ばらかもん(漫画・アニメ・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ばらかもん』とは『ガンガンONLINE』でヨシノサツキが連載した漫画、及びそれを原作としたアニメ・ドラマ作品。「ばらかもん」という語句は、長崎県五島列島の方言で「元気者」を意味する。都会育ちで神経質な若き書道家・半田清舟は、書道界の重鎮を殴ってしまった罰で日本西端の島で暮らすことになる。慣れない田舎暮らしと個性豊かな島民との交流の中で、書道家として、人として成長していくハートフル日常島コメディ。半田清舟の高校時代を描いたスピンオフ作品として『はんだくん』が『月刊少年ガンガン』にて連載された。

『ばらかもん』の概要

『ばらかもん』とは、漫画家・ヨシノサツキによるハートフル島コメディ漫画およびそれを原作としたアニメやドラマである。2008年に発売された漫画雑誌『ガンガンパワード』の4月号にて、第1話にあたる読み切りが掲載された。人気が出たことから、続編として第2話と第3話が製作される。その後2009年2月21日にウェブコミック配信サイト『ガンガンONLINE』に掲載先を移動し、本格的に連載を開始した。また2014年7月11日からは漫画雑誌『月刊少年ガンガン 8月号』でも連載を開始。Webと同時進行で連載が行われていった。
2013年7月6日にはアニメも放送を開始。同年9月28日にまでの約2ヵ月間をもって、原作3巻分のストーリーを全12話で放送した。なおアニメ放送後に発売されたコミックスにて、アニメ声優にくわえ、新たに声優を起用したドラマCDもコミックス特典として付属したものも発売。アニメには出なかった3巻以降のキャラクター達の幾人かにも声優がつく事となった。
さらに2013年11月に発売された『月刊少年ガンガン』からは、スピンオフ漫画の『はんだくん』の連載を開始。『ばらかもん』の主人公である半田清舟(はんだ せいしゅう)の高校時代をコミカルに描いた作品として話題を集め、2016年にはアニメ化も行われた。

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2019年1月に『ばらかもん』最終話公開。『ばらかもん』の連載は終了したが、2023年4月12日発売の『月刊少年ガンガン 5月号』から同年9月12日発売の『月刊少年ガンガン 10月号』までの期間限定で再連載される。同年7月12日にはテレビドラマの放送も開始。主役の半田 清舟(はんだ せいしゅう)を俳優の杉野遥亮が演じ、もう1人の主役である少女・琴石 なる(こといし なる)を子役の宮崎莉里沙が演じた。子どもが多く登場する本作では、実写化にあたり一部のファンから「子役がどうなるのか」「子どもキャラがどう演じられるのか」といった不安の声もあがっていたが、宮崎莉里沙を筆頭とした子役達の演技力の高さに感服するファンが続出。大好評の中、全11話1クール構成でもって同年9月20日に放送を終了した。

『ばらかもん』の主人公は、書道家の青年・半田 清舟。有名な書道の賞を受賞するも、作品が展示された書道展示館の館長に酷評された事で、怒りから彼を殴り飛ばしてしまう。そんな息子の様子を見た父親は、自分に欠けているものを自覚させるため、一時期自分が暮らしていた長崎県の五島に彼を送る事を決める。
都会育ちの清舟は、最初は自然豊かな田舎の島暮らしに戸惑う。だが、そこに住まう島民達と交流をしながら暮らしていく内に、彼は少しずつ人として成長していくようになる。
舞台の五島列島は作者の出身・居住地であり、島での生活のリアルな情景や現地ならではのあるある、方言の数々など、五島列島としての魅力も豊富に描かれた作品であり、タイトルの「ばらかもん」とは、現地の方言で「元気者」を意味する。
半田の成長を描く中で生まれた数々の名言も作品の魅力の一つとされている。

『ばらかもん』のあらすじ・ストーリー

五島での暮らす羽目になった都会育ちの書道家

書道家として有名な父のもとに生まれ、自身も書道家としての道を歩んできた青年・半田 清舟(はんだ せいしゅう)。しかしある日、自身の書を酷評してきた書道界の重鎮である館長を殴ってしまう。罰として彼は、日本の西端にある島・五島(ごとう)で1人暮らしをする羽目になる。
生まれも育ちも都会の清舟にとって、海や山などの自然で囲まれた五島での生活は戸惑いの連発であった。しかし村民達と交流を深め、五島での生活に慣れ始めていく内に、次第に自分自身のあり方について見つめ直すようになる。書道家としてそれまで綺麗な字を書く事、賞を取る事ばかりを気にしていた清舟は、自分にしか書けない自分らしい字の追求を始めていく。

