの張ったエネルギーシールドがAR-15の全損を防いでいたのだ。そして回収されたAR-15はアンジェリアによって修復されることとなった。また昔のように一緒に戦いたいと言うM4だったが、AR-15は、「傘」ウイルスの感染箇所を削除する際に自分のメンタルモデルの中枢命令であった「M4を最優先で守る」という項目が削除されたことを告げる。しかし、M4はそれでもAR-15と共に戦いたいと言う。AR-15は、そんなM4に「あんたは今の方がいい」と答える。AR-15は、アップグレードを終えたM4が時折見せる冷酷な目つきを思い出すと、「本当にこれでよかったのだろうか」と思っていた。
正規軍の主力部隊が遂に動き始めた。たとえ偵察部隊とはいえ、軽装の戦術人形が何とかできる相手ではない。撤退を進言するAK-12だったが、M4はまだ配置が終わらない今のうちに戦車部隊を避けながら通り抜けて正規軍のレーダーの死角に入ることを提案。予想された鉄血の妨害も拍子抜けだと思っていたが、鉄血は下級人形を囮にしてイントゥルーダーによる待ち伏せ作戦を取っていた。イントゥルーダーの狙撃によりAK-12が行動不能になり、取り乱すAN-94。しかし、M4はAN-94にAK-12の代わりを任せる。その時、傷ついたAK-12が立ち上がった。常に閉じていた目は開き、異様な機械の瞳が露わになっている。それがAK-12の本当の姿だった。鉄血の包囲を突破すべく進撃を開始する反逆小隊。そこへグリフィン指揮官の部隊が救援に駆け付けた。合流して協力しなくて良いのか問うAR-15だったが、M4は合流せず任務を優先することを決断。AR-15はそんなM4を頼もしく思う一方で、彼女が非情になったことを悲しんでもいた。M4も、かつて共に戦った指揮官や同僚の人形たちへの思いは捨てておらず、その無事を祈るのだった。
鉄血の包囲網を抜け、正規軍の中継ステーションの占拠に成功した反逆小隊。やはりグリフィン部隊の状況が気になるM4は、軍のデータから現在の戦況を監視できるかをAK-12に問う。当初は拒否していたAK-12も、AR-15までそれを言い出したことに興味を持って戦況を確認しようとする。しかし、次の瞬間に正規軍が第一級のアクティブ防御を起動したことで接続を切断せざるを得なくなった。AK-12は、正規軍のサーバーに緊急事態が発生したのではないかと推測する。しばらくの待機の後に通信システムが回復し、M4はアンジェリアに連絡を取ると正規軍のステーションから入手したデータを送る。アンジェリアは、反逆小隊に追加任務として鉄血の部隊によって閉じ込められた404小隊の救援を依頼する。
AK-12は、アンジェリアからの任務がグリフィンの支援やSOPIIの捜索でないことに不満がないのかをM4に問う。M4は、命令は命令だと軽くいなす。しかし、その時M4をまた眩暈が襲った。語りかけてくる謎の女性の声は、M4が本当の自分になるためにはエルダーブレインとの接続が必要だと繰り返す。M4は、エルダーブレインとの面会条件はM16とSOPIIの居場所を教えることだと返答。それに対し、謎の女性はある座標を提示する。
404小隊の救出作戦を練るM4を見ていたAK-12は、今のM4とUMP45が出会うと面白いことになるのではないかと言う。それに対して、M4はその面白いものが見たいなら404小隊を速やかに助けることだと答えるにとどまった。UMP45と連絡を取り、脱出の手はずについて話し合うM4。UMP45は、自分たちを包囲している鉄血の指揮官は因縁の相手であるゲーガー(「低体温症」参照)だと告げる。現在グリフィンの部隊と戦っているのもゲーガー配下の部隊であるというUMP45は、ここで協力してゲーガーを倒すべきだと提案。M4はUMP45の作戦を理解し、共闘してゲーガーを倒すことを決める。

その頃、ゲーガーはエージェントにM4が現れたことを報告。エルダーブレインがゲーガーに下した命令はM4の捕獲であった。しかし、仲間を置いて単身で突入してくるM4を囮ではないかと疑うゲーガー。エージェントは、罠であるか否かの判断をゲーガーに任せるのだった。
ゲーガーの挑発を無視してただ作戦目的地に向かうM4。業を煮やしたゲーガーはM4との直接対決で捕獲しようとするが、それはUMP45が周到に用意した罠だった。ゲーガーの後方部隊は既に他の反逆小隊と404小隊により撃破されており、UMP45の信号偽装により残存しているように見せかけられていたのだ。そして、AK-12がハッキングした正規軍の廃棄人形部隊が伏兵として配置されていた。鉄血の主力部隊は数秒で粉砕され、瀕死のゲーガーはM4によってとどめを刺された。あまりにあっけない勝利。その時、またあの女性がM4に語りかける。M4の本当の望みは仲間との再会ではなく、復讐なのだと。M4は、その声に新たな交換条件を提示してエルダーブレインとの会見を受諾するのだった。

〈404小隊の視点〉
グリフィン部隊に恩を売った(特異点01「大撤退」参照)404小隊は、アンジェリアと合流した。アンジェリアは、正規軍がOGASシステムに固執するのは、あの胡蝶事件からの続きであると言う。胡蝶事件は、UMP45にとって最愛の姉であるUMP40を奪った忌まわしい記憶であった(「深層映写」参照)。アンジェリアの依頼は、鉄血のメインデータベースに侵入してOGASシステムと胡蝶事件に関する情報を可能な限り収集しエルダーブレインの所在地を割り出すことであった。これは、UMP45にとっても成さねばならない復讐であった。
鉄血の中継ステーションを占領した404小隊はメインデータベースの所在地を確認した。しかし、そこに辿り着くには「傘」ウイルスに感染した正規軍の廃棄人形を突破しなければならなかった。404小隊の火力では撃破することができず、今度こそ最期かと覚悟するG11たち。しかし、偶然にも正規軍による強力なアクティブ防御が発動。全ての通信が遮断されたことで廃棄人形も動作を停止した。その隙に鉄血のメインデータベースに潜り込んだUMP45はデータ収集を開始。そこでUMP45が見たのは、OGASシステムとエルダーブレイン、そしてM4にまつわる秘密であった。データを取り終えたUMP45たちだったが、ゲーガーに発見されてしまう。UMP45から連絡を受けたアンジェリアは、援軍としてM4率いる反逆小隊を派遣するという。UMP45は、ゲーガーを倒すための作戦を考えるのだった。
M4と連絡を取ったUMP45は作戦を開始した。M4がゲーガーと主力部隊を引きつけている間に後続の鉄血部隊を倒し、その信号を偽装してM4を追走。味方の後続部隊がいると思い込んだゲーガーと主力部隊は404小隊に退路を断たれ、AK-12にハッキングされた正規軍の廃棄人形によって殲滅されたのだった。
合流した反逆小隊と404小隊だったが、AR-15とUMP45の関係は険悪であった。反逆小隊のことをAR小隊と思い込んでいた416はM4にM16の所在を尋ねるが、M16は行方不明になったと聞いてショックを受ける。

〈グリフィン部隊の視点〉
撤退作戦中のグリフィン部隊だったが、その進路にはゲーガー率いる鉄血部隊が待ち構えていた。なんとか第一波を凌いだと思ったが、それは陽動でありグリフィン部隊はゲーガーの部隊に完全に包囲されていた。通信してきたゲーガーは、取引材料としてアーキテクトの身柄を要求してきた。カリーナは、アーキテクトの居場所は上層部の機密事項であり前線指揮官が知るところではないと答える。しかし、ゲーガーは強硬にアーキテクトの身柄を要求してくる。

その頃、鉄血の本拠地では謎の女性とエルダーブレインが会話していた。謎の女性、その名前はOGAS。OGASシステムを司る人工知能である。鉄血のメインデータベースから遺跡の情報を得たことで欠けた記憶の一部を修復したOGASに、自分から離れないよう懇願するエルダーブレイン。その時、正規軍がエルダーブレインにハッキングを仕掛けてきた。しかし、それはOGASによってたやすく阻止された。更にOGASは侵入してきた軍用回線から正規軍のサーバーを逆ハッキングして管理者権限の取得を開始した。カーター将軍は最大規模のアクティブ防御による強制切断を命令。正規軍のサーバーは奪取される直前に辛うじてOGASを遮断することに成功したが、それにより戦場のあらゆる通信は遮断されることとなった。
カーター将軍はこの作戦を命令した人物ことウィリアムに対して激昂するが、ウィリアムはOGASの成長に感嘆するばかりであった。そして、これが真の狙いであったことを告げる。OGASの侵入とその後の強制切断により戦場のあらゆるダミー情報は消去された。つまり、現在OGASとエルダーブレインの所在情報は剥き出しになっているのだ。ウィリアムは、カーター将軍に重装部隊を動かしてエルダーブレインを接収することを命じる。

戦場で発生した突然の通信遮断。グリフィンと鉄血は共に混乱するが、先に立ち直ったのはグリフィンだった。メガホンを持ったカリーナの口頭指示で攻撃を開始したグリフィン部隊はゲーガーの包囲網を突破する。悔しさに打ち震えるゲーガーは、エージェントに叱責を受ける。ゲーガーが本来の任務であるメインデータベース防衛を忘れアーキテクトの身柄奪回に拘ったのが敗因だとするエージェント。エージェントはゲーガーに404小隊の追撃を命じると、自らがグリフィン部隊を追撃し仇敵である指揮官を殺害することを宣言した。
エージェントはグリフィンの回線に通信を繋ぎ、指揮官に直接死刑宣告を下すと配下の部隊と共に攻撃を開始した。しかし、その攻撃自体がエージェントの罠であった。エージェントはダミーを自分に見せかけて囮部隊にグリフィンの人形たちの目を引きつけ、その隙に単身で司令所へと潜り込んでいたのだ。エージェントの砲撃で階下に転落した指揮官は、エージェントに踏まれて身動きが取れなくなる。さんざん痛めつけられた末にとどめとして胸を踏み砕かれそうになった指揮官を救ったのは、M4とアンジェリアからの通信であった。アンジェリアは、指揮官の命と引き換えにエルダーブレインとM4の会見をセッティングするという。エージェントはその要求を呑み、指揮官は辛うじて一命をとりとめたのだった。

〈隠しシナリオ:生存者〉
グリフィンの臨時司令部にやってきた戦術人形・HMG21は、現在鉄血と交戦しているグリフィン部隊の補給線が断絶して危機に陥っていると報告してきた。その地点を偵察している戦術人形・Honey Badgerは、更に正規軍までやってきて三つ巴の戦いになっていることを報告。戦場の混乱はより深まっていた。

特異点03「エンドゲーム」

M4はエルダーブレインと遂に直接対面するが、エルダーブレインはM4と戦うつもりはなかった

コーラップス爆弾によって正規軍の戦車部隊は壊滅したが、アンジェリアは放射線被曝で生命の危機に陥った

遂に正規軍の重装部隊が動き出そうとしていた。アンジェリアは、これまで入手した情報を提示して国家安全局に事態への介入を要求。しかし、政治的に強い立場にあるカーター将軍を制止するには確たる証拠が必要だ、とする局の上層部はアンジェリアの要請を拒絶する。もはや手持ちの戦力だけで事態を収拾するしかなくなったアンジェリアは、M4を囮にエルダーブレインを正規軍より先に破壊することでカーター将軍の作戦を阻止しようと目論む。エルダーブレインを破壊することは胡蝶事件の真相の手がかりを失うことだと反対するUMP45だったが、最悪の事態を避けるにはそうするしかなく、できる限りそうならないようにするとアンジェリアは答える。
その頃、16LABのペルシカ研究室に現れたハーヴェルは、かつてカーター将軍とハーヴェルが調査した遺跡のことについて話し始めた。その遺跡は真上に正規軍の研究施設が建てられており、それを反乱軍が爆破しようとしていたのだ。ハーヴェルは、OGASシステムの原型は遺跡の生命維持装置をコントロールするために使用されていたオーバーテクノロジーの産物であるという。反乱軍はシステムを暴走させて遺跡を爆破しようとしたが、それは遺跡を一時的に活性化させただけであった。しかし、その時に発生したエネルギーは膨大なものであった。その後、反乱軍はカーターの部隊に制圧され、ハーヴェルらは遺跡のシステムを解体しOGASシステムを停止させた。それが事件の顛末だった。ハーヴェルは、カーター将軍が遺跡に執着したのは、遺跡の持つ巨大なエネルギーに忘れられない憧れを抱いたからだと推測する。そして、ペルシカが回線をアンジェリアに繋いでいることを見抜き、アンジェリアに呼びかける。
ハーヴェルは、カーター将軍ら軍の上層部は汎ヨーロッパ連合のことを「敵国と連合政府を作ろうとしている」と見做しているのだという。彼らは、世界を再び冷戦期に戻そうとしているのだ、とも。そして、鉄血工造がOGASプロトコルを制御システムに使用したのは正規軍がリコリスを利用してOGASシステムを再起動させるためであった。しかし、正規軍の目的を知ったリコリスはOGASシステムを再度封印しようとしたため抹殺された。それを隠蔽すると同時にエルダーブレインに反乱を起こさせることで戦闘経験を積ませ、エルダーブレインとOGASシステムを成長させる。それが胡蝶事件を発生させた理由であった。
国家保安局の局長であるゼリンスキーは既にその結論に至っているとするハーヴェルは、彼らがカーター将軍を見逃しているのはより決定的な事態を発生させるのを待っているのだとアンジェリアに告げる。そして、ハーヴェルは自身の所有している秘密兵器「コーラップス爆弾」をアンジェリアに譲渡するというのだった。

アンジェリアは、空中投下される予定のコーラップス爆弾の回収と管理をM4とAR-15、そして404小隊に一任。AK-12とAN-94は正規軍の攪乱を担当することになった。しかし、現状の戦力では正規軍と戦うには全くの不足である。そこで、アンジェリアはグリフィンに現状を伝えて協力を要請する。渋るカリーナだったが、M4たちを助けるために可能な限り正規軍部隊の足止めを引き受ける。
UMP45は、M4に何者かが極秘通信を仕掛けてきた時はその状況を監視するようアンジェリアから命令を受けていた。UMP45のサポートとしてM4のメンタルモデルに潜入したUMP9は、M4のメンタルモデルがこれまで知る戦術人形のどれとも違う特異かつ大容量のものであることに驚く。UMP45は、M4と会話しているOGASが鉄血のプロトコルと似て非なるものだと感じる。M4は、OGASに対して強硬にSOPIIとM16の居場所を要求するが、OGASはエルダーブレインと接触すればそんなものはどうでもよくなると諭す。しかし、M4はエルダーブレインとは対話ではなく対決を望んでいた。OGASの所在を探知しようとするUMP45。しかし、OGASの信号はM4の内部から発生していた。これらの情報をUMP45から聞かされたアンジェリアは、M4にそこまで執着するエルダーブレインの真意とOGASの存在を理解できず苦しむ。UMP45はエルダーブレインが指定した会見場所の座標をアンジェリアに送り、エルダーブレイン捕獲の計画を立てる。そして、エルダーブレインの捕獲と正規軍の足止めの双方に失敗したその時は、コーラップス爆弾で自分たち諸共に正規軍とエルダーブレインを消滅させる。それが最終手段であった。エルダーブレイン捕獲の勝算はほぼゼロだと演算するAK-12。しかし、アンジェリアはあえてM4に最終手段を教えるのだという。アンジェリアは、M4にとって自己犠牲はある種の救いかもしれない、というのだった。
アンジェリアは、M4はエルダーブレインと会見した際に刺し違えてでもエルダーブレインを討つつもりだと看破する。復讐心を露わにするM4だが、アンジェリアはそこがM4の死に場所ではないという。そして、M4にエルダーブレインとの会見を引き延ばし、その隙に他のメンバーがエルダーブレインを捕獲するという作戦を提案する。M4は、失敗した時は最終手段で何もかも吹き飛ばすということを含めてその作戦を呑むのだった。
長い作戦行動に疲れ果て、愚痴をこぼすG11。UMP45は、これが404小隊最後の作戦になるかもしれないという。一方、416はM16が行方不明だというM4の話をまだ信じきれていなかった。そこにM4が到着し、投下された最終手段を確認するUMP45たち。それがコーラップス爆弾であることを理解したUMP45は、組み立てをAR-15に任せる。「自爆の経験者」とUMP45に煽られたAR-15は不快に思いながらも爆弾を組み立てる。UMP9は、かつての世界大戦の元凶である北蘭島事件を引き起こしたコーラップスを爆弾化したものに恐怖する。コーラップスの爆発による放射線は戦術人形にはそれほどでもないが、人間にとっては致死的なものである。アンジェリアも命を賭けてこの任務に臨んでいることを理解したUMP45は、指定座標に爆弾を設置するのだった。
M4は、かつてAR-15が自爆した時のことを尋ねる。AR-15は、他のAR小隊メンバーは全て中枢命令として自身を犠牲にしてもM4を守るよう設定されており、それに従っただけだと語る。しかし、M4は復讐より仲間の方が大切であり、仲間を犠牲にするぐらいなら自分が消えた方がいいという。AR-15は、M4が消えて悲しむ人間や人形はM4が思っているよりずっと多い、自分を犠牲にしたくなったらSOPIIの笑顔を思い出せ、とM4を諭す。
M4は、エルダーブレインとの会見に向かうため嘘をついて持ち場を離れようとするが、嘘を見抜いたAR-15に、ここはもうAR小隊ではないから行く理由があるなら自身の決定に従え、と諭される。M4はAR-15に感謝し、エルダーブレインの待つ地点へと向かった。AR-15は、AK-12にM4がエルダーブレインの待つ地点に向かったことを告げる。AK-12は、その地点に正規軍部隊が接近していると報告。エルダーブレイン捕獲作戦に使える時間の余裕は30分ほどしかない。

M4は、エルダーブレインの待つ地点へと到着した。エルダーブレインは自身をエリザと名乗り、M4をルニシアと呼ぶ。ルニシアとは、M4とエルダーブレイン、二人のメンタルモデルのベースとなった少女の名であった。強硬にM16とSOPIIの居場所を要求するM4。しかし、OGASから合意の内容を聞かされていなかったエルダーブレインは困惑するばかりであった。やっと出会えた自身の半身に嘘つき呼ばわりされた挙句に攻撃され、愕然とするエルダーブレイン。それを庇ったのはエージェントだった。主であるエルダーブレインを蔑ろにしたM4を抹殺すべく砲口を向けるエージェント。そこに突入してきたAR-15と404小隊は、鉄血との最終決戦としてエージェントに立ち向かう。強力なシールドを持つエージェントに苦戦するM4たち。そこへ現れたのはエゴール率いる正規軍の戦車部隊であった。アンジェリアの暗号化通信のセキュリティを破り盗聴していたのだ。
正規軍の戦車部隊は軽装の戦術人形では荷が重い相手であり、M4たちは劣勢を強いられていた。最終手段の発動を求めるM4だったが、アンジェリアはまだその命令を下さない。そこにアンジェリアと合流したグリフィン部隊が到着し正規軍の足止めを引き受けた。M4とUMP45、UMP9は、エルダーブレイン捕獲のために戦車の死角を抜けて突撃する。戦車のレールガンに法則性を見つけたUMP45は、発射とチャージの隙をついて逃げ続ける。しかし、それを読んだ別の戦車がレールガンを416へ発射。もはやこれまでかと思った416を庇ったのはUMP45であった。半壊したUMP45を助けて退避するM4たちだったが、もはや弾薬もダミーも枯渇していた。グリフィン部隊の救援でもどうにもならないと判断したUMP45は、コーラップス爆弾の起爆装置をM4へ託す。
逆転の策を模索していたアンジェリアたちだったが、遂に鉄血は正規軍に防衛網を突破されエージェントは破壊、エルダーブレインが捕獲されてしまった。エゴールたちは戦場からの離脱へ向けて動き始めた。カーター将軍からグリフィンと反逆小隊の殲滅を命令されたエゴールは、戦車部隊をM4たちに向かわせる。その時、M4の中のルニシアがM4へと呼びかける。殺人と復讐、それを達成することの恐怖と快感。人形になった今もまた同じことをするのか、と。M4は、仲間を巻き添えの犠牲にすることをためらう。その時、アンジェリアはM4にコーラップス爆弾の起爆を命令した。今ここで起爆させたら放射線に強い人形はともかくアンジェリアが放射線で被曝してしまう。しかし、アンジェリアは構わず起爆を要求するのだった。M4が起爆装置を作動させ、コーラップス爆弾は爆発。緑色の光は爆心地から半径500メートル内を完全に消滅させ、その中にいた正規軍の戦車部隊を蒸発させていた。そして、致死量の被曝によりアンジェリアは吐血。それでもアンジェリアは、M4にエルダーブレインの奪取を命じるのだった。
コーラップス爆弾に怯えたエゴールが逃走したことで正規軍は指揮系統を喪失した。しかし、自律人形によりエルダーブレインは大陸横断列車へと運び込まれていた。M4は、単身列車に乗り込んでエルダーブレイン奪回を試みる。防衛システムに操作された正規軍の人形を蹴散らし列車先頭部へ向かうM4の前に立ちはだかったのは、鉄血人形と化したM16であった。愕然とするM4に自らの意思で鉄血に加担していることを告げたM16は、鉄血人形に改造されたことで得た強大な力でM4を戦闘不能に追い込む。鉄血に加担するM16を非難するM4だが、M16はこれもM4のためだと答える。M16は、戦うべき本当の敵は鉄血ではないことを示唆してエルダーブレインを連れて去っていく。

