映画『ミステリと言う勿れ』/莫大な遺産相続争いの裏に隠された一族の深すぎる闇と整の名言
『ミステリと言う勿れ』の一番の魅力と言えば、やはり主人公の久能整の独特な、でも愛すべきキャラクターだろう。
もじゃもじゃの天然パーマに、分厚いマフラー。一人で飄々と生きているように見えるが、気になることはとことん突き詰める。
そんな彼のキャラクターはもちろん映画でも健在で、再会できてホッとする。
そんな整に突然、“自分の命がかかっている”とバイトを持ちかける少女が狩集汐路だ。そのバイトとは、狩集家の莫大な遺産を相続するための、遺言書に書かれた謎を解くバイトだったのだ。当主の孫である、汐路、理紀之助、新音、ゆらの4人が遺産を手にすべく謎解きに繰り出すが、遺産相続のたびに死人が出る狩集家の深すぎる闇が徐々に明らかになっていく。
わたしが好きな場面は、やはり整が「僕は常々思うんですが」とお決まりの文句を言う場面だ。
子育て中のゆらが、父親から「お前は家にいて子育てだけしていればいいんだ、それが女の幸せだろう」と言われたことに対して、整は毅然と「“女の幸せ”とかにだまされちゃダメです」と言い放つ。それは女の人に呪いをかけるためにおじさんが作った言葉だから、と。
整のこういう言葉に出合うたびに、“よくぞ言ってくれた”といつも心が震えてしまう。
整がどう狩集家の闇を暴いていくのかはもちろん、こういう整の名言にも注目して観て欲しい。