パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)

パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)

『パラサイト 半地下の家族』は、2019年の韓国の映画。監督はポン・ジュノ、脚本はジュノとハン・ジンウォンが務め、ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダムらが出演する。
第72回カンヌ国際映画祭では最高賞パルム・ドールの受賞を果たし、韓国映画として初の同賞受賞という歴史的快挙を成し遂げた。第92回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞した。非英語作品の作品賞受賞は史上初めてのことである。また、アカデミー作品賞とカンヌの最高賞を同時に受賞した作品は1955年の『マーティ』以来、65年ぶりとなった。
半地下住宅で暮らすキム一家と、高台の豪邸で暮らすパク一家。この相反する2つの家族の出会いから始まる物語を、世界が直面している貧富格差への痛烈な批判をも内包した、超一級のエンターテインメントとして描かれている。

パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)のレビュー・評価・感想

パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)
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『パラサイト 半地下の家族』を100倍楽しむ3つのポイント

『パラサイト 半地下の家族』を100倍楽しむ3つのポイントを紹介します。

1つ目のポイント:社会階級の描写
『パラサイト 半地下の家族』は、社会階級の対立を描いた作品です。
映画は、韓国社会の中で貧困と富の間にある民度の差をリアルに表現しており、登場人物であるキム一家とパク一家の対比がその象徴です。キム一家は半地下に住む底辺の家族でありながら、パク一家は高級住宅に住む裕福な一家。
この対比は物語全体に深い社会的メッセージを与え、見た人に大きなインパクトを与えます。

2つ目のポイント:脚本と演出
映画の脚本と演出は非常に細かなところまで再現されており、演出と物語の展開が見事に統合されています。
監督のボン・ジュノは、細かな演出でキャラクターの感情や物語の緊張感を描写し、観客を引き込んでいます。特に、家族同士のやりとりや緊張感がリアルに表現されています。

3つ目のポイント:キャラクターの深層心理
『パラサイト 半地下の家族』の登場人物は、ストーリーの役割を超えて、深い心理描写がなされています。
例えば、ギテクは失業後に家族を支えるために苦しむ姿が描かれ、その苦悩が観客の共感を呼び起こします。また、ギウやギジョンなどの若者たちは、それぞれの将来に対する希望と絶望の間で揺れ動きます。
このように登場人物たちの内面は、物語の重要な要素として観客に深い印象を与えます。

このように、『パラサイト 半地下の家族』は社会的なテーマを巧みに取り入れた脚本と演出、登場人物の魅力が見た人を釘付けにする作品になっております。

パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)
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コミカルなシーンからは想像できなかった衝撃のラスト!最後まで目が離せない

韓国で低所得者層が暮らすといわれる半地下の家で暮らすキム一家と、高級住宅街に暮らす裕福なパク一家のストーリー。
ひょんなことからキム家の息子ギウがパク家で家庭教師を始めることから物語が進んでいく。
その後娘のギジョンも家庭教師に、一家の長ギテクがドライバーに、妻のチュンスクが家政婦にと全員がパク家に寄生していく様が見ていて楽しい。
しかし、この映画はただ「キム一家がパク家に寄生するストーリー」だというわけではなく、それが物語の肝となっている。その全容が明かされるのが、一家不在のパク家でキム一家が悠々と過ごしていた時に、もともといた家政婦のムングァンが訪ねてくる時だ。本当の「パラサイト」の存在が明かされた時、また物語が大きく動く。
それまではクスッとなるシーンが織り交ぜられながらストーリーが展開していたが、だんだんと不穏な空気が充満してくる。終盤にあるシーンがあまりに衝撃的だが、突発的ではなく積み重ねが招いた結果だと感じた。
数々の作品に名を連ねるソン・ガンホが演じるギテクの絶妙な感情の揺れ動きが印象的。そしてそれが最後の急展開のキーにもなっている。
衝撃的な終盤に向けて、血を見る機会が増え狂気的になっていくため、そういったものが苦手な方は注意してほしい。