鉄血のM16という思わぬ伏兵によってエルダーブレイン奪取を阻止されたカーター将軍らの一派。一方、国家保安局はこの事態を受けてカーター将軍らを粛正すべく動き始めていた。

〈隠しシナリオ:さらば竜宮〉
鉄血部隊と正規軍の激突はまだ続いていた。その状況をペットのロボット鷹と共に偵察していたグリフィン人形のBallistaは、その間隙を縫ってグリフィン部隊を撤退させるルートを調べていた。

特異点04「ハチの巣」(ランキング戦)

鉄血の拠点を根こそぎにしようとする正規軍部隊とそれに抵抗する鉄血部隊、そして両者の戦いの間を掻い潜って脱出を試みるグリフィン部隊。必死にあがいて生き延びるしかない自身の境遇に愚痴をこぼすイントゥルーダーは、エルダーブレインから死ねる任務を貰ったゲーガーたちのことを少し羨ましく思っていた。たとえどんな任務でも遂行するだけと言うスケアクロウを「頭がスケアクロウ(註:『オズの魔法使い』の登場人物である「知恵のない案山子」の意)」とからかいながらも愛おしく思うイントゥルーダーは、スケアクロウと共に正規軍から逃れるため戦うのだった。

ホワイトデーイベント「写真館の謎」

美しい死体となって発見されたPK。閉ざされた洋館で起きた奇怪な事件に戦術人形たちは追い詰められる。

〈出題編〉
リー・エンフィールド、G36c、MDR、56-1式の4体で編成された臨時小隊は、「住人が亡くなって無人になったはずの洋館から時折騒音が発生するから調査してほしい」という近隣住民からの依頼を受けた指揮官により派遣されていた。近隣住民の噂では、その騒音は願いを果たせずに亡くなった花嫁の亡霊の仕業だという。ゴシップ好きのMDRはその話を聞いて真っ先に派遣部隊へ立候補し、先行して洋館近辺へ行き実際に奇怪な騒音が発生しているのを確認していた。G36cと56-1式は半信半疑ではあったが、実際に調査しないと確たることは言えないと思い彼女たちは洋館へと向かうのだった。
洋館は廃墟という話であったが実際は特に傷んだ様子もなく、また予想よりもはるかに大きかった。MDRによると、地域住民から聞いた話では以前洋館に入り込んだ者はそのまま出てこなかったという。警戒しながら洋館の状態を確認するリー・エンフィールドは、窓の外から見る分には建物内部に損傷はなく、入り口のカーペットにも汚れや埃がないという状態の良さをかえって不審に思っていた。入口周辺が苔や雑草で荒れ果てているのに洋館だけは住人が未だに住んでいるような整備の行き届き具合であったからだ。洋館の状態についてやや饒舌に推理を披露するリー・エンフィールドを見て「グリフィンのネット掲示板で言われていた『寡黙な人物』との印象と違う」と言うMDR。リー・エンフィールドは、MDRの情報収集手段がインターネットに偏っていることをたしなめる。その小言を聞き流したMDRはこの洋館が推理小説の舞台のようだとはしゃいでいたが、56-1式は「不吉なことを言わないでほしい」とMDRに文句を言うのだった。
リー・エンフィールドは、洋館にまだ住人が住んでいることを考慮して玄関から入ることを決める。G36cは大きな木造の扉にノックをしたが返事はなかった。ノックで最低限の礼儀は通した、としてリー・エンフィールドは玄関から洋館へと入ろうとする。鍵がかかっているかを確かめようとしたG36cだったが、扉はその時自動的に開いた。電気的な反応が探知できなかったのに扉が開いたことを不審に思うリー・エンフィールドだったが、洋館に住まう何者かが招待の意思を示したと判断して中へと入っていく。
洋館の中が普通の状態であることに安堵する56-1式だったが、リー・エンフィールドは、情報では10年以上無人ということになっているのに手入れが行き届いており、電気の回線が維持され廊下には照明も付いているということの方が異常ではないかと言う。何者かがこの館に潜んでいることを確信しテンションが上がるMDR。リー・エンフィールドは、その何者かが未だに姿を見せないことを疑問視していた。MDRは、廊下突き当りの扉が他の扉と違う形状であることに気付く。リー・エンフィールドは、小隊の盾役であるG36cに確認を頼む。中を確認したG36cが嫌なものを見たかのように説明を渋るので自分で見に行った他のメンバーは、扉の先が礼拝堂であったことを知る。そして、礼拝堂の中には異様な光景が広がっていた。中心部に置かれた神像を囲むように吊るされている大量のウェディングドレス。いずれのドレスも、人形の目から見てもデザイン・縫製ともに芸術的な出来栄えのものであった。これが「花嫁の亡霊」の噂に繋がったものだと納得するリー・エンフィールド。ここが館の中心部だと判断したリー・エンフィールドは、ここを集合地点として各自が分担して館内の調査を行うよう指示を出した。しかし、56-1式は館の広さに対して人手が足りないと不服を口にする。リー・エンフィールドは、その進言を受けて成果がなくとも1時間後に再び集合して結果を報告するよう改めて指示を出す。G36cが単独行動の危険性を指摘したのに対して、リー・エンフィールドは有事の発砲許可と銃声が聞こえた時には全員その場へ急行するという命令を下した。ようやく納得した小隊員たちは、各自散開して調査を開始した。
それから1時間が経過した。館に到着した頃から怪しかった空模様は大雨となっていた。
これといった成果がなかったMDRは、集合地点である礼拝堂へと移動していた。調査は空振りだったとはいえ、MDRはこの状況にテンションが上がっていた。豪雨で孤立した洋館、あとは犯人と被害者がいれば立派なミステリーだとはしゃいでいたMDR。しかし、住人がいないのにこれまで調べた部屋がすべて綺麗に保たれていたことを改めて思い返し、ここは本物の幽霊屋敷なのでは、との考えに至った。そうしているうちに礼拝堂に到着したMDRは待っていたリー・エンフィールドに声をかけるが、彼女はMDRに口を閉じるよう命じる。56-1式とG36cも既に待機しており、同様に口を閉じて臨戦態勢を取っていた。怪訝に思うMDRに、リー・エンフィールドは、館に別の侵入者が現れたと告げる。敵味方の識別ができないなら正面から乗り込んで確認するのがいちばん早いというMDR。リー・エンフィールドはそうしようとしたが、その時礼拝堂に手榴弾が投げ込まれた。即座にG36cがそれに対処し、56-1式は手榴弾が投げ込まれた扉の隙間へ向けて銃を斉射する。礼拝堂が破壊されることを嫌がるMDR。リー・エンフィールドは、交戦の様子を見て56-1式たちに射撃の中止を命じる。相手の戦闘指揮パターンがグリフィンのものであると判断したからだ。リー・エンフィールドの声を聞き、相手側の隊長も礼拝堂へ入ってきた。リー・エンフィールドの推理通り、グリフィン所属の戦術人形トカレフだった。リー・エンフィールドたちの小隊はトカレフたちの小隊と合流し、状況を整理する。指揮官が同じ作戦に2小隊を同時に派遣し、それを双方に通達しなかったということを疑問に思うリー・エンフィールドとトカレフ。トカレフたちの小隊は別件で出撃し、基地に戻る途中で急遽命令を受けて洋館へ向かったのだという。それはおよそ1時間前であった。リー・エンフィールドは、既に自分たちが洋館内に入った後に重複した命令が出されたことを疑問に思う。MDRはトカレフたちの戦法が荒っぽ過ぎると文句を言うが、トカレフの小隊員であるステンMk-IIとPPSh-41は、リー・エンフィールドたちの小隊がいきなり怪しい電子信号を発信したことが発端だと反論する。口論になったMDRとステンを制したのはトカレフの小隊員であるPKだった。PKは冷静に対処して同士討ちを防いだリー・エンフィールドの手腕を評価し、いきなり手榴弾を投げ込んだステンをやり過ぎだと諫める。その時、G36cは通信障害で指揮官と連絡が取れなくなったことを告げる。トカレフも同様に指揮官との通信が不可能になったことを確認する。リー・エンフィールドは、現在この館周辺が激しい雷雨に見舞われていることによる電磁波障害が原因ではないかと推測する。次の瞬間、落雷と共に礼拝堂の照明が消えた。電気系統の故障による停電だと判断したリー・エンフィールドとトカレフは56-1式とステンを連れて電気管理室へ向かうこととなった。リー・エンフィールドは、電子戦の得意なMDRに周辺状況の監視を頼む。
電気管理室へ到着したリー・エンフィールドたちは、この館の管理システムがかなり新しいものであることに疑問を持つ。洋館全体の古めかしい作りに見合わなかったからだ。照明以外にも電気を多く使うよう設計されていることはわかったが、それが何のためかはわからなかった。無事に照明を復旧させたリー・エンフィールドは周辺の監視を依頼したMDRに連絡を取ろうとするが、MDRの通信機からはノイズしか聞こえなかった。MDRの身に何かが起きたのではないかと思ったリー・エンフィールドらは、急いで礼拝堂へと戻るのだった。
礼拝堂にはMDRの姿はなかった。両小隊の隊員たちは、リー・エンフィールドの指示で手分けしてMDRを捜索する。リー・エンフィールドは、照明の復旧までにかかった時間を考えるとMDRが移動できる範囲は限られるとしてその範囲内を調査するよう命じる。更に、MDRが夜間戦闘用の暗視装備を所持していなかったことを考えると暗所での移動に際して何らかの痕跡を残していると推理していた。リー・エンフィールドの洞察力と推理をシャーロック・ホームズに喩えるトカレフだったが、当のリー・エンフィールドはその作品の有名な台詞「初歩的なことだよ」を引き合いに出して、自分の推理力はそこまで優れていないと否定する。リー・エンフィールドはトカレフたちの小隊が館の裏口から入ったこととその時刻を確認し、改めてトカレフに「既に館内に入った小隊がいるのに指揮官が別小隊に重複する命令を出した」ことに対する疑問を共有する。トカレフも、指揮官がこうしたミスをすることはまず考えられないと思っていた。リー・エンフィールドは、指揮官ではない誰かが作為的にトカレフたちを館に呼び込んだのだと考えていた。そして、この館の持つ異常性が最大に集約されているのが礼拝堂に飾られたたくさんのウェディングドレスである、と。トカレフは、亡霊の存在を信じるかとリー・エンフィールドに問う。リー・エンフィールドは、「亡霊の存在は信じない、この事件は誰かの悪意によって為されたものである」と答えるのだった。
その時、銃声が館内に響いた。同時に56-1式から通信が入り、MDRを発見したとの報告があった。MDRに応答するよう促すリー・エンフィールドだったが、56-1式は口ごもり、現場に来るよう要請する。56-1式に詳しい報告を重ねて求めるリー・エンフィールドに対し、重い口を開いた56-1式はMDRのメンタルモデルが再起動不可能な状態にされていることを告げる。その通信中、何者かによる電子攻撃で通信が途絶してしまう。リー・エンフィールドらは、急いで現場へと向かった。
辿り着いた現場では、既にパニックが発生していた。部屋の隅で座り込んだまま機能を停止してぴくりとも動かないMDR、犠牲者が出たことで取り乱して周囲に当たり散らすステン、荒れるステンに喧嘩腰で応対する56-1式。PKは皆に落ち着いて隊長の指示を待つよう要請するが、PPShは恐慌のあまり「怖くない、怖くない」とうわ言のように呟き続けていた。その様子を見て皆を一度叱りつけたリー・エンフィールドは、56-1式に状況の報告を求める。
第一発見者はG36cであった。礼拝堂周辺の部屋を探索していた彼女はこの部屋だけ内側から鍵がかかっていたことを不審に思い銃で鍵を破壊して中に入ったが、そこで動かなくなっていたMDRを発見したのだという。その時G36cには56-1式が同行しており、彼女の言っていることに間違いがないと証言した。リー・エンフィールドはこの部屋を検分したが、鍵は証言通り銃弾で破壊されており、部屋には窓がなく貼られた壁紙にも特に損傷の痕跡はない。扉以外からは侵入することができない部屋であった。密室殺人ではないかと疑うトカレフ、亡霊の仕業だと言い出すPPSh。MDRのボディを検分したトカレフは、外傷がないことからMDRは何者かの電子攻撃によりメンタルモデルを凍結されたのではないかと判断した。リー・エンフィールドは電子戦に長けたMDRがあっさり再起動不能にされたことに疑問を抱きながらもPKとステン、G36cにMDRのボディを礼拝堂に運ぶよう命令。56-1式とPPShには自分とトカレフに同行して館内を調査するよう命じた。一度館内を捜索したのに再度捜索するのは無駄足ではないかというステンに、リー・エンフィールドは、戦術人形さえ移動がままならないこの豪雨では犯人が外に逃げるということは考えられないからまだ館内に留まっているはずだと説明する。更に、これまでの調査には何らかの見落としがあった可能性についても指摘する。隊を二分割することにステンは反対するが、単独行動をさせないのは不意討ちを避けるためだと説明するリー・エンフィールド。戦術人形として優秀な能力を持ったMDRが抵抗することもできず機能停止に陥ったのは不意討ち以外に考えづらい、リー・エンフィールドはそう言うのだった。PPShはこれが亡霊の祟りならどれだけ優れた戦術人形でも勝てない、と恐怖を口にするが、リー・エンフィールドは重ねて「この世に亡霊はいない」と否定。トカレフも、弱音を吐かず噂を怖れないように、と隊員たちを鼓舞する。リー・エンフィールドとトカレフ、ステンとPPShがコンビを組むことになり、それぞれ館の端から中央へ向けてしらみ潰しに捜索を開始することとなった。

56-1式は、腕利きだったMDRが抵抗する間もなく倒されたことが信じられなかったため、現場に何か見落としがなかったかを再度調べようとしていた。文句を言いながらも56-1式に同行するPPShは、MDRが倒れていた部屋の鍵が頑丈だったにも関わらずG36cがそれを銃弾一発で破壊していたことに気付く。56-1式は、犯人がMDRを拉致したのであればわざわざ電子戦で機能停止させなくとも直接撃ち殺せばよかったはずだと言う。何らかの理由があってMDRを密室で電子戦によって停止させ、鍵をわざと銃で破壊させたのではないかというのが56-1式の推理だった。

礼拝室で待機しているG36cに定時連絡を済ませたリー・エンフィールド。トカレフは、もしも本当にこれが亡霊の仕業であれば自分たちに勝ち目があるのかをリー・エンフィールドに問う。改めて亡霊の存在を否定し、この事件がトリックによるものだと言うリー・エンフィールド。トカレフは、リー・エンフィールドの考えがパニックに影響されて揺らいでいないかを確認するためブラフをかけたのだった。リー・エンフィールドは他の人形たちが恐怖で冷静さを欠いていることをやむを得ないとしながらも、自分たちは冷静でなくてはならないと改めて決意する。
館内を捜索していたリー・エンフィールドたちは、書斎を発見した。書斎の机にはノートが置かれていた。それは、館の主が書き残した日記とおぼしいものであった。それによると、この館の主はウェディングドレスのデザイナーであった。戦時下(註:この世界における第三次世界大戦)にあってドレスの需要が激減した中でも何かにとりつかれたようにドレスを作り続けたこのデザイナーは、もはや誰もこのドレスを着てくれないことを理解しながらもドレスのデザインを極め、そして死んでいったのだ。読み終えたリー・エンフィールドは、館の主が狂気に陥っていたのではないかと推測する。トカレフは、それほど古くない手帳がその日記の近くに落ちているのを見つけた。それは、館に入り込んだ侵入者の手記とおぼしい内容だった。度胸試しに入り込んだものの仲間が精神錯乱を起こし、最終的に同士討ちに至ったのだという。それを「亡霊にとりつかれた」と表現していた。その時、G36cから定時連絡ではない通信が入った。G36cは、ステンが恐怖に耐えきれずに勝手に捜索へ向かったと報告してきた。更に、PKもステンを連れ戻そうとその後を追って単独行動をしていた。想定外の事態に慌てたリー・エンフィールドたちは礼拝堂へと急行する。リー・エンフィールドは、ステンが勝手な行動に出たという報告に対して疑念を抱いていた。
礼拝堂で待っていたのはG36cだった。ステンとPKは共に行方がわからないという。トカレフは通信機でステンを呼び出す。ステンは、礼拝堂で何者かに監視されているという視線を感じて、それに耐えきれずに飛び出していたのだという。そして、自分を追っていったはずのPKとは全く接触がなかったという。PKの身に危険が迫っていると判断したリー・エンフィールド。その時、ステンの通信機越しにPPShの悲鳴が聞こえた。リー・エンフィールドたちは、すぐにその声の方向へと向かった。
PPShが発見したのは、ウェディングドレス姿で床に崩れ落ちた射殺体となっていたPKだった。駆け付けたリー・エンフィールドはPKの着飾られた死体を見て、グリフィンの仲間を殺された怒りを覚えると同時にその死体の美しさに感嘆し、そして一瞬でも仲間の死体を美しいと思ってしまった自分自身に驚きを感じていた。小隊員を殺された悲しみに打ちひしがれるトカレフ、仲間を殺された怒りに我を忘れる56-1式。G36cは、これは本当に花嫁の亡霊の祟りではないかと恐怖していた。ステンは、冷静になるよう訴えるトカレフに恐怖で錯乱しながら食ってかかる。みんな亡霊に殺されるのだ、と狂ったように呟き続けるG36c。しかし、リー・エンフィールドはこの事件の真相についての目星をつけていた。

〈解決編〉
トカレフの説得で皆一応落ち着きはしたが、仲間が二人殺害された状況で怒りや恐怖、疑心暗鬼は限界に達していた。このままでは暴発しかねないと危惧するトカレフ。リー・エンフィールドは、そんな皆の前でこの事件についての推理を語ることになった。