清舟の影響で成長していく少年少女達

清舟が書道家として成長する傍ら、彼の家がある五島の村・七ッ岳(ななつだけ)では村民である男子高校生の木戸 浩志(きど ひろし/通称:ヒロシ)が、進路を決める時期に差し掛かっていた。特別になりたいものがなかったヒロシだが、清舟に魚を捌く腕前を褒められた事で料理人になろうと決める。しかし料理人への道は険しく、清舟以外の人から料理の腕前が普通だと言われたり、高校卒業が近いのになかなか料理を学ぶ修行先が決まらなかったりと、四苦八苦する羽目になってしまう。それでも努力の末、東京の調理専門学校に合格。料理人としての道を本格的に歩むため、高校卒業と同時に島を出ていく。
またその横では、漫画家を目指す女子中学生・新井 珠子(あらい たまこ/通称:タマ) が漫画の制作に身を費やしていた。1人で隠れて漫画を描いていたタマだが、清舟に漫画を読んでもらうようになってから自信をつけたのか、ついに作品を賞へ応募し、佳作を受賞する。
そんなタマと仲が良い女子中学生・山村 美和(やまむら みわ)は、父が営業している酒店が閉店する事になり落ち込むも、清舟が父の為に店の看板を書いてもってきた事で、自分が店を継ぐ事を決意する。
こうして清舟が村民との交流で学びを得るように、彼もまた少しずつ村民に影響を与えていくようになる。

島民・なると父親の複雑な関係

ある冬の日、清舟は七ッ岳の島民である少女・琴石 なる(こといし なる)の父親・琴石 優一郎(こといし ゆういちろう)と知り合う。なるは清舟にとって最初に五島で仲良くなった人物であり、普段から気にかけている子どもであった。
優一郎は1年のほとんどを舟の上で過ごしており、帰ってくるのは年始年末の数日だけ。さらに彼が帰ってくるとなるが熱を出すため、親子でありながら2人はまったく顔を合わせた事がなかった。さらになるに至っては優一郎を父とわかっていない節もあり、そんな彼らの現状を知った清舟は、優一郎になるに手紙を書くように提案する。
清舟に背中を押された優一郎は、初めて父としてなるに手紙を書く。父からの手紙に喜んだなるは、優一郎が自分の父親である事を理解する。

清舟が見つけた新たな道

五島で書道家として成長をしていく清舟だったが、ある時、自分が書道家として仕事をできているのは父の威光によるものであった事に気づく。再び自分のあり方を顧みる事になった清舟は、書道家を辞めて五島で書道教室を開く事を決める。
だが小さな島で高い月謝を払ってまで書道を習わせる親が少ない事から、早々に閉校のピンチに陥ってしまう。さらに、これまで仕事を斡旋してくれていた友人の川藤 鷹生(かわふじ たかお)が清舟が書道家を辞めると知って激怒。2人は喧嘩をしてしまう。だが、影でなるが川藤と連絡を取ってくれていたおかげで、清舟は川藤と無事に和解し、彼の手を借りながら書道教室の経営をどうにか継続していく。
しかしある日、清舟は教室に通う子ども達が字が上手くなりたくて通っているのではなく、清舟のために通ってくれているという事を知る。自分のやりたい事を子ども達に押し付けてしまっていたのではないかと落ち込む清舟だったが、ヒロシと連絡を取り合った事で、彼らが自分を喜ばせたいという思いで教室に通っている事に気づく。

清舟と村民達

失敗したり空回ったりしながらも、子ども達と賑やかに教室を続けていく清舟。七ッ岳の村民達とも良好的な関係を続けていくが、その反面、自分によくしてくれる村民達に返せるものがない事で悩む。そんな清舟に村のリーダーである郷長は、清舟が自分達の好意を受け取ってくれるそれ自体が嬉しい事なのだと彼に伝える。
その後、清舟は子ども達に請われる形で自分の字を書く事になる。書道教室を開く前以来の久々の自分の字に書道家としての熱を思い出した清舟は、渾身の字を書く。
こうして村民達が自分の事を慕ってくれている事を知った清舟は、それからも七ッ岳の一員として書道教室を続けながら、五島で暮らしていくのだった。

