ドールズフロントライン(ドルフロ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドールズフロントライン』とは、中国のサンボーンが開発しているスマートフォン用のゲームアプリである。民間軍事会社の指揮官であるプレイヤーは、第三次世界大戦により荒廃した近未来を舞台に、人工知能の反乱により襲い来る機械の兵士たちを撃退するため、銃の名前を冠する戦術人形と呼ばれる機械の少女を率いて戦うことになる。

EP05(緊急)「迷題解明」

クルーガーは危険を承知で単身識別装置なしで鉄血の拠点跡に潜入していた

AR-15を欠いたAR小隊は、孤立した他のグリフィン部隊の救出任務などに奔走していた。そんな中でAR小隊は鉄血の勢力圏内で識別信号を切って単独行動していたクルーガーと遭遇する。クルーガーはAR-15が残したデータのバックアップを回収していたのだ。AR-15の不在に苛立つSOPIIは、表面上では平静を保つM16に当たり散らすが、それを窘めたM4はリーダーとして残ったAR小隊をまとめていく決意を固める。一方、クルーガーはAR-15が残したデータから鉄血が目論む「傘作戦」の重要な手掛かりを入手し、彼女がチームを離れた今もAR小隊のために戦っていることを認識するのだった。

EP05(夜戦)「変わった行商人」

鉄血部隊の新兵器である大型砲「ジュピター」はグリフィンの補給線を破壊し、そのため部隊は物資不足に苦しむこととなる

鉄血の大型砲「ジュピター」の砲撃により、グリフィンは補給線と物資倉庫に大きな損害を受けた。そこでグリフィン本部は損傷した倉庫から焼け残った物資を運び出し、人間の居住区へ運搬することを決定した。ヘリアンからその作戦を任された新人指揮官は、M99を隊長とする小隊を率いて任務にあたる。しかし、輸送すべき物資の大半は暴徒と化した近隣住民により略奪されていた。残った物資を梱包して輸送する小隊だったが、補給不足の苛立ちからか、部隊内でもいさかいが絶えない。56-1式は食糧事情の悪さへの不満から、物資の横領を主張してM99と対立し、好みの合わない97式散とNZ75はささいなことで衝突を繰り返す。何とか中継基地に辿り着いた小隊だったが、そこで56-1式は、苛立ちのあまりこの物資が飢えに苦しむ庶民への配給ではなく、現地の富裕層のパーティーに使用されるものだと告白してしまう。贅沢品をわざわざ運ばされたことに不満を爆発させるNZ75に97式散も同調し、あくまで命令遵守を主張するM99は立場が悪くなる。M99が押し負けた結果、口裏を合わせて物資を紛失したことにして横領することにした小隊だが、そこでも料理の味付けの好みが別れて喧嘩になってしまう。その時、鉄血の「ジュピター」による砲撃が基地の厨房を横領した高級食材もろとも粉砕してしまった。勝ち誇る高等戦術人形「デストロイヤー」だったが、ようやく口にできると思った贅沢品を粉砕された56-1式たちは、これまでの仲違いを水に流してデストロイヤーの部隊を壊滅に追い込む。命からがら逃げ延びたデストロイヤーは捨て台詞を吐きながら撤退し、小隊は残った一部の物資を輸送して任務を終えた。しかし、ヘリアンは物資の横領を見逃さずM99を問い詰める。そこに新人指揮官から、作戦中の緊急措置として一部の物資を使用したという報告が入り、それを受けたヘリアンはM99たちの行為を不問とした。97式散の要請で指揮官が助け船を出したのだ。処罰を免れた小隊の戦術人形たちは、安堵すると同時に贅沢品を食べ逃したことを思い出し落胆する。そこでM99が取り出した箱にはあの時と同じ品物が入っていた。依頼主からのお裾分けだという。「可愛い外見で一生懸命任務を遂行した」ことが彼らの好感情に繋がったのだ。人間の兵士であれば、成功であれ失敗であれ、依頼人に叱責されるが、少女の外見をした人形ならば好印象を与えることができる、それがヘリアンの意図であった。
やっと高級食材にありつけるとなった瞬間、また味付けの好みで仲違いが始まる小隊のメンバーたち。M99は彼女たちを必死で仲裁するのだった。