リー・エンフィールドは、改めてこの事件が亡霊の仕業ではなく三文推理小説程度の事件でしかないことを皆に告げると、それぞれの怪奇現象についての謎解きを始めた。
調査の結果、館内には自分たちしかいないのに亡霊の仕業でないということは戦術人形の中に犯人がいるということである。仲間を疑うのかと険しい表情になるトカレフ。リー・エンフィールドは、MDRがあっけなく機能停止に追い込まれたのは、犯人が顔見知りで背中を預けられる相手だったからだと説明する。苛立つ56-1式たちを前に、リー・エンフィールドは状況の整理を始めた。まず、ステンが恐慌を起こして勝手に持ち場を離れた件についてその理由を問いただす。ステンは、恐怖と苛立ちを紛らわせるために見回りに出たのだという。そして、そのステンを追ったはずのPKともそれ以降会っていないことを証言した。そして、礼拝堂を離れてから間もなくトカレフからの通信を受け、その直後にPPShの悲鳴を聞いたのだという。リー・エンフィールドは、次いでPPShにPKの死体を発見した時の状況を問う。PPShは恐怖でまだ放心状態ではあったが、調査を終えて56-1式と共に礼拝堂に戻る途中でPKの死体を発見したことを証言した。同行していた56-1式もPPShの証言は正しいと言った。
G36cは、これは亡霊の仕業なのか仲間の誰かの仕業なのかをリー・エンフィールドに問う。ステンは、仲間を疑うことを怖れていっそ亡霊の仕業であってほしいと言った。ステンは、仲間を疑っているようにも聞こえるリー・エンフィールドに対して激しく食ってかかる。それを意に介さず、PPShが悲鳴を上げる前に不審な音を聞かなかったかどうかを尋ねるリー・エンフィールドに遂に苛立ちを爆発させたステンだったが、隊長であるトカレフに窘められて雨音と雷鳴以外の音は聞かなかったと投げやりに答える。人形たちの感情が暴発を始めたことを危惧するトカレフ。
リー・エンフィールドは、MDRが電子戦で機能停止されたのにPKは射殺であったことには理由があると判断していた。そして、それこそがこの事件の鍵である、と。既に事件のおおまかな概要を掴んでいたリー・エンフィールドは、事件の真相に至る最後の手がかりを探すようトカレフに頼む。
しばらく席を外していたリー・エンフィールドとトカレフは、証拠集めを終えて戻ってきた。トカレフは、この事件は間違いなく戦術人形の誰かが実行犯であることを告げる。56-1式は、仲間殺しを疑うのは侮辱だと腹を立てながらもトカレフが冷静にそう言うのであれば確証があるのだろうと言う。トカレフは、探索中に発見した侵入者の記録に「亡霊にとりつかれる」という言葉があったことを説明した。リー・エンフィールドもそれを肯定する。この中の誰かが亡霊にとりつかれて犯行に及んだのだ、と。あまりのことに呆れるステンとG36c。しかしリー・エンフィールドは動じる様子もなく、誰が亡霊にとりつかれたのか、そして亡霊とは何だったのかを掴んだことを告げた。
リー・エンフィールドが提示した証拠品とは、MDRの携帯電話だった。MDRの携帯電話には彼女が常時利用していたグリフィン人形用の匿名掲示板のアドレスが残っており、そこには多数のグリフィン人形のプライベートな情報が書き込まれていた。ステンとPPShはその掲示板の信頼性は疑わしいと否定するが、その「信頼性が疑わしい」ことが答えだとするリー・エンフィールド。リー・エンフィールドは、G36cにいくつかの質問を投げかける。しかし、それは誘導尋問だった。G36cが答えた内容は匿名掲示板の情報と完全に一致していたが、それと同時に普段のG36cならまず言わないであろうものだった。リー・エンフィールドは、G36cには亡霊ではなくAIがとりついたのだと皆に告げる。リー・エンフィールドたちの小隊がこの洋館に入り込んだことで防衛システムを起動させた管理AIはグリフィンの指揮官命令を偽造してトカレフたちの小隊を洋館に呼び込み、そのトカレフたちに不審な電子信号を送って同士討ちを誘発。しかしリー・エンフィールドの優れた判断で殺し合いに至らなかったため、管理AIは別の手段を講じることになった。それが亡霊の祟りに見せかけた連続殺人による各個撃破であった。
そのためにまず邪魔なのは電子戦に長けているMDRであり、そのMDRを排除するため管理AIはG36cをハッキングしてMDRを不意討ちで襲撃、メンタルモデルを停止させた。そしてMDRの記憶から仲間たちの情報を収集することでボロが出ないようにして普段通りのG36cになりすましていたのだ。そもそも密室殺人というのも嘘であり、MDRの死体を隠した部屋を管理者権限で閉錠して密室に仕立て、その上で第一発見者を装うために扉の鍵を銃弾で破壊したのだ。頑丈な鍵を一撃で破壊できたのは洋館の構造に通じた管理AIの知識によるものだった。56-1式が扉を調べた時に持った違和感の正体はこれであった。
これまでの推理に対し、証拠はあるのかと問うG36c。リー・エンフィールドは、ここまでは疑惑であったがPK殺害の手段で疑惑が確信に変わったという。リー・エンフィールドは、ステンが聞いたPPShの悲鳴の大きさから、PPShがPKの死体を発見した部屋とその時ステンがいた場所はすぐ近くだったと推測。そして、ステンは礼拝堂の周囲を見回っていたという。礼拝堂にいたPKが本当にステンを探しに行ったのであれば見つけるのはたやすかったはずである。であるならステンとG36cのいずれかが嘘をついていたことになる。そして、MDRの死体があった部屋に落ちていた薬莢とPKの死体の銃創に残された弾頭の規格(註:当時生存していた戦術人形で同規格の弾を使用する銃の持ち主はいない)が一致しているなら犯人はG36cである、というのがリー・エンフィールドとトカレフの推理であった。
そこまで聞かされたG36cは、これまでとうってかわった男性の口調で「憑く相手を選び間違えた」と告げる。ステンは、G36cのメンタルモデルから異常な電子信号を探知した。管理AIが本性を現したのだ。G36cに憑依していた管理AIは、リー・エンフィールドたちの冷静さを高く評価した。これまでの侵入者のように演出された恐怖によって疑心暗鬼になって殺し合いに至らなかったからである。リー・エンフィールドは、既に洋館の主は亡くなって久しいのに管理AIが侵入者をそこまで執拗に排除する理由がわからない、とAIに問う。AIは、主から受けた「自分の作品であるウェディングドレスを誰にも渡さないように守ってほしい」という最後の命令を守り続けていたのだと答える。リー・エンフィールドは、PKにわざわざウェディングドレスを着せた上で殺した理由についても尋ねる。しかし、AIはそれについて明確な理由を説明できなかった。侵入者を驚かせるためにやったのではないか、と曖昧な返答をするAI。それに対しリー・エンフィールドは、そんな単純な理由ではなく儀式めいたものではないのかと言う。それに対して、AIは自分でも理由をうまく説明できないと答え、逆にリー・エンフィールドにいつから自分を疑っていたのかを問う。リー・エンフィールドは、この推理は消去法でアリバイのある人物を除いていった結果でしかないと答えた。そして、この結論に至ったのは書斎に残された洋館の主の日記と侵入者の手記の存在だった、と。リー・エンフィールドは、この両方ともがAIによって演出のために書かれたものであると推理していた。狂気に陥った人間や危機的状況にある人間がわざわざこんなものを書くとは思えなかったのだ。AIには本気で侵入者を皆殺しにする意図はなく、一連の回りくどい手段は洋館の侵入者を外に逃がして花嫁の亡霊という噂を広めるためのものであった、というのがリー・エンフィールドの推理した動機であった。AIは自分でも自分の行動の理由が理解できず、「罪を告白したかったのだろうか」と悩む。リー・エンフィールドは、あくまで推測だと前置きしながらも、AIの本当の願いは主が作ったウェディングドレスの美しさを誰かに知ってもらうことだったのではないかという。PKの死体に意味もなくウェディングドレスを着せたのもそれと同じである、と。リー・エンフィールドのその推理を聞き、AIは主の作ったウェディングドレスの美しさを誇りに思っていたことを告げる。リー・エンフィールドとトカレフも、洋館に飾られていたドレスはとても美しかったとAIに語った。自分の内面にあった本当の目的が達成されたことを知ったAIは敗北を受け入れ、最後にリー・エンフィールドたちに館にあるドレスを全て持ち帰るよう頼む。リー・エンフィールドがその約束を守ることを誓うと、AIは満足して自己崩壊を起こし消滅、G36cの身体を解放した。それと同時に、洋館を取り巻くように降っていた激しい雷雨も収まっていた。グリフィン基地との通信も回復しており、PPShはドレスを持ち帰るための増援を派遣するよう基地に要請する。機体中枢を破壊されて修復が必要なPKを回収して洋館から撤収すべく準備を始めるリー・エンフィールドたちであったが、何かを忘れていたことに気がつく。それは、礼拝堂に遺体として安置されていたが洋館の管理AIが消滅したことでメンタルモデルの凍結が解除され再起動したMDRのことであった。直後、証拠品としてリー・エンフィールドが持ち去った携帯電話が自分の手元にないことに慌てふためくMDRの悲鳴が洋館に響き渡るのだった。

秩序乱流01「彼岸の暁」

謎の組織に拉致された指揮官は、正体不明の人形たちに尋問を受けることになる

正規軍の裏切りにより大破したSOPIIは、M16の助言によって鉄血人形の残骸を使って応急修理を行う

(このストーリーはイベント「特異点」直後の時系列である)

〈コーラップス爆弾の起爆より1時間前〉
グリフィンの臨時拠点では、カリーナが残存部隊に撤退指示を出していた。正規軍の部隊は既にグリフィンの防衛網を突破していたのだ。9A91率いる部隊とトンプソンが率いる部隊が防衛拠点で殿軍を務め、その間に残存部隊が撤収する予定であった。指揮官は別の拠点で撤退作戦全体の指揮を執っているため、防衛部隊の指揮に専念することができず9A91とトンプソンは不安を口にする。それを聞いたカリーナは、自分が防衛拠点を指揮すると言い出した。カリーナは指揮官の下で戦術指揮を学んでいたのだ。
撤退が完了していない中で、正規軍の戦車部隊が防衛拠点へと迫っていた。戦線は崩壊し、これ以上持ちこたえることはできない。かといってここでカリーナたちが防衛拠点を放棄すれば、今度は指揮官たちの部隊が戦車部隊と直接ぶつかることになる。もはやこれまでと死を覚悟したカリーナ。その時、空が閃光に覆われ、すさまじい爆風が吹き荒れた。そして、緑色の光が空を照らしている。ようやく起き上がったカリーナたちは、正規軍の動きが完全に止まっていることに気付いた。奇跡的に自分たちが助かったことを知った9A91たちは大急ぎで撤退を開始する。しかし、カリーナは奇妙な咳が止まらなかった。自分のこの症状、そしてコーラップス特有の緑色の光。あの大爆発がコーラップス爆弾であることに気が付いたカリーナは、大慌てで指揮官へ通信を送る。しかし、指揮官からの返答はなかった。

〈コーラップス爆弾の爆発から9週間後〉
グリフィンの指揮官が目を覚ましたのは殺風景な部屋だった。そして、指揮官を取り巻くように立っているまったく同じ顔をした4体の少女人形。この人形たちの説明によると、指揮官はコーラップス爆弾による放射線被曝で倒れた後に彼女らに保護され、9週間の治療を受けていたのだという。しかし、それは嘘であり、本当はグリフィンの指揮拠点を襲った彼女たちの仲間に拉致されてここに連行されたことを指揮官は覚えていた。初期型の民生人形よりも無表情で声に感情が出ることもないこの奇妙な人形たちは、指揮官から情報を聞き出すつもりであることを淡々と告げた。この人形たちは「ネイト」と呼称される存在であった。
その時、不意にネイトたちの動きが止まった。4体のうち3体は後ろを向き、1体だけが今までと違う感情を持った顔でこちらを見ていた。その1体は、「目に傷がある」という仕草で自分がネイトの意識をハッキングしているUMP45であることを示した。UMP45は、拉致された指揮官を救出する準備を進めていることを告げる。そして、指揮官には時間を稼ぐためにネイトの尋問をできるだけ引き延ばすよう要請してきた。UMP45は指揮官に護身用の拳銃を預けると、次にどのネイトにハッキングを仕掛けたかわかるように「不幸を届けに来た」という合言葉を教えた後にハッキングを解除した。制御を取り戻したネイトは、何事もなかったように指揮官を尋問室へと連れていく。ネイトたちが「お父様」と呼ぶ彼女らの主人が求めている情報、それは、グリフィン部隊とアンジェリアがいかにして正規軍の追撃を逃れ、コーラップス爆弾の被曝から生き延びたかであった。
(註:「秩序乱流」では、選択肢や戦闘クリア条件によって多数のバッドエンドルートが存在するが、それらは全て「ネイトに尋問された指揮官が時間稼ぎをするための作り話」として扱われ、そのたびに指揮官はネイトから拷問を受けることになる)

〈コーラップス爆弾の起爆直後〉
時間はまた遡る。
指揮官が撤退作戦の指揮を執っていた拠点はコーラップス爆弾の爆風による衝撃で大きく揺れ動き、その勢いで指揮官は昏倒していた。そしてコーラップス汚染の症状を緩和するためのアドレナリン剤注射による激しい苦痛によってようやく意識を取り戻した時、近くには二人の戦術人形が立っていた。グリフィンからボディガードとして派遣されたM82A1とM870Pであった。落ち着いた物腰のM82A1と常に口汚く指揮官を罵倒してくるM870Pというまったく正反対の二人に連れられてカリーナの待つ防衛拠点へと避難することになった指揮官。しかし、拠点の通信機から聞こえてきた声に指揮官は足を止めた。それがアンジェリアの救助要請であるとわかったからだった。指揮官は拠点に残り、アンジェリア救出の指揮を執ろうとする。カリーナからの命令として無理やりにでも指揮官を避難させようとするM870Pだったが、M82A1は自身の命を危険に晒しても誰かを救おうとする指揮官に戦術人形にはない人間らしさを見て指揮官の要請に従う。M870Pもアンジェリア救出を頑なに主張する指揮官に根負けし、護衛として共に残ることを選んだ。

〈EP10「煉獄」の直後〉
時間は更に遡る。
エゴール大尉の裏切りにより正規軍部隊からの銃撃を受け、大破したSOPII。彼女は、何者かの通信により目を覚ました。周囲には、グリフィン人形たちの残骸が転がっていた。もはや稼働している仲間は誰一人いなかった。
改めて正規軍に裏切られたことを思い出し愕然とするSOPIIに、先ほどの通信の主は語りかける。その通信の主が自身の機体の再起動システムを外部から操作していることに慌てるSOPII。しかし、その声はSOPIIの損傷が大き過ぎて外部から強制再起動をかけないと動かないことを告げる。激痛と共に再起動したSOPIIは、自身を再起動させたのがM16であることを知る。しかし、M16からは鉄血の識別信号が発信されていた。かつての戦いで喪失したはずのM16が鉄血人形として現れたことに驚くSOPII。M16はそんなSOPIIの驚きを意に介さず、補給拠点として幾つかの座標を送ってきた。
SOPIIは、M16の指示通りに空港の補給施設へ向かった。M16は、SOPIIの素体には汎用パーツが多いことから鉄血人形の部品を再利用できるという。SOPIIはこれまで虫けらのように扱っていた鉄血の部品を身体に組み入れることに抵抗を感じながらも、ROと共に隠れているはずのM4を助けるという目的のために、欠損した部品を鉄血人形の残骸で補い応急修復を行った。鉄血の識別信号を発しながらもM4を救えというM16を信用しきれないSOPIIだったが、M16はAR小隊に組み込まれた中枢命令である「どんな犠牲を払ってもM4を守れ」という命令を復唱し、SOPIIにM4の元へ向かうよう指示する。M16に何故自分自身で動かないのかを問うSOPIIだったが、M16は「今はまだ私の出番ではない」と言うだけだった。その態度からM16がもうAR小隊に戻ってこないことを確信し、涙をこらえながらROがM4を匿ったセーフハウスへと辿り着いたSOPII。そこにはまったく動かないM4と破壊されたROの姿があった。メンタルが非常モードに入ってしまったM4を下手に動かすと危険なことになると判断したM16は、M4を放置するよう命じる。M16がM4を鉄血に引き渡すのではないかと疑うSOPIIだったが、M16は鉄血が既に撤退していることを告げた。M4に何かあったら許さないと言うSOPII。M16は、M4なら大丈夫だとSOPIIを諭す。SOPIIは残骸となったROを抱いてセーフハウスから脱出したが、応急修理しただけの身体では二人分の重さを支えきれず倒れてしまった。「ここでROまで失ってしまったら自分には何もなくなる、それならまだ死んだ方がいい」そう言うとSOPIIはROのメンタルコアを残骸から引き抜き、指揮官に会ってROを修復するためグリフィンへの帰還を決める。M16は、もはや正規軍の庇護を失った今のグリフィンに戻っても意味はないとSOPIIを止めるが、SOPIIは「みんなに会いたい」とM16の制止を拒絶。笑顔でM16と決別し、グリフィン基地への逃避行を始めたのだった。

ROのメンタルモジュールのバッテリー残量が残り少ないことを知ったSOPIIは、グリフィン人形用の予備電源を確保するため近くにあるグリフィンの補給ポイントを探す。見つかった補給ポイントは、撤退作戦中の鉄血部隊に包囲されていた。やみくもに突っ込んでも消耗するだけだと考えたSOPIIは、迂回して補給ポイントへの到達を目指す。戦闘を最小限にとどめて補給ポイントに到達したSOPIIだったが、補給ポイントにはグリフィンの友軍は誰もおらず、慌ただしく逃走した形跡が残っているだけだった。倉庫にも鍵はかかっておらず、中の物資も空であった。落胆しへたり込むSOPII。その時、床についた足跡から倉庫にあった物資は鉄血のダイナーゲートが盗んでいったことに気付く。SOPIIはこの補給ポイントの物資は全て鉄血の補給ポイントへ持ち去られたと推測し、鉄血部隊を襲撃すれば奪取できるのではないかと考えた。単身での鉄血拠点襲撃はリスクが大きい。しかし、ROを無事にグリフィンへ連れ帰るためSOPIIは戦うことを決意した。
SOPIIは電子マップで鉄血の拠点を発見した。しかし、配置されている戦力は少なかった。SOPIIは、怪訝に思いながらも好機と見て鉄血の拠点へ向かおうとする。その時、マップ上に幾つかのグリフィン人形の信号を発見した。補給ポイントから逃走し、なおも鉄血からの追撃を受け続けているようだった。鉄血が拠点に残している戦力が少ないのはこのためだった。鉄血の拠点を襲撃すべきか、友軍を援護すべきか。誰かからの命令ではなく、自身の意志で判断するということの煩わしさを改めて痛感するSOPIIだった。

