ミステリーじゃなきゃ何なんでしょう
BASARA、7seedsの著者田村由美先生の作品『ミステリと言う勿れ』。
なぜか事件に遭遇する率高めのもじゃもじゃヘアーの大学生、久能整(くのうととのう)くんが鋭い観察眼で事件を解決する。
のではなく、語る。推理や思ったことを語る、新感覚の作品です。
整くんが事件の推理を披露する時や犯人や被害者に語りかける言葉に名言が多く、1巻では濡れ衣で警察にお世話になるはめになり取調べを受けます。
取り調べが行われる中担当した刑事たちの私生活の悩みをどんどん言い当てそして語ります。
そしてそれを言い当てられた刑事たちはみな一様に引き込まれます。
読んでいるこちらは間違いなく引き込まれます。
そして、救われることもあります。
刑事さんの中にもそんな人達がいます。
鋭い観察眼もですが、広い知識と考える癖、そして記憶力もずば抜けています。
そこから紡ぎ出される言葉のチョイスが絶妙で、なるほどと思わず唸ってしまいます。
登場人物たちも魅力的なキャラクターが多く、犯罪者とわかっていても惹かれるキャラクターもいます。
整くんの自身生い立ちなど読者にもまだ知らない部分があって、それはどういうこと?と伏線がいくつもあります。
間違いなく伏線は回収されるので、そこから話がどう展開されていくのかを考えながら読めるというのも魅力の一つです。