『ばらかもん』の登場人物・キャラクター

主要キャラ

半田 清舟(はんだ せいしゅう)/先生/演:杉野遥亮(幼少期:石塚錬)

CV:小野大輔/演:杉野遥亮(幼少期:石塚錬)
本作の主人公である書道家の青年。名前の「清舟」は書道家としての雅号であり、本名は「半田清(はんだせい)」という。とはいえ、作中では苗字か「先生」の通称で呼ばれる事が多いため、名前で呼ばれることはあまりない。誕生日は4月15日で血液型はA型。体重は不明だが、身長は174cmある事が作中で明かされている。
有名な書道家の父のもとに生まれ、幼い頃から書道をたしなむ。『ばらかもん』のスピンオフである漫画『はんだくん』にて、高校時代にすでに「清舟」の雅号を持っていた事が判明している。『ばらかもん』では若き新鋭として、将来を期待されるまでに成長。だが、自分の作品を酷評した書道界の重鎮を殴ってしまった事で、実家がある東京から長崎県の離島・五島に送られる羽目となった。
プライドが高く、結果にこだわりがちなところがある。実際五島にやってきたばかりの頃には、書道のコンテストで上位に入賞するも1位ではなかったという結果にショックを受け、ひどく落ち込んでいた。この結果へのこだわりについては、五島の人々と交流していくなかで少しずつ丸くなっていく。
こうした気難しい一面を持つ一方で、天然なところも多く、書道以外の事でドジをする事も多い。よく知る近所の裏山で遭難したり、料理をしようとして指を切り付け具材を血まみれにしたり、喉が乾いたところで見つけた自販機に飛びついて小銭を落とした末に欲しかった物とは違う飲み物を買ってしまったり、枚挙にいとまがない。こうした二面性のある性格について、作中では「ツンバカ」と評されていた。なお抜けているのは言動だけで、勉強や運動はそれなりにできるようで、学生の頃の成績は4か5しか取った事がないという。
猫好きだが重度の猫アレルギーという悲しい体質でもある。
物語当初は書道家として活動していたが、それが父の威光のもとにできていた活動だと気づいたのをきっかけに書道家をやめる。最終回では五島にて書道の教室を開き、講師として島で生活を続けている描写がされていた。

琴石 なる(こといし なる)/演:宮崎莉里沙

CV:原涼子/演:宮崎莉里沙
『ばらかもん』のもう1人の主人公にあたる少女。主人公の清舟が暮らす五島の村・七ッ岳の村民で、祖父と一緒に暮らしている。村にある生徒数が9人の小さな小学校に通う、7歳の小学1年生。
誕生日は8月27日で、血液型はO型である事が明かされている。体重は不明だが、身長は113cm。昆虫が好きで、よく虫を集めている。カメムシが詰まったガチャガチャのカプセルやセミの抜け殻で作ったネックレスといったアイテムも生み出しており、都会からやってきた人にプレゼントしては驚かせている。
元気いっぱいのいたずら好きな少女で、初登場である第1話では半田の家の床下から屋内に侵入するという技を見せた。とはいえ、まったく場の空気が読めないわけでもなく、ふざける空気ではない時はちゃんと空気を読むしっかり者でもある。
清舟に懐いており、仲良しの友達である陽菜(ひな)ことひなとよく一緒に先生の家に遊びに行く。一緒の学校に通う男子・謙太郎(けんたろう)ことケン太に好かれているが、本人は気づいていない。
母親の所在は不明だが、父親は船乗りである事が明かされている。だが、年始年末に島に帰ってくる程度の人物であるため、日常的に顔を合わせる事はない。そのため、なる本人は父親の顔を覚えておらず、作中で実父と顔を合わせた際に赤の他人だと思っていた。祖父からは「両親は宇宙人」と教えられている模様。

山村 美和(やまむら みわ)/美和姉/演:豊嶋花

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