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100年後もきっと面白い映画

『パラサイト 半地下の家族』は2020年アカデミー賞作品賞を獲得した韓国の傑作映画です。半地下で暮らす家族が裕福な家庭に侵食して行き、やがて一家にパラサイトする様子は見ていて痛快であり、後半の意外な展開、ラストのどんでん返しなど、見どころがたっぷり。
若者の就職難という社会問題も取り入れつつ、人間の格差という普遍的なテーマを扱っている作品でもあります。
格差が生まれない社会などないこと、同じ空間にいてもヒシヒシと格差を感じることなどが描かれています。下が上に成り変われる訳ではない。下にいる者は「どうして同じ人間なのに」と不満を感じると思います。しかし同じ人間なだけで生まれながらに格差は存在する。見ないようにしていてもどうしようもない格差を感じた時、人はどうするのか。利用するのか見ないように縁を切るのか。登場人物達はそれを利用しようとしますが、「下」にはさらに「下」がいるのです。

利用しようとした瞬間から同じように自分達も利用される可能性があると気がつかない主人公。同じ土俵に上がるにはズルなど考えず地道にやるしかないと言われている気がしました。韓国で制作された映画ですがどの時代どの国の人が観てもきっと面白い。100年後に観ても面白いと思います。

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当たり前な絶望が味わえる作品

数々の賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」。見終わった時、きっとどうしようもない絶望と物悲しさを感じるだろう。
主人公一家(キム家)はいわゆる「競争社会に負けてしまったが、健康で、知力や能力はある貧乏一家」。
父、母、長男、長女の四人家族だ。
ひょんなことから、とある大金持ち一家であるパク家に家族全員関わることになる。
仕事を得て高額な収入を得られるようになったキム一家はどんどん明るくなり、貧乏から抜け出し、輝かしい未来が待っているように見えるが…。
とにかくこの作品は、格差社会の縮図。お金がなければ何も出来ない。生まれたところが貧乏なら、一生貧乏。
当たり前のことではあるが、そんな絶望と悲しさを感じさせる作品だ。
順調に見えたキム一家はとある騒動から、衝撃的な展開を迎えることになる。
その出来事で、改めてキム一家は「自分達はそう簡単に貧乏な環境から抜け出せない」「このまま不幸な運命を辿る」ことを思い知らされ絶望する。
最終的に、キム家の父は殺人を犯し、パク家の地下室に逃げ、社会にも外にも出られない状況になる。
主人公であるキム家の長男はそのことを知り、なんとかパク家を買い取って父を解放しようと決意するシーンで映画は終わる。
言わずもがな、その夢は叶わない。犯罪者で貧乏の父は一生地下室、息子も半地下から抜け出せず年老いて死んでいく未来しか見えない。
そんな「自分ではどうしようもない、どうにもできない悲しみや絶望」を感じたい人にぜひ見て欲しい。

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下には下が、上には上がいる事を思い知った

最初始まった時は貧乏な家族の暗いお話かと思ってみていたのですが、話が進むにつれてどんどん展開が早くなっていき映画に夢中になっていき、最後はハッピーエンドで終わらない感じがすごく面白かったのですが、なんとも言えない憂鬱な気持ちになりました。

貧困層に着眼点を当てていてとても人間味の溢れた作品です。中盤まではやっている事自体は無茶苦茶で、もし自分の家で同じことが起きていたらと考えたら物凄く嫌なのですが、演者のチェ・ウシクの演技力で共感性が湧いて、なぜか半地下のその家族のことは嫌いになれない、むしろちょっと好きな感じになります。ですが終盤の歯車が狂い出してからはどんどん怖くなっていき、最終的には目を塞ぎたくなるような展開でゾクゾクしました。

この映画で思ったことは、日本も格差社会はあるのですが特に韓国ではこの格差社会に対する問題意識を強く持っているのではないかと思いました。

ストーリーは複雑で内容はユーモラス。芯にあるテーマは重いけど、それを感じさせない面白い演出で最後の最後まで目の離せない展開になっているので、是非皆さんにお勧めの映画となっております。
最後の30分で皆さんも目を瞑りたくなると思うのでぜひ見てくださいね。

