子供がいる世の親、気持ちに余裕がない人に読んでほしい
本作品は、久能 整(くのう ととのう)という大学2年生の好奇心旺盛なクセのある主人公が「気になる」ことを追い求めているうちに「偶然」数々の事件に巻き込まれていくストーリーだ。
1人でいることが好きな久能だが、おしゃべりが好きで「語る」ことで相手を知り、理解する。
とにかく細かいことまで「気になる」久能は、それを追求する。そんな久能は教師になるのが夢。
小さい頃、虐待にあっていた久能だから出る発言は世の親の心を救ってくれるものだ。
「ほとんどの生物は、父親と過ごすことはない。子供がパパ臭いというのはしっかり育てた結果である。いつまでも、パパと結婚するなど言っている方が問題なのだ」や、
「家で子育てをするのが女の幸せって言い出したのは多分おじさん。女性をある型にはめるために編み出された呪文で逆に男の幸せなんて言わない。片方だけあるのは不思議」など発言している。
特に、時間に余裕がない、子供とうまく接することができない親には読んでほしい作品だ。
世の中慌ただしく、気持ちに余裕がなくて他人に当たってしまう人が増えている中で、それを否定せずにこういう考え方をすればいいのに、そういう考え方をする人が増えればいいのに、という彼の発言や心の変化に共感する人は多いはずである。
彼の「語り」で心に余裕のある人が増え、明るい世の中になることを願うばかりだ。