支援小隊の隊長であったCx4ストームは、鉄血部隊に包囲され全滅を待つ中で、自身のこれまでを振り返っていた。民生用人形として働いていたが人間にいじめられ、人形ばかりの閉鎖環境なら人間にいじめられないと思い戦術人形となったこと。しかし、こんなところで苦痛に満ちた最期を迎えるのであれば、まだ人間に酷い仕打ちをされても耐えていた方がマシだったかもしれない、そう思っていた。グリフィンでの日々は決して悪いものではなかったが、今日が最後の日だ。Cx4ストームは死を確信していた。恐怖に怯えて隠れているCx4ストームを確認した鉄血のスケアクロウは、配下に攻撃を命令する。その時、SOPIIの放った殺傷榴弾がスケアクロウの配下たちを吹き飛ばしていた。悩み抜いた末、SOPIIは仲間を助けることを選んだのだ。
Cx4ストームは、SOPIIの壮絶な戦いぶりにあっけにとられていたが、すぐに彼女がグリフィンのエリート部隊であるAR小隊のメンバーであることを思い出した。自分たちのような末端の人形とは無縁の彼女がどうしてそこにいるのかはわからなかったが。
Cx4ストームは、周囲に展開していた鉄血部隊を狂気じみた戦いの末に単騎で殲滅したSOPIIに怖れを抱きながらも、身体の各所から鉄血の信号を出している彼女に味方かどうかを確認する。SOPIIは、すぐに平静を取り戻してAR小隊のSOPIIだと名乗った。ようやくグリフィンの部隊と合流できたことを喜ぶSOPIIだったが、挨拶を後回しにしてスケアクロウへオープンチャンネルでの通信を行う。スケアクロウはようやく強敵と巡り会えたことを喜ぶが、SOPIIは毒舌でスケアクロウを挑発する。それに応じてスケアクロウは更に増援部隊を向かわせたが、SOPIIに撃退されてしまった。
ようやく落ち着いてSOPIIと話す機会を得たCx4ストームは、エリート人形の彼女がなぜこんなところにいるのかを尋ねる。SOPIIは、ROのメンタルコアの予備電源を探している時にたまたま通りがかっただけだと答えた。無視して通り過ぎてもよかったのにわざわざ助けてくれたことを喜ぶCx4ストームだったが、SOPIIは「ただ見ているよりマシだった」と言う。ようやく自分たちが助かったことを実感したCx4ストームは安堵でへたり込み、泣きながらSOPIIに感謝する。SOPIIは、よく知らない人形と接する距離感に戸惑いながら、今の自分は応急修理状態で全力が出せないし指揮モジュールを積んでいるわけでもないからそれほど頼りにはならないと言う。SOPIIはCx4ストームに指揮官との連絡が取れるかを尋ねるが、今は戦場全域の通信が遮断されており孤立しているということを確認できただけだった。Cx4ストームは、本当にSOPIIには指揮モジュールが無いのかを尋ねる。SOPIIは、自分には指揮モジュールは無いがこれまでのM4や指揮官の指揮についてのデータがあるからその模倣ぐらいは可能だと答えた。それを聞いてCx4ストームは安堵する。後方支援任務の経験しかない自分たちでは、指揮官との通信が途絶えた今は何もできなかったのだ、と。そしてCx4ストームは、SOPIIに指揮官代行を要請する。SOPIIは指揮経験のない自分が指揮を執るのは無理だと尻込みするが、Cx4ストームたちの部隊は戦闘経験もほとんどないため他に頼れる者がいないのだ。やむなく指揮官代行を引き受けたSOPIIだったが、彼女は指揮モジュールを持たず指揮官権限を行使できないため、情報の同期と指示ぐらいしかできない。それでも指揮官代行を得たCx4ストームは大喜びであった。
元々、Cx4ストームたちは他の部隊と合流しながら撤退する予定であった。しかし、突然指揮官との通信が途絶えてしまい、右往左往しているうちにスケアクロウたちに包囲されていたのだ。合流予定であった部隊を救出していけば戦力が整うかもしれないとCx4ストームは説明する。
孤立している友軍部隊を見つけたSOPIIたちは、救出作戦を開始する。初めて他の人形を指揮して戦うことに不安を隠せないSOPIIだったが、Cx4ストームはSOPIIを励ます。Cx4ストームが「最後の戦い」と言ったことで、彼女たちがもうメンタルをバックアップできないことを知ったSOPII。Cx4ストームは、グリフィン本部に何か不測の事態(註:「特異点」においてクルーガーが逮捕され、グリフィンは本部を放棄した)があってメンタルバックアップが使用不能になったことを告げる。Cx4ストームたちがAR小隊と同じ「死ぬ人形」になったことで、それを指揮する責任を感じるSOPII。しかし、Cx4ストームは笑って死を受け入れようとしていた。Cx4ストームは、バックアップで疑似的に不死であることよりも、誰かの記憶に残って死ぬ方が良いと考えていたのだ。後方支援部隊の彼女たちは作戦部隊の戦術人形が破壊と再生を繰り返す中で記憶の欠落が生じるところをずっと見ていたからである。SOPIIも、自分たちAR小隊はバックアップを許されない人形であることを明かす。今はみんな「死ぬ人形」になったことを改めて確認し、連帯感を持ったSOPIIとCx4ストームは、死なずに仲間たちを助けてみんなでグリフィンへ帰るという強い誓いを立てるのだった。
無事に友軍部隊を救出し、防衛ラインを展開したSOPIIたち。初めての指揮で指示を出し過ぎて声を枯らしたSOPIIは、応急修理の際に余分なパーツを取り外したことによる消耗が思ったより大きかったことに気付く。その時、正規軍部隊がSOPIIたちを発見し攻撃を仕掛けてきた。正規軍と鉄血に挟撃されてはひとたまりもないと慌てるCx4ストームだったが、戦況を見たSOPIIは正規軍の狙いは鉄血の殲滅であると判断。苦渋の決断として鉄血との一時的な協力を選ぶのだった。
SOPIIはスケアクロウへ通信を繋ぎ、鉄血が補給ポイントから奪ったグリフィン人形用の予備電源1個を渡せば鉄血部隊が正規軍の追撃から撤退するのを妨害しない、と交渉を持ちかける。これまで鉄血に対して極めて敵対的だったSOPIIが交渉を申し込んだことを不審に思うスケアクロウに対し、SOPIIは自分が単身非武装で予備電源を取りに行くと告げる。スケアクロウは、自分がその約束を破って裏切ったらどうするかを尋ねたが、SOPIIはその時は自分の手でスケアクロウを殺すと答えた。SOPIIの率直さを見て交渉の余地があると判断したスケアクロウは、正規軍が本格的に攻め込んでくる前に予備電源を取りに来るよう告げた。
Cx4ストームは、スケアクロウが約束を守るかどうかを案じていたが、SOPIIは鉄血もまた仲間を守るために最善の判断をすると信じていた。それは、これまで鉄血の高等人形たちと前線で戦い続けてきた経験からの確信だった。Cx4ストームたちが正規軍の先発部隊を食い止めている間に、SOPIIはスケアクロウの待つ鉄血への拠点へと辿り着いた。約束通り武器を持たず単身で現れたSOPIIに、スケアクロウは予備電源入りのケースを持たせたダイナーゲートを向かわせた。SOPIIの手が届く距離に行くほどは信用していない、というポーズだった。
交渉は終わり、スケアクロウは撤退を開始した。本当は交渉なんかしたくなかったしスケアクロウの頭を引きちぎりたかったと言うSOPIIに、スケアクロウもまた客観的に交渉が最善手だったから応じただけで次は無いと返す。SOPIIは、正規軍の狙いはグリフィンではなく鉄血だと告げる。「せいぜい囮になって」と言うSOPIIに、自分たちは上手く逃げるから大丈夫だと切り返すスケアクロウ。最後に、SOPIIはスケアクロウが予備電源を渡してくれたことに感謝した。スケアクロウを見送ったSOPIIは、再びCx4ストームたちと合流する。
SOPIIが立てた撤退作戦の内容を説明され、驚くCx4ストーム。その作戦とは、応急修理に鉄血の部品を使用しているため鉄血の識別信号を出すSOPIIが囮となって正規軍部隊を引き寄せながらやり過ごし、撤退のための時間を稼ぐというものだった。それは同時にスケアクロウが空港へと撤退する時間を稼ぐことにもなるためCx4ストームは怪訝な顔をするが、SOPIIの狙いはスケアクロウを追っている部隊と自分たちを追っている部隊を合流させないことだった。SOPIIの残虐な戦いぶりを見て鉄血のことを恨んでいるのだと思っていたCx4ストームは、「SOPIIが鉄血の利になることをしないのだと思っていた」と言うが、SOPIIは鉄血人形を残虐に破壊するのはただの趣味で、そこに恨みは関係ないのだと答えた。その答えに怖れをなしたCx4ストームは、SOPIIが破壊したり痛めつけたりしたいのは鉄血だけなのかと問う。SOPIIは、正規軍の人形や自分たちを裏切ったエゴール大尉も試してみたいと答えた。おそるおそる「グリフィンの人形も?」と問うCx4ストームだったが、SOPIIはみんないい子のグリフィンの人形たちを解体したいとは思わない、とあっさり否定する。そんなCx4ストームとの問答の中で、SOPIIは「自分のやりたいことは大好きな仲間を守ることで、敵を殺すのはその手段でしかないのだ」と理解した。「みんなを守る」という決意を改めて確認したSOPIIは、Cx4ストームたちを生かしてグリフィン基地へと帰すために困難な作戦へと挑むのだった。
Cx4ストームたちはSOPIIの指示通り鉄血とは戦わず、はぐれた鉄血部隊を正規軍への囮にしていた。SOPIIも、自分を囮にして正規軍部隊を引き寄せては逃げるやり方でうまく時間を稼いでCx4ストームたちと再び合流した。SOPIIの戦術を称賛するCx4ストーム。SOPIIは、この作戦はかつて指揮官に演習で教わったものだと語った。
正規軍の追撃をやり過ごしたSOPIIたちは、グリフィン基地に帰るためのルートを探す。正規軍の動きを警戒するSOPIIだったが、Cx4ストームは正規軍の人形部隊が人間の兵士を救助するため進軍が遅くなっている今が好機だという。Cx4ストームたちは人間を攻撃する権限を持たないため、人間の兵士と遭遇することを怖れていた。SOPIIは、もし人間の兵士と遭遇したら自分が撃つという。AR小隊には人間を撃たないという制限はかけられていないからであった。SOPIIは、敵の人間と鉄血人形の違いはバラバラにした時に予備パーツに使えるか使えないかぐらいだ、と言う。SOPIIの残虐趣味にまだ慣れず困惑するCx4ストーム。その様子を見たSOPIIは、自分のメンタルにこんな趣味を持たせたペルシカのせいだ、と笑う。Cx4ストームも、タバコのパッケージ収集という趣味をメンタルに設定されていた。しかし、戦術人形は非喫煙者がほとんどのためグリフィンに来てからはこの趣味は捗っていないという。Cx4ストームが民生人形だった頃は人間に趣味をからかわれることが多かったため、何かを「好き」と公言することを怖がるようになっていた。そんな折にグリフィンの募集を見てCx4ストームは戦術人形に志願したのだ。そのせいで今こうして一緒に戦場で逃げ回っている、とからかうSOPII。Cx4ストームは、もっと変な趣味を持つSOPIIと出会ったことで趣味についてあれこれ悩まなくていいのだ、と思うようになったと言う。自分の趣味を「変」と言われたSOPIIは、この敵を残虐に解体する趣味のおかげで作戦効率が良くなったのだと反論する。Cx4ストームは、AR小隊のエリートであるSOPIIはメンタルにおける趣味の設定も役立つものになっていて、自分のような民生人形あがりの無意味な趣味とは違うのだろうと言った。しかしSOPIIは、自分はたまたまエリート人形として作られたから敵と戦うのが幸せだけど、ほとんどの戦術人形は輸送護衛などの戦わない任務の方が幸せなのだろうと返す。Cx4ストームも、かつては前線の戦闘部隊を羨ましく思ったけれど、いざこうして戦ってみると後方支援部隊の頃の方が幸せだった、と言うのだった。SOPIIは、またグリフィンに帰っていつもの後方支援に戻ろう、とCx4ストームを励ます。そのためにもグリフィン基地への帰還ルートを探さなければならない。この先にはグリフィンの放棄された拠点がある。しかし、そこに辿り着くには鉄血の支配エリアを越えなければならなかった。
その時、SOPIIへ何者かが通信を送ってきた。SOPIIは警戒しつつ回線を開く。その通信は先の戦いで一足先に撤退したスケアクロウからであった。意図が掴めずとりあえず挑発するSOPIIだったが、スケアクロウはこの先に拠点を構える鉄血エリート部隊の警戒網をすり抜けてグリフィン拠点へ到達するためのルートを教えてきた。以前の交渉で「次はない」と言ってきたスケアクロウがSOPIIたちを見逃すと言ってきたことを疑問に思うSOPII。しかしスケアクロウは、今SOPIIたちと戦わないのは鉄血の利益になることだと告げて通信を切った。罠かもしれないと疑うCx4ストームだったが、SOPIIは他に選択肢がない以上スケアクロウの提案に乗るしかないと決断する。Cx4ストームはSOPIIの決断を信じて任せることにした。一方のSOPIIは、決断することの重さに苦しみ、いつもこの重圧に耐えてきたM4の心労を思い知るのだった。
鉄血の予期せぬ攻撃を警戒しながらもスケアクロウの指示したルートを無事に通り抜けたSOPIIたちは、放棄されたグリフィン拠点へと辿り着いていた。これがスケアクロウの罠でなかったことに安堵するSOPII。かつては自分が無茶をして暴れてもAR小隊の仲間が尻拭いをしてくれたが、今は自分が他の人形たちの行動に責任を取らなければならない。かつてのM4がいかに大変だったかを知る立場になったSOPIIは、自分が未熟な指揮官であることをCx4ストームに詫びるのだった。
グリフィンの放棄拠点を調査したCx4ストームたちだったが、ここには物資もなく通信施設も使用不能であった。落胆する他の人形たちを見たSOPIIは、この拠点に指揮官とカリーナの死体がないということは二人が生き延びて別の拠点にいるのだと説明。Cx4ストームは、次の移動に備えての休憩を提案する。この先には、また正規軍の拠点があり、激しい戦いが予想された。
次の戦いに向けた作戦を考えながらも、自分のメンタルでは演算が間に合わないかもしれないと落ち込むSOPII。CX4ストームに励まされるうちに、SOPIIは自分がこの拠点を目指した本当の目的を忘れていたことに気が付いた。それはROのメンタルコアに予備電源を接続することであった。SOPIIは、ROのメンタルコアに予備電源を接続すると、応急修理時に自身の体内パーツを廃棄した際に出来た余剰スペースにそのコアを埋め込んだ。そして、自身の意識をROのメンタルコアに接続し、休眠しているROのメンタルモデルを再起動させるためROのメンタルデータ内へと入っていくのだった。
無事にROのメンタルデータ内部へ入り込んだSOPIIだったが、呼び掛けてもROのメンタルデータは起動しなかった。ROのメンタルが停止してしまったのでは、と不安になるSOPIIだったが、ROの記憶データの欠片を見つけて、まだROのメンタルが生きていることを知る。SOPIIは、データ内部に散らばっているROの記憶の欠片を集めはじめた。その記憶は、SOPIIたちと共に戦った時のものもあれば、ROが造られた時のペルシカとの対話もあった。ROは、他のAR小隊と違い「自分を犠牲にしてもM4を守る」という中枢命令を組み込まれていなかった。ペルシカは、ROを命令の刷り込みではなく経験と学習で成長し、感情を自ら獲得することのできる人形として造っていたのだ。それは、リコリスが遺した人工知能研究の引き継ぎでもあった。
記憶データの中のROは、自分の名前を見失っていた。SOPIIは、大きな声で「RO635」の名前を呼ぶ。そのあまりに大きな声で、ROは意識を取り戻した。メンタルデータが再起動したのだ。状況が呑み込めず狼狽えるRO。SOPIIは、M4を守っていたROがエゴール大尉に撃たれ破壊されたこと、正規軍がグリフィンを裏切ったこと等を説明した。しかし、その時ROのメンタルデータ内の攻勢防壁が起動した。鉄血のパーツで応急修理を行ったことで鉄血の識別信号を持つSOPIIがROに接続して無理やりメンタルデータを再起動させたことで、ハッキングが行われていると認識したからである。ROのシステムは一度ROが死んだと判定したため、今のROでは攻勢防壁を停止できないのだ。二人は、再度ROのシステムを掌握するため攻勢防壁を突破しなければならない。相変わらず騒がしいSOPIIに悪態をつくRO。しかし、また二人で共に戦うことができることにROは喜びを感じていた。
ようやくシステムを再度掌握し、起動したRO。正規軍の部隊が接近していることを知らせに来たCx4ストームは、SOPIIが違う人形の声で喋っていると思ってしまい、SOPIIのメンタルが壊れたのではないかと困惑する。しかし、その声はSOPIIの声帯モジュールから出ているものではなかった。RO635と名乗るその人形の声は、SOPIIの足元から聞こえてきたのだ。Cx4ストームがおそるおそる覗き込んだそこには、メガホンが付いたダイナーゲートの姿があった。そして、ROも自分自身がダイナーゲートになっていることに驚き、悲鳴をあげたのだった。
自分がダイナーゲートになっていることについての説明を強硬に求めるRO。SOPIIは、他に使える素体がなかったのだと説明する。SOPIIの体内に埋め込まれたメンタルコアから有線で繋がっているダイナーゲート、それが今のROのボディだった。元々は予備電源の受け渡し用にスケアクロウが寄越したものを無理やり持ってきたのだ。鉄血の電脳が付いた基盤は全部外してあるため、演算機能はSOPIIの電脳と共有でありROが難しい演算を行うとSOPIIのメンタルが遅くなると説明するSOPII。しかし、ROが聞きたいのはそんなことではなかった。子犬程度の大きさしかない鉄血の四足機械兵というみっともない姿になったことでSOPIIに当たり散らすROだったが、SOPIIは小さな姿で過ごすのは人間の赤ちゃん時代みたいなものなので子供時代を持たない人形にとってはいい経験だ、とまるで取り合わない。そこに割って入ったCx4ストームは、正規軍の部隊がこの拠点に迫っていることを改めて説明するのだった。
拠点は既に正規軍に包囲されており、ROのメガホンに内蔵されていた増幅通信機能を使用しても指揮官と連絡が取れない以上もはや籠城戦しか手段がない。ROは、「指揮官の援軍が来るかもしれない」と言えば士気が上がると提案するが、SOPIIは拠点の前に集まった他の戦術人形たちを前に「ここでもうおしまいかもしれない」と率直に事実を告げるのだった。運が良ければ援軍が来るかもしれないが、そうならなかったら今度こそ自分たちはここで死ぬのだと皆に語りかけるSOPIIは、既に半泣きであった。泣きながら自身の力不足を詫び、仲間を失うことの怖さを吐露するSOPII。そんなSOPIIに、Cx4ストームは自分たちも怖いのだと答える。この際思っていることを全部言おう、とCx4ストームに促されたSOPIIは、他の人形たちに「まだ一日の付き合いしかないけれど、みんなと仲間になりたい」「一緒に現実と向き合って、一緒に戦って、一緒に死のう」と呼びかけた。もう命令も任務もなく、ただ生き残るためだけに必死に戦おうというSOPIIの叫びは、集まっていた他の戦術人形の心を動かしていた。士気が上がったグリフィン人形たちの様子を見て、ROは自分ではこうはできなかったと言う。そのROも、平静を装っていたが内心では泣いており、それはメンタルコアが繋がっているSOPIIには筒抜けであった。ROは、カルカノ姉妹たちと共に戦った時(註:EP10緊急を参照)のことを思い出していた。あの時は救いの手だと思った正規軍の裏切りで全てが台無しになったが、今度は誰にも裏切られることなく思う存分戦って死ねる、そう思っていた。SOPIIも、最後まで戦いを楽しんで死ぬ決意を固めていた。Cx4ストームも、友としてSOPIIと共に死地に赴くことを喜んでいた。
激しい戦闘は続き、SOPIIたちは疲労困憊ながらも必死で立ち向かっていた。しかし、正規軍は遂に戦車を投入してきた。戦車が相手ではたとえ万全であっても、指揮官の援軍が来てもどうしようもない。SOPIIたちは死を覚悟した。Cx4ストームたちと共に最期を迎えようとしたその時、飛来した数発のロケット弾が迫りくる戦車を粉砕した。SOPIIの隠し玉かと問うRO、首を振るSOPII。そこに通信を送ってきたのは指揮官だった。ROからの増幅通信を受け取っていた指揮官は、切り札である重装部隊を増援として派遣していたのだ。重装部隊が放つロケット弾は、正規軍の部隊を次々と粉砕していった。SOPIIたちは助かったのだ。
指揮官との再会を心待ちにするSOPII。一方、ダイナーゲートの姿で指揮官や旧知の人形たちに会いたくないROは、同行を躊躇っていた。Cx4ストームは、本部に戻れば元の姿になれるとROを励ます。指揮官との合流地点を目指す中で、ROは自分たちを救ったあの重装部隊について疑問を持っていた。民間軍事会社は所有できる火器に法的な制限がある。先ほどの対戦車ロケット砲は、明らかにその制限を逸脱するものであった。なぜグリフィンがそんなものを投入できたのか。ROはグリフィン本部がどうなっているかを尋ねようとした。Cx4ストームは、グリフィン本部に何かしらの異変が起きていることをROに伝えようとしたが、その前に合流地点へと着いてしまった。大はしゃぎするSOPIIに引きずられてCx4ストームの話を聞きそびれたROはSOPIIを叱るが、そんな二人に「うるさい」と言ったのはあの404小隊の416だった。予想外の人物による出迎えに驚くROだったが、416は意に介さず急いで来るように命令する。416によると、この拠点も敵に攻撃されていて、急いで脱出しなければならないというのだ。正規軍の攻撃かと狼狽えるCx4ストームだったが、416は、今自分たちを攻撃しているのは鉄血でも正規軍でもない正体不明の敵だと答える。殺せる相手ならどうにでもなるというSOPIIだったが、416は厄介そうに「今相手にしている敵は、殺しても死なないわ」と言うのだった。
正規軍と同等の武装を持ち、攻撃を阻止する偏向障壁を持つ謎の敵がグリフィンの撤退を妨害していると説明する416。今までならやみくもに殺戮のため飛びかかっていたであろうSOPIIが仲間を守ることを最優先で動いているのを見た416は、彼女の成長を感じ取っていた。