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貧富の差を感じさせる映画

この映画は貧富の差を感じさせる映画であると考えます。大まかなあらすじは、半地下に住む貧困層の家族と豪邸に住む富裕層の家族が主な登場人物であり、ひょんなことからこの2つの家族が交わることとなります。そして、映画のタイトルの通り、貧困の家族が富裕層の家族に寄生(パラサイト)した生活を送ります。そんな生活の中で、貧困層と富裕層の格差を感じさせる描写がいくつも見られます。例えば、「半地下」に住む貧困層の家族と、「坂の上」に住む富裕層の家族、上下関係を重んじる韓国を表しているでしょう。さらに、貧困層の家族がいくら外見に磨きをかけたとしても、匂いのせいで富裕層になることができない描写があります。この描写からも韓国の貧困層はいくら努力したとしても富裕層になることができない、ということを表現しております。そして、最後の豪邸を購入して父を息子が迎え入れるという場面では、現実の話ではなく、将来の話をしている点からも、やはり貧困層の家庭が富裕層のような暮らしをすることは難しいことである、というように捉えることができる場面となっております。これらの観点から、この映画は貧富の差を感じさせる映画である、と考えます。

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深いお話です

映画「パラサイト半地下の家族」は、至る所に伏線が散りばめられています。そこがわかって見るのと、ただわからないままで見るのとはぜんぜん違ってくるので、何度見ても楽しめる映画でした。韓国の半地下住宅に暮らす貧乏な4人家族が、高台にある豪邸のパク一家に少しずつ侵略していくお話になっています。それが題名パラサイトの意味ですね。この映画に引き込まれてしまうのは、前半にコメディーのような明るい家族で描かれていて、後半にはいつのまにかサスペンス的な怖さで心の中を侵略されていくところです。そういう流れは余計精神的な部分で怖さを引き立てさせました。不思議ですね、前半の明るい部分はかなりの貧乏な日常を描いていますが、後半の不幸な暗い部分は全て豪華な豪邸でのシチュエーションなんです。これを作成している監督の腕の良さが伝わってきます。嫌でも伝わる韓国の格差社会ですね。嵐の日の雨もそこを強調していることがよくわかりました。滝のような勢いで豪雨は高台から低地へ流れる。次の日に、半地下家族はもう家にも住めなくなっているというのに、目の前で豪邸のパク一家は「大した事なくて良かった」とまで言っています。低級家庭の人達がどうなっているかすら知らないのです。そして、鍵となるパク家末っ子の絵。最後の最後で全てが分かりおびえました。ぜひ、意味がわからないままでもわかってからでも楽しめる作品ですので見てください。

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何重もの意味

前半はコメディのようでもあり、おもしろかったです。家庭教師、美術の先生、運転手、メイドと次々に家族が金持ちの家に雇われていくところがワクワクしました。
最初、ギウの友達が奥様のことをシンプルな人と称していたけど、その通りでほんと人を疑わない、騙しやすい人でした。
それにつけ込んで、どんどんうまくいってるところがおもしろかったので、後半の展開には驚きました。
でも、後から見直すと伏線もあって、すごいです。実は、タイトルにまで何重もの意味があったんですね。
韓国映画は質が高いとか言われるけど、ほんまにそうです。
ギテク役の方はよくみる役者さんですが、温厚そうできれると急に怖くなるところがよかったです。
韓国の格差社会のことも知れました。金持ちはほんとに金持ちなんだなって感じです。
庭も広く、家も広いし、すごくいいところでした。主人公家族が住んでいるところとの差がものすごくて、心に残りました。
半地下というところがあるだなんて、安いならいいかなとも思うけど、窓から、道路の足元が見えてというのはすごく閉塞感があります。
だからこそ、ここから這い上がれるかもといろいろしてたのに、あの展開、、、。後味が悪くて好きです。

