ロッキー2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ロッキー2』とは、1979年公開のアメリカ映画。シルヴェスター・スタローンを一躍スターダムに押し上げた『ロッキー』(1976年)の続編でシリーズ第2弾。本作ではジョン・G・アヴィルドセンに代わりスタローンがメガホンを取り、監督・脚本・主演の三役を務めている。ロッキーとの試合に納得がいかない世界チャンピオンのアポロは、彼をリターンマッチに引きずり出そうと目論む。ボクシングを辞め、恋人エイドリアンと結婚しジュニアも誕生したロッキーだったが、苦悩の末、再びアポロの挑戦を受けることにする。

ボクシング世界ヘビー級チャンピオン。
46戦全勝と圧倒的な強さを誇るボクサーであり、プロモーターとしても有能。
47戦目は無名だったロッキーを挑戦者に指名するも、人生初のダウンを奪われるなど苦戦を強いられ、辛くも判定勝ちを収める。
「再戦はしない」と試合終了後にロッキーに告げていたが、世間からの集中批判を浴び、苦悩する。そしてリベンジマッチを行うことを決意すると、引退したロッキーを引きずり出すために、メディアを使って挑発し、ロッキーをその気にさせる。ロッキーを舐め切っていた前作とは異なり、スパーリングも手を抜かず、真剣にトレーニングを積み試合に臨む。

ガッツォ(演:ジョー・スピネル)

常にサングラスを掛けている高利貸しのボス。
かつてロッキーを借金の取り立て屋として使っていたが、本作では良き友人として登場。ロッキーの結婚式に出席し、ロッキーにアポロ戦のファイトマネーをマンション投資に使うように勧めたり、ミッキーのジムの手伝いをしていたロッキーの元を訪れ、奮起を促したりする。
今回も試合会場でロッキーを見守り、歓声を送っていた。

デューク(演:トニー・バートン)

アポロのトレーナーを務める男。
ロッキーの実力を評価し、危険視しているため、 ロッキーの再戦を希望するアポロに反対意見を述べる。だが、アポロの決心は固いと感じて、アポロの決断を受け入れる。
試合では、アポロを鼓舞。最終ラウンド前のインターバルでは、ポイントで優勢なため足を使うようにアポロにアドバイスする。
本作では役名が無く、3作目から「デューク」となり、シリーズ全てに登場している。

メリー・アン・グリード(演:シルビア・ミールズ)

アポロの妻。
ロッキーとの試合後、批判の手紙にイライラして子供とも遊ばないアポロに対して、批判を無視するよう忠告する。
試合はリングサイドで見守り、アポロの姿に拍手・歓声を送っていた。

カーマイン神父(演:ポール・J・マイケル)

ロッキーとエイドリアンが結婚式を挙げたフィラデルフィアにある教会の神父。
アポロとの再戦直前の早朝、ロッキーに教会の外から声を掛けられ、2階の窓から勝利の祈りを捧げた。

『ロッキー2』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「ベストを尽くしたか?」”Did you give me your best?”

「世界ヘビー級タイトルマッチ」の試合後、治療のため救急車で同じ病院に運ばれたロッキーとアポロ。
ダメージを受けた鼻と右眼の治療を受けたロッキーは、顔に包帯を巻いた姿のままアポロの病室へ行き、彼に話しかけたセリフ。その言葉にアポロは「ああ」と頷き、ロッキーは納得したように病室の扉を閉めるのだった。

試合には負けたもののアポロをギリギリまで追い込んだロッキーは、自分が成し遂げたことが信じられなかった故にアポロに確認したかった言葉なのだろう。メディアの前では興奮してロッキーを挑発していたアポロだが、一瞬写る彼の表情はさすがに疲れ切っていた。

「お願いがあるの」「勝って…勝って!」”There's one thing I want you to do for me.” ”Win...Win!”

エイドリアンは男の子を無事生んだものの、突然の出血と過労のため昏睡状態に陥った。ロッキーはエイドリアンの眠る病室に、何日も何日も付き添った。そして数日後の夜、突然気が付いたようにエイドリアンは目覚めた。「信じていたよ」と優しく声を掛けるロッキー。翌朝、二人は一緒に生まれた赤ちゃんを見て、ロッキーはエイドリアンに「お前が反対するなら試合をやめる」と言う。そんなロッキーに彼女は「お願いがあるの」と囁く。「なんだ?」と問い返すロッキーにエイドリアンが繰り返して言ったセリフ。

ずっと反対していたエイドリアンの口からは、ロッキーも、そして映画を観ている観客でさえ予想もしていなかった言葉。だからこそこの言葉を聞き一瞬にして希望に満ちた表情に変わるロッキーが印象的だ。本編中、最も暖かい感動を呼ぶシーンとなっている。

「何をボヤボヤしてるんだ!」”What are we waiting for!”

エイドリアンが目覚めるまで、病室と礼拝堂でロッキーの傍らにずっと付き添っていたミッキー。
目覚めた翌朝、エイドリアンがロッキーに「勝って!」と言葉を掛けた瞬間、ミッキーの顔色が変わり、待ってましたとばかりにロッキーに向かって叫んだセリフ。

試合まで時間がない状況で、ロッキーの心情を理解しつつも彼に立ち直って欲しかったミッキーの心情が見事に表現された名セリフであると同時に、静かな展開から一転して激しいトレーニングに変わるきっかけともなるセリフである。

動物園でのプロポーズ

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