秩序乱流02「異路回帰」

自分の意志で求めるものを掴み取る決意を固めた416は、アンジェリアと指揮官を助けるための戦いに臨む

(全拠点救助ルートのストーリーとなります)

〈コーラップス爆弾の爆発から1時間後〉
正規軍が動きを止めたのとほぼ時を同じくして現れた正体不明の敵は、グリフィンの防衛拠点を次々と襲っていた。彼らに包囲され撤退不能になったトンプソン率いる部隊は生存を断念し、カリーナに最後の通信を送っていた。ようやく撤退できると思った矢先に想定外の襲撃を受けたことで、カリーナは困惑と絶望に苛まれていた。
グリフィンの防衛拠点は既にほとんどが破壊され、現在稼働しているのはトンプソンが指揮する拠点と9A91が指揮する拠点だけであった。大半のグリフィン部隊は撤退を完了しており、ヘリアン率いる本部残存部隊も既に撤退していた。弾薬切れを訴えるトンプソンにカリーナは支援部隊による補給を約束するが、謎の敵は無差別に攻撃を仕掛けるため支援部隊を送るのは危険だとトンプソンは制止する。それでもカリーナはなんとか輸送ルートを確保して補給を送ると言う。しかし、カリーナの拠点に残った弾薬も残りわずかであった。
続いて、9A91からも通信が入った。9A91たちの部隊は敵を一時的に撃退したものの損耗が大きく、ダミー人形の補充を要請してきた。しかし、カリーナの拠点にはもうダミー人形は残っていなかった。9A91は本体の損傷が酷い人形を撤退させることを選択、カリーナの拠点へと向かわせることにした。カリーナは防衛に出ている他部隊との連携について尋ねるが、9A91は他部隊とは連絡がつかない状態だと返答した。
ジリ貧の状況でカリーナは途方に暮れていた。後方幕僚であれば安全だということでグリフィンに入社したのに、防衛線で指揮を執る現状は戦災孤児として放浪していた時とたいして変わらないと愚痴るカリーナ。現実逃避して「来世はオフィス街の野良猫として何の仕事もせずに餌だけもらって生きていたい」と思っていたカリーナだったが、そこに指揮官からの通信が入った。アンジェリアからの情報に基づいて防衛ラインを構築したことで今はある程度持ちこたえており、あとは輸送機の到着を待つだけであると報告するカリーナ。指揮官は、404小隊がカリーナの拠点に合流することを伝えた。「存在しない小隊」と噂される404小隊と直接対面することになると聞いて驚くカリーナはさっそく準備をしようとするが、それより早く404小隊の416はカリーナの指揮拠点に入り込んでいた。416と対面したカリーナは、以前の作戦(註:イベント「低体温症」参照)でその姿を見かけたことを思い出していた。一旦は落ち着いたカリーナだったが、グリフィンの識別信号を付与していないにも関わらず指揮拠点まですんなり入り込んできた416自体がおかしいことに気が付いて慌てる。しかし、416はそんなことはできて当たり前であるように振る舞うのだった。噂通り「存在しない者」として行動できる404小隊に怯えるカリーナに「今日の私たちはただ助けを求めに来たグリフィン人形です」と言う416。その416を追ってきたG11は、416が大急ぎでグリフィンの拠点に来たのはUMP45が心配だからだと口にして416に懲らしめられていた。正規軍の攻撃から416を庇い大破したUMP45はグリフィンの臨時修理ポイントへ運び込まれていた。UMP9はその付き添いである。404小隊がこの拠点に来たのは、UMP45を助けるためであった。404小隊にはグリフィンの物資を使用する権限がないため、カリーナの承認が必要だったのだ。
カリーナと共にグリフィンの修理ポイントを訪れた416は、修復待ちの人形が列を作っている状況に驚いていた。カリーナの説明によると、現在グリフィン本部のメインサーバーが接続不能になってメンタルデータのバックアップができなくなっているのだという。そのため、破損した人形たちをできるだけ修復し輸送機の到着まで持ちこたえさせようとしているのだ。しかし修復用パーツの残量も残り少なく、損傷の酷い人形は緊急バックアップ用のデータブロックにメンタルを保存していた。そのデータブロックも充分な量は用意できていない。416は、UMP45の修復ができない場合はデータブロックを使わせてほしいと懇願する。その時、修理施設から飛び出してきた人形がカリーナにぶつかった。グリフィンのAK74Uであった。彼女は、親友の9A91が率いる部隊が撤退者を出していることを知り、その支援に向かおうとしていた。416はグリフィンの正規社員でありながら部下である人形たちから無遠慮に接されているカリーナを不思議に思うが、カリーナは人形たちの個性を受け入れ尊重していた。それは、前線に出て危険な目に遭うのは人形たちで後方幕僚の自分ではないという思いからでもあった。
修理ポイントで416たちを出迎えたのはUMP9であった。彼女に促されてUMP45の損傷状況をチェックしたカリーナは、人間で言うならほぼ瀕死の状態であると判断した。この施設で修復するのは難しいというのがカリーナの結論だった。416は、UMP45のメンタルをバックアップして素体を廃棄、入れ替えするべきであると提案する。しかし、それを聞いたUMP45は素体の入れ替えを拒否した。UMP45にとって最も重要なデータはメンタルではなく素体にあり、それを廃棄するわけにはいかないと語るUMP45。このまま死ぬつもりなのかと諫める416たちだったが、UMP45の決意は固かった。416はUMP45の素体にあるデータをUMP9に移せばいいと提案するが、UMP45とUMP9は同型の素体ではなかった。416は、自分の手でUMP45を殺すことが自分の望みであって野垂れ死にするUMP45を見届けることではない、とUMP45に生き延びるよう厳しい檄を飛ばす。それでもUMP45は、何があってもこの素体を捨てるわけにはいかないとしてカリーナに無理を承知で頼み込んだ。カリーナも、指揮官からの要請でもあるのでなんとかしてUMP45の素体を残して延命することを約束する。
その時、AK74Uが複数の損傷した人形を連れて修理ポイントへ飛び込んできた。9A91が指揮する部隊の撤退者を輸送中に襲撃され、更なる損傷者が発生したのだ。鉄血でも正規軍でもない正体不明の敵によるものだった。カリーナは指揮官の指示に応じて防衛ラインの再編成をしようとするが、部隊の損耗が激しく前線に出られる人形は残りわずかであった。真っ先に名乗りを上げたAK74Uに続き何体かの人形が志願するが、それでも戦力としては心もとない。その時、416はカリーナに対して志願を表明した。思わぬ提案に驚くカリーナとUMP9。416は、この拠点が陥落したら404小隊の撤退もできなくなる、と理由を説明した。識別信号の同期に加えて指揮官との直接通信権限を得た416を見て、普通の戦術人形ではないと驚くAK74U。416は「一時復帰したただのグリフィン人形よ」と答えるだけだった。G11も416に同行を申し出るが、416は鈍足のG11はこの作戦に不向きだとしてそれを拒否、UMP9と共にカリーナの護衛を務めるよう命じた。
すぐに状況を把握し、指揮官の作戦補助を行う416。416は、指揮官に一時的な副官権限を要求してきた。副官となった416は的確な状況整理を行い、指揮官に指示を求める。あくまで傭兵であるはずの416だが、グリフィンの戦術人形としての戦い方にあまりにも手慣れていた。
416たちの小隊は拠点外周に侵入してきた敵部隊を撃破し、他の防衛拠点へ向けて出撃するための準備を整えていた。その最中、散らばった敵の残骸を見た416はこの敵が鉄血でも正規軍でもないことを改めて確認していた。歴戦の兵士である416も初めて目にする型の人形たちであった。グリフィンの古参を自認するAK74Uは、その自分ですらよく知らない人形である416が、自称通りの凄腕であることを先の戦いで目の当たりにして驚いていた。敵が予想より弱かったことに拍子抜けする416だったが、AK74Uは、今回の敵はただの尖兵であり、撤退者を襲撃した部隊にはもっと強力な人形がいたことを語る。AK74Uは、その敵を「殺せない人形」と呼んだ。416は、敵がわざわざこの拠点に雑魚の人形を攻め込ませたことには裏があると判断。敵の第二波に備えてこの拠点の防衛設備を修復するよう指示するが、AK74Uは孤立している9A91たちの部隊を救出する方が優先だと反発する。どうしても仲間を見捨てさせたいなら指揮官からその命令を出させろ、と怒りを露わにするAK74U。416は、今のグリフィンは仲間のことになるとむきになる甘い人形しかいない、と苛立ちを見せる。AK74Uは、416が以前噂に聞いた「存在しないはずの部隊」である404小隊のメンバーではないかと思い至り、416がグリフィンの仲間じゃないから他の人形を見捨てる選択ができるのだと罵る。416はそんなAK74Uに「役立たず」と言い返し、二人は掴み合いの喧嘩になった、と思った瞬間、416はAK74Uを突き飛ばした。敵の増援が修復工事の隙間を破って突入してきたのだ。AK74Uを庇い負傷しながらも416は反撃の指揮を執る。敵部隊の中には、AK74Uが言う「殺せない敵」がいた。偏向障壁を張り銃弾を寄せ付けない特殊な人形である。殺せないならせめて足止めだけでも、と指示を出す416は、拠点内の動ける人形を全て防衛に回すよう要請した。AK74Uは喧嘩の最中にも関わらず自分を庇った416に謝ろうとするが、416はそんなことより早く動けと命令するのだった。情には厚いが手際が悪い人形たちに指示を飛ばしながら、416はかつて自分がグリフィン所属だった頃もこんな有様だった、と思い返していた。

一方、防衛拠点の修復ポイントでは、404小隊のメカニック担当であるデールがリモートでUMP45の修復を行っていたがあまり良い状態とは言えなかった。カリーナによるエネルギー供給システムの修復である程度は持ち直したものの、それも機能停止を遅らせるための時間稼ぎレベルであった。もっとちゃんとした施設に移送しないと修復は不可能であると言うデール。焦るUMP9は輸送機による回収を要求するが、この防衛拠点が謎の敵により襲撃を受け続けている状況で輸送機の投入は不可能だった。UMP45の状況を確認するため通信してきた416も、この状況での輸送機使用は自殺行為だと制止する。
UMP9は、先にUMP45が言っていた「UMP45と416の間に貸し借りがなくなった」ことに触れ、416が404小隊を離れるのではないかと問う。しかし416は、今はまだその時ではないしそれは404小隊が全員生き延びた後のことだ、と返す。本当に416がこの拠点を守り切れるのか不安に思うG11だったが、416は他のグリフィン人形や指揮官がいるから安心するよう言い聞かせ、G11に拠点に敵が入り込んだ時はUMP45を守るよう頼むのだった。

416は偏向障壁を持つ敵の人形に苦戦していた。銃弾が通らない敵の厄介さに苦しむ416に、弾薬が少ない中で無駄弾を撃たないように言うAK74U。それでも、416の指示のおかげで敵の足止めには成功していることを称賛し、改めて416に謝罪するのだった。しかし、416は戦場ではやるべきことをやるだけでいい、としてAK74Uとの会話を打ち切ろうとする。AK74Uは、指揮官の命令はこの拠点の死守ではなく増援までの時間稼ぎではないかと言うが、416はその増援があてにならない以上この拠点を守るべきであると答える。9A91の部隊を助けに行こうとして無茶をしたのに籠城戦では消極的なAK74Uを見て、まともな戦闘教育を受けてきたのか、と詰る416。AK74Uは、416にもっと指揮官を信用するように言う。その時、指揮官から支援部隊を送ったとの通信が入った。416は他の人形たちに前線の維持を命じつつ指揮官に対して「このままでは持たない」と告げる。
416たちは必死に前線を維持していたが、敵の攻撃も激しくなっていた。そんな苦境の中でも軽口を叩くAK74Uに苛立ちを見せる416。指揮官の支援をあてにしていない416はここで死ぬのだろうと口にするが、AK74Uは指揮官が支援を送ったというなら必ず来る、と信頼している様子を見せる。416とAK74Uが口論になりかけたその時、空気を裂く音が聞こえた。その音が支援砲撃であると判断した416は、他の人形たちに伏せるよう命じる。次の瞬間、指揮官が派遣した重装部隊の砲撃が敵部隊を次々と吹き飛ばしていた。その威力を見た416は、民間軍事会社であるグリフィンがこの規模の重装部隊を所持していることに疑問を抱くのだった。
紙一重で掴んだ勝利に安堵するAK74U。416は、AK74Uは指揮官の支援を信じていたのではないのかと問うが、AK74Uは416の緊張を和らげたかったのだと答える。その時、カリーナから通信が入った。グリフィンの指揮顧問であるパイソンが率いる部隊が敵部隊に襲撃されているというのだ。その敵部隊には高等人形も混じっているらしい。416たちは、その救援に向かうのだった。
なんとか敵部隊を突破し、パイソンらの部隊と合流する416たち。顔馴染みのAK74Uが見知らぬ人形と一緒にいることを不審に思った新入り人形のMk12は、その416が指揮官の臨時副官を務めていると聞いて更に怪訝な顔をする。AK74Uから「今ここにいる人形で一番のベテラン」と416を紹介された酔いどれ人形のA-91も、知らない顔の人形がベテランと言われても受け入れられない様子であった。それに対して「あんたが基地で酔い潰れている間に私はずっと外で命を賭けている」と冷たく答える416。A-91は、喧嘩を売ったつもりはないのに喧嘩腰で返されたことに怯えていた。パイソンはさすがに指揮顧問らしく、口論より先に目前の敵をなんとかすべきだと話を切り替える。敵の高等人形らしき個体が率いる部隊が迫っているのだ。パイソンに部隊をまとめるよう指示を出す416。パイソンは、自分が見たことのない人形が指揮官の臨時副官としてどう戦うかを見定めようとしていた。
敵の高等人形と思われる黒い人形を撃破し、敵部隊を撃退した416たち。その戦いぶりにパイソンたちも感心していた。これで防衛拠点周辺の敵は排除し終えた。AK74Uは、孤立している他の防衛拠点を救援に行くべきだと提案する。AK74Uの親友である9A91の部隊がまだ取り残されているのだ。カリーナの情報によると、9A91たちの部隊はまだ無事のようである。修復可能な人形の多くが修復を終え、この拠点の防衛に回ることが可能になったとカリーナは言う。更に、輸送機の第一陣が到着したことを告げたカリーナは、404小隊は優先して輸送機に乗っても良いと言うが、416は、自分はまだ残ってグリフィンの部隊と共に行動すると返答した。416は、経験不足のグリフィン人形だけでは防衛がままならないと悪態をつくが、その本音はグリフィンの人形たちを見捨てられないという気持ちであった。A-91とMk12は、416の戦いに興味を持ち共に戦うことを申し出る。指揮顧問という裏方だったパイソンも、少しでも戦力になれば、と416たちに同行するのだった。カリーナからこの臨時部隊の隊長を任された416。AK74Uは部隊をさっそく「グリフィン特攻隊」と命名する。416は、まだ404小隊の方がマシな名前だと呆れるのだった。