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誰の立場に立っても共感できる珠玉の一作

話の大まかな内容だけ前情報として聞いていましたが、予想以上に面白い作品でした。
タイトルでも話しているように誰の立場に立っても共感できるという映画。この一言に尽きます。
主人公家族は所謂「底辺」と言える様な家族に対して、パラサイト先となるお家は絵に描いたような「セレブ」。同じ地域に暮らしているとは思えない雲泥の差の家族です。
主人公家族はお金が無いこともあって、生活に余裕がなくも仲良く幸せに暮らしているという印象を受ける家族でした。
セレブ家族の方は仲良く幸せなのはもちろんのこと、裕福なので何でも持っています。
大きな家、高級外車を複数台、何よりご主人も奥様も大変美しくて本当にいい人なのです。嫌味もなくて本当に「恵まれた人」だということが細部で表現されていました。
主人公家族はもしかしたら、このセレブ家族に出会っていなければ今も楽しく仲良く過ごせていたのかもしれません。
しかし、人間は一緒にいる相手と自分をどうしても比べてしまう生き物です。
最初は主人公家族全員もセレブ家族のことを天上人の如く思って自分たちと比べようともしていませんでしたが、徐々に自分たちと彼らの差などを感じ始めている様に思いました。その結果、使用人として彼らから養分を根こそぎ吸い取るには、人間としての最後の「矜持」が邪魔したのだろうなと劇中起こる惨劇のシーンで思いました。いや、人間として生きるのに必死だったために起こった結果と言えるかもしれない。
また、韓国映画らしく救いのないなんとも後味が悪い形で終わるのですが、イヤミス好きの私としてはあの終わり方も良かったです。
日本よりも遅くに資本主義的社会体制が組み込まれたにもかかわらず、今や日本に負けない経済成長を遂げている韓国。その突然の資本主義の波についていけない人が多く、格差が日本の比ではないと聞きます。
超学歴社会なので大学に行って学びたい、でも教育にかけてあげるお金が無くて進学も予備校にも行けない兄妹や、仕事が無いから仕方なく自営業を始めたが失業して今の生活に落ち着いたお父さんは、監督から今の韓国の超格差社会への皮肉だと読み取れました。
そういう背景を考えて、主人公家族の立場で見てみると共感できる点は劇中多分にありました。
対して、セレブ家族の立場で見てみても共感できることがたくさんありました。
恵まれているからといって努力しなければ、あそこまでの資産は形成できないはずです。彼らはセレブになるべくしてなったのです。
恵まれているからこそ恵まれていない人に親切に、恵まれているからこそ差別をせずに使用人にも丁寧に接する。
このセレブ家族の立場で考えれば、主人公家族への接し方はあれ以上のものはないと感じます。
しかしふとしたところで「差別」ではなく彼らは「区別」をします。
でも、これって第三者の目線から見れば区別をすることは当たり前なんですよね。しかし主人公家族には「差別」や「見下し」に感じたと思うと、なんだかやりきれない気持ちになりました。
何回見ても見方が変わる面白い映画です。
是非一度見てほしい一作です。

パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)
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おすすめできる

韓国映画を初めて見たのですが、圧巻でした。
初めは全然興味がなかったのですが、第92回アカデミー賞作品賞を含む6部門に、ノミネートされたことを聞いて映画館に見に行きました。
内容としては、とても展開が早く、見ていても飽きない映画でした。特に、前半の金持ちの娘の家庭教師の代わりとして、半地下のボロい家に両親と妹の4人家族で住んでいる浪人生が家庭教師となった。その浪人生を筆頭に、家族全員が、映画の題名の通り、金持ち一家に寄生していくまでの展開はコメディ風であり、かなり面白いと思います。
後半は、自分が予想している展開をことごとく裏切り、思いもよらぬ事態に発展していきます。ハラハラドキドキが止まりませんでした。
終わった後にパラサイトのシーンについて、一緒に行った友達とのオチについての意見が異なり、それについて盛り上がりました。終わった後でも、楽しめる映画だと思います。
ただし、血の出る描写がいくつもあるので、グロいのが苦手な人は、少しきついかもしれませんので、気を付けてください。また、金持ち夫婦の夜の営みがかなりリアルだったので、家族や恋人と行くことは、おすすめできません。
最後に一番印象に残っているワードは、「時計回り」です。

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韓国映画ならではの予想不可能な展開が面白い!!

賞を貰っている映画ですが、私は映画が公開されて間も無く映画館へ足を運びました。
結論から言うとすごく面白かったです!!
簡単にあらすじを説明しますと
・家族全員が失業中で内職でなんとか生活を繋いでいて一家は半地下の家庭で暮らしているが普通の暮らしがしたいと願っている。
・主人公の友達によってお金持ちの家の娘の家庭教師をしてくれないかと仕事を頼まれ、主人公は喜んで承認をする。
・主人公が家庭教師として働きに行くが、その家族には様々な背景があり、その弱みに漬け込み、いかなる嘘をつき半地下の家族を巻き揉みその家に寄生虫のように寄生して行く。
・しかしそんな騙し続ける生活も続くはすがなく様々なハプニングが起こり家族はどうする事もできない。。。さて家族はどうする!?
と言うあらすじです。展開がスムーズに進むので、映画にありがちな飽きがなく最後まで見る事ができました!
グロテスクなシーンがありつつも面白いシーンや韓国映画特有な波乱万丈な物語が好きな方にとてもおすすめな作品となってます!!
この作品は、一度見ただけでは気付かない部分もあるので、二回三回見ても面白いと思います!
老若男女誰もが見ても面白い作品となっておりますので騙されたと思って是非見てください!!!

パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)
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幸せのカタチはそれぞれ、だけど……。

2019年のカンヌ国際映画祭の作品賞を受賞した映画『パラサイト 半地下の家族』。
いい年をして全員無職。家は半分が地下という立地で、窓から見える景色が通行人の足元、という状況。
仕事をしなくては生きていけないから、宅配ピザの箱作りの内職を請け負うのですが、クオリティが低く給料を減らされてしまう有様。
そんな、「残念な」一家の長男が、ひょんなことから誰もが憧れる高級住宅街に住む会社社長のパク一家の子供の家庭教師になりました。
ピザの箱さえきちんと作ることができないのに、一瞬でパク一家の奥様と娘の心を掴んでしまう長男。それは、ピザの箱さえきちんとつくることができない一家の妹が、完璧なクオリティで作った偽造の学歴書のおかげ。この長男をきっかけに、一家はパク社長一家の使用人として、四人とも雇われることになります。
人生どうにかなる、で今までやってきた半地下に暮らす一家が、社長一家の家で雇われることで巻き起こるコメディ、と思いきや、物語は思わぬ方向に転んでいきます。
映画の中にはバイオレンスなシーンもあるので、ハラハラドキドキすること必至!
見終わったときに、半地下の一家と、パク一家、どちらの生活が本当に良かったのか、考えてしまいました。

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韓国の問題がリアルに描かれた映画

韓国では実際に貧富の差が問題とされています。
この映画は、それをリアルに描かれています。半地下という貧困の中暮らす家族。
長男の家庭教師のバイトをきっかけにその家族の暴走が始まります。最初は妹。一番ずる賢い妹がさらに策略を練ります。
裕福か家庭にパラサイトするためには手段を得ません。気がつくと家族全員がその家に雇われるようになります。
しかし、本当のパラサイトは他にもいたのです。
人間の恐ろしさがよく表現されているのにもかかわらず時にクスッと笑ってしまうようなシーンも盛り込まれていて面白ろかったです。
雇い主の前では上品に振る舞う家族。しかし、家族だけになると本性が剥き出しに。それを匂いで何かを感じとる雇い主の主人。半地下の匂いです。
一体、どんな終わり方をするのだろう?と、思いながら観ていたのですが、想像もできなかった結末を迎えます。正直、モヤモヤした気持ちになってしまうのですが、元家政婦の秘密には驚ろかされました。パラサイトという意味がよく分かるシーンでした。
そして、父親と妹の結末。結局、誰1人幸せになれない物語でした。
実際に、韓国では貧富の差が激しいと聞きます。問題を上手く表現したとても興味深い映画です。

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貧乏な者たち

とても面白かったです。金持ち層の家族に寄生する貧乏層の家族の話ってだけでなんかおもしろげだし、半地下の下にまだ地下があったなんて、驚きでした。
主役家族がそれぞれ別人として、金持ちに雇われていく様は見事でした。
桃アレルギーを使って、前からの使用人を追い出したり、頭がいいなと思うし、スパイ映画のようでした。
そして、最後は金持ちに取って代わってみたいな話かなと思ったら、彼らが住む半地下の下の地下に前から寄生していた夫婦がいただなんて、驚きです。
いやー、そういう話とは思いませんでした。結局、貧しいものたちの争いで金持ちたちは関係なしなんですね。
いや、最後は報復を受けたけど、それも一方的なかんじだったし、金持ちたちはなんで、恨まれたのかもわかってなかったように思います。
そりゃあ、そうかという感じです。リアルですが、嫌な話ですね。
この地下の住民がいることがわかってから、どんどん映画が暗い方向に変わり、結局は貧乏人はその身分から這い上がれないというか、落ちるしかないのかと嫌な気持ちになりました。
金持ちたちは、夫を殺され、あの豪邸からは引っ越したようですが、また別の地で生活していけるのでしょう。
半地下で、息子は豪邸を買い取ることを夢見ますが、それもむりなはなしでしょうし、すごくリアルで後味の悪い話でした。

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時計回りに大興奮!エンタメの全てが詰まった極上のサスペンス!

