当たり前な絶望が味わえる作品
数々の賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」。見終わった時、きっとどうしようもない絶望と物悲しさを感じるだろう。
主人公一家(キム家)はいわゆる「競争社会に負けてしまったが、健康で、知力や能力はある貧乏一家」。
父、母、長男、長女の四人家族だ。
ひょんなことから、とある大金持ち一家であるパク家に家族全員関わることになる。
仕事を得て高額な収入を得られるようになったキム一家はどんどん明るくなり、貧乏から抜け出し、輝かしい未来が待っているように見えるが…。
とにかくこの作品は、格差社会の縮図。お金がなければ何も出来ない。生まれたところが貧乏なら、一生貧乏。
当たり前のことではあるが、そんな絶望と悲しさを感じさせる作品だ。
順調に見えたキム一家はとある騒動から、衝撃的な展開を迎えることになる。
その出来事で、改めてキム一家は「自分達はそう簡単に貧乏な環境から抜け出せない」「このまま不幸な運命を辿る」ことを思い知らされ絶望する。
最終的に、キム家の父は殺人を犯し、パク家の地下室に逃げ、社会にも外にも出られない状況になる。
主人公であるキム家の長男はそのことを知り、なんとかパク家を買い取って父を解放しようと決意するシーンで映画は終わる。
言わずもがな、その夢は叶わない。犯罪者で貧乏の父は一生地下室、息子も半地下から抜け出せず年老いて死んでいく未来しか見えない。
そんな「自分ではどうしようもない、どうにもできない悲しみや絶望」を感じたい人にぜひ見て欲しい。