ふしぎ遊戯(朱雀・青龍編)のネタバレ解説・考察まとめ

『ふしぎ遊戯』とは、渡瀬遊宇による漫画作品及び、それを原作とするアニメ、ゲーム作品である。高校受験を控えた少女・夕城美朱は、図書館の書庫で見つけた四神天地書という書物に吸い込まれ、本の中で朱雀を呼び出す巫女となる。鬼宿を始め、巫女を守る七星士と共に朱雀召喚を目指す一方、敵対国で青龍の巫女となった親友の本郷唯と対立する。1992年から1996年まで『少女コミック』で連載され、1996年にテレビアニメ化された。後に、前日譚に当たる『ふしぎ遊戯 玄武開伝』及び『ふしぎ遊戯 白虎仙記』が発表される。

再会し、共に昇天する鈴乃(左)と婁宿(右)。

青龍の召喚阻止に向かう途中、天地書の内部では美朱たちが白虎七星士の婁宿と、現実世界では奎介たちが白虎の巫女だった大杉鈴乃と接触した。二人は、現在の鬼宿と美朱のように愛し合っていたが、結ばれることができなかった。鈴乃は「本の中に留まり、婁宿と結ばれたい」と願うが、白虎は「その願いだけは聞けない」と答え、鈴乃は現実世界へと戻された。
以降二人は会うことがなかったが、その後の人生を生き抜き、今わの際に再会した。
このシーンはアニメオリジナルだが、ファンの間の評価は高い。

朱雀召喚

朱雀の封印が解かれ、美朱により現実世界に呼び出された。巫女が神獣を呼び出す時、七星士と同じ個所に証の字が浮かび上がるようで、心宿の攻撃で一度倒れ込んだ美朱は呪文を唱えながら立ち上がる。
原作では字が体に浮き出るだけだったが、アニメでは字が服の上からでも見えるほど赤く光っており、より七星士との絆を感じさせる演出となっていた。

美朱と鬼宿の再会

原作第一部及び、アニメ最終回のラストシーン。青龍を封印し、心宿を倒したことで戦いは終わった。朱雀七星士たちは、最後に残った願いで二人が結ばれることを望む。原作では「二度と離れない」と願い、アニメでは「鬼宿とのことは、朱雀に願うほどのことじゃない」と言って青龍と朱雀の戦闘で傷ついた街や人を元に戻した。
鬼宿とのことは自分たちの戦いと言って「二度と離れない」ことを誓い鬼宿と抱き合う美朱だが、鬼宿の体は消滅する。
日常に戻った美朱は母と和解し、受験に臨んで志望校合格を果たす。もう鬼宿や七星士とは会えないと思っていた美朱だが、鬼宿の生まれ変わりである魏と出会った。白虎の前例がある為に、不可能と思われていた巫女と七星士の恋の成就を予期させるシーンである。

『ふしぎ遊戯』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

四神天地書に吸い込まれた少女は年を取らない

四神天地書の内部と現実世界で時間の流れが違うことを知った奎介は、「早く美朱をこっちの世界に戻さないと、年上の妹になっちまう」と言った。美朱の身を心配してのことだが、実は「四神天地書の中で何カ月過ごしたところで体には影響はない」と、作者の渡瀬がコミックスの中で語っている。閉じ込められた時の年齢や体調がベースとなり、月経も来ない。奎介の言うように「年上の妹」になってしまうことはないのである。

美朱は担当声優・荒木香恵が代役を演じたセーラームーンのポーズを取ったことがある

アニメ版において、美朱がアニメ『美少女戦士セーラームーン』の主人公・セーラームーンの決めポーズを取ったことがある。『セーラームーン』自体は渡瀬の作品ではないが、実は担当声優の荒木香恵が一時、代役でセーラームーンの声を演じていた時期があった。
美朱によるこの決めポーズシーンは、担当声優に関する一種のお遊びと思われる。

テレビアニメで削られた「女誠国」のエピソードをOVAでアレンジ

原作で美朱たちは女誠国(にょせいこく)という国に立ち寄ったが、この国のエピソードは、テレビアニメ版で丸々カットされた。女誠国では旅人であっても男性を捕らえて目を抉り、その上で奴隷にする、抉り出した目玉で酒を造るという習慣があり放送コードに引っかかった為と思われる。本編においては、捕獲を避ける為朱雀七星士たちは女装を余儀なくされた。美形揃いの朱雀七星士は女装姿に違和感がなく、女誠国のエピソードカットを残念がるファンもいたようでOVA番外編としてアニメ化された。

青龍、並びに朱雀の巫女と七星士がバスで温泉慰安旅行に出かけるが、女誠国の恐ろしい風習により女装をさせられる。唯一体格の良い軫宿だけ女装がバレて連行される流れは同じだが、全体的にギャグ要素が強く、心宿や奎介、哲也に至るまで女装をさせられた。

辞書で「鬼」の字を調べると書かれている「鬼宿」

鬼宿(たまほめ)は二十八宿の一つとして事典などにも記載されている。「鬼」の項目を調べた際そこに一例として載っていることもある。作中では氐宿の作った幻想世界の中、すっかり『天地書』でのことを忘れた美朱が辞書を落とし、たまたま開いたページに記載される「鬼」の字を見て何かを思い出しかけるシーンが存在する。
ちなみに、二十八宿は暦の上で振り分けられ吉凶を占うこともできる。暦の上での鬼宿は、「万事において大吉の日」とされている。

『ふしぎ遊戯』の主題歌・挿入歌

テレビアニメ主題歌はOP「いとおしい人のために」(作詞:青木久美子・作曲:清岡千穂・編曲:矢野立美・歌:佐藤朱美)、ED「ときめきの導火線」(作詞:里乃塚玲央・作曲:家原正嗣・編曲:戸塚修・今野友加里)、「風の旋律」(作詞:柚木美佑・家原正嗣・編曲:山中紀昌・坂本千夏)、「for Epilogue…」(作曲:家原正嗣・清岡千穂・編曲:矢野立美)
「風の旋律」は第33話のみ、「for Epilogue…」は第52話のみ流された。

OVA主題歌はOVA1OP「夜が明ける前に」(作詞・歌:佐藤朱美・作曲:芦沢和則・編曲:大友博輝)、ED「明日の私を信じたい」(作詞:青木久美子・作曲:清岡千穂・編曲:山中紀昌・歌:石塚早織)、挿入歌「Voice」(作詞:青木久美子・作曲:家原正嗣・編曲:山中紀昌・歌:緑川光)
OVA2OP「Star」(作詞:青木久美子・作曲:浅岡千穂・編曲:矢野立美・歌:佐藤朱美)、ED「夢かもしれない」(作詞:青木久美子・作曲:家原正嗣・編曲:山中紀昌・歌:The S・h・e)
『永光伝』OP「地上の星座」(作詞:森由里子・作曲・編曲:酒井良・歌:上野洋子)、ED「YESーここに永遠があるー」(作詞:森由里子・作曲・編曲:酒井良・歌:子安武人)
ゲーム主題歌は、OP「Discovery」(作詞:田中秀則・作曲:野間康介・編曲:Jin Nakamura・歌:宮野真守)がある。

テレビアニメOP(オープニング):佐藤朱美「いとおしい人のために」

テレビアニメED(エンディング):今野友加里「ときめきの導火線」(第1話ー第32話、第34話ー第51話)

テレビアニメED(エンディング):坂本千夏「風の旋律」(第33話)

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