この先どうなるの?って観ながら思う1本!
アジア映画で初快挙、『第92回アカデミー賞』に輝いたのは、記憶にも新しいと思います。ですが、個人的には『JOKER』だと思っていたので、最初は疑心暗鬼で見始めました。韓国映画はわりとバイオレンスな作品が多いイメージがあり、恐る恐る観ていたのですが、気が付くと既にエンドロール。まず、作品のテンポの良さに驚きました。そして韓国が抱える貧富の差をストーリーに混ぜて切り込んでいく潔さ、そして、地下に住む人々の様相をリアルに描き切る監督のこだわりにも驚かされた1本です。作中に出てくる財閥の家は庭も含め、日本のものとは比べものにならないほど広く、実は地下に核シェルターを持っているという展開に、いつ北の国や中国などの核保有国からの攻撃を受けてもおかしくない、韓国国民の持つ日常の緊迫感を感じました。シリアスな場面も多いのかと思いましたが、半地下家族のコミカルなやりとりや、貧しい中でも懸命に生きている様子は、人間味があって、この映画の中でも好きな場面のひとつです。結果的に息子→妹→父→母へとパラサイトは成功していくのですが、家政婦さんを退職に追い込むやり取りは見事でした。家族の連携と、お金持ちの奥様が浅はかな判断をしてしまうあたりの流れがかなり気に入っています。作中に散りばめられた伏線を後々たどりながら、謎解き感覚で観られる1本かな、と思います。