EP06(通常)「彗星」

気を失ったM4はAR-15と初めて出会った時の夢を見る。戦術人形は夢を見ないはずなのに

失踪したAR-15を捜索していたネゲヴ小隊は、鉄血の高等戦術人形「アルケミスト」に遭遇。救援信号を受けて駆け付けたAR小隊は、アルケミストから逃れてきたネゲヴ小隊のガリルと合流してネゲヴの援護に向かう。包囲網を突破してネゲヴを救出できたAR小隊だったが、独断専行して隊を離れたSOPIIを探すM4の前に現れたのは失踪していたAR-15だった。AR-15は謎の人物と取引をしており、M4を捕らえると彼女の記憶を辿り何かを聞き出そうとしていた。M4の人格プログラムにプロテクトがかかっていて目的の情報を引き出せないと知ったその謎の人物は「約束を破った」とAR-15を非難するとアルケミストを呼び寄せ、グリフィン部隊の抹殺と同時にM4を鉄血の本部に連行するよう命じる。鉄血の高等戦術人形に対して最上位者として振る舞えるこの正体不明の存在こそ、鉄血の管理統轄者であるエルダーブレインそのものであった。ネゲヴ小隊とAR小隊は激闘の末にアルケミストを倒したが、AR-15はM4の目前で他の鉄血部隊と共にビルの爆破に巻き込まれていった。

EP06(緊急)「最後の願い」

AR-15は鉄血の最上位管理統括者であるエルダーブレインと対決する

(このエピソードの時系列はEP06(通常)の終盤にあたる)
ネゲヴ小隊とAR小隊は、エルダーブレインが呼び寄せた鉄血の大部隊と死闘を展開し、AR-15は鉄血の高等人形「アルケミスト」と対決していた。そんな中で「傘」ウイルスによる電磁シールドの中に入ってしまい、連絡の取れないネゲヴとSOPII。一方、アルケミストはAR-15にM4の引き渡しを要求するが、AR-15はそれを拒否。絶体絶命の危機に陥ったAR-15だったが、そこに突入してきたSOPIIの援護によりアルケミストを撃破した。AR-15をグリフィンに連れ戻そうとするSOPIIだったが、AR-15はこの件はエルダーブレインを倒さない限り解決しないと言い、集めたデータをSOPIIに託して決着をつけるためエルダーブレインの元へと向かう。その途中でM16と出会ったAR-15は、この電磁シールドが「傘」ウイルスと鉄血の新型ジャマーの干渉によって発生したものだと告げると、グリフィン部隊の安全な撤退策をM16に託し、自身は高性能爆薬でエルダーブレインと刺し違えるという。死を選ぼうとするAR-15を殴ってでも止めようとするM16だったが、その決意は固く、M16は見送るしかなかった。エルダーブレインと対峙したAR-15は、彼女が呼び寄せた鉄血の増援部隊もろとも高性能爆薬によりビルを爆破、M4の目前で瓦礫の中へ消えて行った。
しかし、この爆発はエルダーブレインにとっては自身のダミーを1体失ったにすぎなかった。既にAR-15に代わる感染者を用意した鉄血は、次の作戦に備える。それも、全てはエルダーブレインが求めるM4の真の人格のため。