パラサイト 半地下の家族は2019年公開の韓国映画です。カンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞・アカデミー賞では4部門を受賞したモンスター作品となります。見どころが山程ある作品ではありますが、このレビューでは2つご紹介します!

まず1つ目は各シーンに伏線や暗喩が多く、謎解きや考察が面白いところです。見ればみるほど、このシーンってなにを表現してるんだろう?と気になりすぎて頭がおかしくなります。
代表的な例の一つとしては、富豪家族と半地下家族の格差を表しているシーンが多く、階段や段差のシーンが多くあり、富豪家族は上、半地下家族は下に描写されています。
格差を表しているシーンはこれ以外にも無数に隠されており、見つけるのが楽しくなります。

2つ目は富豪家族の夫と奥様の「時計回り」のシーンです。ストーリー中盤の一番の盛り上がりシーンなんですが、これは家族一緒に見ないほうが良いです。なぜなら必ず気まずい空気が流れるからです。絶対家族と見ちゃダメです笑。見れば分かりますが、ポン・ジュノ監督はこのシーンを撮影するのにめちゃくちゃこだわったそうです。見ている人が、まるでその場の登場人物と同じような気持ちにさせるための「ある仕掛け」がほどこされています。ぜひ一度、パラサイト 半地下の家族をご覧になってください。数々の賞を受賞した意味が分かりますよ~。

パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)
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アカデミー賞受賞作品

映画『パラサイト 半地下の家族』が、Netflixにて配信されたため視聴。
第92回アカデミー賞でアジア勢初の作品賞受賞ということだけしか知りませんでしたので、期待も何もなく見始めました。

【あらすじ】
半地下住宅に暮らす貧しい4人家族のキム一家が高台の豪邸に住むパク一家に入り込む計画を立てる。
長男の家庭教師に始まり、それぞれ身分を偽ることで4人が一人ずつ雇われていき、タイトルのパラサイト成功となる。
しかし、母親が取って代わった元家政婦によって知らされることになった地下室の存在があり、その夫がそこにずっと住んでいたという衝撃的な展開。

【感想】
設定が、貧困の家族ということで韓国版の『万引き家族』のようなストーリーを想像しておりましたが、『万引き家族』とは違った激しい展開にハラハラしながら最後まで楽しめます。
しかしながら「貧困と格差」というテーマだけではない韓国映画の雰囲気が全体に流れるなか、どのシーンをとっても深い暗さがあり、すべてにおいて悲しい気持ちになる。見終わったあとも非常に悲しい気持ちを引きずるような映画です。
韓国の現実を知らないので、これが本当の韓国の貧困層であると想像してさらに悲しくなる「しんどい」映画でした。

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手に汗握る展開

始まりは、半地下に住む家族の日常風景からです。韓国では、貧富の差が激しく、半地下というのは低所得者をイメージさせるものだそうです。最初は、家族のコミカルな会話や展開に、ずっと笑っていました。お金はなくても全員仲が良く、楽しそうな暮らしをしている、と思ったのです。しかし、長男が経歴を詐称して、とある富豪の家で家庭教師として働くところから、どんどんおかしな方へと進んでいきます。私は、ここからもう目が離せませんでした。あれよあれよという間に、巧みな話術と作戦で、富豪の家庭を侵略していくのです。妹、父親、母親。半地下の家族全員が、いつの間にか富豪の家で働くこととなり、全員が収入を得ることができるようになりました。富豪の家族たちがキャンプへ出掛け、今夜は返ってこないことを知ると、半地下の家族たちは富豪の家で宴を開くのです。しかし、こんなうまい話が長く続くわけがありませんでした。外では大雨。遅い時間にインターホンが鳴ります。画面の向こうに映るのは、元家政婦。忘れ物をしてしまった、取りに行きたい、と懇願します。忘れ物を取りに行くくらいなら、と半地下の家族は、元家政婦を家に入れました。なぜ元家政婦がこんな夜に?なぜ大雨の中ずぶぬれで?ここから、物語は急展開を迎えます。人間の良く、家族愛。美しくも悲しい、半地下の家族の物語でした。

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この先どうなるの?って観ながら思う1本!