416たちの部隊は、9A91たちの部隊が立てこもっている2号防衛拠点へと向かっていた。この拠点は、敵輸送機が投下した自動砲台による集中砲撃で危機に瀕していた。416は、他の拠点も同様の手段で攻撃されているなら全ての拠点からグリフィン部隊を救出するのは困難であると指揮官に報告する。しかし、今後の作戦継続のためにはより多くの部隊を救出しなければならなかった。416は、指揮官に敵の殲滅ではなく包囲網の分断を要請。その隙に416たちが拠点からグリフィン部隊を救助することになっていた。
作戦開始にあたって、拠点に誰が取り残されていて状況がどうなっているかの下調べすらまともにできていないA-91とMk12を叱る416。そもそもA-91とMk12は最近配属された新兵で、パイソンは裏方で実戦経験が足りなかった。416は、「経験が足りないなら頭を動かせ、でないと敵の弾ではなく自分の間抜けさに殺される」と言う。416も2号防衛拠点のデータを持っていないことで自分たち新入りと同じだと言うA-91たちは、416が404小隊の人形で本来はグリフィン所属でないことを知らなかった。
2号拠点の偵察を終えて戻ってきたAK74Uは、416がA-91たちの要領の悪さに腹を立てて怒鳴り散らしているところに出くわした。AK74Uは、グリフィンの精鋭部隊は先の戦い(註:イベント「特異点」参照)で消耗しており、今前線に出ているのは後方支援担当だった二線級の人形ばかりであることを416に説明する。納得して矛を収めた416は、AK74Uに2号拠点の隊長について尋ねる。AK74Uは、2号拠点の隊長は自分の親友である9A91であり、自分がこの作戦に志願したのは彼女を助けるためであることを説明した。
416は、作戦開始にあたって自分の指示に絶対に従うよう念を押す。「躊躇いも質問も一切受け付けない」と強い口調で言い切ると、416は作戦を開始した。
一方その頃、2号拠点のセーフハウスでは、日記帳に遺書を書き終えた9A91がそれを弾薬箱の下に隠していた。絶え間ない砲撃で死を覚悟した彼女は、せめてもの生きた証を残そうとしていたのだ。9A91は親友のAK74UとAS Valに別れを告げ、再生された時に二人のことを覚えていられるように祈っていた。
指揮官の率いる部隊が敵の包囲網を分断した隙に416たちは2号拠点へと突入していた。止まない砲撃に狼狽えるA-91たちだったが、416は構わず突っ込むよう命じると自身が真っ先に拠点へと走る。途中でMk12が爆風に巻き込まれた時も、416は止まらなかった。拠点のセーフハウスに辿り着いた416はドアを蹴り開けると、9A91に部下を連れて自分についてくるよう命じる。思わぬ助けに驚く9A91だったが、416に言われるまま部下たちと共に脱出するのだった。
AK74Uの援護で安全エリアへ向かおうとする416たちだったが、横合いから敵の襲撃を受け9A91が負傷してしまった。自分に続いていたはずのパイソンたちの姿がないことに舌打ちしながら416は応戦する。そこに遅れてパイソンたちが援軍として到着し、ようやく敵から逃れることができた。
安全エリアへ辿り着き休息する416たち。パイソンは416の指示に従わず遅れたことに謝罪しようとするが、416は話を聞こうとしなかった。A-91は、Mk12が爆風で倒れたのを助けようとして動きが止まったことを説明するが、416はそれが更なる危険に繋がったことを指摘する。Mk12は自分が悪かったとA-91に代わって謝るが、416はMk12が爆風に巻き込まれたのは過失ではなく、戦場ではよくあることだと責めなかった。416が責めたのは、A-91がMk12を助けるために指示を無視して立ち止まったことであった。パイソンは、仲間を見捨てることはできなかったとA-91を庇うが、416は指示に従えと言ったはずだと態度を変えない。A-91は、416の指示が間違いだったら、と問うが、416はその時は自分自身が危険に晒されることになると答えた。大きな見返りを得るには大きな危険がつきものである、と。パイソンは、そんな416のやり方は自分たちの流儀ではない、と反論するが、416はプロの戦い方はこうだ、と自説を曲げない。数多くの人間たちが死を賭して築き上げてきた戦い方だ、と強く主張する416。416は、経験のない人形が戦術を無視して勝手な戦い方をしても無駄に消耗するだけだ、と厳しく言い放つと、次からは命令に従うように重ねて強く求める。グリフィンの実戦マニュアルはちゃんと運用されているのか、と愚痴をこぼす416に、AK74Uは後方支援の人形には最新の実戦マニュアルがインストールされているわけではないこと、メンタルバックアップが取れる人形は命より思い出を優先していることを教える。しかし416は、戦術人形である以上は思い出や仲間より命令を重視すべきであると言うのだった。
416は、AK74UはMk12たちと違ってグリフィンの内情に詳しく404小隊の噂も知っていたことから、かなり前からグリフィンにいたのではないかと尋ねる。AK74Uは、自分がグリフィンに入ったのはだいぶ前だったけれどトラブルがあってずっと改造を受けており、前線には出なかったことを吐露する。AK74Uは、自分たちの性格は人間が設計したもので、自分自身ではどうにもならないのだ、と自嘲する。416は、こうした人形のメンタルケアまでしなければならない副官という仕事は面倒くさい、と愚痴をこぼす。全員が実力者で連携が取れていた404小隊での作戦と違い、実力が怪しく連携もおぼつかない人形を率いての作戦では全員を生かして帰すのすら困難だ、と言う416。しかしAK74Uは、416が皆を生かして帰したいと思っていることが意外であった。非情なエリートだと思っていた416が実は人情家であったことを知り、つい笑いだすAK74U。416は、これも任務で自分はプロだからと言うだけであった。他に選択肢がない以上、今のメンバーに頼るしかないと言う416の前にパイソンたちが集まってきた。パイソンは改めて命令を無視して動いたことを謝罪し、以後は416に従うことを約束する。Mk12とA-91も、同様に416の命令を守ることを約束した。
休憩を終えた416たちは、次に3号防衛拠点の救助へと向かう。3号拠点の隊長はグリフィン内でもベテランの強者として知られるトンプソンであった。しかし、この砲撃ではいくらベテランであっても容易に脱出はできない。先の戦いで2号拠点が放棄されたため、敵は3号拠点に戦力を集中させているのだ。困難な作戦を前に、リスクを冒してまで3号拠点の救助を行うべきか躊躇する416。それを見て弱腰ではないかと言うA-91。416も自身に迷いがあることを認めていた。Mk12はトンプソンの救助を諦めるのかと416に問うが、416は共に戦う仲間の喪失を最も怖れていた。最終判断は指揮官に任せること、そして指揮官の決断次第では喪失の覚悟をするよう皆に告げる416。AK74Uの答えから皆がその覚悟を固めていることを知った416は、指揮官の判断を待つ。
その頃、3号拠点のセーフハウスでは、最後の弾薬箱を前にトンプソンが部下たちを集めていた。弾薬は先ほど支援部隊から届けられた分で最後、敵は正体不明。指揮官の救援は間に合うかどうかもわからない。これが最後の戦いになるかもしれないと語るトンプソンは、部下を見捨てることなく最後まで戦い続けることを誓う。
指揮官率いる部隊は苦戦しながらも3号拠点の包囲網を突破し、416たちの部隊はその隙間から拠点へと突入する。絶え間ない敵の砲撃で爆風に巻き込まれた416は倒れるが、416は他の部隊員に自分に構わず拠点へ向かうよう命じる。AK74Uは傷ついた416を引きずって防護壁の後ろに隠し、その間にMk12たちが拠点へと辿り着いた。こうしてトンプソンたちは脱出に成功した。416は、自分を助けた上でトンプソンたちも無事に助け出したAK74Uたちの戦いぶりを認めざるを得なかった。
安全エリアへと退避した416たちとトンプソンの部隊はつかの間の休憩を取っていた。救出されたトンプソンは416のところへやって来た。初対面のように挨拶する416だったが、トンプソンは416のことを知っているのか知らないのかは曖昧な態度だった(註:イベント「低体温症」で二人は共闘したが直接対面はしておらず、また404小隊は遭遇したグリフィン人形から自身の記憶を消している)。トンプソンは、416をグリフィンの英雄と称える。爆風にやられてずっと隠れていた自分が英雄とは思えない、とそっけない対応をする416だったが、トンプソンが褒めたのはMk12やA-91のような新兵を一線級の人形のように手際よく行動させた指揮能力であった。トンプソンから「信頼できる戦友」と呼ばれた416だったが、416は協力できるのは今回だけかもしれない、と務めて冷淡に振る舞うのだった。
トンプソンが立ち去った後に入れ替わりで現れたAK74Uは、今回の作戦はうまくやれたことを誇らしげに報告する。冷淡に対応する416だったが、AK74Uは、戦術人形はただの駒ではなく自分で判断する能力があるから強いのだと言い、その判断の中には416を信じるということも入っている、と言った。どうして自分を信じようとしたのかを尋ねる416。AK74Uは、友達である9A91を助けてくれた416ならもっと多くの仲間を助けてくれるはずだ、と判断したと答える。友達や仲間を何より第一に考えるAK74Uに対し「戦場では友達や仲間の全てを失う可能性がある」と言う416に、AK74Uは416には友達はいないのかと問う。404小隊の面々を思い浮かべた416は、彼女たちが友達かどうかはわからないと答えた。先の戦いで416が爆風で吹き飛ばされた時にその彼女たちは416を助けるかと更に尋ねるAK74U。416は、自力でなんとかなると思っているから助けには来ない、と答える。AK74Uは、友達の助力もなんとかなる手段の一つだと言うが、416は「それは私の得意なやり方じゃない」と答えて会話を打ち切ろうとした。しかしAK74Uは、416にこのままグリフィンに残るよう懇願する。グリフィンであれば416が得意じゃないと言っていた友達や仲間に頼る戦い方もできる、というのだ。416が自称するほど完璧でも非情でもなく、深い情があり迷いや躊躇いを見せる人形であることを知ったAK74Uは共に試行錯誤しながら戦っていこうと言う。しかし、416はその話を後回しにすると次の目的地である4号臨時防衛拠点へと移動するよう命じるのだった。
4号拠点の状況は、AK74Uによると「前向きに考えても最悪」であった。自動砲台の砲撃に加えて敵の重装甲兵まで包囲網に加わっている。この拠点に閉じ込められているのはMP40率いる後方支援部隊だった。トンプソンたちに弾薬を補給するため3号拠点へ向かい、その帰路で敵の襲撃を受けて慌てて逃げ込んだこの放棄済み拠点で包囲攻撃を受ける羽目になったのだ。
9A91やトンプソンのようなエリート人形でもないMP40を救出するのはリスクとリターンが釣り合わない、と言うMk12たち。AK74Uも、MP40の性格なら見捨てられても幽霊になって祟りにくることはないと言い出した。416は、だったら救助を諦めるのかと問う。AK74Uは、力強く「絶対諦めない」と答えた。416は、グリフィン人形のそういうところに呆れながらもMP40たちを助け出すことに同意するのだった。
その頃、4号拠点では負傷したMP40がメンタルデータのバックアップを試みていたものの本部のサーバーに繋がらず断念していた。部下の人形たちにもバックアップ中止を命じるMP40。グリフィン本部の異常を察したMP40は、バックアップが失われた中で破壊されることは戦術人形にとっての死であると確信した。MP40は、自分たちができることは全てやったと部下たちに告げると、隊長としての不甲斐なさを詫びながら最後の時を悔いなく過ごすよう呼び掛ける。そして、心の中で指揮官やカリーナへ別れを告げるのだった。
指揮官率いる部隊の攻撃でようやく包囲網を形成していた敵部隊の一部が排除された。しかし、敵の砲撃は更に激しさを増し、416たちの部隊は4号拠点のセーフハウスに近寄ることができなかった。以前に416が言っていた「大きな見返りを得るには大きな危険がつきもの」という言葉を復唱し強行突破を試みようとするAK74Uを制した416は、このハイリスクハイリターンを是とする404小隊のやり方が自分の本質には合っていなかったのではと思い始めていた。激しい砲撃の前に突入を諦めかけていた416だったが、この時に備えてパイソンたちは秘密兵器を用意していた。それは挑発妖精であった。耐久性の高い妖精ドローンに安全区域の座標を教え、それをセーフハウスにいるMP40たちに伝えるのが目的であった。安全区域の座標さえわかればグリフィンで最も逃げ足の速いMP40たちならうまくそこまで逃げてくれるはずという作戦であった。MP40たちの部隊が撤退を開始したら、416たちが煙幕を焚いて彼女たちを隠蔽しつつ、援護射撃で敵を制圧するのだ。Mk12が416に作戦を説明している間に、爆風でたまたまセーフハウスのドア前まで吹き飛ばされた挑発妖精はMP40に救助が来たことを伝えていた。MP40は思いがけない救援に驚きつつも、部下たちと共に脱出を開始。AK74UはMP40たちがセーフハウスから出てきたことを確認すると、ありったけの発煙弾を発射した。煙幕がMP40たちを覆い隠したことを確認した416は、敵の攻撃を食い止めるため制圧射撃を開始する。しかし、敵も煙幕へ向けて攻撃を乱射し始めた。416は、運よく敵の弾がMP40たちから外れてくれることを祈りながら射撃を続けるのだった。
その5分後、一人の脱落者もなくMP40たちは脱出に成功していた。後方支援のベテランであり戦場からの退避がグリフィンで最も上手い部隊ならではの成果だった。MP40の帰還報告を適当に受け流して早く休息を取ることを促す416だったが、急にMP40に抱きつかれて狼狽する。416を抱き締めながら何度も感謝の言葉を繰り返すMP40。416は、これは自分の功績ではなく指揮官と他のグリフィン人形の頑張りだとしてMP40の感謝から逃れようとする。しかし、MP40は見捨てられると思っていたのに助け出されたことへの感謝を止めなかった。416は、見捨てることも選択肢に入っていたとしてMP40を冷たくあしらうが、MP40はそれでも見捨てずに助けてくれたことに重ねて感謝する。根負けした416はMP40からの感謝を受け入れると、改めてMP40に休息を取って次の戦いに備えるよう命じた。
AK74Uたちのところに戻った416は大勢の人形を救ったヒーローとして称賛を受けるが、416は敵が戦力を集中して防衛拠点を攻め落としにくる可能性を示唆し備えるよう指示する。ここで持ちこたえられなければ、これまで助け出した人形たちも助からないからだ。Mk12は、改めて416の指示に従うことを誓う。416は、もし自分が判断を誤ったら、と問うが、A-91はその時は責任を416になすりつけるから416は気楽に構えればいいと言う。相変わらず酒を手放さないA-91に、今後に備えてアルコールを控えるように言う416だったが、A-91は、自分は酔っているほどメンタルが正常に働くよう設計されていると答える。こんな奇妙なメンタルデータ設計をされた人形を見たことがなかった416は驚くが、Mk12たちは、人間がそんな設計をしたのだから人形はそれを受け入れた上で楽しむしかないと答える。未来に危険が待っているからこそ今を楽しめ、というパイソンの言葉に、416は初めて彼女たちの前で笑顔を見せた。
防衛拠点へ戻った416たちだったが、指揮官から次の作戦指示が入った。76号拠点に敵が出現したというのだ。AK74Uは無人の放棄拠点である76号拠点を敵が襲撃したことに疑問を抱くが、A-91は、敵が防衛拠点への総攻撃に備えてこちらのデータを集めている可能性を示唆する。明晰な推理に感心する416に、「7本飲んだから今は頭脳派」と答えるA-91だった。76号拠点は撤退ポイントに近いため、敵の占領下になると厄介ということもあって、敵の撃退に向かおうとする416。その時、Mk12はグリフィン人形の信号を探知した。その信号は奇妙なものだった。一部に鉄血の信号が混じっているのだ。パイソンは、416なら何かわかるかもしれないと言い416に様子を見に行くよう頼む。不審に思いながらも416はその信号が出ている方へ向かうのだった。
416が出会ったのは、SOPII率いるグリフィンの後方支援部隊だった。鉄血の信号は、鉄血人形の残骸を使って応急修理したSOPIIから発信されたものであった(秩序乱流01「彼岸の暁」参照)。正規軍の追撃から逃れ、鉄血の支配エリアを越えてようやくグリフィンの拠点へ辿り着いたSOPIIたち。416はSOPIIたちを出迎えると、すぐに合流して76号拠点の奪回へ協力するよう依頼する。416は、指揮官にSOPIIとRO、そしてCx4ストーム率いる部隊と合流したことを報告する。ダイナーゲートの姿を恥じるROは、416が自分を戦死扱いにしてくれなかったことを恨むのだった。
これまで救出した部隊やSOPIIたちが合流したこと、敵部隊が偵察隊程度だったこともあり戦闘はあっさりと終了した。しかし、これはあくまで敵のデータ集めであり本格的な攻勢はこの後であることは皆が理解していた。そんな中で、SOPIIだけが新たな敵との戦いを心待ちにしていた。
一方、AK74Uは改めて416に404小隊を離れてグリフィンへ来ないかと誘っていた。その時、全員の通信機から警報音が鳴り響く。敵の総攻撃が開始されたのだ。416は、この戦いが終わったらグリフィンを離れることになる。しかし、416はAK74Uたちと共にグリフィンで生きる道も自分にはあるのではないかと考えはじめていた。

グリフィンの防衛拠点に集まった戦術人形部隊。トンプソンは、416の活躍で皆がここまで生き残れたことを称賛すると、今の自分たちには充分な補給と戦力があり、重装部隊による火力支援があることを宣言。敵の本隊との決戦を前に檄を飛ばした。豊富な戦闘経験と指揮官による指揮があるグリフィンは正体不明の化け物には負けない、と皆を鼓舞するトンプソンは、ここまでの撤退戦の立役者である416にも一言を求める。しかし、416は今ここに他のグリフィン人形が生き残っているのは自分の力ではなく、指揮官とみんなの頑張りがあったからだ、と淡々と語った。指揮官がいてみんながいるなら勝てる、という416の言葉にMP40や9A91たちも呼応する。生き延びて未来へ向かおう、と誓い合ったグリフィン部隊は謎の敵との決戦に臨むのだった。そんな中でAK74Uは、重ねて416にグリフィンへ来て仲間と共に戦う気はないかと確認する。416は、自分の求めるものは自分の手で掴み取る、と答える。
長い戦いは終わり、敵部隊を指揮していた黒いネイトは大破した状態でSOPIIに追い詰められていた。しかし、痛覚がないのか痛めつけてもまるで反応がないネイトに飽きたSOPIIは、引き裂いて中身を確認しようとする。その行動を残骸からのデータ採取と判断したネイトは、自爆装置を作動させる。ROの制止で慌てて傍から離れたSOPIIの前でネイトは爆発四散した。爆発したネイトの内部を見ていたROは、ネイトが人間を生体部品にして造られたものではないかと考えるのだった。416が指揮する方面でも、同様に鹵獲しようとしたネイトが自爆して戦闘が終了していた。416によると、ネイトさえ倒せば他の機械人形は進撃を停止するようであった。そして、撤退ポイントにグリフィンの輸送機が到着していた。この防衛拠点からの撤退が始まるのだ。
撤退ポイントでは、グリフィンの人形たちが列を作って輸送機へ搭乗していた。皆が新しい基地での再会を約束している。そんな中、指揮官は新たな救助任務の参加者を募集していた。戦いに疲れたAK74Uは任務には志願せずグリフィン基地へ向かうと言う。そろそろ最後の輸送機が離陸すると教えたAK74Uに、416は、かつて自分はグリフィン所属のエリート人形で、ある指揮官の副官だったことを話し始めた。しかし、何かを「選べなかった」ために違法人形として非合法部隊へ加わることになったのだ、と。疎ましそうに404小隊のことを語る416だったが、AK74Uは416がそれでも404小隊の仲間を好きなことを見抜いていた。友達になるということは相手に長所があったからではない、と言うAK74Uは、416が404小隊を見捨てられないのは仲間への思いがあるからだと言う。AK74Uは、これから先のことを416自身の選択に任せて去っていった。
その後、416は、404小隊の輸送機の前に現れた。小隊の撤退に同行せず、グリフィンの指揮官と共に救助任務に参加することを告げに来たのだ。416の意図が掴めず困惑するUMP9。416は、救助対象がアンジェリアであることを告げるが、UMP9はアンジェリアからはその命令を受けていないと言う。それに対し416は、これは命令や依頼ではなく自身の決断であると答えた。これまで状況に流されて動いていた416が確固とした決断を下せるようになった姿を見たUMP9は、その変わりように驚く。416は、誰かの後ろについていく生き方ではなく自分の意志で生きることを選んだと言う。UMP9は416の決断を認める。G11は、416に戻ってきてくれるよう懇願する。416は、この任務が終わったら戻っては来るが、いつまでも一緒にはいられないことを告げると、G11にも自分のあり方を変えるように言うのだった。そこへSOPIIが迎えにやって来た。救助作戦の出発時間になったのだ。416は、UMP9に再会を約束するとSOPIIと共に出発する。

〈コーラップス爆弾の起爆から9週間後〉
また時間は進む。
パラデウスに捕らえられ尋問を受けている指揮官は、防衛拠点からの脱出について話し終えていた。自分たちの所持している情報と照合し、正確性が高いことを確認したネイトたち。しかしネイトたちは指揮官がそれまでに嘘をつき、また話を脱線させて時間を稼いでいることを快く思っておらず、より尋問の正確性を高めるために指揮官に自白剤を注射した。そんな中で指揮官は自白剤対策として「自分の嘘を自分自身で信じる」ための自己暗示をかけていた。その時、ハッキングされたネイトから、既に救援部隊はパラデウスの施設内に潜入しているが、脱出の準備時間を稼ぐためにもうしばらく耐えるよう告げられた。その声は416のものだった。

秩序乱流03「終焉の先へ」

復讐に燃えるエゴール大尉に追い詰められたアンジェリアは、もう1発のコーラップス爆弾の存在を示唆する

M4は、自分を信じる仲間たちとの繋がりを取り戻すためエルダーブレインの行方を追い続ける

(高難度ルート通過のストーリーとなります)