EP06(夜戦)「ホムンクルス」

S08地区にある鉄血の尋問室では、高等戦術人形のアルケミストが鹵獲したグリフィンの戦術人形であるF2000を尋問していた。彼女の部隊は逃亡に成功したT91を除き全てがアルケミストに鹵獲され、彼女による面白半分の拷問によって殺害されていた。しかし、F2000は1人だけでも逃亡できたことに安堵する。そんなF2000を見たアルケミストは、部屋の灯を消して適当に銃を乱射しF2000に当たるかどうかの運試しを始めた。鉄血人形としての生に飽いたアルケミストにとって、こうした戯れだけが楽しみとなっていたのだ。
その頃、FN小隊の隊長であるFALとその副官であるFive-sevenは失踪した戦術人形の行方を捜すためにこの件を指揮する新人指揮官の元へ向かっていた。FALのファッションセンスの無さを指摘するFive-sevenだったが、彼女は自分のセンスと美貌に自信満々で、指揮官に対してもそう振る舞っていた。FALは先行させていた偵察要員のFNCとFN-49の2人と合流できるよう指揮官に支援を要請する。
無事にFALたちと合流したFNCたちは、戦術人形失踪事件の犯人が推測通りアルケミストであることを報告した。既に戦術的には無価値となったS08地区に高等戦術人形がわざわざ滞留していることを訝しむFive-seven。FALは鉄血が潜んでいそうな地区を指定してFNCたちに捜索を命じた。しかし、FALの本当の狙いはアルケミストが囮であるFNCたちを襲撃するよう仕向けることだった。いくら記憶のバックアップが取ってあるとはいえ使い捨てにされることに憤るFNC。エリート人形に自分たちエコノミー人形が嘗められていると感じたFNCは、生還してFALの鼻を明かすことを誓うのだった。しかし、FNCたちが遭遇したのはアルケミストではなく、その本拠地から命からがら逃れてきたT91だった。T91はアルケミストに目をつけられている自分が囮を引き受ける代わりに援護を要請する。その一方、FNCたちからの連絡を待つFive-sevenは、FALがFNCとFN-49をFN小隊の正規メンバーに迎え入れるつもりであることに驚いていた。FALは彼女らに厳しく当たる割にその豊富な戦闘経験を高く評価していたのだ。
FNCからの報告を受けたFALは、T91よりアルケミストを釣るのに最適な餌としてFive-sevenを選択。指揮官の率いる部隊に警護されるFive-sevenは、FALの冷酷な作戦を愚痴りながら指揮官に自分を守るよう懇願する。しかしアルケミストは姿を現さない。そのことから、FALは最初からアルケミストの狙いは自分を引き摺り出すことだったと確信、自らがアルケミストと直接対決することを選ぶのだった。Five-sevenに隊長権限を譲り囮として単身出撃するFAL。いつか実力でFALから隊長の座を奪うと豪語していたFive-sevenは死地に赴くFALを「急過ぎる」と責めるのだった。そしてFALの前に現れたアルケミスト。彼女は他のグリフィン部隊やFN小隊の相手を自分のダミーと指揮下の部隊に任せると、武器を置いてFALと問答を始めた。
FN小隊とグリフィン部隊はアルケミストの部隊を撃退し、鹵獲されているグリフィン戦術人形の監禁場所を発見し救出作戦を開始した。そんな中、FN-49とFive-sevenは小隊のまとめ役としてのFALの大切さを再確認する。一方、アルケミストはFALの話を平凡でつまらないと酷評しつつ楽しんでいた。アルケミストは、グリフィンの戦術人形を鹵獲し拷問して殺すことが趣味だと言い、人形にも楽しみが必要であると語る。そして、アルケミストはF2000らが鹵獲されたのもFALの仕込みであることを看破、FALを「恐るべき一般人」と評する。
グリフィンの部隊が自分たちのところへ向かっていることを告げ、アルケミストにどうするかを問うFAL。しかし、アルケミストはかねてよりの疑問であった自身の存在意義や人間との差異をFALに問うと、その時に見せたFALの表情に満足したかのように頭を撃ち抜き自決し果てた。
後日、争った様子もなく死んでいたアルケミストについて問うFive-seven。しかしFALは「あいつは自分の欲しかったものに始末されたのよ」と言うだけだった。Five-sevenは改めてFALにFN小隊の隊長の座は実力で手に入れると宣言。そしてFNCとFN49を正式にFN小隊に迎える手続きをしたことを報告した。FALは、自分を瓶の中に閉じ込められていた存在と思っていたアルケミストのことを思い出した。彼女は人生の困難を楽しむことができなかったから自分自身に殺されたのだと。
そして、FN小隊にはS09地区の異常気象を調査するという新たな作戦命令が下されるのだった(イベント「ウサギ狩り作戦」に続く)。