アジア映画で初快挙、『第92回アカデミー賞』に輝いたのは、記憶にも新しいと思います。ですが、個人的には『JOKER』だと思っていたので、最初は疑心暗鬼で見始めました。韓国映画はわりとバイオレンスな作品が多いイメージがあり、恐る恐る観ていたのですが、気が付くと既にエンドロール。まず、作品のテンポの良さに驚きました。そして韓国が抱える貧富の差をストーリーに混ぜて切り込んでいく潔さ、そして、地下に住む人々の様相をリアルに描き切る監督のこだわりにも驚かされた1本です。作中に出てくる財閥の家は庭も含め、日本のものとは比べものにならないほど広く、実は地下に核シェルターを持っているという展開に、いつ北の国や中国などの核保有国からの攻撃を受けてもおかしくない、韓国国民の持つ日常の緊迫感を感じました。シリアスな場面も多いのかと思いましたが、半地下家族のコミカルなやりとりや、貧しい中でも懸命に生きている様子は、人間味があって、この映画の中でも好きな場面のひとつです。結果的に息子→妹→父→母へとパラサイトは成功していくのですが、家政婦さんを退職に追い込むやり取りは見事でした。家族の連携と、お金持ちの奥様が浅はかな判断をしてしまうあたりの流れがかなり気に入っています。作中に散りばめられた伏線を後々たどりながら、謎解き感覚で観られる1本かな、と思います。

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格差社会の実情を訴えかけてくる

半地下で暮らす全員失業中の貧困層のキム一家4人が、富裕層のパク社長一家へ次々に寄生(パラサイト)していく物語。パク家は高台の大豪邸に住み、キム家とは真逆の生活を送っている。日本人の私たちからすれば、そもそも半地下の住宅に全く馴染みがないため、半地下住宅からの景色を映す最初のシーンから驚く人もいるのではないだろうか。格差社会をリアルに映し描き、その実情を視聴者へ真っ向から訴えかけるこの作品には「アカデミー作品賞」という大きな賞も贈られた。この受賞がさらに話題を呼び、映画館は平日の昼間から連日超満員であった。作品の注目シーンとして、一家そろってパク家へパラサイトしたキム一家がパク家の留守番をしているシーンがある。パク一家がいないことを良いことに、酒や食べ物を飲み食べ散らかしやりたい放題していたところへ、土砂降りの雨の中パク家を追放された元家政婦が訪ねてくる。現家政婦のキム家の母は怪しみながらも元家政婦を家へ招き入れるが、この行為が物語を予想もしなかった方向へ導く。このシーンをきっかけに物語の展開は急加速し、観ている私たちもどんどん作品へ引き込まれていく。ありえないように思えるストーリーだが、韓国の格差問題のリアルに迫った作品であり、韓国の実際の半地下住宅を日本メディアでも取り上げられるほど影響を与えた。アジア作品で初のアカデミー作品賞を受賞したこの注目の作品は、多くの人にシェアされるべきであろう。

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テンポの良いストーリー展開、ラストのどんでん返しも見事

オープニングからテンポの良い展開で、まったく中だるみをすることなくストーリーにグイグイ引き込まれます。テーマとしては、貧困や階層社会を扱っているので、もっとシリアスな内容の映画なのかと思っていたのですが、見ていてプッと笑えるポイントも随所にちりばめられていてコメディ映画かな?と思わせる要素も多分にあり、飽きさせません。エンターテインメントとして本当に優れているなと思いました。家族一人一人が順番に金持ち一家にパラサイトしていくさまは、良くこんなストーリーを考えたな~と感心してしまいました。韓国のドラマや映画は好きなので普段から良く見ていますから、クオリティの高さは分かっているつもりでしたが、想像以上のデキでした。中でもお父さん役のソンガンホの演技は、まさに鬼気迫る雰囲気で、常軌を逸した役をさせたらこの役者は凄いな!と改めて感動しました。また、娘のキムギジョンも普段のすれた印象から、美術の家庭教師に変身し、インテリジェンスを感じさせるところも上手いなと思いました。意外な展開となるラストでは、見ていて目を覆いたくなるような残虐なシーンも多分にあるのですが、根底には深い家族愛を感じさせるので、そこは救われる気がしました。

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面白すぎました!