〈コーラップス爆弾の爆発からしばらく後〉
自身の命令により起爆したコーラップス爆弾による放射線被曝で昏倒していたアンジェリアは、ようやく意識を取り戻した。しかし、もうすぐ自分が死に至ることも確信していた。
コーラップス爆弾の爆発直後、M4はエルダーブレインを奪取するために正規軍の輸送列車へと向かい、AR-15もその後を追った。意識を取り戻したアンジェリアは作戦の成否を確かめるべくM4へと通信を送ったが、周囲の放射線濃度が強く、通信機は機能しなかった。汚染のひどいこの場所から離れるため移動を始めたアンジェリアは、自分の手が既に変異の兆候を見せていることに気付いていた。このままでは死ぬよりもおぞましい結果、つまり生ける屍であるE.L.I.D感染者に成り果てるのではないか。アンジェリアはそのことに怯えていた。咳き込むアンジェリアの声に反応し、遠くから耳障りな唸り声が聞こえてきた。そのE.L.I.D感染者がやってきたのだ。コーラップスに汚染され即死しなかった人間は、コーラップスの持つ元素変換作用により身体組織が結晶化し理性を失い、死ぬまで暴れ回る化け物へと変異してしまう。それがE.L.I.D感染者であった。第三次世界大戦の引き金となった北蘭島事件によって全世界で発生し、今なお汚染の拡大で増加し続けているE.L.I.D感染者。アンジェリアは、彼らをやり過ごすため廃墟に隠れるのだった。
しばらく後、アンジェリアの通信機へ通信が入った。ペルシカとハーヴェルからであった。反逆小隊のメンバーと連絡が取れないアンジェリアはハーヴェルに救出部隊の派遣を要請するが、ハーヴェルは国家保安局の権限を無視してアンジェリアを救助することはできない、と要請を拒否。激怒するアンジェリアだったが、ペルシカはハーヴェルが既に救出部隊派遣に向けて動いていることを教える。ハーヴェルは、国家保安局の局長であるゼリンスキーが危険なコーラップス爆弾を使用したアンジェリアを見捨てるつもりであることを認識していた。そのため、ハーヴェルは国家保安局の動きを抑えつつ、I.O.P.社が鉄血の高等人形・アーキテクトから入手したデータを基に密かに開発していた重装部隊をアンジェリア救出に派遣しようとしていた。重装部隊は民間軍事会社が法的に所持できる火器の制限を超えているのではないかと疑問を抱くアンジェリアだったが、同時にハーヴェルはこういったリスクの大きい兵器を開発することが好きだったことを思い出していた。アンジェリアは、その重装部隊をグリフィンの指揮官に託すべきだとハーヴェルに提言する。自分はもう生きて帰れる見込みは薄いが、グリフィン指揮官なら重装部隊を使って今後の戦いでエルダーブレインや正規軍に対抗できるだろうという判断だった。それに、あの指揮官であれば他の反逆小隊のメンバーが危機に陥っていたらきっと助けてくれるはず、アンジェリアはそう考えていた。指揮官さえ生き延びれば最悪でもグリフィンは存続できる、というアンジェリアの提言を受け入れ、ハーヴェルは重装部隊をグリフィン指揮官の下へと送ることを決断する。しかし、衛星通信を所持しているアンジェリアと違いグリフィンの指揮官とハーヴェルは連絡を取る手段がない。そこで、アンジェリアは通信ステーションを探してグリフィンの指揮官と繋がるチャンネルを作ることにした。ペルシカは、グリフィンの撤退拠点に辿り着ければアンジェリアにも生存のチャンスがあると言う。アンジェリアも、なんとかグリフィン部隊との合流を目指すことを約束して通信を切る。しかし、アンジェリアはE.L.I.D感染症の兆候が出ている自分の姿を見て、生きてペルシカと再会するのは無理だと自嘲するのだった。
激しい疲労に苛まれながらも通信ステーションを探すアンジェリアだったが、それを追ってまたもE.L.I.D感染者の群れが現れた。1体はなんとか射殺できたが、銃声に呼び寄せられて更に多くの感染者が現れる。弾薬も尽き死の覚悟を決めたアンジェリアだったが、そこに現れたのは反逆小隊のAK-12とAN-94だった。通信機からアンジェリアの場所を特定し、E.L.I.D感染者を排除しながら追跡してきたのだ。
初めて見るE.L.I.D感染者を薄気味悪がるAK-12たち。アンジェリアは、汚染時間が短いE.L.I.D感染者はまだ簡単に殺せるが、時間が経つにつれ変異が進行し、より強く凶暴になるのだと言う。この感染者たちは、コーラップス爆弾の爆心地周辺に展開していた正規軍兵士の成れの果てであった。AN-94は全身各所の皮膚が爛れているアンジェリアの応急処置を試みるが、アンジェリアはそれを制止する。このまま爛れた皮膚が結晶化していくのがE.L.I.D感染症で、消毒しても意味はないのだ、と。アンジェリアはAK-12たちもM4と共にエルダーブレインを追うべきだったと言うが、AN-94は自分たちの任務はM4を軍の輸送列車まで送り届けることでそれ以上のことはできなかったと答える。そして、次の任務はアンジェリアを連れて帰ることだ、と。アンジェリアは、AK-12たちに自分を見捨てて、自分の衛星通信機を使ってペルシカの指示に従って撤退するよう命じる。しかし、AK-12は笑顔でその命令を拒否した。アンジェリアは、正規軍はまだ残存しており、特にエゴール大尉が生き残っているなら必ず報復に来るはずだから足手まといを抱えて逃げるのは愚策だと言う。しかし、AK-12もAN-94もそれを聞き入れなかった。グリフィンが残した物資を集めながら進めばなんとかなると言うAN-94に、アンジェリアは放射線でナビゲーションシステムが機能していない中でどこへ行けばいいかわからない、疲れた、と諦念を吐露し続ける。その時、機械の目を見開いたAK-12がアンジェリアの頬に平手打ちをした。めったに感情を露わにしないAK-12が激昂したのだ。AK-12は、アンジェリアがペルシカに連絡が取れる衛星通信機を持っていることを先ほど聞いており、それを使っての撤退プランをアンジェリアが持っているにも関わらず、弱音を吐いてこの場で死のうとしていることに我慢がならなかったのだ。諦めてこの場で死のうとするぐらいなら自分が殺す、とアンジェリアの頭に震える手で銃口を突きつけるAK-12をAN-94が制止する。その数秒後、アンジェリアは大声で笑い出した。自分が思っているよりずっとAK-12たちが自分のことを信頼していたことを知ったからであった。アンジェリアは、命令に反する行為でメンタルがオーバーロードしそうになりながらも、AK-12が自分を生かそうと必死になっている姿を見て生きる気力を取り戻していた。アンジェリアにそのことを指摘されたAK-12は、自分の指揮官に対しても逆らうところが反逆小隊の反逆たる所以だと笑う。アンジェリアと反逆小隊は、生きて帰るための逃避行を開始する。安全エリアのある北へ向けて最短距離を進む、それがアンジェリアの作戦だった。迂回で時間を取られるよりは最短距離の方がリスクは少ないという判断であった。
感染者たちを撃退しながら北へ向かう途中、アンジェリアは正規軍が放棄した通信ステーションを発見した。まだ汚染濃度が高いこの場所に長く留まるのは危険だと制止するAK-12だったが、アンジェリアはそれでも通信ステーションへ入り、AK-12に命じて正規軍の動きを調べさせる。すると、正規軍部隊が部隊を再編成して既にこの周辺へ向かっていることが確認できた。アンジェリアは、急いでグリフィンの指揮官へ通信を試みる。AK-12は、正規軍の通信施設でグリフィンと連絡を取るのはこちらの居場所を教えるようなものだとして反対するが、アンジェリアはグリフィン指揮官と連絡を取るのが生存に繋がる唯一の方法だと言う。アンジェリアはペルシカに状況を報告するとグリフィンの指揮官に通信を繋ぐが、通信機からは雑音しか聞こえてこなかった。万策尽きたかと思ったが、その時指揮官からの返答があった。アンジェリアは自分が国家安全局のエージェントであることを明かし、指揮官にハーヴェルから新戦力の重装部隊と撤退用の輸送機が提供されることを伝え、撤退ポイントを死守するよう命じた。その時、何者かが通信に割り込んできた。通信の主はエゴール大尉であった。コーラップス爆弾の爆発とその後の放射線被曝で多くの部下や同僚を失い報復に燃えるエゴール大尉はアンジェリアに怒りをぶつけるが、アンジェリアはエゴール大尉の回線を強制切断すると指揮官にグリフィンの人員・戦力の撤退を最優先にするよう頼み、自分の救出は余力があった時でいいと告げる。そして、現在アンジェリアが持っている情報を指揮官へと転送すると、自分が死んだ時は反逆小隊を指揮官に託すこと、AR小隊を探し出し、M4とエルダーブレインを使って何かをしようとしている「敵」を倒すことを懇願すると通信を切り、追ってきたエゴール大尉配下の正規軍部隊から逃げるのだった。

〈グリフィン部隊の拠点防衛戦終了後〉
ハーヴェルから受領した重装部隊と416たちグリフィン特攻隊、そして合流したSOPIIたちの活躍で黒いネイトの率いる敵部隊の総攻撃を撃退し、撤退を開始したグリフィン部隊。カリーナやほとんどの人形たちが輸送機に乗り終えた中で、416やSOPIIはアンジェリア救出作戦を開始しようとしていた。416は、指揮官が自分自身を危険に晒してまでアンジェリアを助けようとしていることに内心で抵抗を感じていた。「できれば指揮官も助けたい」そう言った416はUMP9にこの地に残ることを報告に向かった。
それから10分後、416たちはアンジェリアを救出するために汚染エリアへと向かっていた。SOPIIも指揮官が自分の生命よりアンジェリアを優先することを疑問には思っていたが、その人柄についてもよく理解しているSOPIIは「指揮官であればそうする」と納得し、一刻も早くアンジェリアを救助することを決意する。
通信ステーションから離れたアンジェリアとは連絡が取れないため、彼女たちを信号弾で安全なルートへ誘導する必要がある。SOPIIは、自分やCx4ストームたちが移動してきたルートなら敵は少ないと言う。しかし、416はそのルートは現在汚染の拡大でレッドエリアになっているため危険だと反対する。人形はコーラップス汚染の影響が少ないが、既に被曝しているアンジェリアがレッドエリアを通過すれば死に繋がるというのだ。416は、迂回路ではあるが汚染の影響が少ないイエローエリアへの誘導を主張する。しかし、イエローエリアへの移動は時間がかかり、どのみちアンジェリアの症状は悪化する。416は、判断を指揮官に委ねるのだった。
指揮官は、アンジェリアの状態を考えた末にイエローエリアで信号弾を発射することを決めた。

グリフィンの信号弾が打ち上げられたのを見たアンジェリアたちは、指揮官が救助部隊を派遣したことを知る。
指揮官はコーラップス汚染の少ない迂回路となるイエローエリアへ誘導してきた。これならアンジェリアも助かる可能性があると喜ぶAK-12たち。しかし、前途には感染者の群れだけでなく正規軍の人形による巡回部隊も待ち受けていた。アンジェリアは、感染者と正規軍を誘導し、双方が交戦している間に脱出する作戦を立てる。しかし、これは失敗すると感染者と正規軍に挟撃されて全てが台無しになる危険な策であった。より慎重な作戦を立てるべきと主張するAN-94、アンジェリアの状態を考慮してリスクを承知で時間を短縮すべきと主張するAK-12。二人が言い合う中、感染症の影響で意識が朦朧としながらもアンジェリアは作戦の精度を上げるため必死に思考するのだった。
正規軍と感染者の戦いをすり抜けてグリフィン部隊の誘導地点になんとか辿り着いたアンジェリアたち反逆小隊は、待っていた416たち救援部隊と合流した。出会い頭に一触即発になりかけたAN-94とSOPIIだったが、AR小隊と反逆小隊の双方と顔見知りである416が仲裁に入る。早速アンジェリアと話をしようとした416だったが、アンジェリアは汚染の影響で気を失っており、今はAK-12に背負われていた。今後はアンジェリアの作戦指揮なしで行動しなければならないと言うAK-12。グリフィンの救援部隊には重装部隊も随伴しており、正規軍の戦車も怖くないと言うSOPII。戦力の増強に安堵したAK-12は、今後の行動について相談する。ROは、アンジェリアの状態を考えると汚染濃度の低いところを移動すべきと提案する。その時、正規軍の追撃部隊が現れた。
戦車や大型多脚人形まで投入してきた正規軍部隊を重装部隊の火力支援でなんとか振り切り、建造物に逃げ込んだ反逆小隊と救援部隊。そこにオープンチャンネルで通信を送ってきたのはエゴール大尉であった。アンジェリアへの復讐心だけでここまで追いかけてきたのだ。AK-12は、「アンジェリアは死んだ」と言うが、エゴール大尉は反逆小隊がこの場にいること自体アンジェリアが生きている証拠だとして相手にしない。416は、安全区域であるグリーンエリアへのルートがここしかないと判断したエゴール大尉が待ち伏せしていたことを知る。
エゴール大尉が通信を切ると同時に、戦車部隊が突撃を開始した。416は、重装部隊を展開して防衛線を張るよう指揮官に要請する。
指揮官が展開した重装部隊の火力支援が戦車部隊を抑え込んでいる間に、救援部隊たちは撤退を開始した。アンジェリアの容態が悪化している今は長時間の移動は難しい。ROは、近くの放棄拠点に隠れていったんアンジェリアの様子を見るよう提案した。ROの事情を知らないAN-94は、人語を喋るダイナーゲートの存在を先ほどからずっと疑問に思っていた。AN-94に素性を尋ねられたROは、話題を逸らすため「そんなことより先を急ぎましょう」と言うのだった。
意識を取り戻したアンジェリアは、自分がまだ生きていることに驚いていた。AK-12は、希望が現れたことを告げる。416やSOPIIをはじめとしたグリフィンの救援部隊と合流できたのだ。かつてAR小隊の指揮官だったアンジェリアは、大きく損傷し鉄血人形との継ぎ接ぎになったSOPIIを見て驚きを隠せなかった。しかし、アンジェリアの記憶をデータから消されているSOPIIは初対面のように振る舞っていた。そして、SOPIIの肩に乗っている喋るダイナーゲートの存在もアンジェリアにとっては不可解だった。事情を詮索されたくないROは、「とにかく友軍ということで」と説明を端折る。アンジェリアはその声に聞き覚えがあった。
416は、汚染による電波障害がひどく通信機からの信号を見つけられなかったため直接捜索に来たとアンジェリアに説明する。他の404小隊について尋ねるアンジェリア。416は、UMP45が大破し、他のメンバーは介護のため先に戦場から離脱したと答える。助けに来てくれたのはありがたいが戦術人形部隊だけでは正規軍の戦車に対抗できない、と言うアンジェリアに、416はそのために指揮官は重装部隊を派遣したことを告げる。さらに、指揮官は通信設備も用意していたが、AK-12は通信設備の調整をしている余裕がないと言う。エゴール大尉は残存部隊を全て集めてアンジェリア追撃に向かっているというのだ。正規軍の包囲網が完成する前に強行突破することを提案するSOPIIだが、416は正規軍の後続部隊が近づいていることを理由に偵察部隊を避けながら隠密行動で逃げる作戦を提案する。アンジェリアは、どちらの作戦にも大きなリスクがあることを指摘すると、そのリスクを逃れる方法を考えようとするが、汚染による咳の発作で思考が止まる。救援部隊たちは、アンジェリアの症状がこれ以上悪化する前に一刻も早く脱出しなければならなかった。

一方その頃、エゴール大尉はアンジェリアたちが隠れている建物の様子を観察していた。エゴール大尉はアンジェリアがE.L.I.D感染症に蝕まれていることを確認しており、症状悪化を避けるため汚染濃度の低いルートで移動するであろうことを予測していた。グリフィンが派遣した重装部隊も、正規軍の残存兵力を集中すれば恐れるに足りない程度の戦力でしかない。そこに、部下が主力部隊の到着が15分程度遅れることを連絡してきた。感染者との戦闘を避けるため迂回するという報告であった。たとえ化け物に成り果てたとしてもかつての戦友を撃ちたくない、それが彼らの本音であった。しかし、エゴール大尉は感染者を殲滅してでも急行するよう命じる。かつての戦友を撃ちたくないという思いはエゴール大尉も同じであった。しかし、それよりも多くの部下や戦友をコーラップス爆弾で消滅させ、また汚染により生きた屍にしたアンジェリアに復讐することこそが優先される、エゴール大尉はそう考えていた。そのエゴール大尉自身もコーラップスに汚染され、全身各所が爛れ結晶化していた。かつての第三次世界大戦を共にエゴール大尉と戦い抜いた戦友の多くがこの戦いで死に、または化け物となった。エゴール大尉は、その怒りと悲しみを静かに部下たちへ語る。エゴール大尉は、主力部隊の到着が遅れればアンジェリアを殺す機会を失う、と部下たちに告げた。彼らも、苦渋の思いで主力部隊に感染者を殲滅してすぐにこちらに向かうよう通信する。エゴール大尉は、仲間たちの無念を晴らすためアンジェリアを必ず自身の手で殺すことを誓うのだった。

偵察部隊の目をごまかしながら脱出を試みたアンジェリアたちだったが、遂に発見されてしまった。正規軍は戦車部隊の砲撃で周囲の建造物ごとアンジェリアたちを吹き飛ばすつもりであった。エゴール大尉はオープンチャンネルを開き、このまま消し炭にされるか投降して射殺されるかを選べ、と宣告する。脱出の中でまたもアンジェリアは意識を失ってしまった。周辺の地形をスキャンしていたROは、正規軍の包囲網に抜け穴を見つけてそこに向かうよう指示を出す。
アンジェリアたちが包囲網を突破したという報告を受けたエゴール大尉は、部下たちが戦術人形にすら後れを取ったことを叱責する。重装部隊の撹乱射撃は正規軍の目を一時的に眩ませるには充分であった。
エゴール大尉は、アンジェリアたちが向かった方角には廃棄されたビルがあることを確認していた。アンジェリアたちがそこに逃げ込むことを予測したエゴール大尉は、追い詰めて決着をつけるべく準備を進める。
その頃、気絶したアンジェリアを連れた救援部隊は全力で移動していた。ROは、汚染の影響が少ない廃棄ビルに逃げ込んでまずアンジェリアを治療し、それから通信設備を使って指揮官と連絡を取ることを提案した。AN-94は、それは正規軍も予測しているだろうから危険だと反対する。SOPIIも、ビルごと砲撃の標的にされる危険性を主張する。416は、戦車部隊の移動速度を考えると人間または人形の部隊が先行するであろうこと、そしてエゴール大尉は自分の手でアンジェリアを殺したがっていることを考えるとビルに逃げ込んで防衛線を張るという作戦もある、と言う。AN-94は、自分とAK-12は正規軍の識別信号を偽装できるので分散して信号探知をやり過ごすという手段があると提案した。AK-12はそれを受けて、信号を偽装した自分とAN-94でアンジェリアを治療する間、416とSOPIIが陽動を行うという作戦を立てる。SOPIIは全員で防衛線を張ることを主張するが、AN-94は全員でまとまっても正規軍部隊に勝つことは難しいと主張。416は、アンジェリアの意識がない今はAK-12が隊長だ、として彼女に決断を委ねる。
エゴール大尉は、アンジェリアたちが予測通り廃棄ビル近辺に逃げ込んだことを確認した。既に人形と人間による部隊はビルに向かっていたが、エゴール大尉は増援部隊を向かわせて目視情報でアンジェリアたちの所在を確認するよう命じる。エゴール大尉は、反逆小隊や416たちが信号偽装に長けていることを知っているため、スキャンによる信号探知情報だけでは足りないと考えていた。