EP07(通常)「仲間」

SOPIIに対しても姉のように振る舞うRO635は、AR小隊の隊長代理として鉄血との戦いに臨むことを指揮官に告げる

AR-15の不可解な行動によりS08地区を手放さざるを得なくなったグリフィンは、他のAR小隊メンバーもウイルス感染の疑いがあるとして、S05地区の隔離施設「プリンセス・マリオン」に軟禁した。検査の日々が続く中、新人指揮官から引き離されたM4は苛立ちを強める。そんな時に隔離施設が「ドリーマー」配下の鉄血部隊によって急襲される。人間の指揮官が不在の状況で苦戦するグリフィンの戦術人形だったが、M4の指揮で態勢を立て直しつつあった。
その頃、S05地区で警護任務に就いていた新人指揮官の元にペルシカから1体の戦術人形が派遣されてきた。AR小隊の増員メンバーであるRO635である。鮮やかな手腕で鉄血の増援拠点を撃破したRO635は、M4の救助へ向かう。
一方、なんとか襲撃を逃れて施設の地下2階に逃げ込んだM4たちだったが、鉄血により施設の電源が破壊される。その暗闇の中でM4に接触してきたのは幼い少女の姿をしたエルダーブレイン自身だった。エルダーブレインが人格プログラムに侵入したことによりM4は狂乱する。直接接触してもM4の人格プログラムを解析できないことに疑問を持ったエルダーブレインはM4を本拠地に連れ帰ろうとするが、それを阻んだのはRO635だった。対エルダーブレイン対策を施されたRO635は、M4を奪還して分厚い隔壁に守られた防護室に籠城。やむなくドリーマーとエルダーブレインは施設から撤退していった。しかし、エルダーブレインのハッキングによって精神崩壊状態に陥ったM4は座り込んだままうわ言を言い続けるだけだった。
指揮官に改めて自己紹介をしたRO635は、自分がペルシカの個人的な部下でグリフィンの所属ではないことを明かすと、戦闘不能になったM4に代わり自分がAR小隊の隊長代理となること、精神崩壊したM4の治療については既にペルシカが解決策を練っていることを告げるのだった。