アジアで初めてアカデミー賞作品賞を受賞したと聞き、ワクワクしながら映画館に行って観ました!新型コロナウイルス感染症も流行っていたので、そこまで人は多くないと踏んでいたところ、ほぼ満員で驚きました。笑
内容としては、韓国を舞台にしたコメディで、鑑賞中はほとんど笑っていました。貧しさの中で生まれた知恵を巧みに使って生き抜こうとしていく一つの家族が、たくましくもあり、面白かったです。また、少し天然っぽい役柄の女優さんが、とにかくスタイルも良く美しく、裕福で何もかも持って生まれた感じでしたが、最終的にとても可哀想な結末になってしまい気の毒でした。主人公は貧しいながらも知恵があり、とても優秀な青年でした。ですが、友人からの厚い信頼をよそに、やはり可愛い女の子を目の前にすると、自分本位になってしまっていて、それがとても人間らしいと感じました。最後の方は、殺傷の表現が生々しくて、時折目をつぶってしまうことがありました。友人は耐えきれずに退席してしまうほどでした。そしてとにかく素晴らしいと感じたのはクライマックスです。色々と取り返しのつかないことをしてしまった後、一体どんな結末になるのかと思ったら、予想外でした。そういう意味でもパラサイトになるのかと脱帽する結末でした。

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誰にでも起こりうる感情

アカデミー賞を受賞したこともあり、田舎の映画館ですら超満員でした。そして裏切らない内容です。お金持ち家族に貧乏な家族が寄生する、と前評判で聞いて、てっきり生きる気力もなく、ただ物乞いをしている家族なのか?と思っていたのですが、実際は全く違います。お金持ち家族から仕事を得ているのは確かで、それぞれの強みを活かしてしっかりと働いています。多少(結構大きいか!?)嘘があるもののそれ同等の対価を得て暮らしています。半地下の家族は極端な例ですが、これは多くの人に当てはまるのではないでしょうか。その点で、上映開始からとても共感が持てました。色々事件が起こっていき、最後には取り返しのつかないことになります。社会全体として、様々な境遇の人間がいて、考えがあって、それを全て理解することは到底無理なことですが、少しでも他人に優しく出来たら、この映画の様な格差は小さくなるのではないかと思います。金銭的な格差は勿論ですが、道徳的な格差もです。社会的な韓国映画は、鋭く問題に切り込んでいてこの映画に限らず色んな意味で面白いものが沢山あります。とても考えさせられます。パラサイトは、このような映画の入り口としても、入りやすい映画だと思います。

パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)
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疾走感と展開の意外性。アカデミー賞受賞も納得の作品。

話題を呼んだ韓国映画、パラサイト。私は普段韓国映画を見ることがなく、話題作ではありましたが興味はありませんでした。しかし、トレーラーの疾走感に興味を引かれ、公開数日後に観賞しました。
大まかなストーリを説明すると、半地下(韓国では所得の低い家族の多くが住んでいるそう)に住むキム一家の長男が、ひょんなことから富裕層のパク家の娘の家庭教師を務めることになる。パク家の「シンプルさ」に目を付け、あらゆる手口を使ってキム家長男だけでなく、長女、父親、母親もパク家のもとで働けるように仕向ける。しかも、元従事していた家政婦や専属運転手を陥れたりするなど手口は正当なものではなかった。さらにキム一家は家族でありながら他人のふりをしてパク家に従事していた。
パク家の外出中、キム一家は我が家のようにパク家で自由に過ごすが、突然、キム一家が陥れた元家政婦の女が「地下に忘れ物をしたので取りに来た」と訪ねてくる。そこからキム一家、パク一家の運命は大きく傾く。
前半は、コメディ調ですすめられているが、後半からはシリアスすぎる展開でとてもハラハラさせられた。観賞後は、疲労感すら感じたがテンポの良いストーリー展開と予想外の結末に2時間も観賞しているとは思えないほど時間が経つのが早く感じた。
暴力的なシーンがいくつかあるため、「話題作だから見に行こう!」という軽いノリでは見に行ってはいけない作品でもあった。これまで見てきた映画のなかでも最も印象に残る作品と言っても過言ではない。2度は見たいとは思わないが、必ず一回は観賞してほしい作品。