AK-12による治療で、ようやくアンジェリアは意識を取り戻していた。「もしかして一度死んでた?」と言うアンジェリア。実際は数回ほど心停止寸前に陥り、また感染症による理性消失の危機も迎えていたのだ。感情を露わにして心配した様子を見せるAK-12に、アンジェリアは症状が少し落ち着いたと言う。アンジェリアがこのビルに運び込まれてから、既に30分ほど経過していた。その間、416とSOPIIは外で陽動作戦を開始していた。アンジェリアの信号を偽装して正規軍を誘導しているのだ。一方、AN-94は救援部隊が持ってきた通信設備を調整し、グリフィンの指揮官との回線を繋いでいた。正規軍の主力部隊が既にこのビルに向かっている以上、ここに留まっているわけにはいかない。そこでグリフィンの指揮官と相談し、今後の作戦を考えるためであった。正規軍の人形部隊がビルに突入してこないのは、感染症で弱ったアンジェリアのバイタルサインを確認できていないからではないかと言うAN-94。アンジェリアは、自分が死んだと判断したらエゴール大尉はビルごと殲滅を目論むだろうと考えていた。
一方、エゴール大尉も感染症の悪化で弱っているアンジェリアのバイタルサインをスキャンで探知できなかった可能性を考えていた。エゴール大尉は、より近距離からのスキャンを行い、ビル内に何かしらの不審な動きがあればすぐに突入し制圧するよう命じる。
アンジェリアはグリフィン指揮官と相談し、撤退作戦を立案していた。最短ルートでの撤退を行うには、正規軍が設置した砲撃拠点を破壊しなければならない。その時、正規軍の部隊がビル内に接近してきた。416たちの陽動が見抜かれたのかと焦るAN-94。上の階に逃げてやり過ごそうと言うAK-12。アンジェリアは、グリフィンの部隊が砲撃拠点を破壊するまではビルから出られないため、なるべく動かずに正規軍の部隊をやり過ごすよう命じる。一方、416もアンジェリアからの通信を受け、できるだけ早く砲撃拠点を破壊するよう指揮官に要請する。
416とグリフィン部隊は、指揮官の指示で砲撃拠点の破壊に成功した。そんな中で、416は制圧した正規軍の偵察拠点に数人の人間のバイタルサインを発見していた。SOPIIは、この拠点にいた正規軍の非戦闘員は逃げ出したからここにいるのは感染者ではないかと言うが、416は念のためバイタルサインの主を確認するため医療室に突入した。そこにいたのは、治療中に症状が進行し化け物となった感染者に襲撃されている正規軍の医療スタッフであった。416とSOPIIは感染者を射殺すると、医療スタッフを捕虜として拘束する。指揮官に通信でそのことを報告した416は、指揮官から正規軍がアンジェリアの隠れているビルを偵察しているという報告を受ける。今からアンジェリアのいるビルに戻っても間に合わないと判断した416たちは、正規軍部隊の目的がアンジェリアを目視情報で確認することだと推測する。一方、医療スタッフを拘束し終えたSOPIIは、感染症の進行を遅らせるためのアドレナリン剤を医療室内から掻き集めていた。その様子を見ていた指揮官は、拘束した医療スタッフの女性をアンジェリアに偽装して正規軍に偽の目視情報を与える作戦を考えついた。416は、「リスクなしにリターンは得られない」という404小隊で学んだ唯一のことを思い出し、その作戦に賭ける。その時、アンジェリアから指揮官に通信が入った。何も作戦を思いつかなかったことを詫びるアンジェリアは、自分が囮になって正規軍を引きつけている間に救援部隊と反逆小隊を脱出させるよう指揮官に要請するが、AK-12とAN-94はそれを制止する。指揮官は、まだ諦める時ではないとアンジェリアを諫め、偽装作戦について説明する。
染色剤で髪を染めてアンジェリアに仕立て上げた医療スタッフを気絶させ、SOPIIが背負った状態でわざと正規軍の偵察部隊に見つかるように移動。そして、陽動に見せかけたグリフィン部隊を別方向へと移動させる。それが指揮官の作戦だった。距離が遠いためはっきりとはわからないが、大まかな情報は確かにアンジェリアのものであると判断したエゴール大尉は、念のためグリフィン部隊を追う1部隊とビルを監視する偵察部隊を残すと、SOPIIが背負っている偽アンジェリアを目指して追撃を開始した。アンジェリアの状態や現状の戦力を分析した上で隙のない作戦を組んだはずのエゴール大尉であったが、内心では不安を隠しきれなかった。
一方、指揮官は偽装作戦で時間を稼いでいる間に重装部隊の残り弾薬を使って爆弾を作り、それをビル内に仕掛けることでいずれ突入してくるはずのエゴール大尉と撤退交渉をするという作戦を提案していた。アンジェリアは、エゴール大尉は冷静で用心深い性格のためこの作戦に引っかかるとは限らないが、彼が怒りの衝動に駆られて直接アンジェリアを殺しに来る可能性はあると言う。AN-94は、現状の戦力では偽装作戦が成功したとしても稼げる時間が少なくこちらの戦力も乏しいこと、そしてこの爆弾作戦に労力を割き過ぎると今度は指揮官の戦場離脱が難しくなることを指摘する。しかし、指揮官は最後までアンジェリア救出を諦めないと宣言する。アンジェリアは、作戦が失敗した時はすぐに自分を見捨てて反逆小隊を連れて戦場から離脱するよう頼むと、指揮官の作戦を実行するよう反逆小隊に命じるのだった。
SOPIIが置き去りにした偽のアンジェリアを確保した追撃部隊は、それが脅迫されていた医療スタッフの女性であることを知った。兵士たちに女性の救助を命じたエゴール大尉は、偽装作戦に引っかかったことでアンジェリアがまだビル内に隠れていることを確信した。怒りに震えるエゴール大尉は、陽動に出ていたグリフィン部隊がビルに戻るより早く偵察部隊をビル内に突入させるよう命じる。しかし、部下はビル周辺がグリフィン重装部隊の射程圏内にあるため歩兵での突入は困難であると報告した。それを受けたエゴール大尉は、戦車部隊を含めた全部隊を集結させて包囲戦術を取ることにした。
一方、アンジェリアたちが籠城しているビルへと戻った416たちは、医療室から持ち出したアドレナリン剤をアンジェリアに注射していた。すさまじい激痛と引き換えに症状は緩和され、アンジェリアはひとまず安堵していた。偽装作戦で時間を稼いでいる間に完成した爆弾と起爆装置は、AK-12たちが設置することになっていた。グリフィン部隊は設置完了まで防衛線を展開し、正規軍の進行を遅らせる。この作戦が失敗に終わったらアンジェリアも反逆小隊も、そしてグリフィンの救援部隊も全滅する。その覚悟はできていると言うAN-94。しかし、アンジェリアは、416とSOPIIはその前に脱出してほしいと懇願する。AR小隊と404小隊、そしてグリフィンの指揮官を巻き添えにしたくないという思いだった。しかし、SOPIIはそれを拒否、指揮官もアンジェリアと命運を共にする覚悟を固めていると告げる。何が何でもアンジェリアを助けるという指揮官に根負けしたアンジェリアは、生き残るために作戦を練るのだった。そして、周辺を見張っていたROは、正規軍がビルの周辺を完全に包囲したことを報告する。正規軍の主力部隊と正面から戦うことになったことで、ROは自分が今は戦える身体でないことを悔やむ。SOPIIは、ROと一緒にいるから戦えるのが自分だけでも二人でAR小隊なのだと言う。
416は、正規軍が遂に突入してきたことを報告し、これが最後の防衛線であり、突破されたら敗北しかないことを改めて指揮官に告げると作戦指揮を要請する。
正規軍の主力部隊は強力だった。必死で防衛線を維持するグリフィン部隊であったが、もうこれ以上の時間稼ぎはできなかった。反逆小隊が最低限度の爆弾だけを設置したところで、弾薬が尽きたグリフィン部隊はエゴール大尉率いる部隊に前線を突破されてしまった。こうなってはもう起爆装置の設置をする時間はない。万策尽きてうなだれるAK-12とAN-94。アンジェリアは、意識をはっきりさせるため身体への負担を顧みずアドレナリン剤を自分に打つと、AK-12に残った戦術人形を全員屋上に退避させるよう命じる。アンジェリアがまだ生き残る希望を捨てていないことを見抜いたAK-12はその命令に従う。そして、アンジェリアは機能しない起爆装置と弾切れの拳銃を手に、迫りくるエゴール大尉を相手にした最後の大博打に臨むのだった。

エゴール大尉率いる歩兵部隊は、アンジェリアが一人で3階の部屋にいて戦術人形たちは屋上に集まっていることを確認していた。罠であることを疑う部下たち。エゴール大尉は、これは自分を釣り出すための挑発であると確信し単身アンジェリアの待つ部屋へと向かう。エゴール大尉は、アンジェリアが人形を傍に置いていないということは何らかの仕掛けがあると予測し、部下たちにビル内部の調査を命じる。

エゴール大尉を待っていたのは、古びた椅子に腰掛けたアンジェリアだった。旧知の仲であった二人だが、今はこうして敵同士として向かい合っている。エゴール大尉の悪人顔をからかうアンジェリアは、彼もまたコーラップス汚染の影響で理性が失われつつあることを指摘する。それに対し、エゴール大尉は部下や戦友を殺された復讐心だけでここまでアンジェリアを追ってきた、と怒りをぶちまける。そして、アンジェリアに死を宣告し拳銃を抜いた。それと同時に、アンジェリアは手にした起爆装置を掲げる。アンジェリアは、わざわざ見つかるような挙動をして正規軍にこのビルを包囲させたのには理由がある、とエゴール大尉に告げる。その直後、正規軍の兵士からこのビル内に複数の爆発物が仕掛けられている、とエゴール大尉に報告が入った。それを聞いたアンジェリアは、カーター将軍の裏切りへの報復としてエゴール大尉の率いる正規軍部隊を皆殺しにするため、このビルに爆弾を仕掛けたことを告げる。焦るエゴール大尉に、アンジェリアは自分が死んだら戦術人形たちが即座に予備の起爆装置を作動させると言う。そして、設置された爆弾にはコーラップスが仕込まれており、爆発すればビル内にいる部隊だけでなく包囲に参加している部隊も全滅する、と。アンジェリアの宣告をハッタリだと言うエゴール大尉だが、アンジェリアは、自分は既に一度コーラップス爆弾を使用している、二度目がないという保証はない、と言う。エゴール大尉は爆発物を探している部下に通信を送り、高濃度コーラップスの反応を見つけられるかを尋ねるが、汚染区域内でコーラップス反応を検出することは困難であるとの返答が得られただけだった。アンジェリアと共に死ぬ覚悟を決めたエゴール大尉はアンジェリアに起爆装置の作動を促すが、アンジェリアは哄笑し、正規軍の全部隊をエリア外へ撤退させてアンジェリアたちの逃亡を邪魔しないなら起爆を止めるとエゴール大尉に告げる。ここまで来てアンジェリアをみすみす逃がすことはできないエゴール大尉はその要求を一度は拒否するが、アンジェリアはエゴール大尉の部下や戦友とその家族たちのことをちらつかせる。自身の復讐心のために部下や仲間の人生を巻き添えにするのか、というアンジェリアの脅迫は、エゴール大尉の決意を折るのに充分だった。
エゴール大尉は銃を下ろし、敗北を認めると部下たちに撤収命令を下す。アンジェリアを回収するためにやってきたAK-12とAN-94はエゴール大尉に銃口を向けるが、アンジェリアは発砲させなかった。去り行くエゴール大尉を、軍人としては良い上官だったと褒めるアンジェリア。再び殺し合うことになるだろうけれど、それは今ではないと言ったアンジェリアはAK-12たちに担がれてビルから脱出する。残されたエゴール大尉は、投げ捨てられた起爆装置を敗北の証として受け取るのだった。
アンジェリアたちがこのエリアから脱出してから30分後、ビルを再び調査していた正規軍の爆発物処理班は仕掛けられていた爆発物は全て起爆装置と繋がっていなかったこと、そしてコーラップスはどこにもなかったことを報告していた。全てがアンジェリアの芝居だったことを知ったエゴール大尉は、不思議と穏やかな表情であった。エゴール大尉が自分たちのために仇敵であるアンジェリアを見逃したことを知った部下たちは、今度そういうことになったら自分たちを犠牲にしても構わないと言う。部下たちの思いを受けたエゴール大尉は、国家のために自分たち軍人が犠牲になる時がいずれ来る、その時まで待とう、と部下たちに告げる。エルダーブレイン奪取作戦は失敗した。しかし、正規軍のカーター将軍一派は次の計画に向けて動き出していた。

その頃、汚染エリアから脱出したアンジェリアは、エゴール大尉が以前からアンジェリアに持っていた猜疑心を利用して罠に嵌めたことをSOPIIに話していた。アンジェリアは、エゴール大尉が自分の命は惜しまないが仲間や部下の命を何より大事にする人物だと昔から知っていた。だから脅迫のとどめは部下たちの命だったのだ。416は、もし起爆装置が作動できていたらスイッチを押せたかをアンジェリアに尋ねる。アンジェリアは、その時にならないとわからないと答えるにとどまった。AK-12は、アンジェリアの作戦はいつもその場のアドリブであることを茶化す。アンジェリアは、今回はエゴール大尉が汚染の影響でいつもより冷静さを欠いていたから成功した、あくまで運任せの勝利だったことを率直に告白した。それでも無事に生きて汚染エリアから脱出できたことを喜ぶ反逆小隊と救出部隊。ROは、後はグリフィンの指揮所にいる指揮官を救出すれば作戦は完全に終わりだと言う。SOPIIは、指揮官の拠点は大丈夫だからもう戦闘はないだろうと楽観的に予測する。416は、カリーナが派遣したエリート人形2体が指揮官の護衛にあたっていることを教えた。その時、そのエリート人形・M82A1から連絡が入った。この2体は、アンジェリア救出作戦の間ずっと指揮官の拠点を謎の敵から守り抜いていたのだ。その通信に割り込んできたのはもう1体のエリート人形・M870Pだった。M82A1曰く「実力以外いいところなし」、腕前は416も認めるほどだがとにかく口と性格が悪い人形である。彼女たちの報告から、指揮官を襲っているのがネイトたちに率いられたあの軍団であることを察知した416は指揮官の拠点へ急行するよう皆に告げる。
アンジェリアは、謎の勢力についての情報を指揮官が教えなかったことを怒っていた。416は、脱出に必死な状況でそんな情報は必要なかったと言い返す。重装部隊の残弾が残り少ないことを心配するAN-94に、アンジェリアはこれが最後の撤退戦だから弾薬を惜しまないよう命令する。
かつてアンジェリアが率いたグリフィンのAR小隊、そしてアンジェリアが設立した傭兵の404小隊と国家保安局の反逆小隊。全員ではないが、アンジェリアとの関わりが深い戦術人形たちが揃って戦うことにアンジェリアは奇妙な感慨を抱いていた。アンジェリアの分析では、謎の敵の目的は指揮官の拉致であった。416はかつてグリフィン拠点の防衛戦で苦戦した黒いネイトだけでなく、その上位存在と思われる白いネイトまで出現したことに危機感を持っていた。それでも、アンジェリアは自分を助け出してくれた指揮官を今度は自分が助けるのだと決意を固めていた。
その頃、白いネイトは指揮官へ通信を送り、投降を呼びかけていた。指揮官が投降しなかったらこの場にいる戦術人形を殲滅する、と通告する白いネイトの口調は、やはり無機質で無感情だった。白いネイトは、この期に及んでも指揮官から絶望や恐怖が感じられないことに強い関心を持っているようだった。
グリフィン拠点の防衛戦で戦った時よりも強力になっている敵を前に、なかなか突破口を見出せないアンジェリアたち。電子戦に優れるAK-12でさえ敵戦力を分析できないことに戸惑っていた。そして、敵はさらに増援を送り込んできた。指揮官の拠点で防戦しているM82A1は、白いネイトの精密な位置情報さえ掴めれば狙撃で撃破できるかもしれないとアンジェリアに要請する。
416たちが敵の包囲網をようやく突破して指揮官の拠点に到達しようとするその直前、黒いネイトがセーフハウスの裏口から突入し指揮官に電気ショックを打ち込んだ。激痛で倒れた指揮官の目の前で、その黒いネイトは背後から現れた白いネイトに激しく殴打された。白いネイトは、下位存在の黒いネイトが自分より先に前に出たことへの懲罰として暴力をふるったのだ。更に、別の黒いネイトが指揮したグリフィン拠点攻略の失敗をあげつらい再び殴打を加える。別個体のことだと抗弁するその黒いネイトを無機質無感情な声で叱責する白いネイトは、指揮官の奪取は自分の功績であることを告げると、黒いネイトに指揮官を自分たちの拠点へ連行し尋問するよう命令する。そして、白いネイトは輸送機の到着まで時間を稼ぐためにグリフィン部隊を相手にすることを告げた。黒いネイトは、そうなれば白いネイトは喪失すると言うが、白いネイトは自分が犠牲になっても新たな自分が目覚めると言い、黒いネイトに自分の功績を彼女らの支配者である「お父様」に伝えるよう命じるのだった。
指揮官の拠点に辿り着いたAK-12たちの前に立ち塞がる白いネイトは、グリフィン人形の攻撃は無駄であることを告げて襲いかかる。その時、薄気味悪い唸り声が聞こえてきた。SOPIIたちがROのメガホンから出る音を使って感染者の群れを誘導してきたのだ。謎の敵と感染者をぶつけて共倒れさせようという作戦だった。しかし、その時意外なことが起きた。白いネイトは感染者を「受洗者」と呼び、配下の機械人形部隊に攻撃を止めるよう命じる。とはいえ、動くものならお構いなしに襲う感染者にとっては相手が無抵抗であろうと意味はなかった。感染者たちに取り囲まれ破壊されていく敵の人形部隊。そして動きの止まった白いネイトは、M82A1にとって格好の標的となった。白いネイトの頭部は彼女の狙撃によって撃ち抜かれ、そのまま砕け散った。指揮官であるネイトを失った敵部隊は、そのまま感染者たちの餌食となっていった。
その間にセーフハウスに乗り込んだ416とアンジェリアだったが、そこに待っていたのは黒いネイトだけであった。ネイトは、指揮官は既に連れ去られたと告げる。416は指揮官を拉致した目的を尋ねるが、ネイトは自分たちが偉大な存在であることを誇るだけであった。ネイトが「新世界の輝きとなるべく」と言った次の瞬間、アンジェリアはネイトを射殺していた。アンジェリアは、その言葉を掲げる団体に心当たりがあり、しかも激しく嫌悪しているようであった。
アンジェリアから指揮官が拉致されたことを聞き、SOPIIたちは動揺する。アンジェリアは、指揮官を奪回するまでこの戦いは終わらないことを皆に告げ、戦場からの撤収を開始するのだった。

〈コーラップス爆弾の起爆から9週間後〉
また時間は進む。
ネイトの尋問で全てを話し終えた指揮官。ネイトたちが「お父様」と呼ぶ何者かは、その尋問をずっと聞いていた。その何者かは、献身的に振る舞うネイトたちに対して異様に冷たく傲慢な態度で接していた。
その時、指揮官の耳元でハッキングされたネイトから416の声がした。拘束椅子のロックを外し、椅子の下には拳銃が隠してあることを告げると、確認次第目線で合図するように、と。指揮官はそれに応じる。そして、416は尋問室へ突入する準備ができたことを告げた。
一方、ネイトからの報告で必要な情報は全て得て用済みになったと判断したその何者かは、指揮官の首を切断し頭部を持ってくるよう命じる。彼らが進めている非合法実験のため指揮官の脳が必要なのであった。ナイフを持って迫る4体のネイトたち。その時、その中の1体が言った。「不幸を届けに来た」、と。
UMP45からの合図を受けた指揮官は、拳銃で他の3体のネイトの頭部を吹き飛ばした。UMP45にハッキングされたネイトが尋問室のドアを開けると、これまで通信を送っていた416と強化改造によりすっかり見た目の変わったUMP45が現れ、ハッキングされていたネイトを射殺した。カリーナからの依頼を受けた(註:カリーナによる依頼の経緯はUMP45のMODストーリーを参照)404小隊が指揮官を救助にやってきたのだ。長時間の拷問を伴う尋問と自白剤の大量投与でふらふらになっている指揮官は、416の助けを借りながら尋問室を出る。その時改めてネイトの残骸を見た指揮官は、残骸からこぼれた破片や流れる体液から、彼女らは人間を部品に使っているのではないかと考えていた。ROからも以前に同様の報告があり、またUMP45の電子戦能力でも短時間しかコントロールを継続できないという。それも人間を改造しているなら説明がつく。UMP45たちが施設内の敵と交戦しながら救援を呼ぶ声が聞こえる中でそんなことを考えながら、指揮官は気を失ったのだった。

〈エピローグ〉
鉄血人形となったM16によりエルダーブレインを連れ去られたM4は、それ以降もずっとM16とエルダーブレインを追い続けていた。自身の内から聞こえてくるOGASの声は、M4に自身の存在理由を探し出し、その答えを得ることこそが必要だと説く。しかし、M4が望んでいるのは自分を信じてくれる人間や人形たちとの繋がりを取り戻すことだけであった。そのためならどんなこともする、M4は強く決意するのだった。

秩序乱流04「96時間」(ランキング戦)

新生グリフィン基地を訪れたゼリンスキー局長は指揮官にアンジェリアの処分を命令する

〈指揮官救出作戦の成功直後〉
UMP45と404小隊による指揮官救出は成功した。しかし、指揮官が逃げ出したことを知った謎の組織こと「パラデウス」は何としても指揮官を抹殺すべく大規模な戦力を投入して追撃を開始した。一方、指揮官救出に向けて準備を進めてきたカリーナ率いる新生グリフィン部隊は指揮官を連れた404小隊を援護するために部隊を展開するのだった。

〈エピローグ〉
ようやく新たなグリフィン基地へ帰還した指揮官。そこに待っていたのは、しばらく会わないうちにすっかりたくましくなっていたカリーナとI.O.P.社の社長であるハーヴェルだった。正規軍によって本部や主な基地を失ったグリフィンに設備の整った新しい基地を用意したスポンサーはハーヴェルであった。
そのハーヴェルは、「会わせたい人がいる」としてある人物を基地に招き入れていた。それは、国家保安局の局長であるゼリンスキーだった。ゼリンスキーは、開口一番「自分にはテロリストであるグリフィンの指揮官をこの場で射殺する権限がある」と指揮官を恫喝した上で、グリフィンのテロリスト指定を取り消し、拘留されているクルーガーらを釈放することを成功報酬として国家保安局への協力を要請した。要はPMCであるグリフィンの雇い主がカーター将軍からゼリンスキーに代わるということであった。
ゼリンスキーの依頼、それは「エルダーブレインに関する重要な情報を奪取・隠匿し、国家保安局所有の戦術人形2体を連れて逃亡中のテロリスト」であるアンジェリアを処分せよというものであった。
本拠地を失い散り散りとなった鉄血は表舞台から姿を消した。しかし、その代わりに現れたのは正規軍と国家保安局、そして謎の組織パラデウス。指揮官は、陰謀渦巻く地獄の戦いへと絡め取られていくのだった。
(EP11へ続く)

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