EP07(緊急)「回収作戦」

AR-15の死すら利用するドリーマーの執拗な挑発に怒り狂ったSOPIIは制御不能に陥り暴走する

グリフィンがS08地区を鉄血に奪われ、AR-15がエルダーブレインの部隊と共に自爆してから40日。遂にAR-15が発見されることはなく、彼女は喪失扱いとなった。特殊な人形であるAR小隊のメンバーは記憶のバックアップを取っていないため、次に造られるAR-15には以前の記憶はないのだ。つまり、死と同じである。そして、留置施設でエルダーブレインの襲撃を受け精神崩壊を起こしたM4の復帰も目処が立っていない。RO635を加えても3人となったAR小隊。しかし復讐心に燃える彼女らは鉄血への反撃の準備を整えていた。
そんな中、AR小隊はS05地区に現れた高等人形・ドリーマーを追撃する任務を任されることになった。その前哨としてROはかつて共に戦った仲間「パレット小隊」を送り込んでいた。鉄血がこの地区に新兵器を運び込んでいるという情報が得られたからである。RO、M16、SOPIIはそれぞれに分かれてパレット小隊のメンバーと合流する手筈になっていた。
指定の拠点に辿り着いたM16は、隠れていたAAT-52と合流した。たいした実力がないお調子者だと侮っていたAAT-52がROの仲間だと知って意外に思うM16だったが、そのAATから「ドリーマーはどこにでも現れる」という情報を得る。するとその時、遠くの建物が砲撃により一瞬で吹き飛んだ。鉄血はこの地区にもジュピター砲を投入していたのだ。そして、砲撃で吹き飛んだ建物はSOPIIがステンMk-IIと合流するはずの拠点であった。M16はSOPIIの安否を確かめるべく崩落した拠点へ向かう。一方、AATはROたちと合流しジュピター砲の制圧を試みるのだった。
崩落した拠点は鉄血人形の残骸だらけだった。地下の防空室に逃げ込んで難を逃れていたステンを救出したM16は、SOPIIがドリーマーの執拗な挑発に引っ掛かって暴れ回った挙句にドリーマーを破壊するために飛び出していったことを告げる。精神攻撃に長けたドリーマーの巧みな話術は、単純で激昂しやすいSOPIIを正常な判断ができないほどに怒り狂わせるのに充分だった。
SOPIIの行方を追うM16に手を貸したのは、戦場の状況を俯瞰していたマカロフだった。彼女の情報によると、SOPIIは廃工場に誘い出されてドリーマーの部隊と戦闘しているという。マカロフは新人指揮官の部隊に鉄血の通信基地を破壊するように依頼した。これ以上の増援をこの場所に呼ばないためである。
一方、ROは以前の戦いで自分の副官を務めた92式と合流し、ステンやAATと共に新型モジュールによるジュピター砲の無力化作戦を開始した。そして、ROはS05地区に現れたドリーマーが遠隔操作されているダミーであると見抜いていた。複数のダミーを動かしているのなら神出鬼没であることにも説明がつくからだ。
鉄血人形の大軍を怒りに任せて単騎で粉砕し疲弊しきったSOPIIを更に挑発するドリーマー。駆けつけたM16の助力によって倒されたドリーマーだったが、これもまたダミーだった。なおもドリーマーの本体を求めて狂乱するSOPIIを力ずくで押し止めたマカロフは、これがM16とSOPIIをこの場所でまとめて葬り去るための罠だと告げる。
そして廃工場への鉄血の砲撃が開始されたが、ROたちパレット小隊がジュピター砲の一部を停止させたことでなんとかM16たちが脱出する隙を作ることができた。ジュピター砲制圧時に負傷して身動きの取れないパレット小隊の仲間を助けるため、ROは新人指揮官の部隊と合流し、鉄血の司令部を制圧する作戦に出る。司令部に陣取るドリーマーのダミーを倒し、無事にパレット小隊を回収したROは、彼女たちとは部隊を離れても仲間だという絆を確かめ合う。その夜、ペルシカからの連絡を受けたROは、先の戦いでジュピター砲の制圧に使用したモジュールが第3セーフハウスからAR小隊が持ち帰ったデータ(EP00参照)だと知る。その正体は鉄血人形のアクセス権限をそれ以外の人形が使用するためのものだった。
M16はROが率いたパレット小隊の健闘を称えると、仲間を奪った鉄血への報復をROと共に改めて誓うのだった。

EP07(夜戦)「記憶の欠片」

ネゲヴが倒したドリーマーのダミーは、戯れに自我を持たされた果てに捨てられた哀れな偽物だった

〈過去〉
戦術人形部隊の隊長であるジェリコと副官のネゲヴは、鉄血人形部隊の包囲の中に取り残されていた。要請した救援も届かず、絶体絶命の中で気休めに何か話してほしいと頼まれたネゲヴはジェリコにとある作戦の話をする。それはグリフィンの指揮官に副官として抜擢されたネゲヴが経験した、厳しい戦いの話であった。

