ミステリと言う勿れ
もじゃもじゃ頭の男子大学生「久能整」が主人公です。自分が殺人事件の犯人として疑われているにも関わらず、妙に落ち着いていて、常人離れした観察力と推理力で犯人を推理していきます。神経質な性格で、銭湯に入ったり、他人と一緒の部屋で寝たりすることが苦手なのに、他人の心情を見抜く洞察力が長けているので、不思議な感じです。他人のことが分かり過ぎるのは、きっと生きづらさにつながるのかもしれません。主人公は、たまたま事件に居合わせて巻き込まれたりするだけで、迷惑だと思っている一般人なので、警察や探偵と違い、犯人がわかったからといって逮捕するということはありません。よくある推理物のような、犯人捜しに焦点を当てたストーリーというよりも、犯人を推理する過程でわかる、犯人や周りの人達の心理描写が主軸になります。最初に犯人に仕立て上げられそうになった時に、刑事に対して具体的な例え話をした際の「真実は人の数だけあるんですよ。でも、事実は一つです」というセリフには、思わず納得させられるような説得力がありました。推理と心理学が合わさったかのような、今までにないタイプの推理物少女漫画だと思います。時々クスッと笑えるコミカルな部分もあります。