〈現在〉
鉄血の勢力下にあるS05地区。ネゲヴ小隊の隊長であるネゲヴは、グリフィンの指揮官に協力を要請してこの地区の廃工場にある「箱」を回収する作戦を開始した。しかし、この作戦に入ってからのネゲヴはどこか様子がおかしい。直感に任せて無鉄砲な戦い方をするのが得意だったはずのネゲヴがやたら考え込むようになり、慎重に行動すると言い続けているのだ。普段とは違うネゲヴの挙動を怪訝に思う小隊メンバーのガリルだったが、ネゲヴは「この作戦はいつもとは違うから」と答えるだけだった。
作戦に入ってからのネゲヴは、小隊メンバーに死なないギリギリの無茶な指示を出すいつものネゲヴだった。以前ネゲヴ小隊に所属していたが他小隊に出向していたMicroUZIもこの作戦のために連れ戻され、ネゲヴのめちゃくちゃな命令に振り回されることに悲鳴を上げていた。ネゲヴの無茶振りはグリフィンの指揮官にも及び、指揮官は眠い目を覚ますために栄養ドリンクを飲みながらネゲヴの要請に応えて作戦指揮を執るのだった。
小隊メンバーのタボールとガリルによって確保されたルートで目的の廃工場へと向かうネゲヴ。そのネゲヴに通信を送ってきたのは、廃工場を拠点とする鉄血の高等人形・ドリーマーだった。予期しない強敵の出現に驚くネゲヴだったが、どうしても「箱」を回収したいネゲヴは後方支援をタボールたちに任せるとドリーマーとの戦いに臨む。
死闘の末ドリーマーを倒したネゲヴは、自分が戦ったドリーマーが本物ではなく、そして本物のドリーマーの指示を受けてもいないことに気付いていた。このドリーマーは、本物のドリーマーが自分のダミーに戯れで自我とドリーマーへの崇拝の感情を与え、そして戦略的に無意味な場所を守るよう命令して放り出した哀れな偽物だった。本物のドリーマーには全く及ばない作戦能力しかなかったためにネゲヴたちでも倒すことができたのだ。
その事をネゲヴに指摘されたドリーマーのダミーは激昂するが、半壊し戦う力もない相手にいくら罵られてもネゲヴにとっては堪えなかった。目的の「箱」をタボールが回収したことを確認したネゲヴは、死を待つだけのドリーマーのダミーを放置して戦場を後にするのだった。

〈過去〉
一通り話し終えたネゲヴであったが、突然堰を切ったように泣き始めた。この話は全部嘘だったのだ、と。グリフィンの指揮官に抜擢されるような力量もなく自分に従う仲間もおらず、不安定なメンタルの調整を受けていただけだった、自分は無能な人形でしかない、と。ジェリコはそんなネゲヴを慰め、そんな心の弱さを持つ人形だからこそネゲヴは自分の代わりに生き残らなければならないと諭す。ジェリコは、鉄血の包囲網からネゲヴを逃がすために決死の戦いに臨むのだった。

〈現在〉
なんとか基地へと帰投したネゲヴたち。やっと元の部隊に戻れると安堵するMicroUZIだったが、MicroUZIの出向期間は終わり、ネゲヴ小隊への再配属が決定していた。悲嘆のあまり絶叫するMicroUZI、仲間の帰還を喜ぶタボール。ガリルは、小隊メンバーを危険に晒しグリフィンの指揮官まで巻き込んでまで回収した箱の中身を知りたいとネゲヴを問い詰める。渋々その箱を開けたネゲヴ。箱の中には、損傷の激しい戦術人形の遺骸が入っていた。それはわざわざ回収しなければならないものだったのかと問うガリルに、ネゲヴは「これは記憶の欠片だ」と答えると遺骸からメンタルモデルを取り出す作業を開始した。
その遺骸の名はジェリコ。ネゲヴ小隊が「ジェリコ小隊」だった頃の隊長。ガリルたちは、ジェリコの喪失の際にグリフィンによってジェリコについてのデータを削除されていた。彼女のことを覚えていたのはネゲヴだけである。

EP08(通常)「火花」

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